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「カットイン、箱…勇猛果敢をプレイ!」
箱が表になる…コマンドカードだ。
勇猛果敢は敵軍戦闘フェイズ限定ながら、敵軍ユニットを手札へ戻す――青には珍しい――効果を持ったカードだ。
一見「撤退命令」の亜種にも見えるが、ユニコーンガンダム(デストロイモード)を前提としたこのデッキでは、その役割は大きい。
勇猛果敢は敵軍戦闘フェイズ限定ながら、敵軍ユニットを手札へ戻す――青には珍しい――効果を持ったカードだ。
一見「撤退命令」の亜種にも見えるが、ユニコーンガンダム(デストロイモード)を前提としたこのデッキでは、その役割は大きい。
「甘く見ないでよ。あんたが相手にしてるのは…ウチのデッキ全部なんだからさ!」
「少々見くびっていたようだ。マスラオは手札に戻り、テキストは解決に失敗する」
「少々見くびっていたようだ。マスラオは手札に戻り、テキストは解決に失敗する」
言い切るナツキに、ハタドーは「返しの箱は…やはりこれか」と口元に手を当てる。
ゲルググの3点だけがナツキの本国に通り、彼はターン終了を宣言する。
ゲルググの3点だけがナツキの本国に通り、彼はターン終了を宣言する。
「ウチのターン、ドロー!」
第33(39)話 一角獣vs益荒男
ナツキは周辺警護をヴァリアブルで展開し、6国力目とする。
戦闘フェイズまでターンを進め、彼女は迷うことなく唯一配備されたユニットを手にした。
戦闘フェイズまでターンを進め、彼女は迷うことなく唯一配備されたユニットを手にした。
「換装宣言、デストロイモード!攻撃に出撃するよ☆」
ハタドーに向けられたそのカード…パッケージでも使われているイラストのユニコーンガンダム(デストロイモード)は、先ほどは起動していなかった効果を携えている。
戦闘ダメージを与えた場合、敵軍手札を見てユニット1枚を自軍配備エリアに出す効果だ。
戦闘ダメージを与えた場合、敵軍手札を見てユニット1枚を自軍配備エリアに出す効果だ。
「ダメージを与えて、マスラオいっただきぃ!!」
ナツキはハタドーの手札…その中で1枚だけ確定しているマスラオのカードを示すように、手札を指差した。
ハタドーは身構え、手札のカードを確認する。
ハタドーは身構え、手札のカードを確認する。
「私のマスラオは…やれんな!ダメージ判定ステップ規定前に水入りのカードをプレイ」
「デストロイモードは、3ダメージ程度じゃ壊れないよ!」
「いや、このカードはダメージに加え、敵軍ユニットを配備エリアに戻す効果がある」
「デストロイモードは、3ダメージ程度じゃ壊れないよ!」
「いや、このカードはダメージに加え、敵軍ユニットを配備エリアに戻す効果がある」
水入りのテキストを見せるハタドー。
「惜っしい!ターン、エンド」と残念がるナツキだったが、ハタドーからすればギリギリだった。
もし1枚握ったダメージカードが水入り以外であったならば、あのユニットを封じ込めることは不可能だっただろう。あれはそれだけのテキストと戦闘力を秘めている。
「惜っしい!ターン、エンド」と残念がるナツキだったが、ハタドーからすればギリギリだった。
もし1枚握ったダメージカードが水入り以外であったならば、あのユニットを封じ込めることは不可能だっただろう。あれはそれだけのテキストと戦闘力を秘めている。
「引きの良さに助けられた、と言ってこう」
ハタドーはカードを引く。
「マスラオを再び配備、さらにブースト宣言でオーバーフラッグだ。戦闘フェイズ」
「オッケー」
「オッケー」
再び宇宙にナカガワゲルググ、地球にマスラオを出撃させるハタドー。
ナツキはユニコーンガンダムの換装を宣言する。
今度は捨て山のカードをサーチし、箱をセットする。枚数にすればまだ本国のほうが厚かったが、捨て山を選んだのだ。
目星のカードが、本国を確認した時点で捨て山に移っていることを確認していたのだろう。とハタドーは考える。
表情からは楽しんでいるようにも見えた。
ナツキはユニコーンガンダムの換装を宣言する。
今度は捨て山のカードをサーチし、箱をセットする。枚数にすればまだ本国のほうが厚かったが、捨て山を選んだのだ。
目星のカードが、本国を確認した時点で捨て山に移っていることを確認していたのだろう。とハタドーは考える。
表情からは楽しんでいるようにも見えた。
「ダメージ判定ステップ規定前。前のターンのように、ナカガワゲルググでダメージを与え、マスラオで本国へ戻したいが」
ハタドーは静かに言った。
まるで、前のターンの再現だ。
まるで、前のターンの再現だ。
「カットインで箱、勇猛果敢をプレイ!」
「私に同じ手が2度通ると思っているとは…残念だ!ロシアの荒熊をプレイ」
「私に同じ手が2度通ると思っているとは…残念だ!ロシアの荒熊をプレイ」
強化、破壊、補強のいずれの特徴も持たない勇猛果敢は、荒熊によって無効にされる。
これ以上打てる手がないらしく、ナツキはしぶしぶユニコーンを本国の上に移す。
場のユニットは無くなり、本国に戻ったユニコーンはこのターンのダメージで捨て山へと…。
これ以上打てる手がないらしく、ナツキはしぶしぶユニコーンを本国の上に移す。
場のユニットは無くなり、本国に戻ったユニコーンはこのターンのダメージで捨て山へと…。
「さきほど、私の相手は…君のデッキ全てと言ったが」
「うん?」
「ならば私は、それとすら渡り合える引きだと言わせてもらおう!」
「うん?」
「ならば私は、それとすら渡り合える引きだと言わせてもらおう!」
見切るハタドー。
やはり駆け引きではあちらが上か、と下唇をかむナツキ。
だが、彼女には手札も本国はまだある。
やはり駆け引きではあちらが上か、と下唇をかむナツキ。
だが、彼女には手札も本国はまだある。
「ダメージ前に、政治特権をプレイ」
「!…了解だ」
「!…了解だ」
ハタドーに同じ手が2度通らないかもしれない。ナツキにもそれはわかっていた。
だから保険に、常時タイミングのドローカードを取っておいたのだ。
だから保険に、常時タイミングのドローカードを取っておいたのだ。
「ありがと。藤野っち」
そのカードをくれた青年のことを思い出し、ナツキはぽつりと言う。廃棄したカードは、青基本G。
ハタドーは「む、そうか」とだけ言って、ダメージ応酬を宣言した。
ハタドーは「む、そうか」とだけ言って、ダメージ応酬を宣言した。
ユニコーンを回収できたといっても、このターン本国にダメージが通ることには変わりなく、本国のカード9枚が捨て山に送られる。
まだ致命傷ではない。が、次の打点には耐えられるかどうか怪しい。
まだ致命傷ではない。が、次の打点には耐えられるかどうか怪しい。
「ターン終了だ」
「ウチのターン。ドロー!」
「ウチのターン。ドロー!」
ナツキはカードを手札に加える。
プレイするカードは無論、ユニコーンガンダムだ。
プレイするカードは無論、ユニコーンガンダムだ。
「箱をセットして、すぐオープン」
ナツキが表にしたのはキャラクターカード、シーブック・アノー《EB3》だ。
1ターン中、指定したカードの効果からセットグループ全体を守るカード。相手のやり口を見てから対応できる点が優秀だ。
1ターン中、指定したカードの効果からセットグループ全体を守るカード。相手のやり口を見てから対応できる点が優秀だ。
「この局面で小手先だけの延命をしなかった度胸。面白い」
「何言ってんのよ、あんたの本国だって薄いじゃない」
「何言ってんのよ、あんたの本国だって薄いじゃない」
笑うハタドーに、ナツキは本国を指摘してみせる。
20枚弱の彼の本国は、捉え方によっては『十分な枚数がある』とも言えるが、シーブックがセットされたデストロイモードなら2ターンで0にすることが可能だ。
前のターンの全力攻撃で、ハタドーの場に防御用のユニットは残されてはいない。
20枚弱の彼の本国は、捉え方によっては『十分な枚数がある』とも言えるが、シーブックがセットされたデストロイモードなら2ターンで0にすることが可能だ。
前のターンの全力攻撃で、ハタドーの場に防御用のユニットは残されてはいない。
「換装宣言、デストロイモード。宇宙に出撃!」
「8点受けよう」
「8点受けよう」
ハタドーは、デストロイモードの効果を受け手札のカードを表にする。
ユニットカードは…ない。
ユニットカードは…ない。
「やっぱ出し切った後だよねぇ…ターン、エンド」
「私のターン…ルイス・ハレヴィをプレイ」
「私のターン…ルイス・ハレヴィをプレイ」
ナツキは「また変なカード引いて!」と頬を膨らませる。
流転する世界のルイスは、プレイされて場に出た場合敵軍男性キャラを奪取することができる能力を持っていた。
流転する世界のルイスは、プレイされて場に出た場合敵軍男性キャラを奪取することができる能力を持っていた。
「ん?このカードは前のターンから握っていたものだが」
「あれ?だっけ?」
「あれ?だっけ?」
説明してくれるハタドーに、ナツキは思い出すように首を捻る。
ハタドーの手札のカードは前のターンにデストロイモードのテキストで見ているが…『ユニットが無い』ということ以外は意識して見ていなかった。
ルイスはプレイされたが、他のカードは依然思い出せない。というか、見る際にカードが何かすら確認していないのだから思い出せるわけが無いのだ。
ハタドーの手札のカードは前のターンにデストロイモードのテキストで見ているが…『ユニットが無い』ということ以外は意識して見ていなかった。
ルイスはプレイされたが、他のカードは依然思い出せない。というか、見る際にカードが何かすら確認していないのだから思い出せるわけが無いのだ。
「デストロイモードのテキストは、ユニットの有無もそうだが、相手が何を握っているかを見ることができるテキストだ」
「…そうみたいね。次は頑張る」
「次があれば、だがな」
「…そうみたいね。次は頑張る」
「次があれば、だがな」
ハタドーは意味ありげに口元で笑い、「カットインは?」と続けた。
ルイスが場に出れば、場の唯一の男性キャラであるシーブックを奪取するのは明白。ナツキは「ったり前でしょ」とカットインを宣言した。
ルイスが場に出れば、場の唯一の男性キャラであるシーブックを奪取するのは明白。ナツキは「ったり前でしょ」とカットインを宣言した。
「シーブックは『ルイス・ハレヴィ』を指定。これで寝取られないわ!」
強気な声音でそう宣言するナツキ。だが、シーブックはこのターン、ルイスの効果から”しか”身を守ることができない。
実質無防備状態であり、これがハタドーの狙い。
実質無防備状態であり、これがハタドーの狙い。
「隙有り!戦闘フェイズ、宇宙にナカガワゲルググ、地球にマスラオを!」
「ユニコーンに換装。箱はえーと…これ!」
「ユニコーンに換装。箱はえーと…これ!」
若干の迷いの後、ナツキは箱をセットする。
高機動のナカガワゲルググ、そしてそのテキストの援護を受けて力任せに本国に強襲するマスラオ。
正直、退ける力はもうない。だが、泣き言はナシだ!残り10数枚の本国を活かして乗り切れればそれでいい!
高機動のナカガワゲルググ、そしてそのテキストの援護を受けて力任せに本国に強襲するマスラオ。
正直、退ける力はもうない。だが、泣き言はナシだ!残り10数枚の本国を活かして乗り切れればそれでいい!
「防御ステップ。箱、キルケーユニットをプレイ!」
「キルケー部隊のモビルスーツかっ!」
「キルケー部隊のモビルスーツかっ!」
キルケーユニットは、敵軍ユニットのいる戦闘エリアに、本国からユニット1枚を出すコマンド。
出せるユニットの条件は、その敵軍ユニットの合計国力の値+1までの合計国力を持つユニット。この状況では5国力までだ。
出せるユニットの条件は、その敵軍ユニットの合計国力の値+1までの合計国力を持つユニット。この状況では5国力までだ。
本国のカードから飛び出したのは、ガンダムNT-1(チョバム・アーマー装着時)だった。
「デストロイを場に出す為か…」
即座になつきの考えを見抜き、そう口にするハタドー。
マスラオの前に出るNT-1。戦闘力では到底敵わないが、目的はむしろ撃破されること。
配備エリアのオーバーフラッグが交戦をチェックし、ユニットコインを出した。
マスラオの前に出るNT-1。戦闘力では到底敵わないが、目的はむしろ撃破されること。
配備エリアのオーバーフラッグが交戦をチェックし、ユニットコインを出した。
「だが、このチャンスを逃す手はない。ナカガワゲルググの火力をユニコーンに与えた後、マスラオでユニコーンを本国に。強襲と合わせて4ダメージだ」
「いいよ。ダメージで死んだチョバムはテキストが起動して手札からデストロイを出すよ」
「いいよ。ダメージで死んだチョバムはテキストが起動して手札からデストロイを出すよ」
あと1回攻撃を通せば勝ちだが、防御にフラッグ2枚は厳しい。
だが、キルケーを撃たなければユニコーンは消え、――NTがいなければプレイできない――デストロイモードが手札で腐るところだった。
戦力を残すことができただけ、マシか。
だが、キルケーを撃たなければユニコーンは消え、――NTがいなければプレイできない――デストロイモードが手札で腐るところだった。
戦力を残すことができただけ、マシか。
「ウチのターン、ドロー!」
引いたカードを見ながらナツキは、ハタドーを見据える。
あった…”飛び越える”手段が!
あった…”飛び越える”手段が!
「デストロイモードにレーン・エイム《DB》をセット!5国力を満たしているから高機動だよ!」
「オーバーフラッグの防御を抜ける…!?」
「オーバーフラッグの防御を抜ける…!?」
レーンエイムは3国力のキャラクターながら、4国力でブースト、5国力で高機動、6国力で奪取テキストが使えるようになるテキストを持っている。
オーバーフラッグの防御を苦にせず、ハタドーの薄い本国に一撃入れるには最も適しているキャラクターと言える。
オーバーフラッグの防御を苦にせず、ハタドーの薄い本国に一撃入れるには最も適しているキャラクターと言える。
「ウチは止められない!攻撃規定、宇宙に高機動攻撃!」
ナツキはハタドーの本国を指差した。
「君の最後の一撃はたいした伸びだったよ…防御ステップ、偏執的な愛はどうか!」
「コマンドカード?」
「敵軍”ガンダム”がいるエリアにユニットコインを出すカードだ。これであれば、高機動など関係ない」
「コマンドカード?」
「敵軍”ガンダム”がいるエリアにユニットコインを出すカードだ。これであれば、高機動など関係ない」
ナツキは「うっわ」と嫌な顔をする。
会心の一撃は見事にかわされたのだ。次の攻撃に耐える本国はナツキには残っていない。
会心の一撃は見事にかわされたのだ。次の攻撃に耐える本国はナツキには残っていない。
「ウチの負けだね」
「君が…ガンダムだからかな」
「君が…ガンダムだからかな」
つづく
txt:Y256
初出:mixi(10.06.11)
掲載日:10.06.11
更新日:10.06.11
掲載日:10.06.11
更新日:10.06.11