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#34 過去との邂逅


「攻撃ステップ規定後!インフィニットジャスティスは換装でミーティア装備になるわ!!そして防御に出撃!」
「うわ!これも今回の!スゲーサイズ…でもないっすねw2/1/2って」

うわームカツクー!!
いいもん!ボルト奪ってインジャで反撃してやるし!オペ割くれば一発で沈めてやるわ!

「ダメージ判定ステップいい?」
「効果の起動?いいっすよ?ボルトしかあげれませんけど」
「いいの!もらうわ!」

あたしはボルトを指差す。

「カットイン…酔舞・再現江湖デッドリーウェイブ!!」
「何?何!?」

栗田が手札から変なコマンドを出した!
また新しいカード…。

「このターン、流派:東方不敗が与えるダメージは本国にも与えられるゥ!!」
「…ん?」

確認するけど、やっぱりあたしの本国は17枚もない・・・負けだ。
くそーっ、くやしいくやしい!!

「なんか新カードばっかって感じだったわね」
「ものは試しってやつですよー」

あたしはデッキから松岡のカードを抜きながら、さっき買った21弾のBOXを出した。

「さーて、開けますか。あ、そうだ。詩織何色使うの??」

あたしは松岡と詩織のほうを見て言った。
まだ詩織がやるって決まったわけじゃないけど、何か協力できるカードあれば出そうかな。と。

「うーん、ルール多くてまだよくわかんないから、覚えたら決めるね」
「だそうだ」

ふーん。まあルール多いのは確かね…家名とか不整地とか空気なのもあるけど。

「そっか~。お、インジャ来た♪」

剥いた1パック目が、2/1/2にされて粉砕されたインジャ。
よし、この調子でいいのきますように!

「あれ?京子来てたのか?」
「はぁ?」

武志がいまさらこっちに来る。
いやいやいや、どう考えても来たのわかったでしょ!目はついてるの!目は!?

「冗談だって冗談」

武志は手を振って弁解する。

「なら―」

その時、あたしの言葉をかき消すくらい大きな音を立てて空き家のドアが開いた。

「このドア…まったく修理してないのか?信一郎」

開け放たれたドアの向こうにいたのは、金に近い色に染められた髪の女の人…。
誰?
髪の毛の質なのか、ガサガサしたイメージだ。年齢は多分20半ばか後半。口から吐いたタバコの煙が晴れたところで、彼女は空き家に入ってきた。

「煉…。戻ってたのか」

最初に口を開いたのは公旗。知り合いみたいだけど、探るような口調だ。

「あぁ、今帰った。ここは変わらないな、公旗」

煉…さんは静かな口調で言った。昔の友人にしては冷めた口調ね…。
あたしは武志のほうを見て、アイコンタクトで『何この雰囲気?』と言った。
武志は『知らねーよ』と返す(たぶん)

「紹介がまだだったね。彼女は赤坂 煉。俺たちの古い友人だ」

信ちゃんが、思い出したようにあたしたちに紹介する。
煉さんは、新しいタバコを出しながらあたしたちを見た。

「結構”子供”いるのね。まだカキヨも商売できそうでなによりよ。あら、菊池」

煉さんは、信ちゃんの向こうにいた菊池に今気付いたかのようにそっちを見た。
あー、そういえば公旗と菊池さんも古い仲みたいだから、この人とも…?
てか”子供”ってあたしたち?失礼しちゃうわ。

「…元気そうだな、赤坂」
「おかげさまでね」

煉さんは、新しいタバコに火をつけようとライターを出す。それを見た信ちゃんが「ここは子供も来るんだ。喫煙は控えてくれるかな」と言った。

「そう。それより、今日は時間もないから用件だけ言わせてもらうわね」

煉さんはかまわずタバコに火をつけて言った。

「菊池。明日17:00、私はここで待つ」
「…わかった」

何?果し合いみたいな台詞。
で、それだけでなぜか把握する菊池さんを見た煉さんは翻り、空き家を出る。

「では、また」
「あぁ」

そう言って彼女は、普通なら一発で閉めることは難しいはずの空き家のドアをきれいに閉めた。

「あの人何者です?なんか感じ悪いですよ?」

あたしは一番に口を開いた。
だってそうじゃない。いきなり来て、挨拶もしないで言うだけ言って帰るなんて!

「彼女はそういう奴だよ」
「本当に昔の…友達なんですか?」

公旗の言葉に、武志が聞き返した。

「まあね、話せば長くなるけど…」

信ちゃんが言う。なんか昔話をするおじいちゃんみたいな雰囲気。
30年も生きてないでしょ…?

「いいです!聞かせてください」
「ちょ…」

おおい!勝手に決めんなぁ!

「おい、武志!」
「いいよ。聞こうよ」

武志を止めようとした松岡を、詩織がなだめる。
なんかうらやましいかも…いや、んなわけない!

「話は4年ほど前に遡る…」

公旗が口を開いた。
どうやら彼の視点の話らしい。

「あの頃、まだ私は学生で学校に通う傍ら、このゲームをしていた。我ながらなかなか優秀な成績だった。SCSは毎回上位だったし、東京に出たこともあった」

公旗が喋りだす。
あ?自慢話のはじまりはじまり~なわけ??

「しかしあの日、隣町から遠征に来た男に完全な敗北を喫したのさ。その男こそ、菊池 次郎だ。」

菊池さんも黙って話を聞く。
へー。菊池さんって元は公旗のライバルだったんだ…」

「菊池は流行のデッキを上手く使う術を知っていて、さらに引きも公旗と同等か、それ以上というプレイヤーだったのさ」

付け加えたのは信ちゃんだ。

「”投了です”
私は奴のZガンダム(ロングビームサーベル)の前にその言葉を何度言ったか…。私のガンダムウォーは緑中と共に、終わりへと進もうとしていた。その時だった…」

公旗は思い出すように口を閉じて、天井を見上げた。


つづく


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txt:Y256

初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:08.08.25
更新日:10.04.14