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1回戦の対戦を終えたミキオは、他の2人の対戦を見ようかと立ち上がった。
すると、彼の後ろにはすでに対戦を終えたタンサンが立っており「さっすがミキオちゃん」と肩を叩いてきた。

「いつから見てたんだよ。勝ったのか?」
「事故って瞬・殺!…されたから、結構最初のほうから見てたんだぜ」

タンサンはなぜか偉そうにそう言って胸を張る。
「事故かよ」とミキオは会場を見渡し、ナツキを探す。

彼女は一番端のテーブルでカードを広げ、対戦相手の青年にアドバイスを受けているようだった。
青年は1回戦の全ての試合が終わったことを確認して、ナツキにひと声かけて立ち上がり、「それでは、今から2回戦の対戦を発表していきます」と対戦組み合わせを発表していく。
1回戦を勝ち残ったプレイヤー同士の対戦だ。

「ミキオはどうだったー?」
「…勝ったぜ」
「よかったー!次もガンバってね☆」

駆け寄ってきたナツキが、ミキオの肩に抱きつき顔を寄せる。
「言われなくても頑張るっつーの」とナツキの顔をどかすミキオに、タンサンも寄ってくる。
どうやら、ちゃっかり一足先にスコアシートを確認してきたようだ。

「ミキオちゃん…気をつけたほうがいいぜ」
「ん?」
「次の相手は、”なんたら・かんたら・でぃきとぅーす”とかいうユニットを使ってくる」

ミキオは「はぁ?」と聞き返そうかとも思ったが、見当がついたので止め、自分のスコアシートがあるテーブルに向かう。
対峙した相手のスコアシートには、英語で「KING」とだけあった。


第11(17)話 ロール、リロール



「いくぜ!オレが先攻!」

じゃんけんを制したミキオは、手札をチェックして茶基本Gを配備した。
彼は先ほどのタンサンの台詞から、相手は赤…それも低速デッキで序盤はお互いにGを置くだけになるだろうと推測しながら、カードを引く相手の手を見る。
相手は耳に被るくらいに伸ばした黒髪の少年だ。

「じゃあボクのターンだね。黒の部隊を配備、ターン終了っ」
「ドロー。ギンガナム軍を配備。ターンエンドだ」

考えた通りの序盤進行。
赤はカウンターでカードが場に出ることを阻害することが得意な勢力。逆に一度場に出たカードを、攻略することはニガテ。
相手が十分な国力を揃える前にユニットを配備することが出来るのが先攻の特権。
そんなことを考えて「ターンエンド」と宣言したミキオの眼前に、相手は”違う色”のカードを出した。

「ガチ党を配備するよ。ターン終了っ」
「黒赤」

確かにタンサンは「ディキトゥスがいる」とは言ったが、赤単色デッキとは言ってない。
黒の破壊力も使うことが出来るとなると…色々面倒。
姉さんから「厄介な色の組み合わせよ」と、ガンダムウォーを始めたばかりの頃に教わった記憶がある。
ミキオは頭をぐしゃぐしゃっとして、手札のカードを再び見直す。作戦の練り直しだ。

「茶基本Gを配備してターンエンドだぜ」

ミキオは3枚目となるGを出し、ターン終了を告げる。
相手はターンを開始し、大胆な計画をヴァリアブル宣言で場に出した。
赤のコマンドだが、ヴァリアブルで発生する国力は、黒。

「ドロー…」

ミキオの手に収まっているカード郡は、国力は順当に出すことが出来る札。
しかし、このターンに配備できるユニットがない。

「ターンエンド」
「ドローっ。配備フェイズに入るよ」

相手は赤き基本Gを配備する。
続いて密約《20》で3ドローし、その後に手札1枚を本国に戻す。
これで一気に相手の手札が増える。

「ハンマ・ハンマ&R・ジャジャを配備。戦闘フェイズに入る!」
「引いたか…了解」
「ハンマ・ハンマ&R・ジャジャをテキストでリロール。宇宙に出撃っ」

ハンマ・ハンマ&R・ジャジャは、本国へのバウンス能力とロール、リロールをコントロールする能力を持ち、弱点である耐久の低さを考えても4国力とは思えない非常に強力なユニットだ。
先手を打ちそびれた挙句、最速であのユニットは…マズいな。と思いながらミキオは本国のカードを4枚捨て山に移す。

「ターン終了っ」
「オレのターン!」

ミキオは手札にカードを加える。ドローカード、宝物没収だ。
敵軍の攻撃でちょうど捨て山もある。

「宝物没収をプレイ」
「了解っ」
「2ドロー!」

まだ間に合う!
手札に加わったカードを見たミキオは、そう思い直す。

「5枚目のGカード、アナウンサーを配備。続けてディアナ帰還を配備し、4回復!」
「いいよ♪」

ふふん、と余裕そうな表情で許可する相手。
ミキオはロールで国力を発生できなくなるアナウンサー以外の4枚のGカードをロールし、ディアナ帰還の効果を4回使用する。
これでジャンクヤードにはカードが5枚。

「ガンダムシュピーゲル(シュツルム・ウント・ドランク)を配備!」
「了解っ」
「ドモン・カッシュ《EB2》のセットは!」

相手は感心して「いいセットグループだねっ」と許可を出す。
嘲笑うというよりは純粋にそう思っている風だ。
このグループは、いくら強力な効果を持ったハンマ・ハンマ&R・ジャジャでも相手にならない。

「攻撃ステップ、ウント・ドランクをリロールし、リング!」
「防御は出ないよっ。この赤コンビは譲れない」

ハンデスでは影のカリストのカードがジャンクヤードに落ち、相手の本国は8ダメージを受ける。
ミキオは「よし!」と拳をグッと握り、ウント・ドランクを帰還させ、ディアナ帰還の最後の1回を起動した後、ターンを終了した。

「千年女王をヴァリアブルでGに」
「おう」

ミキオは、出されたヴァリアブルを見て頷く。
ハンデスで影のカリストを落とせたのはラッキーだったが、楽観は出来ない。

「リグ・シャッコー(カテジナ機)をプレイ」
「…っ」

ミキオは短く舌打ちして、待ったをかけた。
シャッコー1枚ならドモンのテキストで防ぐことが出来る。が、さらにカットインで野望の毒牙や残忍な野獣などを使われるとドモンは落ちる。

「どうする?」
「ドモンのテキストを宣言。ジャンクヤードのGを除外指定」
「だよね、カットインっ。わかってても仕方ないことってあるよね、野望の毒牙!」

続いて場に出たシャッコーでディアナ帰還を破壊した相手は、部隊を組んでユニットの出撃を宣言した。
5国力目を確保したことによって、ハンマ・ハンマ&R・ジャジャはウント・ドランクをバウンスすることが出来るようにため、なったシャッコーとハンマ・ハンマ&R・ジャジャの攻撃は通すしかない。
「7ダメージ…通しだぜ」と言って、ミキオはターンを貰う。

「オレのターン、ドロー…よし、攻撃に入るぜ!」

ミキオはニヤリとして、ウント・ドランクをつかむ。
未だハンマ・ハンマ&R・ジャジャのバウンステキストはウント・ドランクに有効であるにもかかわらず、この強気。
相手は「ふぅん」とミキオの顔を見た。

「ウント・ドランクがリング!」
「ハンマ・ハンマ&R・ジャジャのテキストで、こっちのユニット2枚がリロールだっ」
「来いよ。リングに」
「いくよ。でも、こっちのユニットだ」

リグシャッコーを防御に出撃させる。
このミキオの強気の理由を伺っているようだ。

「おし、ダメージ判定ステップにロール、リロールで速攻と強襲を付与するぜ」
「じゃあ、このまま負けるね」

潔くジャンクヤードにシャッコーを落とす相手。
ミキオはウント・ドランクを帰還させ、「ターンエンドだぜ」と告げた。

「ボクのターンだねっ。ドロー…ウント・ドランクはリロールテキストを使ってから防御に出なきゃいけないから、明鏡止水があってもハンマ・ハンマ&R・ジャジャは撃破出来ない」

相手はそう言って小さく笑い、ハンマ・ハンマ&R・ジャジャを出撃させる。
明鏡止水があればバウンスを受けることは無いが、ロール、リロールのテキストを攻略するためにはウント・ドランクがテキストを全て使える状態でなければいけない。

テキストにカットインでウント・ドランクのロールテキストを使うことで、ウント・ドランクのみがリロールで残ることが出来る。
ハンマ・ハンマ&R・ジャジャがもう1度テキストを使用してリロールしたとしても、そこが使用回数の限界。最後にウント・ドランクがリロールを宣言して振り出し…「ウント・ドランクの勝ち」という状況に戻る。
といった具合だ。

「4ダメージは通しだぜ」

ターン終了を宣言した相手は、「本当は、明鏡止水なんかないんでしょ?」と続ける。考えていた結論が出た、というように。
ミキオはカードを引く手を止めてとぼけてみせる。

「あるなら、4ダメージ程度のために威勢よく攻撃なんかしないで、防御時にハンマ・ハンマ&R・ジャジャを撃破しに来るハズだしねっ」
「…そうか?配備フェイズはなにもないぜ」

戦闘フェイズを告げるミキオだったが、さっきのターンのような勢いはない。
相手は「明鏡止水がないんじゃないか?」と疑ってきたんだ。次は平気な顔でハンマ・ハンマ&R・ジャジャを防御に出すかもしれない。
ミキオは手札を確認しながら「ターンエンド」と宣言した。

「あ、やっぱりなかった♪ボクのターンに入るよっ」

相手は「へへっ、図星だったんだ」とカードを引く。
出された6枚目のGにミキオはタンサンの言葉を思い出した。

「正義さす左指!ユーリディス・シニストラ・ディキトゥスっ!」


つづく


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txt:Y256

初出:mixi(10.03.29-30)
掲載日:10.03.30
更新日:10.04.01