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#45 なにこの展開


「信一郎、”使用者の負担は無視してくれて結構”とは言ったが…これは少々やりすぎじゃないか?」

公旗は、今さっきあたしを倒したデッキの中のカードを確認しながら言った。
確かに無理な構成よね?今の時代、プリベントないユニットやキャラなんて、白の他は一握りしかないし。
てか、この無茶な緑って…

「信ちゃんの作ったデッキなんですか?」

あたしは信ちゃんのほうに向き直り聞いた。
たしか公旗の昔話で”デッキビルダー”とか呼ばれてたっけ。

「まぁね。公旗が何か新しいのを頼む、って言うからさ」

信ちゃんはしょうがないという風に言った。
人にデッキのアイディア頼む公旗も公旗だけど、それに素直に答える信ちゃんも信ちゃんね…。

「信ちゃんさんはプレイヤーじゃないんですか?」
「ん?一応プレイヤーではあるよ?」

武志の問いに信ちゃんが答える。武志は、なおも不思議そうに口を開く。

「じゃあ、自分でそのデッキ使ってみればいいんじゃないすか?」

なるほど…!
確かにそうよね。人にデッキ提供する暇あったら、それ使って戦えばいいじゃんね。
武志の問いに妙に納得したあたしは、軽くうなずきながら信ちゃんを見る。

「いやいや、俺は御免だよ。こんな無茶なデッキで戦うなんて」

信ちゃんは笑いながら手を振る。
いやいやいや、そんな無茶デッキを人に使わせてるんかい!

「公旗には、そんな無茶なデッキを動かせる引きがある。それに…」
「それに?」
「俺はそんな風に、その人物に合ったデッキを作っていくのが好きなのさ」

信ちゃんはそう言った。
そうか…そうよね。カードゲームだからってゲームするだけが楽しみじゃない、か。なんか大人だなぁ…いや、違う意味で変な人?
あたしはぼけっとそんなことを考えながら、自分のデッキを見る。

自分に合ったデッキかぁ…
あ、いい事思いついた!

「信ちゃ…」
「信ちゃんさん、一回俺のデッキも見てください!」

あたしのことばをさえぎり、武志が思いついたように言った。
…それ、今あたしが言おうとしたのに!ばかー!

「いいけど、今日はこの後、別のカードの大会のスタッフやらなくちゃならないからなぁ…お、そうだ」

信ちゃんは腕組をしていた手を解き、ポンと手をたたく。

「毎年、この時期に他のグループと温泉ブードラやってるんだけど、今年は都合がつかなくってね。だから今年はカキヨのメンバーで。ってのはどうだい?」
「はい?」

あたしと武志は思いもしない方向に進んだ話に、声をあげた。
つまり、そんときにデッキを見てくれるってわけ?

「なんだ、初耳だな。めずらしいな、田代たちが忙しいとは」

公旗がこっちを見ずに言った。

「行きます行きます!いつです?」

武志がいつものごとく食い付く。
この流れは、もしかして…あたしも行くってこと?

「あ、あの!」

あたしは声をあげる。別に温泉もブードラも嫌いじゃないけど…。

「あぁ。女の子はお嬢さん一人だから困るかな?それは心配ないよ。煉が来るから」

信ちゃんはきちんと配慮したといわんばかりの口調で言った。

「…今なんて?」

あたしは思わず大声になる。
女子部屋で煉さんと二人きりを想像して、背筋が凍った。

「ちょ…ちょっとまったぁ!もう一人呼んでいいですか!?」

あたしは慌てて詩織の電話番号を押した。
短いコール音のあと電話がつながる。

「もしもし、詩織?あのね…って松岡かい!」

あたしは詩織の番号だと再度確認してから、詩織に代わるよう電話ごしの松岡に言った。


つづく


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初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:08.10.03
更新日:10.04.14