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「数え切れないカードからデッキを構築する…”自分だけの50枚”をな。それって最高にワクワクするじゃねーか!」

ミキオが表にしたのは、昨日の敵は。
ジャンクヤードからシャイニングガンダム《16》が常冶の配備エリアに出て、出撃中だったセファーラジエル(第一形態)がミキオの手元に移る。
セファーラジエルにはピピニーデンもセットされており、シャイニングガンダムとはセットグループの出来が違う。と、常冶は下唇を噛む。

「Gカード5枚とピピニーデンをロール。ゴッド&ドモンは地形適正を得るぜ!」

自分のユニットが同士撃ちになることはない…?と改めて場のカードを見るが、そこで常冶は息を呑んだ。

「オレのロールコストは、まだ”3枚残ってる”」

ミキオは、ゴッドガンダム&ドモンをラジエルとGNアーチャーの部隊の向かい側に移す。
彼の右手には姉さんから貰ったシリコンリングが付けられていた。

「テンプレデッキでキッチリ勝つ?オレはそんな面白味がないのは…ゴメンだね。好きなカードを使うし、それで勝つ!」

ミキオは、オペレーション2枚と、1枚だけ残ったGカードをロールする。

「これが、オレのゴッドフィンガーだッ!!」


第49(55)話 自称中級決闘者



ガンダムラジエルは砕け、GNアーチャーもゴッドガンダム&ドモンとの交戦で一方的に破壊される。

ゴッドガンダム&ドモンは、24弾「宇宙を駆逐する光」収録のACE中でも出撃に必要なロールコストが多く、出撃するだけも手間がかかる。
――交戦中の敵軍ユニットが対象である――第3のテキストを使うとなると、さらに3枚のロールコストが必要をなり、使用できる場面は他のACEに比べて少ない。
しかし、それだけの価値がある破壊力なのだ。現に常冶の部隊は一方的に壊滅している。

「廃棄にカットインでGNアーチャーはセファーラジエルに3ダメージの効果」

常冶はため息をつき、破壊状態となったGNアーチャーをロールする。
見えていたロールコストは8枚…ゴッドガンダム&ドモンの第3のテキストは起動できず、ガンダムラジエルと相打ちが精一杯のはずだった。

「それがコマンド1枚でこうもひっくり返るとは」
「あぁ。最後の照準の使用回数を”節約”するなら今のうちだぜ?」

ミキオはニヤリと笑い、そう言葉を返した。
彼のジャンクヤードには、ディアナ帰還で移った最後の照準の弾になるカードがある。それこそセファーラジエルの1枚くらいは簡単に破壊できるほどに。

「帰還ステップ規定までは…了解だ」

まだ常冶のターン中であるが、帰還ステップ規定の効果で移動するのはミキオのユニットだけだったため”そういう”口調になり、彼は黙る。
奪われたセファーラジエル(第一形態)…取り戻すことは出来るだろうか?いや、最後の照準を使うなら今しかない。
そこまで考えると、彼は再び口を開いた。

「セファーラジエルに最後の照準を2回」
「破壊。お前のユニットだ、返すぜッ」

ミキオはセファーラジエルを常冶に、彼のジャンクヤードに返す。
最後の照準で使われたのは、ミキオのジャンクヤードのドモン・カッシュとニュータイプの排除。
これでミキオのジャンクヤードの”最後の照準で使える弾”は1枚になったが、今度は常冶のジャンクヤードに――このターン殲滅された――4枚のカードが追加され、いまだ威力は落ちない。

「オレのターン!」

ミキオはカードを引く。彼の本国は少ないが、常冶にはその本国を攻撃するユニットがない。
戦いの流れがミキオに傾く可能性があるとすれば、ここしかなかった。そして、その芽は既に場にあるのだ。
昨日の敵はの効果で常冶の配備エリアに移ったシャイニングガンダムとミキオ場のオペレーションカード…。

「共闘戦線を使うぜ、手札のエネルギー吸収を切ってな…」
「ロールコスト用のカードと馬鹿にしてたが、その手があった」

シャイニングガンダムは配備エリアにいる状態では破壊されずダメージを受けない。
そのため、最後の照準で破壊できず、組み合わせるカードを用意する隙が生まれるのだ。
GFキャラクターや換装の効果で置き換えるユニット、サイズアップの明鏡止水。どれを引かれても、今の常冶には命取りになりかねない。

「戦闘フェイズ、ロール5で地形適正。ゴッド&ドモンが攻撃に出撃するぜ!」

試合の結果を報告しに行った帰りだろうナツキが、ミキオの対戦を見に来る。始まる前に席を確認していたため、受付から一直線だ。
勢いのあるミキオの宣言を耳にし、ホッとしたように歩調を緩めた彼女。続く真理も後ろにぴったりと寄り添っている。

「6ダメージ受ける」
「ターンエンド。さぁ、引きな…最後の1枚だ」

ミキオはあえて挑発的な言葉を選んだ。
このターンを凌げるかが微妙なのはむしろミキオのほう。だが、最後まで強気を変える気は無いようだった。
そう、守り切った後に来る”決定的な一撃”までは。

「…最後のターン、か」

意外なほど落ち着いて、常冶はカードを引く。
最後の”1枚”と表現しないのは、ハナヨの効果ゆえである。
引くのは最後の1枚かもしれないが、見れるカードはまだ2枚もある。

「正念場だな」

常冶は不意に兄を思い出す。
兄もミキオのように、定番カードで固めたデッキを否定し、自分だけのデッキを作ることに夢中になっていたプレイヤーだった。
弟である常冶は彼の考え方があまり好きではなく、それを単なる自己満足だと否定し、環境のにある強力なデッキを次々に使い続けたのだ。

00のルール改正で兄がゲームから去った後も、それは変わることは無く彼のガンダムウォーの根幹だった。

「ハナヨで手札を入れ替える」

シャアウィニー、青赤00、青単ガンダム、青赤00、捲土ツヴァイ、赤中…強力なデッキを使い続けた彼が今握っているのは皮肉にも兄が愛した黒00のデッキ。
兄が使っていた物とは形式、タイプ、まるで違う”パワーだけのデッキ”に成り果ててしまっていたが、常冶は自身も気付かないどこかで「兄のデッキを使っている」という意識を持っていた。
そんなデッキの、おそらく最後になるだろうユニットが目に入る。

「お前か」

不思議と常冶はそのユニットに安心感を覚えた。使いこなしてはいるが、カードに愛着など無いはずだったのに。
そして、彼はそのカードをプレイした。

「ガンダムラジエル!」

表になったのは、威風堂々としたイラスト。
2枚目のガンダムラジエルだ。

「絶対に…また立ち上がると思ってたぜ」

ミキオは静かにそう言ってシャイニングガンダムカードを手元に寄せた。

観戦していたナツキの肩をトントンと叩く姉さん。
今までシリコンリングがあった手首には白いシュシュが巻かれている。
振り向いたナツキは、歩いてきたタンサンと武志を確認しながら、小声で「今いいところなんだから邪魔しないで」と笑った。

「フォン・スパークをセット」

キャラクターがセットされ、ラジエルの戦闘力は飛躍的に上昇する。
姉さんは、ミキオの対戦相手を見て2回ほど瞬きをすると、今度は自嘲気味に笑った。
それに気付いていたのは武志だけだったが。

「そっちの本国は何枚だ?」
「3枚だぜ」

ミキオが答える。起きているGカード3枚を含めても彼の残り本国は6枚。
常冶が6ダメージを一撃で与えれば、彼の勝ちは決定する。
しかし、与えられなければ次のターンにゴットガンダム&ドモンとリングからの攻撃で勝ちを得るのはミキオ。

お互いに確認は済んだ。

「が、そのシャイニング」

考えるような、いや悟るような口調で常冶はミキオの顔を見る。
リングエリア以外の戦闘エリアに出た途端に、シャイニングガンダムはそのテキストを失い最後の照準のダメージで破壊される。それが解っているのに…防御に残った。
それが意味するのは、ミキオは手札に”握っている”ということ。ブラフでない限り、状況は…。

「諦めはしない。俺の…ガンダムラジエル!!」
「あぁ…勝負だッ!!」


つづく


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txt:Y256

初出:mixi(10.07.31)
掲載日:10.07.31
更新日:10.08.01