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サナ・シナプスが退室した後に、
トモアキ・ナカシマは意外な来客を迎えていた。

フィリス・バートンだった。
「隊長・・・。」
痛みをこらえて起き上がる彼を、手で制止する。
「まあ、無理はしないこと。・・・で、話は大尉から全部聞いた。」
そういいながら、ベッドの横のいすに腰掛ける。

「・・・。レイナ、殺されたんだってね・・・。ごめん。」
そんなフィリスに笑顔を返すトモアキ。
「いいんです、隊長のやったことは正しかった。 みんな支持しますよ。」
トモアキは、自分でも気づかないまま、涙をこぼしてそう答えた。

その瞬間、トモアキはフィリスに抱きしめられていた。
「無理するなよ・・・・トモ・・・・。」

トモアキは泣いていた。
声を上げて泣いていた・・・・。


数刻後、眠るトモアキを優しい表情で見つめながら、
軍服を身につけ、病室をあとにするフィリス・・・・。


入り口に、ナナ・”ローザ”・クロイツェルが待っていた。
「盗み聞きとは、人が悪いね、大尉。」
意地悪な笑みを浮かべて、声をかける。

「私からも、謝罪をさせてください・・・。」
真顔で、そうフィリスに言おうとしたが、フィリスはそれを遮った。
「その必要は無いわ、クロイツェル大尉。 ウォルターだって覚悟してたことだと想う。」

そういうと、ナナの頭を軽く撫でた。
「・・・・。」

ナナは、気恥ずかしそうに離れると、窓から外を眺める。

「亡くなった、コウスケ=ムラカミ中将閣下が行ってた言葉があるんです。」



宇宙歴0079年、コンペイトウでの出来事だった。

ファントム・スティードの一員であった、ナナはコウスケ・ムラカミ准将の突然の来訪を、
用意されていた宿舎で受けていた。

ジオンから、故あってこちらの陣営に身を投じている関係上、
別の部隊の兵士に絡まれたりしていた。
ちょうど、通りかかったコウスケによって事なきを得ていたが・・・。

「俺の教育不足だった、申し訳ない。」
そう、コウスケは頭を下げ、謝罪した。
「いえ・・・。コウスケさんが悪いんじゃない・・・・。」
そう、ナナが困惑しながら答えると、コウスケも頭を上げる。
「しかし、君やアーチャーのような子供を戦わせて、ジオンでは学徒動員までされてるそうだ・・・。
 俺たちは何をやってるんだろうな・・・・。全く寒い時代になってしまった。」
コウスケは、寂しそうにそうつぶやいた。
「それを終わらせてくれるのが、閣下のお仕事でしょう?」
ナナは、そう答えると、コウスケに優しく頭を撫でられていた。
「そうだな、君やアーチャーを、そして、セレードを、普通に生活する子供に戻してやる。
 ・・・俺も、この戦争で無理をしすぎた。上層部からにらまれてるからな。
 この戦争が終わったら退役しようと想っている。」



「結局、彼は、ソーラレイに灼かれてしまいました・・・。私たちの隊長の張黄星も、処刑されてしまいました・・・。」
フィリスは、その隣出、一緒に外を眺めていた。

「そのとき、私たちも、コンペイトウにいたのよ。 ・・・処刑も、尉官の私とトモだけ見た・・・。
 立派な方だったと思う・・・・。」

そう言い終わらないうちに、ガラスの割れる音で、フィリスは横を見る

ナナが、ガラスを拳で割っていた。
冷静な、彼女にして珍しく激しい怒りの表情をしていた。
赤い血が拳を伝い、腕に流れている・・・。

「私は、許せなかった!そのときでは予期できなかったとはいえ、
 自分の保身のために、私は・・・っ!!私たちは・・・っ!!隊長を見殺しにした・・・・・・!!
 私は、所詮、人の痛みも分からないクローン・・・・。ローザ・クロイツェルの出来損ないのコピーでしか・・・・。」

ばしぃん・・・・

ナナは、血まみれの手で頬を押さえる。
信じられない・・・という表情で


「冗談じゃない!自分を何処まで貶めても、大尉は帰って来ないでしょうに!」

そういわれると、悲しそうに目を伏せた。
「ごめんなさい・・・・。」

「こっちこそ、ひっぱたいてごめん・・・。」
フィリスはそういうと、ナナの手を取り、ハンカチで、手の甲へと巻き付けた。

「でも・・・・。だからこそ、私は反逆の道を選んだ。」
フィリスは、そう付け足すと再びナナの頭を撫でた。
そして、ナナを抱きしめた・・・・。





翌日、トモアキ・ナカシマは正式にエゥーゴへ所属する旨を表明した。

そう、反逆者としてのAWC・・・・。

後世の歴史で理不尽な権力による暴力に立ち向かう反逆者として名を残すAWC部隊の始まりであった・・・。