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3回戦終了の合図が鳴る。

既に多くのプレイヤーは対戦を終えており合図を聞き流していたが、引き分けとなった対戦もあった。
ミキオは時間を使い切る前に決着をつけ、受付に結果を報告したところで合図を聞いた。

「ミキオー!3回戦どうだったー?」

彼を見つけ、走ってくるナツキ。
ミキオも手を上げて応える。

「理想に仇なす者がめちゃくちゃキツかったぜ~」
「負けちゃったの…?」

ナツキが少し残念そうにそう聞く。
彼女はといえば、3回戦も負けていた。

「いや。なんとか打点でねじ伏せたぜ」
「そっか☆さすがウチのミキオ!」

「はいはい」と流すミキオ。
受付のほうでタンサンがスコアシートを提出しているのが見える。
3回戦は勝ったらしい。

「時間ギリギリだったよ」

と言いながらタンサンも歩いてくる。
各試合の間に設けられた休み時間は、昼休み以外は短いものだった。
3人揃って話をしている間に、4回戦の対戦組み合わせ表が張り出される。

「ほら、早く見に行こうよ☆」
「わかったわかった。引っ張るなよ」

3人は組み合わせ表が張り出されたばかりのボードに向かう。
その白い紙が、ミキオにとっての運命の対戦となるのだが、本人はまだ知る由も無い。


第37(43)話 最速にして最高峰



3人は自分の名前を探して紙の上に視線を走らせる。
「あったー」と、早々自分の名前を発見するナツキ。対象にタンサンはキョロキョロとまだ紙面を探す。
ミキオもほどなくして自分の名前を発見した。

「…!」

『3』という数字でくくられた、二つの名前。待ち望んだ対戦だ。
勝ち進めば進むほど彼と当たる可能性は高くなる…果たしてそうなった。とミキオは拳を握る。

「がんばってね☆2人ともっ」

と大きく手を振って自分の席に走るナツキ。
1勝2敗の彼女の席は、会場の中央からは程遠い壁側の席。
だが、組み合わせ表が貼られたボードからは一番近い。

「あと2つ勝てば、まだ入賞は狙えるな」

と言ってタンサンも自分の席に向かう。
2勝1敗の彼は真ん中あたりの席だ。

ミキオは2人を見送ってから、会場の中央に一番近いテーブルの、端から3番目の席だ。
席まで歩いてきたところで、対極からまっすぐこちらに向かって歩いてくる少年の姿を見咎める。
お互いに椅子の一歩後ろに立ち、テーブルを挟み向かい合う。

「この時を待ってたぜ…諏訪部睦月」

ミキオは不敵に笑い、相手を指差す。
以前…遠征のときに初対戦して、完敗した。あれは何ヶ月前のことだっただろうか。
相手もミキオに気付いたようで、口元に含み笑いを浮かべる。

「やぁ、君か。栗田ミキオって名前だったんだね」

と言いながら睦月は椅子を引く。
それに習うようにミキオも椅子を引く。
プレイシート越しに一掃距離が縮まり、いよいよその時が近づいている。

「対戦相手は揃ったかなー?相手がいないところがあったら手を上げて教えてくれ~!」

司会者がマイクで威勢よくそう言う。
ミキオはデッキケースから、――ゴッドガンダムが書かれた――黄色いスリーブを付けた50枚のカードを取り出す。

シャッフルの速度ではミキオのほうが早い。彼自身、これには自信があった。
だが、睦月は「そんなのは勝負に関係ないね」という風に遅れること数秒、デッキをカットのために差し出す。
カットを終えお互いの手元にデッキが戻ったとき、司会者が「それでは―」と口を開いた。

「4回戦、ガンダムウォー、レディィイ、ゴー!!」

会場の、予選参加者の腕が一斉に突き出される。
ミキオと睦月の腕も例外なく上がり…その腕はそのまま、先攻後攻を決めるじゃんけんへと差し出される。

「ボクが先攻だねっ!」

じゃんけんのために出した右手を、伏せてあるカードに移す睦月。
お互いにマリガンはなく、睦月は6枚の手札から黒基本Gを配備した。

「オレのターン、ギンガナム軍を配備」

ミキオもGカードを配備してターンを終える。
睦月が次のターンに配備したカード…赤の”タメG”である『黒の部隊』を見てミキオは、以前敗北を喫した時と同様の黒赤デッキだと確信を得る。
となると、2種類のディキトゥスも健在だろうか?と彼は考えながらカードを引く。

「茶基本Gを配備。続いて、ディアナ帰還も」

ミキオはカードを展開し、「ターンエンドだ」と告げる。
それを聞いた睦月は、カードを引き――あらかじめ決めていたかのように――手際よく2枚目の黒Gを出す。

「前の対戦の再現だ」

そう言いながら密約《1》をプレイし、カードを2枚手札に加える睦月。
対するミキオもそう感じていた。「だな」と返して、6枚に増えた睦月の手札を見据える。
淡々と進んでいるようだが、相手の手札の中で国力が揃うのを待ちわびているパワーカードが目に浮かぶ。

「でも、結果までは再現とはいかないぜ」
「僕だって負ける気はないよ」
「この前よりオレの力は倍に増えているとしれ」

挑戦的にそう言うミキオに、睦月はクスリと笑いターン終了を宣言した。
ミキオは3枚目のGカードを配備する。加えて3国力のオペレーションカード、ニュータイプの排除。

黒デッキの破壊カード相手であれば、カードを場に出しすぎず温存することて対抗できる。
赤デッキのカウンターカード相手には、相手がカウンターを用意する前にカードを並べることで対抗できる。
だが、黒赤デッキはその両方のカードを併せ持つため、カードを場に出しすぎても、手札に握りすぎても対応されるときはされてしまうのだ。
場にも、手札にも、逃げ道は無い。

対象の捨て山が無いにも関わらずプレイしたオペレーションは、決してヤケや考えなしで出したものじゃ無い。勝利を見据えてのことだ!
と、ミキオは初手から暖めていた手札のカードを握る。

「勝負の流れは序盤で掴む!ACEカード、ゴッドガンダム&ドモンを配備ッ!」
「…!」

その瞬間に睦月が目で追ったのは、虹色の箔押しが施されたそのカードではなく、場に並んだカード。その枚数だった。
プレイに干渉することができないACEカードは、睦月の許可を待たずして場に出る。

「捨て山もないのに貼り重ねたオペレーション、そういうことかぁ」
「おう。戦闘フェイズ、G3枚とオペレーション2枚をロールして、ゴッド&ドモンは地形適正を得る!」

早出し不能なACEカードにとって最速である3ターン目の出撃、さらにゴッドガンダム&ドモンの攻撃力は6種類中最高峰であり5、6国力ユニットの攻撃力に匹敵するのだ。
相対する睦月も3国力で対応できるカードは、無い。

「6ダメージ受けるよ」

と、睦月は本国のカードを捨て山に送る。
6ターン目のディキトゥスのプレイまでに、あと12ダメージ、計18ものダメージを受けることになる計算が立つ。
だが、彼だってそれまで黙っている気もない。

「たしかに…以前とは違うみたいだ」

ミキオは3枚になった手札を伏せ、「ターンエンド」と言う。
場のゴットガンダム&ドモンの箔押しが視界の端に入った。


つづく


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初出:mixi(10.06.28)
掲載日:10.06.28
更新日:10.06.28