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睦月は戦闘エリアに並んだユーリディス・シニストラ・ディキトゥスとリーベルダス・デクストラ・ディキトゥスの2枚を整え、「ダメージ応酬いい?」と続ける。
頼みのシャイニングフィンガーがカウンターされたミキオは、無言でそれを許可した。

ダメージが解決され、ガンダムシュピーゲル(シュツルム・ウント・ドランク)が一方的に撃破される。
さらに、ディキトゥス2枚が共有するリーベルダスのチームテキストが起動し、配備エリアのローズガンダム(ローゼスハリケーン)とディアナ帰還が破壊された。

「しくじったな…」


第39(45)話 バニシング・ソード



「ジャンクヤードにあるゴットガンダムの効果を使用。破壊状態のウント・ドランクを本国の下に移して場に出る」
「そういやあったね、そんなの」

あぁ。と睦月は思い出したようにそう言う。が、決して彼は見落としていたわけではない。
ゴッドガンダムは場に出た後は戦闘力以外にとりえが無く、その戦闘力も――ハンマ・ハンマ&R・ジャジャで隙を無くした――ディキトゥスの前では無意味だからである。

「さ、どーする?」

睦月は楽しそうにそう言い、ターンを終了した。
彼はこのターンに手札5枚を全て使ったが、その代わりに得たのは圧倒的な優位性。

対するミキオは、残された1枚の手札を握りながら「オレのターンだ」とカードを引く。

「Gとニュータイプの排除をロールして、ACEのドロー効果」

ACEの出撃に必要なロールコストはこのターンは支払えなくていい。勝負に行ったところで、ディキトゥス2枚に圧倒されるだけだ。
と、ミキオは手札を増やしながら盤面をチラリと見る。
彼の場のカードは、ビクトルエンジン付きのゴッドガンダムとニュータイプの排除、そしてゴッドガンダム&ドモン。Gカードは5枚で、いずれにもコインは乗っていない。

「ターンエンド」
「よし、止まった」

睦月はカードを手札に加え、間を空けずに戦闘フェイズを宣言する。
司令部によって息を吹き返した本国は、ミキオのものより確実に厚い。そしてユニットの性能差。
あとは、まだ引けていない黒の破壊カードで後半をキッチリ押さえれば、勝利は目前だ。
と、彼は残り30枚はあろうかという自分の本国を見やった。

「宇宙エリアにユーリディスとリーベルダスを出撃させるよっ!」
「この1ターンは…待ってくれ」

と言って、ミキオは3枚ある手札のうち1枚を表にする。
紫のコマンドカードだ。

「身勝手な懇願。全てのユニットは持ち主の配備エリアに移る」
「時間稼ぎだね…いいよ」

睦月はユニットを配備エリアに戻し、ターンを終了した。
会場では4回戦の各対戦が終わりはじめており、ミキオたちの隣の席も、睦月のターンが始まる頃には空いていた。
そんな中でも2人は、まわりの動きなど気にするそぶりも見せずにゲームを進める。

「ドロー、その後にACEのドロー効果で追加ドロー」
「引けた?」
「いや…足りねえ」

ミキオは「お前を倒すためのカードが」と付け加え、悔しそうな面持ちでターン終了を宣言した。
ユーリディスの効果は、戦闘力と破壊効果の2段構えでなければ突破はできない。
しかし、中盤の攻防で一度試みているだけに、それをするだけの余力が現状は無い。

「ターンエンド」
「よし、今度こそ」

睦月はリロールフェイズ規定の効果でユニットを起こす。
パズルカードであるそれぞれのイラストがつながるように丁寧に並べて、だ。

「さぁ行くよ?」
「…来い!」
「サザビー《DB10》をプレイ!」

ミキオはハッとしてそのカードを見る。
代替コストで敵軍プレイヤーにカード2枚を引かせ、合計国力-1と、本国からシャア・アズナブルをセットする効果を持つユニット。
6国力を満たしている睦月がこのコストを払う理由は、シャア・アズナブルの引き込みを指すのは明白だった。

「オレが2ドロー」
「ボクが本国からシャア・アズナブル《DB10》をセット。これでダメ出しだっ!」
「…ニュータイプの排除を起動させるぜ」

ミキオは落ちついた口調で手札からGカードを廃棄する。
ハンガーに移ったのは宝物没収。

「使うぜ?」
「いいよっ」

睦月は、自分の配備エリアにあるカードを見ながら許可を出す。
ユニットの質と枚数、その両方が揃っている!と、自慢げな表情でミキオを見る。
が、そこで彼は言葉を失う。

ミキオの手に握られた7枚の手札。そのカードから一種のオーラのようなものが見えた気がしたのだ。
黄色いスリーブが反射したのだろうか、一瞬だったために判断はできない。だが、ミキオの自信に満ちた表情が”それ”を裏付けているようにも感じられる。
睦月は「何?」と不満そうに口ごもるも、不安を振り払ってユニットを手に取る。

「僕の場は既に揃っている!攻撃規定。宇宙エリアにユーリディス、リーベルダス、サザビーで出撃っ!」

合計の火力が9に膨れ上がったサイコミュで大抵のユニットを破壊でき、交戦ではユーリディスの効果によって”負けない”。
戦闘エリアにユニットを移し終わる頃には「やっぱりボクの部隊は完璧だ!」と言わんばかりの勢いが戻っていた。

「攻撃規定後、ゴッドガンダムをシャイニングガンダム&ゴッドガンダムに換装するぜ!」
「”正体”はそれ…?」

シャイニングガンダム&ゴッドガンダムは、MFのテキストをコピーするユニット。
サイズ、テキスト共にMFの頂点に君臨するのにふさわしいカードだ。
与えたのは、ボクだろうね。と睦月は許可する。これで”何が無意味になった”のかを瞬時に察した。

「防御ステップ。テキストでジャンクヤードのハリケーンローズを除外。得たテキストでサザビーに2ダメージだ!」
「と、テキスト無効か」

睦月は呟く。サザビーは破壊されず移動はしないが、ダメージだけは当たってしまうのだ。
これでサイコミュは消え、耐久7のシャイニングガンダム&ゴッドガンダムを防御ステップ中に破壊できなくなった。つまり、交戦だ。

「いくぜ、防御規定!」

ユーリディス・シニストラ・ディキトゥスを先頭に、1列に並んだ睦月のユニット。
ミキオは、その屈強なる部隊にまっすぐシャイニングガンダム&ゴッドガンダムを向き合わせた。

「ディキトゥス2枚は、そのコンビにサイコミュでダメージを与えるよ」
「いいぜ。6ダメージだな」

ビクトルエンジンが無ければ撃破されていることころだ。
だが、蓄積ダメージが6あろうと破壊さえされていなければ格闘力8でユーリディスを狙うことができる。

「ダメージ判定ステップに入ってもいいか?」
「いいよ。ユーリディスを変形させて、ディキトゥスは2枚とも戦闘ダメージでは破壊されない!」

ウント・ドランクが撃破されたときと同じ攻防。
ミキオは目を見開く。

ナツキ、タンサン、真理さん、藤野センパイ、…姉さん。
一緒にプレイしてくれた奴、特訓してくれた人。そいつらのためにも、オレは、負けない…負けられないッ!!

「ダメ出しのはずのサザビーで、オレは勝つ!」

ミキオが用意する1枚の手札。
睦月は「2枚目の…シャイニングフィンガー!?」と息を呑む。
それが握られているのであれば、ユーリディスは自身と共にその効果を消失し、リーベルダスとシャイニング&ゴッドの相打ちも覚悟しなければならないからだ。

「あぁ。シャイニングフィンガー…」

ミキオは頷き、握ったカードを表にする。
睦月が感じたオーラ、その正体。
茶色の破壊コマンド―。

「ソードだッ!!」
「えっ…」

続く言葉に、睦月は虚を突かれてぽかんと口を開ける。
表になったのは、コマンドカード・シャイニングフィンガーソード。
MFがいることを条件に、部隊ひとつにいるX以下の合計国力を持つ全ての敵軍カードを破壊するコマンドだ。
Xはミキオの手札の枚数を参照し、その数値は6。

「ディキトゥス2枚を破壊する!!」
「っ…」

破壊されない効果を持ったサザビーは対象にはならないが、ディキトゥス2枚は容赦ない一撃によって破壊される。
戦闘エリアに残ったのは、シャイニングガンダム&ゴッドガンダムとサザビー。
蓄積ダメージも相まって、ダメージ応酬での相打ちか。と睦月はため息をつく。

「ヘヘッ…最後に油断したなKING!」
「いい加減、やられろーっ!」

睦月はサザビーを力強く前に出し、ミキオに向き直る。
勝負は終わっていない。この消耗戦の果てこそ…!と。

ミキオも彼に強い視線を向ける。
ユニットのタイマン勝負ならオレだ!と、――シャイニングフィンガーソードのために6枚をキープする必要がなくなった――手札からカードを出す。
クイックのキャラクター、風雲再起だ。

「どうだッ!!」


つづく


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txt:Y256

初出:mixi(10.07.01)
掲載日:10.07.01
更新日:10.07.01