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「攻撃力で圧倒?バウンド・ドック1枚でこっちの攻撃が終わると思っているのなら、正直甘い」

口を少し尖らせてそう言う彼女。

この対戦で初めて人間味のある表情をしたな。
タンサンはそう思いつつも、戦況を思い出し「今日はやっぱりついてないねぇ」と苦笑しながらカードを引いた。


第36(42)話 未だ知るべからず



「捲土重来での無限ブロックを破るには…」

タンサンは手札のカードのテキストを確認する。

「エリク・ブランケ隊長!このカードをコーラジンクスにセット」
「…本国にダメージは出すカード、か」

赤音はセットされたキャラクターを見てそう言う。
エリク・ブランケは、防御ステップに部隊にいる他のユニットを手札に戻し、部隊戦闘力ぶんのダメージを敵軍本国に与える効果だ。
ツヴァイで防御しようが、本国にダメージは通る。

「事情聴取で攻撃ステップを宣言して、戦闘フェイズいいかい?」
「ええ」
「地球エリアにコーラジンクス、ヴァラヌスで出撃だ!」

タンサンは魂の輝きを警戒しつつユニットを出撃させる。2枚編成、部隊戦闘力は8だ。
対する赤音は、捲土重来を廃棄してゼク・ツヴァイを手札移し、直後に再び地球エリアにゼク・ツヴァイと捲土重来をセットグループとして出した。
赤音はタンサンの表情を伺う。
エリク・ブランケのシュート能力は確かに強力だがエリク本人は手札に逃げることはできない…そう、あれを潰せば2度目は無い。

「防御ステップいい?」
「いいよ」
「武力蜂起このカードをプレイして、そっちの自動以外を宣言不能にする」

タンサンはエリクの効果ではなく、手札のコマンドカードをプレイした。

「け…」
「このカードがカット中一番最初にプレイされている場合、カットインできない」

赤音は開きかけた口をつぐむ。
つまり、ゼク・ツヴァイは捲土重来で手札に逃げることは叶わない。
”十分な格闘力”をもったコーラジンクスとの相打ちが見えた。

「エリクの効果で部隊後方のスローネヴァラヌスを手札に。本国に8ダメージ」
「了解。ダメージ応酬は…相打ち」

タンサンは得意げに「おっけ」と言ってジンクスを廃棄する。
イナクトをしっかりハンガーに移しターンを終了した彼をチラリと見ながら、赤音はカードを引き、考える。
せっかく揃ったゼク・ツヴァイと捲土重来を失ったのだ。損失は大きい。
が、あくまで相打ち。旗色は悪くはまだ決定的では無い。

「配備フェイズ。タイムリミットを配備」

全てのユニットを破壊する時限式のオペレーション。
コインでカウントダウンし、3コイン目が乗ったところで起爆する。

これを見せることによって相手のユニット配備は慎重にならざる終えない。
対して、ジェリドがセットされたバウンドドックは生き残ることができる。
コントロールは持たないが、プレイした赤音に有利なリセットであることは明白だった。

「攻撃規定。バウンド・ドックが宇宙に出撃」
「4ダメージ受ける」
「ターン終了」

「おれっちのターン」とカードを引くタンサン。
タイムリミットでユニット配備は牽制されている。ハンガーのイナクトも手札に戻ったヴァラヌスも、配備すれば次のターンにはジャンクヤード行きだ。

「ここでおれっちは…ビビらずにユニットを配備だ。ブーストでジンクス!」

自動Bの効果で、捨て山からハンガーにジンクス3(ルイス機)と同(コーラサワー機)、そしてジンクスが移る。
スローネヴァラヌスは移らなかった。「となると…」とタンサンはタイムリミットを見据えた。

「ハンガーのイナクトを配備。戦闘フェイズだ!」

4点を赤音の本国に与えてターンを終了した。
このターンはこのくらいでいい…タイムリミットで泣きを見るのはむしろあっちだ!とタンサンはターン終了を宣言した。

「ドロー、配備フェイズ」

バウンド・ドックはジェリドで破壊が無効にできるが、それ以外のユニットは無駄。
上手くいけば、このバウンド・ドックだけで殴りきれるだろう。と赤音は考えた。

「緑紫ではタイムリミットを止めるのは難しいはず」
「おう。おれっちもそれくらいは実感してるだから止めない。が、あんただけ生き延びるってのもズルイよね」

タンサンは少ない手札のうち1枚のカードを表にする。
紫色の指定国力が2つ付いたコマンドカード…人格の改竄だ。

「このカードは、ユニットかキャラクター1枚のテキストを『速攻』に書き換える。ジェリド・メサは破壊が無効にできなくなるってわけだ!」
「!」

攻撃ステップを向かえ、タイムリミットのコインは3個に。全てのユニットが破壊される。
本来なら破壊無効で逃れられるジェリドも、テキストが書き換えられているため例外ではない。
イナクト廃棄のダメージは本国。

赤音の残り枚数は12枚。対するタンサンの本国は11枚。
僅差だった。

「配備フェイズ。紫基本Gを置いた後、ハンガーのルイス機をブーストで配備して、手札からヴァラヌスも配備」

タンサンは先ほどのジンクスのプレイによってハンガーに十分なユニットのストックがある。
落ち着いて彼は「事情聴取は攻撃ステップを宣言」をそのオペレーションをロールした。

「戦闘フェイズ、ヴァラヌスは攻撃規定で宇宙エリアに出撃だ」

この4ダメージは通り、残り8枚。
次のドロー次第では6枚程度の敵本国は片付けられるか。

「帰還ステップ、戦いの駆け引きをプレイ。追加コストで紫基本G2枚を本国の下に」
「リロールフェイズと、戦闘フェイズを再び…」
「おうよ!おれっちのターン!!」

タンサンはカードをリロールする。
これでヴァラヌスとルイス機は再び攻撃が可能となる。

「戦闘フェイズ。攻撃規定で宇宙にヴァラヌス、地球にルイス機!」

残り8枚の本国を前にタンサンの口調も自然と強くなる。

「ここは死守。魂の輝きをプレイ」
「やっぱ握ってた。カットインでルイス機を宣言。2枚ともロールしてこのターンは破壊されない」

赤音もそれはわかっていたが、仕方が無い。
ずっとここまでプレイするタイミングを”逃してきた”魂の輝きだ。
戦いの駆け引きが無ければ決め手になったはずの1枚。

「帰還してターン終了。これで際どくなっちまった」

カードを引いて黙る赤音。

「配備フェイズ」

タンサンの本国枚数を考えれば、あと1回攻撃を入れることができれば勝てるのだが…攻撃力は確保できなかった。
手札の一番端にある、このターン引いたカードを見る赤音。それは…魂の輝き。
これで再びユニットを一掃すれば、国力が無い相手は積む。

「戦闘フェイズ!」
「配備フェイズ!」

赤音の声に重ねるようにタンサンはそう言う。

「念のため事情聴取を宣言。指定は”魔の”攻撃ステップ」
「え?」

口を開けそうになるが、こらえる。
そうだ…戦いの駆け引きで追加されたのは、リロールフェイズと戦闘フェイズ。
事情聴取を宣言するタイミングは無くとも、それは起きていたのだ。

「戦闘フェイズ、どうぞ」
「見落とした。私の負けだ」

まだまだ見えてないな、といった表情の赤音。
対照的に、タンサンはまた辛勝と苦笑いした。

「戦いの駆け引き1枚で、頼みの魂の輝きが決め手にならなくなってしまったしね」

いつの間にか観戦していた谷本総矢が、赤音の投了を待っていたようにそう言った。赤音は「ですね」と頷く。
谷本に気付いたタンサンは「あ、いつかの」と言った。

「じゃあ、君も谷本さんのグループの?」
「版十赤音だ。よろしく」
「おれっちは『おもちゃのカキヨ』のエース、羽鳥タンサンだ」

対戦を終えた後の自己紹介。なんとも妙な光景だ。
と谷本は時計を見る。そろそろ3回戦の制限時間が迫っていた。


つづく


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txt:Y256

初出:mixi(10.06.23)
掲載日:10.06.23
更新日:10.06.24