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#42 忘れてた対戦


「ねぇ、煉さんってさぁ…対戦するとき妙に楽しそうにしてるよね?」
「ん?…そうか?」

日本史の課題を写しながら、武志は適当に返す。
てか、明日から学校なのに急に夜来て「宿題写すの忘れてた」とか…。あたしには宿題も片付けないで夏休み過ごすなんて絶対できないわ。

「いや、むしろなんか怖かっただろ。常に笑ってて」

あー、そういう考え方もある?
あたしはベッドの上で雑誌のページをめくりながら、あくびをする。
課題写すのあとどれくらいで終わるかな?

「でけー口」

武志は横目であたしを見ながら言った。

「うっさい。その”でけー口”に告ったのは、どこのどいつよ?」
「は?なんでその話になるんだよ?」

武志は思わず振り返る。
自分でも少し強引なつなぎ方だったかなと思うけど、ひとつ聞きたいことがあったんだ…前から。

「なんでさ…じゃない。あたしのどこが好きだったわけ?」

告られたほうとしては、どこが好きになったかとか気になるわけで…。
武志は上を見ながら「どこだっけな」と言った。
おい!なんじゃそりゃ!

「はぁ!?」
「うそうそ!いやさ、京子とは気が合うから…付き合っても、上手くやれるんじゃないかと思っただけ」

気が合う…か。確かにそうかもだけど。
でも、それがイコール付き合うになるわけ?付き合うってそういうもん?

「ふーん」

あたしは小さくうなって雑誌に視線を落とす。
武志もノートに向き直る。

「あと…”好きだった”じゃないぜ?」

武志がこっちを向かないで言った。
あたしは言い返そうと持ったけど、言葉が喉で詰まる。

「し…しつこいと嫌われるよ」
「わり」

”そういう中途半端だからロクに彼氏もできないのよ?京子は!”
ちあきが言ってた言葉が蘇る。
中途半端じゃないもん!ちゃんと断ったし!

それでもなんかつっかえるこの感じは…。
…そう、喉に魚の骨が刺さった感じにそっくり。


×××


「よーし、終了」

武志は音を立ててノートを閉じる。時計は20:43を刺していた。
それを見て、あたしも雑誌を閉じる。星座占いの獅子座のページの運気の低さは忘れることにしよう。

「今度おごりね」
「りょーかい」

あたしはベッドから立ち上がり、机の上のデッキを取った。
さっき閃いて、ちょっと組んでみた奴だ。

「九時まで少し時間あるから遊ばない?」
「いいぜ。それなんだ?」

あたしの手に握られたデッキの一番上のカード、グラハム専用カスタムフラッグを指差して武志が言った。

「いやね。強いから使ってみようと…」
「だからって白緑はねーだろwま、どうぜすぐ解体されるだろうけどな」

痛いところ突くわね…。
たしかに最近、白黒とか色々試してみるけど、なんか半端ですぐばらしてるのよね…。

「超人機関!」
「あほ。つかフラッグって公旗さんのイメージしかないぜ?」

武志は、デッキケースからデッキを取り出しながら言った。
公旗のイメージ。そうね…

「そういえば京子、あの人と一回も戦ったことなくね?」
「そうだっけ?」

…そうだ。うん、記憶にないもん。
3位決定戦するとかって言ったきり、紆余曲折あって結局、勝負自体はしてない。
単にあたしが避けてた?いや、まさか。変人だけど勝負から逃げたりしないし!

「うん、決めた。あたしはあの人を倒すよ」

公旗の昔話で、煉さんが言った台詞を真似して言ってみた。
気分は菊池さんに挑んだ公旗?

いやいや。そんな真面目なもんじゃないけど、やっぱり自分より強い相手だ。戦いたいかな。
あたしがそんなこと言ってる間に、武志はケータイを片手に「もしもし」とか言い出した。

「はい、じゃあお願いします」
「どしたの?」
「いや、京子が公旗さんと戦いたいって言うから”予約”しといてやったぜ?今週の土曜日」

武志はケータイをパタンと畳みながら言った。
は…?はぁ!?

「なんでそんなにすぐなのよ!」
「いや、善は急げって…」
「言うけど、言わんわ!」

こうしてあたしは7日後に公旗と”初”対戦することになってしまったわけ…。
あまりの唐突さに乱れたシャッフルで、床にカードが落ちた。…カスタムフラッグだ。


つづく


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初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:08.09.19
更新日:10.04.14