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「それでは、今から1回戦の対戦を発表していきます」

裏側にしたスコアシートを組にして、テーブルにおいていく常連らしき青年。
ナツキの名前が書かれたスコアシートは最初のテーブルに置かれたため、彼女はミキオたちの背中を見送り座る。
対戦相手のスコアシートには達筆な文字で「谷本総矢」とある。

なかなか現れない対戦相手にナツキは参加者を見渡す。
スコアシートが一番最初に置かれたのに、自分の名前を発見できないなんて。と。

「それでは準備が出来次第、1回戦をはじめてください」

常連らしき青年はそう告げると、自分もデッキケースを取り出し、ナツキの向かい側に座った。
ナツキは「そういうことか」と納得して、しげしげと相手の顔を見る。初めての大会、初めての対戦相手だ。
ずいぶん年上の青年、姉さんとかと同じくらいだろうか。

「どうかしたかい?」
「なんでもな~い」


第9(15) パワープレイ



「最初はグー、じゃんけん…」

掛け声で出されるお互いの右手。
ナツキはグー。相手はチョキだ。

「ウチが先攻ね!」

ナツキは手札から青基本Gを出し、「ターン、エンド」と告げる。
谷本はそれを確認してドローする。

「青デッキか、いいね。俺も持ってるけど…今日はこっち」

と言ってガチ党を配備して、ターンを終了した。
その後、ナツキは青Gを、谷本は黒Gを配備しお互いのターンが進む。

「3枚目の青Gを配備。ターン、エンド」
「…遅いデッキかな?興味あるね」

そう言って、カードを引く谷本。
手札に舞い込んだカードはまさしく、この「3ターン目」に欲しかったカードだ。
彼は「いい引きだ」と小さく言って、カードを手札から出す。

「配備フェイズ、紫基本Gを配備」
「あ。黒紫」

ナツキは「そっか~」と何かを思い出すように唸った。
それを見た谷本は、紫のGカードを持ったまま「何だい?」と聞く。

「カット…インしよっかな」

谷本は不思議そうに、「どうぞ」と許可を出す。

「パワーハラスメント!このターン、そっちの手札とハンガーにあるカードは合計国力+1ね」
「…了解。ならターン終了だね、動けない」
「ふっふ…確か3国力だよね?ガンダムラジエル」

ナツキはカードを引きながら、妙な笑い方でそう言う。
思い出そうとしていたのは、「黒紫デッキが、3国力ですぐに配備できるカードがあるかどうか?」ということだったらしい。

「そうだね。まんまと出遅れたよ」
「よーし。4枚目の青国力を配備。そして…リゼルをプレイ!」
「了解」

谷本は内心ほっとしていた。国力増強カードからの大型ユニットや、コインが増え続ける謙信ガンダムはキツイ相手だ。
ナツキは本国の上7枚を見て、同じ絵柄…ブースター版のリゼルを場に出す。
すでにプレリュードスターターで3枚手に入れていた彼女だったが、どういうわけかブースターでも3枚当たったため、今回はブースター版を使っていた。

「攻撃ステップ、宇宙と地球にリゼルを出撃~!」
「6ダメージだね、通しだよ」
「ターン、エンド」

谷本は手早くカードを手札に加えると、配備フェイズを宣言する。
1ターン遅れたが、前のターンにやりたかったことをしっかりこなすと言わんばかりに場に出されるカード。

「紫基本Gを配備、ガンダムラジエルをプレイ」
「…どうぞ♪それは知ってる」

プレリュードスターターにも入っていたユニット。
格闘と防御が大きくて、ドロー効果を持った奴だ。

「戦闘フェイズに入る。ラジエルを宇宙に出撃」
「要するに、ダメージを当てさせなきゃいいんでしょ?勇猛果敢。このカードでラジエルをは手札に戻って」

ナツキはニッコリ笑ってカードを差し出し、谷本は「…厳しいね」と素直にラジエルを手札に戻した。

青には珍しい手札へのバウンスカード。敵軍ターン限定だが、タイミングの幅は広く汎用性が効く点は青のカードらしいと言える。
前のターンならこれを撃たれる心配は無かったが…パワーハラスメントで稼がれた1ターンが意外に響いているね。
と谷本は少し感心してナツキを見る。

「ウチのターン」
「どうぞ。…いや」

ナツキの満面の笑みから”なにか”を感じ取った谷本は、思い直して「そっちのリロールフェイズ、いいかい?」と宣言する。
このターン、Gにカットインを狙って、ヴァリアブルを貼られては意味が無いのだ。

「残された者の決意をコマンドとしてプレイ。本来の種類がGであるカードが発生する国力は、このターン黒に変更される」
「ウガー!黒にもそういうのあるの!?」
「にも…あぁ、切り開く力のことだね?あれも黒のコマンドカード、ティターンズ結成の派生だよ」

切り開く力になぜか過剰反応するナツキに、谷本は黒のコマンドが元祖であることを説明する。
…が、ナツキは話を聞いていなかった。

「いいもん!青G置いて、攻撃ステップ。またリゼルで攻撃だ~!」

ムキになってユニットを攻撃に出すナツキ。
谷本は了承し、本国のカードを6枚捨て山に送る。

「ターン、エンド」
「ドロー。配備フェイズ、ラジエルを再配備」

再び場に出るラジエル。
せっかく残された者の決意で時間を稼いだのだ、ここは通したい。
と谷本はナツキを見る。
ドロー、サーチもなしにこれ以上妨害カードを引いているだろうか?と勘ぐるも、ユニコーンガンダムは出させたくない、ここはラジエルに頑張ってもらおう。という結論に至った。

「攻撃ステップ規定、ラジエルを宇宙に出撃」
「4ダメージくらいは通しよ。今更って感じなんだから」
「じゃあダメージが通ったから、こっちの本国と捨て山を表にして…」

表になったのは、本国の紫基本Gと捨て山のブリーフィング。
「当然こっちで」とブリーフィングを手札に加えた谷本は、そのままブリーフィングをプレイし本国の上のカードを3枚表にする。
ナツキは「はいはい」と適当に相槌を打って確認する。

表になったのは報道された戦争とGNセファー、そして報道された戦争だ。

「は?」
「報道された戦争は、手に入るね」

ナツキの手札は3枚。報道された戦争1枚で全部落ちる。

これで、さっきのターン出せなかったユニコーンが落ちるハズ。
こっちの手札はこのブリーフィングが解決されて7枚。手札のカードを2枚も残すことが出来る。
と谷本はカードを選ぶ。

「報道された戦争をX=3でプレイ」
「…いいわ、全部捨てる」

ナツキは手札のカードをジャンクヤードにばらばらと落とす。
青G2枚に、託された遺志。3枚ともG要素だ。

「な…」

谷本はぽかんと口をあけた。
満面の笑みから”なにか”を感じ取ったというのは、どうやら気のせいだったらしい。
ちなみに、彼が捨てたのは黒Gとラジエル、GNセファーだった。

「損したのはこっちだね…ターン終了」
「なんだか良くわかんないけど、ウチのターン!」

ナツキは手札に加わったカードをプレイするそぶりも見せず、戦闘フェイズを宣言した。

「攻撃力じゃ、まだ負けてない。リゼルを宇宙と地球に出撃!」
「攻撃力は負けてない?それは勘違いだね、換装の効果を使用」

谷本は手札のカードと、場のラジエルを置き換える。
「イラストが変わったようには見えないね」などと思ったナツキも、箔が押されていたため別のユニットだとわかった。

「セファーラジエル(第一形態)…リゼル2枚程度、こいつで十分圧倒できる」

換装したそれを宇宙に出撃させた谷本は、すこし強めの口調でそう言った。
報道された戦争ではあまり良いカードを落とせなかったが、手札に策がないことはわかった。
ならば、あとは場を制圧するだけだった。

「さらに防御規定後、地球のリゼルにセファーラジエルの効果で3ダメージ」
「どっから撃ってんのよ…頭くる!」

テキストで破壊されたリゼルに続き、宇宙で交戦中だったもう1枚もダメージの応酬で一方的に破壊される。
同じ4国力ユニットと言えど、場に出るときに機能する”単色ユニット”のリゼルと、場に出た後に機能する”デュアルユニット”のセファーラジエルではそもそも戦闘エリアでの性能が違うのだ。

「ターン貰うよ」

谷本はカードを引き、再びラジエルをプレイする。

「攻撃規定で宇宙にセファーラジエル、地球にラジエルだ」

ナツキは成す術も無く、9ダメージを本国に受ける。
谷本はラジエル効果で表になった本国の上のカード―3枚目のガンダムラジエルを手札に加え、「ターン終了だよ」と続けた。

「ウチのターン、ドロー…急ごしらえで2ドロー!」
「いい引きだね」

ナツキはむすっとして、今引いたばかりのカードをプレイした。
報道された戦争を使われた後だったため、手札は余裕で3枚以下。2枚のカードを手札に加えることが出来た。

「ユニコーンガンダム!」

ナツキは引いたカードのうちの1枚をすぐに場に出す。
強力なサーチ能力を持つユニットだ。

「これ!」

本国のカードから、迷わずカードを箱とする。
だが、迷わなかったことによって、谷本にはある程度箱の中身が予想できた。

「さあ、箱の中身を見せる?」
「急かさないで、オッサン。ウチはこのカードも追加で配備するわ!」

場にさらにカードが加わる。
通常のプレイ制限に引っかからない…拠点ユニットだ。

「インダストリアル7?」
「うん!このカードはユニコーンに追加で箱をセットできるカードよ!」

ナツキは、今度は捨て山の上のカード5枚の中から1枚を箱としてセットした。
裏返された青いスリーブが、ユニコーンのイラストを隠すように置かれる。

「箱が…2つ」

谷本はその光景を見て、は確認するかのようにそう呟いた。


つづく


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txt:Y256

初出:mixi(10.03.24)
掲載日:10.03.24
更新日:10.04.01