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 雪の降らぬパオズ山とはいえ、寒中の北風は身を切るように冷たい。だが、チチ一人だけは
怒りに身を熱くしていた。悟空が修行と称し一ヶ月も家を空けているのだ。
 「悟空さのバカ!!」
 怒りに任せて泡だて器をボウルにたたきつけた。
 「うわぁん!!」
 背中の悟飯が音に驚いて目を覚ます。
 「ああ、ごめんな、悟飯ちゃん。」
 チチは背中に手を回し、悟飯の尻をポンポンと叩いた。
 明日はバレンタインデー。世間一般の恋人、夫婦のように、チチとて悟空に手作りのチョコレートを
渡したい。甘い恋人気分に浸りたい。だが、夫はそういう世事にはとんと疎く、家を空けていつ帰るとも
分からない。そして自分は赤ん坊を背負い、鼻水をすすりながらチョコレートを作っているのだ。
 (おら、一体、何してんだべ・・・)
 理想と現実のギャップにチチは目頭が熱くなった。

 バタン!
 突然ドアが開いて、北風と共に悟空が入ってきた。
 「うー、さみいなあ!!おう、チチ!けえったぞう!!」
 ちょっと近所まで買い物に行ってきたくらいの気軽さで、悟空は帰ってきた。
 チチのこめかみに青筋が立っていることに気付かず、悟空は勝手にしゃべり続けた。
 「オラ、腹が減っちまったぞ。なんか、作ってくれよ・・・お。悟飯、背中で寝てんじゃねえか。
じゃ、オラ、寝かしてくっから、早くメシ作ってくれよ。」
 悟空は負ぶい紐を解くと、寝付いた悟飯を抱き上げて寝室に向かった。
 (一ヶ月も家を空けておきながら謝りもしねえ!絶対に口なんかきいてやらねえだ!メシも
食わせねぇだ!!)
 チチは奥歯を噛み締め、怒りに震える。
 「チチ。悟飯、寝かしてきたぞ。お?なんだ?なに作ってんだ?」
 チチの手元のボウルに顔を近づけ、悟空はくんくんと匂いを嗅いだ。
 「あ、これ、ちょこれえと、ってヤツだろ?オラ、こんな甘ったるいもんより、もっと、腹に溜まる
もんが喰いてえぞ。」
 「バカ!!」
 チチの堪忍袋の緒が切れた。余りの大音声に、さすがの悟空も体が硬直する。
 「一ヶ月も帰って来ねえから、どんだけ、おらが心配したと思ってるだ?!」
 悟空とは口をきかない、という誓いもチチは怒りで忘れてしまった。
 「わ、悪かったって・・・な、チチ。勘弁してくれよ・・・」
 「いんや、許さねえ!おら、こうやって、悟空さの為にチョコレート作ってるだに、それを悟空さは・・・」
 「だ、だからさあ、オラの為に作ってくれるんなら、もっと、腹に溜まるもんの方が・・・」
 「うわーん!!明日はバレンタインでねか?!おら、バレンタインに悟空さに、チョコを渡そうと・・・
う、う、それを・・・」
 「チチィ、泣くなよ・・・なあ、ばれんたいん、って何だ?」
 「バレンタインっていうのはな、す、す、好きな・・うわーん・・・!!」
 『好きな人にチョコをあげる日だ』と説明しようとしてチチは泣き出した。このどうしようもない放蕩宿六を、
どうしようもなく好きな自分が、情けないやら、切ないやらで泣けてくるのだ。

 悟空はほとほと困り果てた。妻の涙の理由も、バレンタインの意味も分からない。
ただ、自分がこのチョコを食べたら、妻の機嫌は直るだろうと漠然と思い至った。
 「わ、分かったって、チチ。食う!オラ、そのチョコ食うよ。」
 「本当け?」
 チチがちらりと顔を上げた。
 「おお!」
 どんぴしゃりだ!悟空は胸を撫で下ろした。
 「あ、でも、これはまだ作りかけだべ。これから、このチョコをバラの形にして・・」
 「腹に入っちまえば同じさ。このまま、食っちまうよ。」
 言うが早いか、悟空はボウルに指を突っ込んで、チョコのついた指を舐めた。
 「うめえ!!」
 腹が空いていることを差し引いても、舌がとろけるくらい旨い。
 「これ、うめえな。」
 チチの機嫌問題は最早どうでもよく、悟空はボウルに手を突っ込みチョコを
舐め続けた。
 「悟空さ!行儀が悪いだよ!」
 「チチ、おめえも食ってみろって。すげえ、うめえぞ。」
 悟空はチョコのついた人差し指をチチに突き出した。
 「そうけ?」
 差し出された指をチチは口に含んだ。
 「あ・・・」
 その瞬間、体中がキュンと熱くなって悟空は声を出した。チチは悟空の指を口に
含み、舌で舐めあげる。目をつむり、口をすぼめて悟空の指を吸うチチの顔は、
嫌がるチチを拝み倒し、半ば強引に下半身のモノを咥えさせたときと同じだ。

 吸われているのが指ではないような錯覚に悟空は陥る。
 「もっと舐めてくれよ・・・」
 更に指にチョコをつけ、悟空はチチに差し出した。チチは素直に口に含んだ。
 「オラにも舐めさせてくれよ・・・」
 悟空はチチの手をボウルのチョコに浸すと、乳の指を一本一本、丁寧に舐め始めた。
 「んん、ふう・・・」
 悟空の指を咥えながら、チチが切ない吐息を洩らす。指を舐められているだけなのに、
体中を舐めあげられている気分になる。
 悟空はチチから指を外すと、チチの両頬を手で挟み、チョコだらけになった口の周りを
舐め始めた。上唇を舐め、下唇を舐める。だが、決して舌をチチの口の中に入れない。
 「ご、悟空さ・・・」
 堪らず、チチの方から悟空の唇を求めた。その薄桃色の舌先を、恐々と悟空の咥内に進め、
口中で悟空の舌を絡め取る。あと互いに舌を貪りあう。甘く、ほろ苦いチョコの味は、やがて唾液で
薄められるが、二人とも、その甘い汁を嚥下した。
 悟空はチチから唇を離すと、今度は首筋に沿って舌を這わせた。悟空の唇と手が触れたチチの
チャイナ服は、チョコで汚れてしまう。
 「悟空さ、もう、止めてけれ・・・服が汚れるべ・・・」
 「汚れるのが嫌なら、脱いじまえばいい。」
 悟空は台所の床にチチを押し倒し、チャイナ服のボタンを外すと、その開かれた胸に唇を落とした。

 「ああ・・・」
 一ヶ月ぶりの愛撫にチチも歓喜の声を出す。自分の顎が邪魔にならぬよう、チチは首を
のけぞらせた。悟空の唇と手が触れると、チチの白い肌にチョコの汚れがつく。悟空は
その汚れの一つ一つを丹念に舌で舐めあげた。
 初めの内はチョコの味だが、やがて、チチの白い柔肌の味になる。チチの体は汗ばみ、
悟空の手を吸い付ける。
 悟空はチャイナ服の裾をたくし上げると、一気に下着を足首まで下ろした。細いながらも
ムッチリとした太ももにもチョコがつく。悟空はチチの両脚の間に身を置いて、内股についた
チョコを舐めまわした。
 透き通るように白い内腿とは対照的な黒い茂み。悟空はその茂みの奥の谷間に舌を差し入れ、
下から上へと舐め上げた。
 「あん!・・悟空さ・・・いい・・!」
 強烈な快感がチチを襲う。悟空の頭の毛を掴むが、決して制止しようとはしない。ピチャピチャと
いう淫靡な水音が、チチの湧き出る泉の量を増やす。
 「ご、悟空さ・・・来てけろ・・・」
とうとうチチの口から悟空をねだる声がもれた。一月ぶりの行為に悟空の方も限界だ。もどかしく
道着のズボンを下ろすと、膨張した男根を、先程まで舌で愛していた蜜壺の入り口にあてがい、
身を沈めた。

 部屋に満ちていた甘いチョコレートの香りは、夏の草いきれのような悟空の精液と、
甘酸っぱい汗のようなチチの愛液の香りにとって替わられた。
 全てを吐き出しても、悟空はチチの中にまだ身を沈めたままだ。
 「なあ、これが、ばれんたいん、て言うんか?」
 体の下のチチの目を見ながら悟空は問いかける。
 「違うだ・・・バレンタインは、バレンタインは好きな人にチョコを上げる日だ。義理だの
本命だの言って、たくさんの人に配る人だっているだ。だども・・・」
 チチは悟空を見上げる。チチは悟空の首に両手を回し、そっと抱き寄せた。
 「だども、おらは悟空さにしかチョコレートをやらねえ。」
 悟空の耳元で、低く、そして、しっかりと囁く。
 「おらも・・・おら自身も悟空さにしかやらねえ。」
 「・・・・そっか・・・」
 言葉をどう繋げてよいか分からず、悟空はチチの背中を抱きしめた。
 目が覚めたのか、寝室から悟飯の泣き声が聴こえてきた。

 悟飯と悟天が寝たことを確認して、チチは台所の棚の奥から大きな包みを取り出してきた。
包みを背中に隠し寝室に入る。
 「まだ、寝ねえのか?」
 ベッドに横たわった悟空が声をかける。
 「悟空さ。はい、これ。」
 はにかみながら、チチは背中に隠していた包みを悟空に渡した。
 「開けていいんか?」
 チチがこくん、と頷いたのを見て、悟空は包みを開けた。中から出てきたのは、綺麗に
ラッピングされ、リボンが掛けられた、さまざまな形の箱が8つ。
 「なんだ、これ?」
 「おらの作ったチョコレートだ。悟空さのいない間も毎年作っていたのが7個。そして、
これが今年の分だべ・・・」
 チチは一際新しく、大きな箱を指差した。
 「ふふふ。おかしいと思うべ?悟空さは死んでしまっただに、チョコレート作るなんて・・・
だども、べジータさとブルマさ、クリリンさと18号さ見てると、おらもなんだか悔しくなってなあ・・・
まあ、毎年、作ってたんだべ。あげる人もいねえのに・・・」
 そのチョコレートを作った時を懐かしむように、チチは一つ一つの箱を手に取った。
 「でも、捨てねえで良かったべ。悟空さに見てもらえた。」
 チチは7個のチョコの箱をまた包みの中に戻した。
 「どうすんだ?」
 「もう、7年も経ったチョコなんて食えねえだよ。これは捨てるだ。」
 「もったいねえ!食うよ!オラ、全部食う!」
 「腹こわすだよ。」
 「オラの腹はそんなヤワじゃねえ。」
 全部食う。7年分の想いはオラが全部食う。
 包み紙こと食べてしまいそうな勢いでチョコに噛り付く悟空を見てチチは笑った。
 「サンキュー・・・ほんと、サンキューな。」
 悟空はチチの首に片手を回すと、自分の方に引き寄せた。

 くちづけは、あの時と何一つ変わらない、甘い甘い、チョコの味。

(終)