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「おっと、いきなりかよ」

ミキオは、対戦相手のスコアシートに書いてある2つ並んだ『不戦勝』という記述を見てそう呟く。
この3回戦から合流したシード権選手との対戦だ。

「それでは3回戦、ガンダムウォー、レディィイ、ゴー!!」


第35(41)話 攻撃力で圧倒?



ここまで2戦。1回戦はボロ負けで、2回戦は辛勝。本番に限って調子は良くない。
でも、おれっちだって今日のためにやれることはやってきた。
タンサンはそんなことを考えながら椅子を引いた。

向かい側には既に対戦相手が座っており、茶色の髪をおかっぱに切り揃えた女子だ。
タンサンは見た目で年齢を想像するのは得意では無かったが、落ち着いた雰囲気の彼女は年上に見える。

「よろしくお願いします」

司会者の掛け声で始まる3回戦。
タンサンたちもお互いに頭を下げる。

タンサンの相手である版十赤音(ハント アカネ)は、彼に見覚えがあった。
以前、彼女がヒイキにしている店に彼ら3人が遠征に来たことがあったのだ。
グループのリーダー格である谷本はすこし喋っていたようだが、彼女自身は彼らとの交流は無かった。
それゆえ彼が赤音を覚えていなくても仕方無かった。単に赤音が人の顔を覚えるのが得意だっただけである。

「紫基本Gを配備」

タンサンは先攻を勝ち取り、基本Gを配備してターンを終えた。
紫基本G…このカードを配備した時点で00系のデッキだということは明白。
相対する赤音は緑紫か黒紫だろうとあたりをつけながらも、関心がなさそうな顔でカードを引く。

「ガチ党を配備して、ターン終了」

配備した国力は黒のタメG。
紫基本Gとは違い、これ1枚では黒カードを使ったデッキという以外のヒントにはならない。
ただこの1枚からでも「破壊」という言葉はイメージできる。黒とはそういう勢力だ。
タンサンは頷き、カードを引く。

「っし」

引いたカードを見ながら内心ほっとするタンサン。
手札に緑の発生源が無いわけではないが、デッキの特性上、やはり緑国力が2国力揃うまでは気が抜けないのだ。
その点では、指定国力が”薄い”黒紫ラジエルデッキよりはデリケートなのかもしれないな。と、ミキオが言っていたのを思い出した。

「対ガンダム調査隊を配備してターン終了」

タンサンがそう言うと、赤音は「緑紫…00」と確認するように言いながらターンを開始した。
まず彼女は、出し抜けにアリー・アル・サーシェスが書かれた緑基本Gを表にした。

「ガチ党を起動。黒2国力を支払えるので、バウンド・ドック(ジェリド機)を配備」
「漢編のカード…ジェリドは?」

バウンド・ドック(ジェリド機)は、専用キャラクターであるジェリド・メサを探してセットする能力を持ったユニットだ。
ジェリドを探せなかった場合は、PS装甲のようにターン終了時に手札に戻ってしまうが、それを差し引いても2国力ユニットにしては破格の戦闘力であることに変わりは無い。

「本国3枚と手札を見て、手札のジェリド・メサ《13》をセット」
「不死身のジェリドかぁ…おれっちが嫌いなほうだ」
「攻撃規定、宇宙に出撃します」

タンサンは大人しく本国のカードを捨て山に送る。
セットされた”不死身のジェリド”とは、破壊されるごとに戦闘修正コインを乗せて破壊を無効にする効果のキャラクター。
3コイン目があるとターン終了時に廃棄されてしまうので、正確には不死身ではないのだが。

「ターン終了」
「おれっちのターン。紫基本Gをタメて、3国力!AEUイナクト指揮官型(コーラサワー機)を配備」

戦闘配備と高い格闘力、場から離れると起動するダメージ効果を持った愛用カードが場に出る。
中盤以降もドローによって戦線を維持しなければいけない緑系中速デッキとは違い、中盤には勝負を決めたいこのデッキには『デモカラー』ではなく『指揮官型』のほうが合っている。
タンサンはそのカードを見てそう頷いた。

「さらに、ブースト宣言で箔付きのジンクス3(コーラサワー機)も配備!!」
「箔…?」
「エースであるおれっちにふさわしい箔付きジンクスだ!」

もらい物だけどな!と内心で付け加えるタンサン。

戦闘配備で出たイナクトは攻撃に出撃できるのだが、タンサンはそれに触れることなくターンを終了した。
ここは待ちだ!と相手の顔を見る。
バウンド・ドックを3回も破壊するのは苦行に思えるが、コーラジンクスの回収能力でユニットを使い回せばすぐにでも達成できる。と踏んでいたのだ。

「核の衝撃《21》をヴァリアブルで場に」
「おっけー」

赤音は前のターンと同じようにバンド・ドックを攻撃に出撃させた。
タンサンは用意していたイナクトを防御に出撃させる。

「おれっちのイナクトは一方的に破壊されるが…効果の3ダメージをバウンド・ドックに」
「じゃあこちらも破壊で。ジェリドの効果で破壊を無効にしつつ+1コインを乗せて、帰還」
「1回破壊!」
「ターン終了」

タンサンはターンを開始し、手札に加えたカードを確認する。
さっきは「ジェリドなんか3回撃破すればいい」と考えていたが、よく考えてみるとあと2回撃破できる戦力は…ない。

「…」

あちゃー、と手札を見て固まるタンサンを赤音は無言で待つ。

「ま、攻撃力で圧倒すればいいか」

結論に達したのか、タンサンは配備フェイズを告げた。

「スローネヴァラヌスを配備して、事情聴取のカードをプレイ」
「コマンド抑制の定番…了解」
「戦闘フェイズ。宇宙にヴァラヌス、地球にコーラジンクスを出撃」

合計8ダメージが赤音の本国に与えられる。
バウンド・ドックが出すダメージの倍。最初からこの作戦を取ればよかった…と思うが、反省は後だ。
まずはこの試合を取らねば。

「ターン終了」
「ドロー。配備フェイズ、黒国力を配備」

赤音が場に加えたカードを見て、タンサンは「そろそろか」と口にする。
緑黒と言う組み合わせから想像できる数々の強力カードは、『黒+黒+黒+緑』という国力並びで使用できる。

「捲土重来をバウンド・ドックにセット」
「やっぱ、捲土ツヴァイかぁ…」
「当然といえば当然。捲土重来を廃棄してバウンド・ドックを手札に」

再びプレイされるバウンド・ドック。手札のジェリドをセットするところまで2ターン目の再現だ。
ジェリドの撃破に執着しなくてよかった。と思う反面、相手は無関心なのではなくポーカーフェイスだったことに今更気付く。
こいつ、涼しい顔してしっかり引いてやがんよ。とタンサンは手札のカードに視線を落とした。

「戦闘フェイズに入る前に、事情聴取で攻撃ステップを指定。コマンド…魂の輝きのプレイを封じる」
「了解。戦闘フェイズ、攻撃規定前にゼク・ツヴァイ(ジョッシュ機)を捲土重来セットで宇宙に」

さらにコインを清算したバウンド・ドックも地球に出撃する。
タンサンの本国には、先ほどの彼の部隊の攻撃8点を上回る10点ものダメージが与えられた。

「攻撃力で圧倒?バウンド・ドック1枚でこっちの攻撃が終わると思っているのなら、正直甘い」

口を少し尖らせてそう言う彼女。
この対戦で初めて人間味のある表情だな。
タンサンはそう思いつつも、戦況を思い出し「今日はやっぱりついてないねぇ」と苦笑しながらカードを引いた。


つづく


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txt:Y256

初出:mixi(10.06.22)
掲載日:10.06.22
更新日:10.06.24