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あの時、貴方と出会ったことからすべてが始まった。


牛鍋屋物語


01 出会い





青葉智子は、途方にくれていた。
会社を上司のセクハラで辞めて、仕事を探していた。

短大を出て、上場企業に就職し、そしていい人と結婚する。
そんなはずだった・・・・。

「はあ・・・・こんなはずじゃなかったのにな・・・。」


とりあえず、叔母の紗江子が紹介してくれた、牛鍋屋という
牛丼チェーン店の面接を控えていたが、智子は正直乗り気じゃなかった。

後もう少しで、面接の時間だ。
智子は、面接の支度を整えると、牛鍋屋青葉ヶ丘南店へ向かった・・・。


そのお店は郊外のお店で、お昼が終わり落ち着いたところであった。
店の中に入ると、30台の男の人が出迎えてくれた。

「はい、いらっしゃいませ!」
その男の人に、智子は軽く会釈をすると
「あの、面接させていただきます、青葉智子といいます。」
そう挨拶をした。
男の人は、笑顔で、
「お待ちしておりました、私が店長の松本です。 面接をさせていただきますので、テーブル席へどうぞ」
そう、智子に席を促す。

面接は滞りなく終わった。
智子にとって、憂かろうが落ちようが割りとどうでもよかった。


しかし、数日後、採用の連絡が叔母の紗江子から来た。



初日、夕方お店に着くと、高校生の女の子が接客をしていた。
智子が、名札を見ると「リーダー/Asチーフ 中山カレン」と書かれていた。

その女の子は、智子の姿を見ると
「あ、青葉さんですね。お待ちしてました。 後ろ開けますので、外から後ろに回ってきてください。」
そう笑顔で外の勝手口を指す。

智子が勝手口のほうに回ると、ドアが開き、背広姿の長身の青年がドアから出てきた。
「おはようございます、青葉さん。 僕がこの店のチーフ/店長代行の鷹島直樹です。」
「あ、おはようございます、青葉智子です・・。」

挨拶に反応して、智子も頭を下げる。
「とりあえず、ユニフォームに着替えてもらいます。 更衣室はあっちです。
 更衣室のほうに一式用意してありますので、着替えたらそこから事務室にいらしてください。」

そういうと、直樹は事務室に歩いていく。

智子は言われたとおりに、更衣室に用意してあったユニフォームに着替えると、
事務室に向かっていった。

事務室では、先ほどの女の子と、直樹が話をしていた。
智子は、事務室に入るなり「おはようございます」と挨拶をする。

直樹と女の子も、挨拶を返す。

「おはようございます。 私はこの店のアシスタント・チーフ兼夜帯リーダーの中山カレンといいます。」

ちょっと幼さの残る顔立ちだが、しっかりしてそうな子だった。

初日は、ルールなどをDVDで見たり、教えてもらったりして
実際にお店でホール接客をカレンに教えてもらいながら、
22時になった。

初日は、これでおしまい。
事務室に戻ってくると、直樹と、もう一人の男の人が何か話してた。
「おはよっす。新人さん?」
気さくに声をかけてきた男の人に、智子は自己紹介をする。

その男の人は、沼野栄太と自己紹介をし「沼さん」と呼んでーと、付け加えた。

「そうだ、沼さん、すまんけど。」
「無理。」

その、漫才みたいなやり取りを見て、智子はつい
「まだ何もいってないじゃないですか」
と突っ込んでしまう。
それをみて二人ヶ、きょとんとしてから笑い出す。
「いやいやいや、タカの「すまんけど」がいい話だった試しないから。」
「そうなんですか?」

智子が、直樹にそう問いかける。
「うん。決していい話じゃないな。」
そう前置いた上で、沼野に
「まあ、いつもの定期イベントっすよ。中央の深夜来ないって。葉子がキレてた。」
「え?またですか?」
ちょうど事務室に入ってきたカレンも直樹に問いかける。
「いつものことだろ。 葉子、0までいるから誰かよこせって。 俺はアラブが倒れてるからこれからリアルでシフトだし、松本さん今本部だし。」

智子にはわからない単語が並んでたため、首をかしげている。
「とにかく、俺は無理だから。 中央ぬるすぎるし。」
そういうと、沼野は店のほうへ行ってしまう。

「どうしたんですか?」
と、隣にいたカレンに聞くと、カレンは困った顔をして
「青葉ヶ丘中央店の深夜の人がまだ来てないんですよ・・・。」
「え?面接のときに遅刻とか無断欠勤は厳禁って聞いたんですけど。」
そう智子が聞くと、カレンはますます困った顔になってしまう。
「解雇しちゃうと、深夜の人がいなくなっちゃって・・・。」

そういているうちに、直樹も「んじゃ、3時に中央寄るわー。」
そういうと立ち上がる。
カレンは
「え?明日9時イン~22じゃないんですか?」
そう驚いたように聞くが、
「まあ、高校生だしな。 後で滝本さんには早めに・・・。」
そういうと、智子は
「紗江子おばさんに伝言しておきましょうか?」
そういうと、直樹は
「そしてくれると助かりますわ。んじゃ「9時にインしてもらえます?」って伝えてください。んじゃ、お先ー。」
そういうと、背広をつかむと、外に出て行ってしまった。

残された二人、智子は
「大変なんですね・・・。」
そうカレンに言うと
「あはは・・・。」
そう乾いた笑いが帰ってきた。


家に着くと、すぐに紗江子に電話をした。
「もしもし、紗江子おばさん?」
「トモちゃん? お仕事どうだった?」
「うん、そういえばチーフの鷹島さんから伝言なんだけど・・・。」
「ナオちゃんから?9時に来てって?」
「うん。なんか、中央店のひとが来てないんだって。」
「また?」
「また?って何回もあるの?」
「何回というか、あそこはひどいから・・・。いずれわかるけど、ナオちゃんにはOKってメールしとくね。ありがと。おやすみね。」
「うん、おやすみなさい。」

電話を切ると、自分もお風呂に入ると、自室に戻り、ベッドに横たわる。
「鷹島さんか・・・・。」

そうつぶやくと目を閉じ眠りに落ちていった