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1 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/01/22(月) 23:38:55 ID:fF6rd5LU
・このスレッドはヤンデレの小説を書くスレッドです。
・既存のキャラの使用アリ。
・プロット投下やニュースなどのヤンデレ系のネタ大歓迎。
・ぶつ切りでの作品投下もアリ。
・作者のみなさんはできるだけ作品を完結させるようにしてください。


ヤンデレとは
・主人公が好きだが(デレ)その過程で心を病んでしまう(ヤン)状態の事をさします。
(別名:黒化、黒姫化など)
・ヒロインはライバルがいてもいなくても主人公を思っていくうちに少しずつ確実に病んでいく。
・トラウマ・精神の不安定さから覚醒することがある。

ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫
http://yandere.web.fc2.com/
前スレ
ヤンデレの小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148704799/


2 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/22(月) 23:44:56 ID:sXcPKANe
>>1


3 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/22(月) 23:53:28 ID:BIfER8Q2
>>1乙
お茶会の人も大河内さんも全力で期待してます。

4 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/23(火) 00:53:09 ID:bYCtaPEW
>>1乙
まさかテンプレを使ってくれるとは思っていなかったw

>>3
サンクス 書く気力が補充された

5 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/23(火) 03:05:18 ID:JHNR49Db
回避

6 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/23(火) 13:59:38 ID:pi8YjqwB
キモウトの続きも待ってる

7 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/23(火) 14:08:42 ID:6zwSdDZP
>>1乙

関連スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その27
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1169469610/

8 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/23(火) 16:57:49 ID:Bo5DfLAq
>>1
乙!!さてwktkしながら続きを待つかな

9 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/23(火) 17:41:41 ID:7w9uNgyP
>>7
まだこっちにしておいた方が無難だろ。
下手するとそっちの子は切られるかも分からんぞ。
関連スレ↓
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その26
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1168129885/l50


10 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/01/23(火) 17:50:53 ID:fzH8Kh8m
神無士乃=マッド・ハンターと予想

そうなると周りの女はみんなお茶会関係者になるなwwww

11 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/23(火) 18:08:04 ID:LSqEQ80P
>>10

じゃあ俺は如月更紗=マッド・ハンターと予想。
鋏を使ったミスリードかも知らんが……。

12 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/01/23(火) 19:37:52 ID:HdISiKlr
>>11
俺もそう思う
ところで「彼」を自分のものにしたいがために拉致・監禁するのってヤンデレ?

13 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/23(火) 21:10:09 ID:+4orXTIq
>>11
俺は
如月更沙=首きり(首狩り?)女王
神無志乃=チェシャ
って予想する。女王は昔マッド・ハンターの話の中にチラっと出て来た。


14 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/23(火) 21:10:58 ID:+4orXTIq
>>12
ヤンデレだっ……連投スマソ

15 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/01/23(火) 21:20:04 ID:fzH8Kh8m
お茶会の準備が終わるまで、ずっと、まってるからね?

16 名前:投下準備完了 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/23(火) 22:13:44 ID:bYCtaPEW
『あなたと握手を』を投下してもおk?

17 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/01/23(火) 22:15:51 ID:fzH8Kh8m
おけ

18 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/23(火) 22:20:29 ID:bYCtaPEW
その日の夕方、大河内桜は学校の部活動に姿を現さなかった。
部員たちは不審に思ったものの、部長である海原英一郎の左手を見て事情を悟った。
憧れの先輩が練習に参加できなくなったことにショックを受けてしまったのだ、と。

剣道部員たちにとって二人は恋人同然の関係だと認識されている。
毎日校外練習のあと二人きりで帰っていることを知っているので、
未だに恋人の仲になっていないことが不思議なくらいだった。
今回のことは二人の間で解決するしかないと思った部員たちは、深く詮索しないことにした。

海原英一郎は、しばらく練習に参加できないこと、
大河内が来ていないため今日の校外練習はできないことを副部長に伝えると、
鞄を持って先に帰ることにした。


19 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/23(火) 22:21:17 ID:bYCtaPEW
自宅へまっすぐ帰るのなら正門を出て左に曲がるのだが、
いつもの癖で右――練心館の方角――に曲がってしまった。
でも、引き返さずにそのまま歩き出すことにした。
しばらく練心館には行けなくなってしまうから、見納めをしておこうと思ったのだ。
歩きながら考えたいことも、あったから。

まず、この左手のこと。
全く動かなくなるという可能性は低いと思う。
痛覚があるということは神経は通っている、ということだ。望みはある。
ただ、竹刀を握って高校生を相手に試合ができるほどの握力が戻るとは限らない。

大学生を相手に片手で試合をする選手もいる。
彼は何年かけてあそこまで強くなれたのだろう。三年?五年?十年?
いや、同じ時間をかけても俺がああなれるとは限らない。

ならば、いっそのこと剣道を――――

やめろ。馬鹿馬鹿しい。
まだ怪我をしたばかりだ。そこまで悲観的になる必要は無い。
今は怪我を治すことに専念しろ。


次に考えるのは、大河内のこと。
心に引っかかっているのが、あの絶望を味わったような表情だ。
予想では、怪我の話をしたときに過剰に心配してくると思っていた。
しかし実際には――こう言うのも変だが――俺が死んでしまったと聞いたような反応だった。
何かが引っかかる。俺は言わなくてはいけないことを言わなかったのではないか?


そこまで考えてから、自分がいつのまにか練心館に着いていることに気付いた。

「大河内ともしばらくは一緒に帰れなくなるなぁ・・・」

そうつぶやくと、この怪我が本当に恨めしくなる。
女生徒を助けようとしたことを後悔はしていない。
ただ、あのとき怪我をしないように動いていれば。
女生徒の姿を目にした瞬間に動き始めていれば。

「・・・帰るか。」

ここにいるといつまでも自分を責め続けてしまうような気がした。
道場に向かって一礼して、背を向けた瞬間。

『オマエかァァァッ!!』

『ガッ!シャァァァァン!』

道場から女の声と、ガラスを派手に割る音が聞こえた。

20 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/23(火) 22:21:51 ID:bYCtaPEW
ようやく見つけた。海原先輩に助けられた恩を忘れ、立ち去った女を。





昼休みに学校を抜け出し、海原先輩が事故にあった現場を見に行った。
昼の忙しい時間帯は交通量も多く、事故の痕跡を発見することはできなかった。
この中にもしかして先輩の左手を轢いた車がいるのだろうか。
許せない。歩道にいた先輩を発見することもできずにそのまま走り抜けたへたくそドライバー。

どいつだ。そこの図体だけでかい箱みたいな車か。それとも塗装の剥げ落ちている小さい車か。
違う。携帯電話で会話しながら信号待ちしている車高の低い車。たぶんこいつだ。
その汚い金髪を引き抜いて間抜け面の皮を引き剥がして左手の爪をペンチでじわじわとめくっていって手首から先の骨を粉々にしてハンバーグに入れて・・・

いや、待て。そんなことをしている暇はない。
一刻も早く例の恩知らず女を見つけて報いを受けさせねばならない。
事件の関係者が現場に戻ってくるというのは通説だ。
この場で同じ高校の女生徒を発見したらすぐに捕まえなければ。


午後二時。待ち伏せてから一時間経過。
犬を連れて散歩する人しか通らない。まだまだこれから。

午後三時。待ち伏せてから二時間経過。
黄色い帽子をかぶった小学生しか通らない。私と目が合った女の子が驚いて逃げて行った。失礼な。

午後四時。待ち伏せてから三時間経過。
ようやく同じ制服を着た女を見つけた。しかしよく見たら剣道部の女子部員だった。
今日は重い日だったから部活に参加しなかったらしい。
まぎらわしい。今度は胴を打つときにわきを狙ってやる。

午後五時。すでに四時間待っているが、それらしき人物は発見できなかった。
今日は現れないのかもしれない。
仕方がない。今日は引き上げることにしよう。


21 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/23(火) 22:22:37 ID:bYCtaPEW
私は今、練心館の男子更衣室の中に一人でいる。何もしていない。ただ膝を抱えて座っているだけ。
自分の部屋に一人きりでは居たくなかった。
海原先輩との思い出が染み付いている場所に居たかった。
先輩に会った日から、この時間には毎日のように一緒にいたというのに。
いきなり会えなくなるなんて耐えられない。
先輩が剣道部を辞めてしまったらもう、二度と会えないなんて・・・

膝の上に涙の雫が落ちる。二滴。三滴。何度も。何度も。

寒気がする。先輩とさよならの挨拶をしたときに感じるあの寒さ。
こたつに入っても、お風呂に入っても、布団にもぐっても、この寒さからは逃げられない。
背中が震える。肩が揺れる。膝が痙攣する。歯がガチガチと音を立てる。

知っている。この寒さの正体は『寂しさ』だ。

「一人に、しないで・・・いっしょにいてくださいよぉ、せんぱぁい、ふ、うぅぅぅぅぅ・・・」

寒い。苦しい。逃げたい。もう嫌。これほどの寒さは初めてだ。

「せんぱい、・・・たすけて・・・助けて、ください・・・たす、けてぇ・・・」

視界が揺れる。脳の中がかき回される。

わたし、もうこのまま――


22 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/23(火) 22:23:29 ID:bYCtaPEW
『誰もいないじゃん。嘘ついたんじゃねえだろうな?』

――?

男の声がした。剣道部の男子部員だろうか?でも聞いたことのない声だ。

『ほ、ほんとです。いつもはここで、ぁがっ!』

また別の男の声。その声は震えていた。
更衣室の窓から道場裏を覗くと、男三人と女一人がいるのが見えた。全員同じ高校の生徒だ。
男の一人は口をおさえている。さっきの声はこの男のようだ。

『いないんじゃしょうがねえ。帰ろうぜ。』
『おう。でもあの海原ってやつもしかしてその後死んじまったんじゃねえの。』
『あ、そうかも。なんかガードレールに頭打ってたし左手なんか潰れてたし。』

・・・こいつら、いまなんて言った?
『海原』『ガードレールに頭を打っていた』『左手が潰れていた』。
そして『同じ高校の女生徒』。

『死んじゃったんじゃ私の傷とケータイのお礼参りできないよね。
ごしゅうしょーさま。きゃははは!』

ここから導き出される答えは一つしかない。
この女だ。海原先輩に助けられたくせに救急車を呼ばずに立ち去った女。
私達の仲を引き裂く原因を作った女。そして先輩を馬鹿にした女!

更衣室を飛び出し、左手に木刀を掴み、
置いてあった面を道場裏のドアに向かって全力で放り投げる!

「オマエかァァァッ!!」

ガラスが砕け散る。割れた窓を飛び越えてガラスの破片の上に着地する。
足裏にガラスが刺さるのがわかる。だが痛みは感じない。
この程度ではこの怒りを抑えることはできない。

許 さ な い。

私から先輩を奪ったお前は許さない!

23 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/23(火) 22:24:43 ID:bYCtaPEW
いきなり窓から飛び出してきたポニーテールの女に、その場にいた四人は度肝を抜かれていた。

女は緩慢な動作で地面に落ちている面を拾い、

「な、なんだよテメげぐっ!」

左に立っていた男の、左側頭部に勢いよく叩きつけた。
男は横向きに倒れ、側頭部から血を流している。

「てめぇ!何しやがる!」

正面に立っていた男は拳を女の顔面に向かって振り下ろし――
女が盾にした面の、金具の部分を殴った。
男はその痛みに声をあげる前に股間を蹴り上げられ、
うずくまったまま、動かなくなった。

もう一人いた男は恐怖で声をあげられなかった。
それは、懸命な判断だった。
数秒で男二人を気絶させた女は、声をあげた存在に対して攻撃をする獣になっていたからだ。

大河内桜は恐怖で動けない男を一瞥し、

「こいつじゃない・・・」

顔が血の色で染まった男と、うずくまった男を見下ろし、

「こいつらでもない・・・」

自分の右で腰を抜かして倒れている女を見下ろすと、カッと目を見開き、

「おまえだっ!!!」

大音声で叫んだ。


24 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/23(火) 22:25:39 ID:bYCtaPEW
勢いで戦闘シーンを書いた。
正直、やりすぎたかもしれないと反省している。

次で終わりです。たぶん、明日の今頃投下します。


25 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/01/23(火) 22:26:56 ID:fzH8Kh8m
GJ!!!!!

最高です

26 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/23(火) 22:30:21 ID:2PeEq9pZ
大河内にはハッピーエンドを与えてあげてください・・・
かわいそう・・・

27 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/23(火) 22:33:09 ID:bYCtaPEW
>>25
ありがとう。君も最高だ。

>>26
ご心配なく。
前スレでの予告のままに。

28 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/23(火) 22:43:22 ID:LSqEQ80P
え?
つまり、海原が助けたのはDQN女だったって事?

うわぁ……。
大河内カワイソス(´・ω・`)


29 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/23(火) 23:03:13 ID:pi8YjqwB
GJ!
大河内さんも海原もカワイソス
でも躊躇なく殺意を叩き込む大河内さんオソロシス(*´Д`)ハァハァ

30 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/23(火) 23:09:35 ID:F2RdmnTt
>>24
明日を楽しみにしています。

助けた女といちゃくちゃがあるかと思ったら まさかDQNとは・・・



31 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 00:00:30 ID:U7RgVbaF
投下しますよ

32 名前:『首吊りラプソディア』Take0[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 00:01:57 ID:U7RgVbaF
書類整理を一段落させると同時に、俺は伸びをした。仕事柄、普段から体をそれなりに
体を鍛えているものの、長い間机に向かっていると体に堪えるものがある。背もたれに体
を預けると、軽い音が連続で響いた。まだ二十代の半ばだというのに、随分とくたびれて
いるものだと思う。新人と話が噛み合わないときも多いし、少し自分が不安になった。
電子音。
「もうこんな時間か」
冷めた珈琲を一口含み、立ち上がる。
同僚に軽く挨拶をして部屋を出ると、退屈そうに立っている女性と目が合った。名前は
よく覚えていないが、顔には見覚えがあった。確か新人の中でも郡を抜いて活躍していた
ことで有名だったような気がする。報道部の友人と先日飲みに行ったときに、彼女のこと
を色々言っていた。曰く、十年に一人の逸材だとか、専門の学校を歴代トップで卒業した
だとか、早くも昇進が考えられているだとか。
だが俺には関係ない、住む世界が違うのだ。
素通りしようとすると、何故か後から着いてきた。最初は偶然だと思ったのだが、歩く
テンポも、それどころか足音さえも重ねてくる。どうにもやり辛くなり立ち止まって彼女
に振り向くと、同じタイミングで止まってこちらを見つめ返してきた。
「何の用だ?」
「気にしないで下さい」
気にするなと言われても、それは無理だろう。だが彼女はそれきり口を閉ざし、ずっと
こちらを見ているだけだ。どうにもならない。相手をするだけ無駄かもしれないと思い、
吐息をして再び歩き始める。やはり彼女は一定の間隔を持って着いてくる。


33 名前:『首吊りラプソディア』Take0[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 00:06:45 ID:U7RgVbaF
目的地に辿り着き、数回ノックをしてドアを開く。
「うん、時間通りだね」
「それだけが取り柄です」
そう言うと、俺の正面、皮張りの椅子に腰掛けた初老の男性は愉快そうに顔を崩した。
「今回の用事は何ですか?」
僕を呼び出した張本人である署長は、煙草に火を点けると旨そうに煙を吸った。脳天気
にすら見えるときもあるのだが、それでも悪い印象が浮かばないのは独特の雰囲気がある
からだろう。第37監獄都市管理局局長という堅苦しい役職名があるにも関わらず皆からは
親父と呼ばれて親しまれているのも、一重にこの人の人柄だ。
「虎吉君、君は『首吊り』という話を知っているかね?」
知っているも何も、この辺りでは知らない人は居ないだろう。居るとすれば、そいつは
かなりのモグリか最近こちらに来たばかりの奴だけだ。
『首吊り』というのは一年程前から流行りだした都市伝説で、夜な夜な殺人を繰り返す
化け物のことだ。殺人方法は様々なのだが、全てに共通しているのは死体を首吊り自殺の
ように紐で吊るしていること。隣の第36監獄都市に出没するらしいが、どこにでもある類
の話だと思っている。こんな噂話は昔から無くならないものだし、監獄都市の中では殺人
というのも珍しいことではない。表通りこそ穏やかだが、裏のスラムではそれこそ毎日の
ように行われているものだ。それを誰かが脚色したものだと思う。
「それが、どうかしたんですか?」
「居るんだよ、本当に」


34 名前:『首吊りラプソディア』Take0[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 00:07:45 ID:U7RgVbaF
馬鹿馬鹿しい。
「局長、もう少しストレートに言ったらどうでしょうか?」
声に振り向くと、先程の女性が立っていた。いつの間に部屋に入ってきたのだろうか、
全く気が付かなかった。彼女もこの場所に居る以上は、今の件に関わっているのだろう。
それに先程の発言から察するに、既に話は伝わっているらしい。
数秒。
局長は煙草の煙と共に溜息を吐くと、書類を差し出した。
「『首吊り』の最有力容疑者だと言われている者だ」
目を通し、一瞬思考が停止した。
「僕は反対したんだが上からの命令でね。本当に済まないと思っているんだ。君からして
みれば信じたくない話だろうしね、彼女のことは」
こいつがあの凶悪な『首吊り』である筈がない。信じたくないのではなく、信じること
が出来ない。いつも微笑みを浮かべていて、誰よりも優しかったこいつが犯人である筈が
ないのだ。それなのに、何故こんなに酷い仕打ちをするのだろう。
「このサキ君をサポート役として、彼女について詳しく調べてほしい。それに、悪いこと
だけではないと思うよ。サキ君は優秀だし、彼女が無実だった場合はすぐに捜査も終わる。
それが分かるように、このチームを組んだのだからね」
言葉が何も浮かんでこない。
「こちらも、精一杯協力しよう」
そうだ、無実だと証明出来れば良い。彼女がこんなことをする筈もないから、無駄だと
すぐに分かるだろう。ついでに監獄都市から出してやることも出来るかもしれない、局長
の言う通りに悪いことばかりではない。寧ろ、メリットの方が多いかもしれない。
「よろしくお願いします」
「こちらこそ」
決意をし、再び書類を見る。
容疑者『カオリ・D・D・サウスフォレスト』、罪人ランクF、現在16歳。
そして、俺の幼馴染み。

35 名前:ロボ ◆JypZpjo0ig [sage] 投稿日:2007/01/24(水) 00:09:09 ID:U7RgVbaF
今回はこれで終わりです

投下ペースは遅くなるかもしれませんが、
完結はさせるつもりです

36 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 00:37:20 ID:CNIs1fEG
>>35
ィヤッホオォォォ!!GJ!!
閉鎖的状況プラス壊れてそうな人々GJ!!

37 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 01:08:20 ID:r7DkZkAp
ロボ氏ktkr

38 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 04:20:11 ID:ZwqzZZSa
ヤンデレ抜きで普通に物語として面白そうな件。
サキとカオリのどちらがヤンデレなのか、どちらもなのか。
今のところサキの罠っぽいな

39 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 10:08:55 ID:S6jVvqli
>>35
GJ!!
ロボ氏はここでも連載をしてくれるというのか!
なんたる僥倖!

それはともかくwktk

40 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 10:22:12 ID:LdvqcTQQ
ロボ氏キタ━━(゚∀゚)━━!!
ミステリアスな雰囲気GJ!

41 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 11:35:36 ID:DysJ2xkm
急に読むのが忙しくなってきた!嬉しい悲鳴 。・゚・(ノ∀`)・゚・。 

42 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 12:56:24 ID:+BAZjMrB
神が舞い降りた地はここですか?

43 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 13:02:37 ID:/kyF+zEH
嫉妬スレはもう終りだな俺はこっちに移ることにするよ

44 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 13:31:44 ID:YipNbHL+
かえれ

45 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 14:10:56 ID:S6jVvqli
>>43
「あ、お父さん。こんなところにいた。
もうだめだよ。今夜はすき焼きなんだから。
たっくさんお肉があるからね。うふふふふ。
早く私たち『ふたりだけ』のお家に帰りましょ。」

46 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 15:10:46 ID:Q5iZszqB
なんというヤンデレ…
スレタイを見ただけで反応してしまった。
俺達は間違いなくヤンデレ萌え

47 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 16:05:05 ID:Z4U+K8Uf
なんという良スレ!
俺が常駐していた嫉妬スレ以上のすばらしさ
俺は悪いがヤンデレに転向するからな

48 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 16:11:05 ID:jRZfo3cX
なんか盛り上がってると思ったら……。

また、荒らしか……。

49 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 16:14:55 ID:c6tc9Ru2
どうぞどうぞどうぞ

50 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 17:47:59 ID:xiZ2ykrL
あ、後ろに包丁を持った女のこがくぁwせdrftgyふじこlp;:「」

51 名前:9割書き終わった ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/24(水) 20:43:39 ID:VkGvZHfe
『あなたと握手を』にエロシーンを入れるかやめるか迷っているのだが・・・
どうする?

希望者がいたら
『ヤンデレスレはエロエロよー!』
と書き込んでくれ。

後日投下希望ならば
『マッガーレ』
と書き込んでくれ。

52 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 20:55:34 ID:r7DkZkAp
ふんもっふ

53 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 20:57:41 ID:CAsJZ2Ym
ヤンデレスレはエロエロよー!

日時は神のご意思のままに

54 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 21:03:40 ID:hKllmp0y
ヤンデレスレはエロエロよー!

55 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 21:26:12 ID:LdvqcTQQ
ヤンデレスレはエロエロよー!

56 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 21:41:18 ID:CNIs1fEG
ヤンデレスレはエロエロよー

ヤンデレスレはエロエロよー

ヤンデレスレはエロエロよー

ヤンデレスレはエロエロよー


……まずい楽しくなってきた。

57 名前:9.5割書き終わった ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/24(水) 21:48:34 ID:VkGvZHfe
>>52
だがね●くん。そこまで期待されても応えられるとは限らないよ。
私にはそんなプレイを文章にできる力は無い。

>>53 >>54 >>55 >>56
サンクス。
1~2時間後に投下する。


58 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 22:13:44 ID:Zl51SM0K
>>57
期待するしかない

59 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/24(水) 23:28:10 ID:VkGvZHfe
期待されちゃあこたえねぇ訳にはいかねえ。
まずはジャブだ!


海原先輩に怪我を負わせる原因を作ったこの女が憎い。
そしてこの女が先輩を馬鹿にしたことが許せない。
近寄っただけできつい香水の匂いが鼻をつく。臭い。

先輩から事故の話を聞いた後、この女に報いを受けさせてやろうと思った。
でも、あの場から立ち去ったことを先輩に謝るつもりでいたのならば、
先輩に免じて平手一発お見舞いするだけで済ませようと思っていた。

しかし、この女はどうしようもないほど馬鹿な女だった。
お礼参りだと?助けてもらったくせに。
先輩が居なければお前もあの携帯電話のように潰されていたんだ。
それなのにお前は膝をすりむくだけで済んで、代わりに先輩の左手が潰された。

「あ、あんた一体なんなのよ!」
「――さっき自分で言ったことを覚えてる?」
「・・・え?」
「海原先輩に、お礼参りするって、言ったでしょう?」

木刀を女の眉間に突きつける。女の顔が恐怖で醜く歪む。

「それがなんなのよ!あんたに関係なくぁっ!?」

左手を突き出し、何か言おうとした女を黙らせる。
女は後頭部を地面に打ち、気絶した。
喋るな。カメムシ女が。いや、人に害を成したこの女はカメムシ以下だ。
この世に存在していてはいけない。こいつは生かしていたらまた犠牲者を生み出す。

潰してやる。あの夜に本来なるはずだった姿に変えてやる。
いや、そんなものでは生温い。一瞬では終わらせない。
じわじわと、確実に恐怖を与えながら、
理不尽な力を前に自分の無力さを味わいながら、己の行いを悔いるがいい。

女の左肘を踏みつけて押さえる。木刀を振りかぶる。まずは、左手。
柄を握る手に力を込め、振り下ろそうとした瞬間。


「大河内ィィッ!」


あの寒さを、一瞬でかき消してくれる声が聞こえた。


60 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/24(水) 23:29:05 ID:VkGvZHfe
道場裏の光景を目にした俺は、自分の目を疑った。
自分と同じ制服を着た男が、一人は顔を血の色に染めて、一人は地面にうずくまっている。
唯一、震えながらもなんとか立っている男は、それとは別の光景に目を奪われていた。

大河内が、女生徒に向かって木刀を振り下ろそうとしていた。

なんだこれは?これを大河内が一人でやったっていうのか?
倒れている二人の男はどちらも大柄で、力比べをしたら俺でも勝てるかわからない。
その二人を、俺よりも小柄な後輩が一人で倒したということが信じられなかった。

いや、今は呆けている場合ではない。
大河内の木刀は今にも女生徒に襲い掛かろうとしている。
一度襲い掛かったが最後、そのまま女生徒の命を奪うまで止まらないのではないだろうか。
そして血を流している男の出血もただごとではない。

「おいっ!」
「ひっ!?ぼ、ぼくですか?」
「今すぐ救急車を呼べ!早く!」
「え、と・・・あ、はい!」

呆けている男を一喝し、救急車を呼びに行かせる。
倒れている男に対してはこれでいいだろう。

次は、大河内をなんとかして落ち着けないといけない。

「先輩。やっと私を助けに来てくれましたね。寒くて、死んじゃうかと思いましたよ。」


そう言った大河内の目は、絶望の色に染まっていた。

61 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/24(水) 23:29:54 ID:VkGvZHfe
大河内は何を言っているのだろう。『私を』助けに来てくれた。
どう見ても助けないといけないのは倒れている男とお前が踏みつけている女だろう。

「寒かったんですよ?本当に。先輩がいないのに道場に一人きり。
先輩の匂いを少しでも感じたかったからここに来たのに、こんなことなら来なければよかった。
・・・あ。違いますね。このカメムシ女を発見できたんだから来て正解でした。」
「・・・落ち着け。・・・大河内。」

もっと何か気の利いたことを言えよ!俺!

「落ち着く?無理ですよ。やっとこのカメムシを捕まえたんですから。
先輩に怪我をさせたこの害虫。
それなのに助けた恩を忘れてまた先輩に害を加えようとしたこの害虫!
――それとも、先輩はこの害虫のことを?」

俺に怪我をさせた?気絶している女生徒が?

そうか!あの夜俺がかばったのはこの人か!

「だめですよぉ?先輩。害虫のことなんか気にしちゃあ。
先輩は人間なんですから、人間の女の子を好きにならないと。
先輩のことを好きな女の子だってここに、・・・・・・ここに練習に来る子の中にいるんですから。」

俺はお前のことが好きなんだよ!って言ってやりたい。
でも、違う。俺が今言わなければいけないことはそれじゃない。
なんだ?もう少しでわかりそうなのに。くそ、落ち着け俺!

「先輩の左手が動かなくなっちゃって・・・そしたら先輩は剣道部をやめちゃって・・・
その後、私はひとりぼっち。そんなの、いやです。寒いのはいやです。
誰も助けに来てくれない場所に一人きりで震えているのはもう・・・嫌なんです。」

俺が、剣道部をやめる?そんなことは言ったことがない。
なぜ大河内はそんなことを――

「でも、もうだめですよね。
こんな暴力的な女の子、先輩だって怖いですよね。
先輩に嫌われたら私、生きていけません。
この女を潰したら、私も――」


62 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/24(水) 23:30:40 ID:VkGvZHfe
そうか。今言うべき言葉が見つかった。

俺が左手を怪我してしまったから、『剣道部をやめてしまう』とこいつは思っている。

おそらく大河内が恐れているのは『俺とのつながりが無くなってしまうこと』。

ならば俺が言うべき言葉は決まっている。

おそらく、大河内が一番聞きたかった言葉。

「さよなら。せんぱ――」
「大河内。俺は剣道部を辞めないよ。」



大河内の動きが止まった。女生徒に向けられていた目が俺に移る。
その目にはよろこびの色、とまどいの色、おどろきの色が移っている。

「え!え。え、でもそんな、だって先輩は・・・」
「左手が動かなくても、部活動には来られるし、なんならマネージャーでだって構わない。
俺は剣道部をやめない。やめたくないんだ。」

そしてこれから言うのは、俺が一番言いたかった言葉。

「お前と一緒にいたい。
お前と離れたくない。
俺は、お前のことが、好きなんだ!」


死ぬほど恥ずかしい台詞だ。顔が紅くなるのがわかる。
でも言って正解だった。

大河内は振り上げていた木刀を落とし、
顔を耳まで紅くして驚愕の表情を浮かべている。
ようやくこいつの驚きの表情を拝むことができた。
めちゃくちゃにしたいほど可愛かった。


俺はこの表情を脳内に永久保存することに決めた。

63 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/24(水) 23:32:18 ID:VkGvZHfe
「ふえぇぇぇええぇん。ぅえぇぇぇぇん。」

驚きの表情から立ち直った大河内は、大声で泣き出した。
泣き顔もかわいいな。この顔も永久保存して――って、そんなことしてる場合じゃない。

「大河内、逃げるぞ。」
「ふぇぇぇぇぇ・・・ぅえ?なんれぇれすかぁ。しぇんぱいぃ・・・」

男二人と女一人が気絶していて、全員が怪我を負っている。
このままここにいたら、暴力事件の加害者として俺と大河内は補導、もしくは逮捕ということになるだろう。
この場から立ち去れば――浅はかな考えだが――加害者を特定しにくくなると思ったのだ。

「早く行くぞ。人が来たらまずい。」
「うぁっ!あ、ちょ、ちょっと待ってください。私、足が・・・」

足元を見ると、血の痕がついていた。
靴下を脱がして足裏を見ると、ガラスの破片が刺さっていた。見たところ深く刺さってはいないようだが・・・

「この足じゃ、歩くのは難しいな。」
「はい・・・でも、一つ良い方法がありますよ。」

大河内が俺の首に腕を回してくる。

「お姫さま抱っこしてください。」
「は?」
「お姫さま抱っこしてください。お姫さま抱っこしてください。」
「二回言わなくても聞こえてる。左手が動かないのにどうやってやれっていうんだ。せめておんぶにしてくれ。」
「私が先輩の首に手を回しますから、左手を使わなくても平気ですよ。
・・・それとも、私をお姫さま抱っこするのは、嫌ですか・・・?」

上目遣いは卑怯だぞ。大河内。

「わかったよ。じゃあ、しっかり捕まってろよ。手、離したら頭から落っこちるぞ。」
「心配御無用です。だって・・・私も先輩から離れたくないですから。」

俺の首に回した腕に力を込めて、顔を寄せてきた。
潤んだ瞳に、俺の顔が映っているのが見える。

「本当は先輩より先に言うつもりでしたけど・・・今が絶好の機会だから言っちゃいます。
先輩。私は先輩のことが好きです。初めて会った日から・・・好きでした。
私を、先輩の・・・海原英一郎先輩の恋人に、してください。」
「・・・目、閉じろ。」

無言で大河内は目を閉じる。

俺も同じように目を閉じ、

OKの返事の代わりに、くちづけた。


64 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/24(水) 23:33:11 ID:VkGvZHfe
右手一本で大河内を支えて家まで運ぶのは正直、骨が折れた。
大河内の家族は全員居ないらしく、俺が大河内家かかりつけの医者を呼んで、足裏の治療をしてもらった。
幸い、ほとんどがガラスによる裂傷で、刺さっていた破片は全て取り除くことができた。
消毒薬を塗り、包帯を巻き終えると『では、お大事に』と言って医者は帰っていった。

「とりあえずは、一安心だな。」
「ええ。」

ここで、一つ気になることがあったので聞いてみた。

「なあ、なんで俺が剣道部を辞めるだなんて思ったんだ?」
「・・・だって、それは・・・もし左手が動かなくなったとしたら、先輩は練習に参加しなくなって、
そしたら練心館にも来なくなって、一緒に帰れなくなって・・・
いつか先輩は剣道部にいる意味なくして、やめちゃうって・・・思ったからです。」

・・・また涙目になってしまった。そこまでこいつは俺が剣道部をやめることを恐れていたのか・・・

なんだかいたたまれなくなってきた。右手で大河内の頭を撫でる。
柔らかな、絹のような感触がする。

「あ。
・・・先輩の手、大きいですね。まるでお父さんみたいです。」

あそこまで俺は巨漢ではない。

「今『あそこまで巨漢じゃない』とか思いましたね?」
「いや、思ってない。断じて思ってないぞ。」
「先輩には、おしおきをする必要がありますね・・・」
「待て落ち着け話せば分かるもうむちうちは――」
「私、――もう、我慢できません。」
「は?」

大河内が俺に体当たりしてきた。
そのまま俺は押し倒され、キスをされた。

65 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/24(水) 23:34:09 ID:VkGvZHfe
すまない。もう少し待っててくれ。
もうちょっとでエロシーン書き終わるから。

66 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/24(水) 23:58:19 ID:xCWNvGPM


∧_∧  +
+ (。0´∀`)
(0゚つと )   +
+  と__)__)

67 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 00:03:47 ID:BbVwOBjk
>>65
ワクワクテカテカ

68 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 00:25:54 ID:sCO44oSb
_  ∩
( ゚∀゚)彡 ワッフルワッフル!!
⊂彡


69 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:03:37 ID:VgLGiMfZ
こいつでとどめだ!最終話!


大河内は俺と唇を重ねながら、体をすり寄せてくる。
その次は、舌を絡ませてきた。必死に俺もそれに応える。

「ん・・・ふ・・・んちゅ・・・ん、・・・ふぁ・・・れろ・・・」

唇の裏を、歯の裏を、舌の裏を絡ませる。
ひとしきり俺の口内を味わった少女は、何故か睨みつけてきた。

「先輩・・・誰かとキス、したことあるんですか?」
「は?なにいって・・・」
「初めてキスされたんだったら、舌で応えてくるなんてありえません。」
「・・・誰がそんなこと言ったんだ?」
「お母さんです。」

抗議の声をあげようとしたが、もう一度唇を奪われた。

「んん・・・せんぱぁい?だぁれと・・・んちゅ・・・したんですかぁ・・・?
そんなせんぱいにはぁ、もっときついおしおき、してあげます。」

俺のベルトに手をかけて、ジッパーをおろすと、トランクスの上から陰茎を撫でてくる。

「ふふ。せぇんぱい。おぉっきくなってますよぉ?」
「こんなこと・・・してたらそう、なるのがあたりまえだ。男ってのは、そうっ、いうもんだ。」

ひとしきり楽しんだのか、今度は下着をずらして直接手を触れてきた。
未知のものに触れるかのように最初は亀頭のあたりを握ったり離したりしていたが、

「くっ・・・・・・、・・・うぁ」

カリを撫でられた途端、俺の口から声が漏れた。
その反応に妖艶な笑みを浮かべた少女は、指先を裏筋にそって這わせてくる。
指づかいが巧みすぎる。お前こそどこでこんなこと覚えてきたんだ。

「ふぅん。じゃあ、誰がやってもこうなっちゃうってことですよねぇ。」
「曲解をっ、するんじゃ・・・ない。あれは、ふ、うぁ。お前にされたら・・・ってぃうぁ!」

竿を掴みながら、カリの裏、鈴口を順番に舌で舐めた。
未知の快感に大きな声をあげてしまった。その声に納得したようにうなづいた少女は、

「もう、充分ですね。・・・今度は、私が気持ち良くなる番です。」

スカートを脱ぎ、次いで下半身を覆う下着を脱ぎ捨てた。

70 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:04:23 ID:VgLGiMfZ
「せんぱい、そのまま動かないでくださいね・・・」

コンドームの包みを破り、俺の陰部に装着する。
俺のズボンとトランクスを脱がすと、腰の上に跨った。

そそり立った俺の陰茎の上には、少女の花弁が当てられている。

そしてそのまま大河内は一気に腰を下ろした。

「はぁっ!う、あ、ぁ、あああああぁぁ!」

処女膜を貫いた感覚が俺にも伝わってきた。
俺の胸に手をついて、肩を上下させている。

「大河内、苦しいんなら、もう・・・」
「いや、です。・・・へいき、です。への、かっぱ・・・」

その目に、迷いはなかった。

「動きますよ。せんっ・・・、ぱい。」

ぬちゃ、ジュプ

腰が上がり、今度は下りてくる。
陰茎を咥えている膣から、血と愛液の混ざったものが滴り落ちる。

「くぅ、う・・・か、は・・・」

俺はすでに大河内と繋がっているこの行為の虜になっていた。
柔らかく締め付け、暖かく刺激を与えてくる。
何度も、何度も。

ずっと好意を寄せていた少女に快感を与えて、同時に与えられているという
この行為は、すさまじい勢いで俺の脳を痺れさせる。

「さ、くら、もう・・・俺は、・・・くぁ・・・」
「わたしも、も・・・・・・せ、んぱ、い。一緒に・・・」

限界がすぐそこまで来ていることがわかる。
俺が全力で腰を動かすと、応えるように大きく腰を振る。

「はぁっ!はっ!はぁっ!あ、も、だめ!
くるぅ!いっちゃぁう!あ、ああ、ああああああああああああぁぁ!」

俺は欲望を吐き出し、大河内はそれを受け止める。

「・・・あつい・・・あついよぉ・・・あったかいのが、たくさん・・・せんぱぁい・・・」


その声は、喜びに満ちていた。


71 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:04:54 ID:VgLGiMfZ




季節は夏。
道場には剣道部員の掛け声と踏み込みの音、面を打つ音が響いている。
その音が一旦止まり、

「籠手打ち、始め!」

部長の掛け声をきっかけに、再び音が道場に響く。
日曜朝7時、ここ練心館で始まった三年生最後の校外練習は二時間続く。


72 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:05:29 ID:VgLGiMfZ
練習が終わり着替えを済ませ、外で部員全員が出てくるまで待つ。
この道場の持ち主の娘であり、今日から剣道部の部長を任された者としての務めだ。

海原先輩を除き部員全員が帰ったことを確認した私は、鍵を閉めることにした。

「おい、待て桜!まだ俺がいるって!」
「うーん、海原先輩の声が聞こえますねー。先輩は遠い星になってしまったというのに・・・。」
「勝手に故人にするな!すぐに出るから、って言いながらも鍵を閉めるんじゃない!」

先輩が出てから再び施錠をする。うん。確認OK。

「さ、先輩帰りましょう。」
「桜。お前なあ・・・」
「今まで自分がやってきたことがわかりましたか?
毎日再三同じことをやらされたからすっかりパターン化しちゃいましたよ。
部長になったらこれやってみたかったんですよねー。」
「・・・・・・。」
「先輩は、ぐうの音も出ないようだ。」
「考えてることを喋るな!
・・・まあ、いいや。さっさと映画見に行こうぜ。」

そう言って先輩は左手を差し伸べる。私はその手を握って先輩の左隣に寄り添う。

「でも先輩。今日はいつもより着替えるのが遅かったですね。
どうかしたんですか?」
「ああ、まあ、ちょっとノスタルジックな気分になったというか。
ここでは本当にいろいろあったなと思ってな。」
「ふふ。違いますよ。『これからも』もっといろいろなことが起こるんですよ。」
「・・・言われてみれば、そうだな。お前が恋人である時点ですでにいろいろやっかいなことがおk」
「そうだ先輩。映画は中止にしてうちの道場でワイヤーなしのワイヤーアクションしましょう。
ちょうどお父さんが漫画に影響されて『竜巻』って技を編み出してましたから。」
「ごめん嘘。前言撤回。頭から落ちるのは勘弁だ。」

こうやって冗談を言い合える関係でいられることが、とてもうれしい。


73 名前:あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:06:28 ID:VgLGiMfZ
あの冬、練心館で私が気絶させた三人は、あの事件のしばらく後に退学した。
正直言って、学校に報告されたらどうしようかと不安に思っていたのだが、
校内で私とすれ違うたびに目をそらす彼らは、あの時の光景がトラウマになってしまい、
何のアクションも起こせなかったようだ。

私の足裏は後遺症を残すことなく完治した。
靴下と、剣道の踏み込みで厚くなっている皮が細かい破片を通さなかったからだ。
これは運がよかった、と言うべきだろう。

先輩の左手がほぼ元通りに直ったのは運ではなく、努力の賜物だ。
四月に先輩の手から包帯がとれたときには、握力はかなり低下していた。
しかし、先輩は握力を取り戻すためのリハビリを欠かすことなく、
七月の頭には怪我をする前以上の実力を見につけ――夏の全国大会の個人戦で、優勝した。

上手く行き過ぎだと思った。
ここまで上手くいくと何らかの力が働いているとしか思えない。


そしてその通り、ある力が先輩と私の間には働いていた。
それは私達の間に、確かな『つながり』があったから。

この『つながり』があるかぎり、私達の心が離れることはない。
もう、あの寒さを味わうことはない。
今では、いつでも春の暖かさが私の心を包んでいる。

「じゃあさっそく行きましょう!ほら!手を繋いで!」

二人の『つながり』を消さないために。
二人の心が離れることのないように。


あなたと、握手を。





74 名前:あなたと握手をあとがき ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:08:00 ID:VgLGiMfZ
エロ妄想をしながら書いた。
正直、俺にエロの才能はないとわかった。反省している。



75 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:17:00 ID:BbVwOBjk
GJ!

76 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:21:50 ID:Ujj7CPCT
GJ!!
良い作品だった!
できれば次回作もお願いしたい!
ヤンデレ成分強めで

77 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:45:39 ID:LmMEUhhQ
投下しますよ

78 名前:『首吊りラプソディア』Take1[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:46:37 ID:LmMEUhhQ
「やぁ性犯罪者、楽しそうだね」
友人の言葉に、俺は溜息を吐いた。
「黙れカマ野郎」
俺にカマ野郎と呼ばれたこいつの名前は、フミヲ・轟。外見は出来る女、部類で言えば
現相棒に指定されたサキ・立花に似た雰囲気があるが、こっちの場合はれっきとした男だ。
そこらの女よりも見栄えが良いのだが、先程の発言だけでも分かる通りに口が悪いので、
全てを台無しにしてしまっている。口さえ開かなければ、どれだけ周囲の反応が変わるか
分からない。人の外見が印象を左右するという、分かりやすい見本だ。
男なので当然スカートの中身が見えることを気にせず、豪快に足を開いてベンチに座る。
そしてこちらを見上げると、愉快そうに口元を押さえて肩を震わせた。
「いや、しかし笑えるわね。性犯罪でSSランクなんて」
堪えきれなくなったのか、フミヲは腹を抱えて笑い出した。
俺だって好きでなった訳ではない、上からの指示でしかたなくこうなっているのだ。
首に付いているのは黒い金属製の二つの首輪、つまりはSSランク罪人の証だ。潜入捜査
の為には罪人になる必要があるのも分かるし、基本的に立ち入り禁止の場所が皆無になる
SSランクにされるのも理解が出来る。そこまでは良いのだが、何故よりにもよって罪状が
性犯罪なのだろうか。それを局長から告げられたとき、カオリが『首吊り』容疑者として
考えられていると言われたときとは別の目眩がした。犯行内容も悪質極まりないもので、
猥褻物陳列罪及び多数の変態的行為というものだった。強姦罪などの直接的なものが何故
か含まれていなかった為に、余計に変態臭く思えてくる。何の問題も起こさずに監獄都市管理局の平局員として真面目に
働いてきたつもりだったのだが、上層部は俺にどんな恨みがあるというのだろうか。


79 名前:『首吊りラプソディア』Take1[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:49:08 ID:LmMEUhhQ
「今まで前例が無かったらしいわよ、変態SSランクなんて」
それはそうだろう、俺も聞いたことがない。俺と同じ境遇の罪人を躍起になって探した
けれど、過去のデータベースの変態罪人の中でも精々Aランク止まりだった。因みにその
馬鹿はある式典で大統領演説の際、全裸で会場ジャックをしたという猛者だった。そんな
奴よりも上だと知ったとき、良い歳をして本気で泣きたくなった。娑場で一生懸命働いて
いる両親に対し、申し訳ない気持ちが溢れてくる。
嫌なことを思い出し、俺は再び吐息。
「もう帰れ、頼むから帰ってくれ」
「何よ、折角有給取ってまで遊びに来たのに」
そんなことに大切な有給を使わないでほしい。代わりに仕事をする同僚が可哀想だし、
何よりも俺らは公務員だ。国民の大切な税金から給料が支払われているというのに、その
行く先が変態罪人見物の為に使われていると思うと怒り心頭だろう。しかも真っ先に怒り
の矛先を向けられるのは、真面目に対応をする俺のような人間なのだ。勘弁してほしい。
「それで、噂の相棒ちゃんはどこ?」
「ん、今カオリの方に行ってる。俺の名前を盾に、最近の行動を……」
直後。
最後まで言うことなく、俺は慌てて背後に飛び退いた。次の瞬間には、俺の立っていた
空間を不可視の塊が通り過ぎてゆく。それは進行先の大木にぶつかって、轟音をたてる。
幹の幅が5m程もあるにも関わらず、全体が大きく揺れていた。


80 名前:『首吊りラプソディア』Take1[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:50:47 ID:LmMEUhhQ
「虎吉ちゃん、早まっちゃ駄目!!」
「早まっているのはお前の方だ!!」
声の方向に向き、反射的に叫ぶ。
本当に危ないところだった。この大木は第36監獄都市のシンボルであると同時に、硬度
が高い木としても知られている。それなのに今の攻撃は樹皮だけでなく幹本体をもえぐり、
小さな子供ならば中に入ることが出来るような穴を作っている。もしもこれが自分の体に
当たっていたかと思うと本当に恐ろしい、カオリの調査どころではなくなっていた。
誰がやったのかと思えば、カオリ本人だった。
「何しやがる!!」
「ご、ごめんなさい。このお姉さんが、虎吉ちゃんが世界一の変態になったって言ってて、
それで女の人とお話をしてたからつい。ごめんなさいごめんなさい」
つい、で殺しかけてしまうのか。昔から性格が優しかった割に容赦がない奴だったが、
ここに入って悪化しているような気がする。特に今のものは洒落になっていない。
カオリが撃ったのは、恐らく空気弾だ。空気を固めて撃ち出すという、目に見えないが
打撃力も熱量も高い、軍事兵器としても使われているもの。普通ならば複雑な制御が必要
なので大型の確率システム制御装置が要る筈だが、見たところ身に着けているのは市販の
指輪型のものが一つだけ。才能があると思ってはいたが、ここまでとは思わなかった。
「すみません先輩、もう少し威力の低いものを勧めるべきでした」
「お前の指示か」
「ここのシンボルが、あんな無惨な姿に」


81 名前:『首吊りラプソディア』Take1[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:52:17 ID:LmMEUhhQ
俺の心配は無いらしい。
初めて会ってから一週間足らず、まだ間もないというのに俺は嫌われているのだろうか。
しかも毎日会っていたという訳でもなく、合計すれば三日も会っていない。それなのに、
ここまでされる理由が分からない。嫌われる瞬間も何も、そんな機会すら無かったのだ。
たった数分の間に一気に疲れが溜り、肩を落とす。
「大丈夫、虎吉ちゃん?」
「大丈夫だ、今はまだ」
これからは多分、もっと酷いことになるだろう。気合いを入れる為、改めてカオリの姿
を見る。カオリの今の姿を忘れてはいけないと、守らなければいけないと自分を戒める為。
今にも壊れてしまいそうな弱い娘を、壊さないようにする為に。
「どうしたの、そんなにじっと見て? 何だか恥ずかしいよ」
「綺麗になったな」
「やだもう、お世辞ばっかり」
カオリは照れ臭そうに顔を背けるが、これは本音だった。
カオリと別れてから二年になるが、その短い間に子供は急成長する。最後に会ったとき
はまだまだ子供だと思っていたけれど、どことなく大人びて見える。身長が伸び、それに
合わせて体のラインも確かに女性のものになっていた。第四惑星の血が少し混じっている
のでやや小柄だが、それは目に見えてはっきりと分かる。


82 名前:『首吊りラプソディア』Take1[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:53:23 ID:LmMEUhhQ
ただ、変わらない部分の方も同等に目に着いた。
灰色の髪は最後に見たときと変わらずに長く綺麗で、緩く波打っているのも変わらない。
相変わらずドジな部分が多いのか膝や肘が少し擦り剥けているし、喋り方も昔と同じだ。
それに顔を見ていると、人の根っこの部分は簡単に変わらないのだと思う。垂れ目がちの
大きな瞳、それがよく似合う柔和な笑みは幼い頃からずっと変わっていない。何の根拠も
なく、カオリはやはりカオリなのだと思ってしまう。
「変わらないな、カオリは」
口に出して言うと、はにかんだ笑みを見せる。
「さっきと言ってること違うよ?」
「良いとこだけ伸びたってことだ」
「そう?」
「先輩は、悪い部分が伸びたみたいですけど」
サキの発言にカオリは軽く首を傾げ、すぐに意味を理解したらしく俺の顔を心配そうに
覗き込んできた。その顔が僅かに赤く染まっているのは何故なのだろうか。
「あのね、虎吉ちゃん」
言わないでくれ。
「その、変態になったのは本当なの?」
カオリの口からだけは、訊かれたくなかった。思わず否定してしまいそうになったが、
サキの視線が飛んできたことにより寸前で堪える。これは潜入捜査で、しかも対象は俺に
問うてきている本人なのだ。簡単に言ってはいけない。それは分かっているが、俺の心は
悲鳴をあげていた。カオリの純粋な視線に堪えられない。
沈黙を破るように、サキが咳払いを一つ。
「この首輪が見えないのですか?」
「やっぱり、そうなんだ」
頼むから納得しないでくれ。
どうにもならなくなり、俺は頭を垂れた。

83 名前:ロボ ◆JypZpjo0ig [sage] 投稿日:2007/01/25(木) 01:56:25 ID:LmMEUhhQ
今回はこれで終わりです


『甘獄と青』と世界は同じですが、
読んでない人でも分かる話にする予定です
意味が分からない単語が出てきたときは、そんなもんだと思って下さい

84 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 02:07:07 ID:c9ccpKjw
虎吉と聞いてとらとらシスターを思い出したのは俺だけ?

85 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 04:08:24 ID:J1GQFbD1
連続投下キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
>>74
GJ!大河内さんも海原も幸せになってよかった(*´∀`*)
>>83
GJ!主人公が不幸だw
そしてこれから誰が病んでいくのかwktkです

86 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 08:36:34 ID:XeFIWhqF
>>83
ロボ氏GJ!

虎吉ちゃん濡れ衣着せられてカワイソス

87 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 10:27:02 ID:mDe6Ynjo
>>74
2人とも生きて幸せになれて良かったよ…(つД`)。゜
というかヤンデレ大河内さんを普通に受け止める海原先輩スゴス

>>83
なんか変な人いっぱいいるぅぅぅ!!カオリの今後にwtkt


88 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 11:49:52 ID:sCO44oSb
◆Z.OmhTbrSo氏、ロボ氏、共にGJ!!

ここもついに活気付いて来たな!!

89 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 19:45:27 ID:DXtDyYh7
無口系ヤンと幼馴染系ヤン…
これにはwkwkせざるを得ない

90 名前:埋めネタ投下終了 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/25(木) 22:51:47 ID:VgLGiMfZ
『ひどいよ!おおこうちさん』を前スレに投下しました。
もしよろしければご一読を。

注意:ヤンデレ分五割増し

91 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/25(木) 23:23:19 ID:BbVwOBjk
パラレルかと思ったらオチに糞ワロタwwww

92 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/26(金) 07:48:59 ID:ZSZVQ/6V
>>90
>床に置かれていたのモップを手に取り、
>床に置かれていたのモップを手に取り、桜めがけて
>床に置かれていたのモップを手に取り、桜めがけて突進する。

ちょwwwのモップてwwww

93 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/01/26(金) 23:27:26 ID:UnvIt1gf
間があいてすいません
九話投下します

94 名前:ミツバ[] 投稿日:2007/01/26(金) 23:48:54 ID:r8DAWahY
お茶会きた―――!!
これからも頑張って下さい。

95 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/01/26(金) 23:51:28 ID:UnvIt1gf
教室に如月更紗の姿はなかった。

「………………」
いつまでも教室の入り口に立ちすくむのもあれなので、扉を閉めて自分の席にまで向かう。如月更紗が普段ぼうと窓の外を
眺めている椅子には、誰も座っていない。机の上に何も置かれてもいない。無人を主張するように、ある種の空白感をとも
なってただそこにあるだけだ。
人の座らない椅子と机ほど虚しいものはない、と思う。誰かが風邪で休んだとき、あるいはいなくなったとき、そのたった
ひとつだけの空白はとても目立つのだ。
ふと、何の脈絡もなく椅子とりゲームを思い出す。椅子が全て埋まっているのに、人間が一つ余っているという不思議。
椅子に意識があれば、きっとそのときの人間と同じなんじゃないかと僕は思う。
一つだけ余っているのも。
一つだけ足りているのも。
それは同じことだ。向きが違うだけで、はみ出していることには変わりない――
「…………」
なんてことをつらつら考えながら、如月更紗の席から視線をそらした。彼女との奇妙な関係はまだ
誰にも知られていない。始業ベルのなっていないこの時間、空席が一つしかないわけでもない。如月
更紗の席ばかり見ていたら、勘のいいやつには怪しまれるだろう。
如月更紗は、学校では大人しい優等生なのだし。
僕だって――ごく普通の、学生だ。
周りの皆と、同じように。
それは、即ち。
周りの皆も――一歩見えないところでは、同じように壊れているのだろう。
「……結局、僕だって平均値なんだよなあ」
姉さんもそうなのかな――と思いながら、席につく。
どうも今日は思考が散漫している。朝から色々なことがありすぎたせいだろう。まだ学校に来たばかりだと
いうのに、帰って昼寝したくなる。いや、帰らなくても昼寝はできるか。一限目だけ授業に出て、ニ限目から
は寝るかな……一回や二回休んだところで対して授業に問題は出ないし。こういうとき『困るのはどうせ自分
だ』とでも呟くべきなのかもしれないが、しかし、テストで赤点をとろうが停学になろうが退学になろうが僕
は別に困らないのだった。
姉さんがいなくなった、三年生までは在校したいと、その程度にしか考えていない。
なんで――僕はここにいるんだろうな?
そんなことは、誰にだって分からないのだった。
「……本格的につかれてるな」
誰にも聞こえないように呟く。呟かなければやってられなかった。こんなこと、他の誰かに聞かれたら説明に
困るので、できるかぎり音を立てずに口の中だけで響く程度まで声を落とす。そこまでしなくても、朝のがやが
やとした教室内では目立たないが、念には念をというやつだ。
神無士乃はいない。年代が違う彼女はここにはいない。それだけが唯一の安息内容だった。
――と。
がら、と扉が開く。教室の喧騒こそ収まらないものの、何人かの視線が扉へと向かう。時間的に教師がくる可能性
もあったが、なんとなく予感があった。恐る恐る、僕も彼らと同じように扉を見る。
案の定、如月更紗がそこに立っていた。
朝見たとき――つまりは全裸だ――とは違う、きちんと制服を着た姿。ただし、家から出るときに持っていた巨大な
キャリーケースは手にしていない。その細い手が持っているのはごく普通の学生鞄で、あの長い鋏が握られていたりも
しない。一度自宅に帰ったかなにかして、どこかで荷物を置いて来たのだろう。
そりゃああんな大荷物持って学校にはこれないな――と思う反面、疑問がわいた。
自宅。
如月更紗は、いったい何処で、誰と住んでいるのだろう。
まさか木の股から生まれてわけでもあるまい。両親や家族はいるだろう。住む家は……まあ、無いと
言われても驚きはしない。さもありなん、と思うだけだ。
如月更紗は、僕のことを深く知っていた。
僕は――如月更紗のことを、何も知らない。
「…………」
それが少しだけ、心に棘を刺した。その棘が何なのか、よく分からなかったけど。
如月更紗は僕に一度だけ視線を向け、止めることなく視線を流した。ぼうと空の机を
見ていた僕とはえらい違いだ。一瞬視線が絡んだことなど、僕と如月更紗以外には誰にも
分からなかったに違いない。
誰に挨拶もせず、如月更紗は教室を縦断し、彼女の席についた。話しかけるものは誰もいない。
いつも通りの朝だった。
いつも通りに、始業の鐘が鳴った。


96 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/01/27(土) 00:25:21 ID:zq2tTUAY
二限目。授業をさぼって保健室に行くと
「遅かったわね」
当然のように、如月更紗がベッドで横になって僕を待っていた。
「…………」
つい数時間前に見た光景をデジャヴして脳がくらりと悲鳴をあげる。幸いというか、最悪にというべきか、
如月更紗は服を着ていなかった。脱いだ制服がきちんとハンガーにかけられている。上も下もきちんとかけられ
ているので、今毛布の下の如月更紗は下着姿だろう。
「偉いでしょう? 皺にならないようにしてるのよ」
僕の視線を読んだのか、如月更紗はどこか自慢げにそういった。
悪いが、全く自慢にならない。
「せめてジャージでも着てろよ……」
「あら、あら、あら。冬継くんは体操服とブルマがお好みと?」
「誰がそんな話をした! 僕が言ったのはジャージだ!」
「嫌よ」如月更紗は眠そうにあくびをして、「あんなものを着るのは、私の美意識が許さないわ」
「まあ、あの野暮ったいジャージがお前に似合いそうにもないことは保証してやるが……」
「ちなみに下着も着ていないわ」
「それは着ろよ!」
「私の美意識が――」
「お前のソレはただの露出癖だ!」
首の下あたりまで毛布が被さっているため、如月更紗の言葉が真実かどうか判別するすべはない……いや、むきだしの首
筋とか鎖骨とかが見えていて、肝心の下着の紐が一切見えていないということは、少なくとも上はつけていないことになる。
朝のときといい、今といい、寝るときには何もつけないタイプなのだろう。
しかし……学校でまで……
僕の疑問をやはり顔から読んだのだろう。如月更紗は微笑んで、
「生まれるときと――死ぬときくらいは、余計なものはいらないと思わない?」
「…………」
「装飾品を全て削り落として、人格も全てこそぎ落して、何もかもをなくして――
さながらチェスのように、白と赤に染まって終わりたいとは、思わない?」
「……チェスは白と黒だ」
一応突っ込むが、如月更紗の微笑みは変わらない。僕にだって分かっている――彼女の言うところの『チェス』は、
普通のチェスではない。
赤と白のチェス。
言うまでもなく、不思議の国のアリスだ。
「白い肌が赤い血に染まって――ってか。寿命って線はないのかよ」
「考えられる?」
「ちっとも」
そこは素直に頷く。
僕にせよ彼女にせよ誰にせよ、寿命で死ぬところなど、想像もつかない。
「毛布をはぎとりたそうな顔をしてるわね」
「してねえよ! 脈絡のない嘘をさらりと言うのは止めろ!」
「毛布をはぎとりたそうな存在をしてるわ」
「存在意義すら捏造された!?」
「ちなみに私は――きっと、毛布をとりたそうな顔をしているのでしょうね」
「格好つけて言うのは構わないが、やっぱりお前のそれはただの露出癖だ」
童話で脱ぎたがりの御姫様とかいたっけな……狂気倶楽部でのコイツの二つ名は、きっとそんな感じに違い
ない。棘姫とか、その辺が適任なんじゃないだろうか。鋏持ってるし。
「それで……なんでお前ここにいるんだよ」
無理矢理に話を戻す。無理矢理戻さないとずるずると脱線してしまうことを、ここ数日の付き合いで思い知っている。
つぃ、と、如月更紗は僕へと手を伸ばした。何もつけていない、付け根から指先まで肉のない細い裸腕が僕へと伸ばされる。
伸びた爪先が、惑うことなく僕を狙っていた。
「貴方が、ここにいるから、よ」
「…………」

97 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/01/27(土) 00:54:51 ID:zq2tTUAY
「話したいことがあったから、先に来てたのよ」
眠かったしね、と冗談めかして如月更紗は付け加え、手で口元をかくして欠伸をした。
移りそうになる欠伸をどうにか堪える。この女の前で大口あけて欠伸をしたら、その口に鋏
を突き入れられる気がしてならない。
どうせ、毛布の中か枕の下にいつもの鋏を隠しているんだろう。
「……眠いのか?」
「一晩緊張していたから」
「チェシャがくるかも、と?」
「そうね」如月更紗は頷き、「いつ貴方に襲われるかと戦々恐々と緊張していたわ」
「前後の文が繋がってねえ! そもそも自分から裸になっておいて――」
「据え膳を食べる男なのね」
「…………」
そういわれると立つ瀬がない。実際、神無士乃がきていなかったらにゃんにゃんしていた可能性だって
なきにしもあらずなのだ。
いい加減恥かしいので、話を戻す。
「チェシャは――人の家に平気で真夜中に襲撃かけるような常識知らずなのか」
「いえ。常識を知っているからこそ、よ」
言って、口元を押さえていた手をするりと枕の下にもぐりこませ、如月更紗は見慣れた鋏を取り出した。
何度見ても心地良く感じない、物騒な鋏。その鋏の持つ部分に指をかけ、くるりと回して、如月更紗は切っ先
を僕に向けた。
「狂気倶楽部には、二つの原則がある。遺書を書くことと――外側と線を引くこと」
「…………」
遺書と――区分分け?
「前者は置いておくとして……この場合の問題は後者。チェシャもアリスも、常識を知っているから、常識を知りすぎて
いるから、決して学校や人前でしかけてくることはない。けれど逆に――路地裏や廃ビルや、夜中の家や街だと、遠慮なく
襲ってくる。『日常と違う場所』という、一種の異界だから」
「異界って……同じ世界だろ」
「そう、同じ世界。けれど、違う世界だと思い込める、そういう場所が必要なの」
これはこれは、大きな大仰な『ごっこ遊び』なのだから。
そう、如月更紗は言葉をまとめた。
「ごっこ遊び……」
「儀式、と言い換えてもいい、そういう場が必要なの。その線を越えれば――ヤマネのように事件になる」
また――知らない名前だ。
ヤマネ。
恐らくは、不思議の国のアリスに出てきた、眠り続けるヤマネのことだろう。そしてそれは、狂気倶楽部
の人名でもあるはずだ。
そいつもまた――姉さんの事件に、関わっているのかもしれない。
そう思うと、黙って話を聞く以外の選択肢はありえなかった。
「だからこそ今は安全で……だからこそ、今は休息を取らないと。
今夜にでも、あの子は来るのかもしれないわ」
ふぁあ、と如月更紗はもう一度欠伸をして、鋏を元に戻した。案外、本当に眠いのかもしれない。
「だから冬継くん」
「なんだよ」
「今日は一緒に手を繋いで帰りましょう」
「手を繋ぐ意味はあるのか……?」
「私が嬉しいわ」
「……。嫌だといったら?」
「手を繋いで帰るわ」
そこで如月更紗は言葉を切り、にっこりと笑って、
「あなたの手を切り取って、繋いで帰るわ」
「怖いことを笑顔で言うな! 余計に怖いだろうが!」
「冗談よ」
「それこそ嘘だろ……」




98 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/01/27(土) 01:05:01 ID:zq2tTUAY
はぁ、とため息一つ。無論それは形だけだ。
一緒に帰ろうという如月更紗の提案は、学生同士の甘酸っぱい約束でも何でもなく、純粋に『学校
帰りに襲われる可能性がある』と指摘しているに過ぎない。僕の身の安全を保証するといった如月更
紗が下校を共にしようというのは、わからないでもない。
同年代の女の子に守られることに抵抗がないわけでもないが……それよりも、何よりも。

狂気倶楽部同士で食い合ってくれたほうが――僕としては、都合がいい。

「…………」
ただ問題があるとすれば、下校を一緒に帰るということは、神無士乃を置き去りにしなければ
ならないということだ。如月更紗と神無士乃の三人で一緒に帰るなどという自殺行為をする気は
ない。それどころか、朝臭いを覚えられている可能性がある以上、引き合わせることさえ危険だった。
そもそも、今日の放課後は神無士乃と約束があったんだっけ。
どうしよう、と悩みながら、悩む時間を確保するために、僕は如月更紗に質問する。
「なあ、如月更紗」
何? と首を傾げる如月更紗。むきだしのうなじと鎖骨が艶かしく蠢く。学校でこんな
姿をしてるなんて――十分倒錯的だ。一応カーテンでしきられているものの、誰かに見られたら
どうするんだ。
……既成事実ができるだけか。
心の中で、心の底からため息一つ。
「お前、先回りしたって言ったよな」
「言ったね、言ったわ」
「どうして――僕が保健室にくるってわかったんだよ」
「ああ、そんなこと」
くすり、と、如月更紗は意味ありげに渡って。
「入学したときから、ずっと見てたもの――貴方が保健室にいくときの態度くらい、覚えてるわよ」
「…………」
ストーカー?
ストーカー……なんだろうなあ。
狂ってる?
狂ってる……んだろうなあ。
人のこと、言えないけど。
ちょっと可愛いと思ってしまう辺り――もう駄目なんだろうけど。
さて。
そんな如月更紗に対して、僕はどうするべきなんだろう――――?


99 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/01/27(土) 01:07:51 ID:zq2tTUAY

以上で九話終了です
先人を見習って選択肢でもつけてみようかと思います

A.如月更紗と時間を過ごす
B.神無士乃と時間を過ごす
C.今すぐ家に帰って姉と会う


100 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 01:15:07 ID:6OO4cR14
>>99
A!!!

101 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 01:15:52 ID:BLGls1Cl
いない君といる誰かキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
GJ!
>ちょっと可愛いと思ってしまう辺り――もう駄目なんだろうけど。
俺はとっくの昔に更紗たんに萌えまくり(;´Д`)ハァハァ 
だから選択肢も当然

rアA

102 名前: ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/27(土) 01:19:51 ID:N3CylHm4
>>99
GJ!!です

どこかエロスを感じさせる文章にゾクゾクさせられてます
文章の書き方も見習わせていただきます
本当にありがとうございました

103 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 02:34:36 ID:YRtPIB7z
>>99
A以外選択肢が見えない件

104 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 04:27:36 ID:kKCDeWwi
>>99
Dのニア ころしてでも いきぬく

105 名前:埋めネタ投下終了 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/27(土) 05:02:00 ID:N3CylHm4
流れを切ってしまってすいません。

『ひどいよ!おおこうちさん』を前スレに投下しました。
もしよろしければご一読を。

注意:パロディです。
ただ、ちょっと時間の感覚を掴みにくいかもしれません。

では先ほどまでの続きをどうぞ
↓↓↓↓↓↓↓↓

106 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2007/01/27(土) 05:07:54 ID:qP+9mHCU
>>99
欲張りな性格なので全部ということで

107 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 11:21:05 ID:b6Tld6i3
更紗はどことなく森野っぽいな
懐かしい

108 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 14:43:53 ID:613OV8Yp
>>99
もうAしか見えない

109 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 15:46:49 ID:6OO4cR14
>>105
あなたもGJ

Aがいいとは言ったものの死んだ姉に会いに行くのもなかなか危険で良い気がしてきた…


110 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 15:52:53 ID:xD6FLWAu
Bで

111 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 15:58:33 ID:P74dswY9
アネスキーの俺にはCしか見えないな

112 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 17:05:44 ID:iKaAdTYm
Aですね。

113 名前:ミツバ[] 投稿日:2007/01/27(土) 17:09:46 ID:6hTEtMR1
Bでお願いします。

114 名前:渋沢夏恋の話◇ミツバ[] 投稿日:2007/01/27(土) 17:32:49 ID:6hTEtMR1
――告白しよう。
私こと渋沢夏恋は、唯一の肉親である、渋沢剛毅を誰よりも愛している。

思えば私は、剛毅がより私の愛を感じる事が出来るように、いろいろと手を尽くしてきた。

十五年前、剛毅に対して私以上の愛情を注いでいた両親を、交通事故に見せかけて亡きものにした。
――私以上に剛毅を愛する者などあってはならない。
両親の葬儀の際、多くの人が『可哀想に…』と私に同情してくれた。
けれど、剛毅とのふたりきりの生活を夢想する私にはどうでもよいことだった。

私達を引き取ろうとする親族もいたが、丁重に断った。
「ふたりきりの家族ですから、これから支えあっていきたいと思います」
親族達はそんな私を気丈だと誉め、そっとしてくれた。

――正直助かった。もし強引に引き取られでもしたら、その人たちまで殺さなくてはいけなくなるところだった。
殺人はどうでもよいが、警察に嗅ぎつけられたら剛毅と離れ離れになってしまう。

115 名前:渋沢夏恋の話◇ミツバ[] 投稿日:2007/01/27(土) 17:49:51 ID:6hTEtMR1
剛毅が小学校に上がる時はとても心配だった。
剛毅は私の為に操を立ててくれると信じでいるが、クラスの汚らしい雌餓鬼共が剛毅を誘惑するかもしれないからだ。
私の危惧は当たった。
剛毅が雌餓鬼を連れて帰ってきたのだ。
掴みかかりたい衝動を堪え、よそ行きの笑顔を張り付かせた。

唇を噛むと、血が滲んだ。
その痛みの報復は、その日のうちに晴らした。


――次の日、剛毅は酷く落ち込んでいた。
駄目だよ?私の前では笑顔でなきゃ。
剛毅の笑顔はこの世で一番可愛いんだから。

夕食になっても剛毅は落ち込んだままだった。
話を聞いてみると、昨日一緒にいた雌餓鬼が、バラバラにされて発見されたらしい。
なぁんだ、そんなこと、剛毅が気にする必要ないのよ?

その夜、剛毅を慰めるために、私たちは一戦を越えた。

116 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 19:05:09 ID:Hy1Lr/32
キモ姉ですか。
……これからに期待させていただきます。



ところで、トリップは付けないのでしょうか?
みたところ、直接◆の後に「ミツバ」と入れているようですが……。

117 名前:ミツバ[] 投稿日:2007/01/27(土) 19:16:21 ID:6hTEtMR1
トリップは立派な職人さんの証だと考えているので、恐れ多くてつけられません

この話は一人称のみで書いていきたいと思っています

118 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 19:24:44 ID:N3CylHm4
>>115
>剛毅が小学校に上がる時はとても心配だった。
ちょwwww早すぎwwww

あ、このスレでは普通か

>>117
では、気が向いたら使ってください。

トリップの付け方(嫉妬・三角関係まとめサイトより)
名前欄にタイトルのあと、「半角# + 秘密の文字列」でトリップが出ます。
(例) 鮮血の結末 7#abcdefg → 鮮血の結末 7◆v/rTh0HxaQ になります。

119 名前:ミツバ[] 投稿日:2007/01/27(土) 19:31:54 ID:6hTEtMR1
わかりました。

あ、しばらくは夏恋の回想で話を進める予定です。
ちなみに登場人物の現在の年齢は、
剛毅→17歳
夏恋→20歳

…あれ、てことは夏恋は5歳で童貞を失ったということに……

120 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 19:51:51 ID:N3CylHm4
>>119
小岩井よつば吹いたwwww

121 名前:ミツバ[] 投稿日:2007/01/27(土) 20:00:49 ID:6hTEtMR1
>>120
小岩井……?
すみません、勉強不足で元ネタ分からないので教えてください。

122 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 20:06:29 ID:N3CylHm4
小岩井よつば(♀)
あずまきよひこの漫画「よつばと!」の主人公。
めがっさ元気な女の子。五歳。

googleで検索したほうがわかりやすいと思う。

123 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/27(土) 20:19:52 ID:lTBU4TLV
何か色々と素人っぽいように見えますが、作品の『先』は見えてますか?
長編を書くつもりなら、ある程度筋書きを決めておかないと終われませんよ?


124 名前:埋めネタ投下終了 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/28(日) 07:21:29 ID:wFSh9mQ6
『ひどいよ!おおこうちさん』を前スレに投下しました。
もしよろしければご一読を。

また脳内に妄想が浮かんだら新たなSSを投下しますので、
そのときはよろしくお願いします。


125 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/29(月) 07:42:42 ID:VVpTfat0
GJ!

126 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/29(月) 14:52:20 ID:mqZacx+v
これ置いておきますね

つ「病み鍋PARTY」 ttp://amane.dyndns.info/yami/

127 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/29(月) 17:02:58 ID:bT6KQYqF
>>126
本州か・・・おいは九州の人間だから本州さ怖くて行けねぇ。
行ってみてぇけんど、ヤンデレ本欲しいけんど、むりだぁ。
みんなで楽しんできてけろ。

128 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/29(月) 18:27:03 ID:+4y5EUiI
行く人は報告ヨロ。
委託してたら買うかも知らんで。


ちなみに、俺は愛知県。
5回乗り換え、約3時間半と約11000円かけねば行けね……orz

129 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/29(月) 18:52:43 ID:SQxqzpns
今ならイベント参加もぎりぎり間に合うのか
問題は金と絵と時間だな……

見るだけ見にいってみるかなあ

130 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/29(月) 19:32:18 ID:FMqSkYE+
これは…行きたいけどひぐらしとハルヒ知らない俺にも買えるオリジナル物はあるのかな。

131 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/29(月) 19:37:44 ID:MfdIXOF/
>>130
ちょい待て。ハルヒはこのスレ的にヤンデレで決定してるのか?

・・・・・・まあ俺もハルヒはヤンデレものを好んで読んでるけど。

132 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/29(月) 20:07:55 ID:FMqSkYE+
>>131
ハルヒがヤンデレと言うよりヤンデレの二次創作物はハルヒが多いかな、と思って。
冬コミでも見かけたし、ヤンデレ二次創作物は他はひぐらしくらいじゃないのか?

133 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/01/29(月) 20:27:27 ID:SQxqzpns
「あら、駄目ですよ」

後ろからかかる声と共に――止められた。
無理矢理に、脚を止められた。
止めざるを得なかった。
横薙ぎに脚を包丁で切られれば、誰だって足を止めるだろう。
右足から感覚が消え、うまく走ることができずに右半身から床に倒れこむ。受身を取ることすら
できなかった。どうにか手をついて頭を床にぶつけるのだけは防ぐ。
遅れて――痛みがくる。
脚に、痛みが。
痛い。
それ以上に――熱い。脚が熱い。熱いのに、冷えていく。
脚から血が、抜けていく。
「兄さんに乱暴しようなんて――私が許しません」
上から声がする。さっき後ろで聞こえていた声が、今度は上から聞こえてくる。高い、女の子の声。
聞いたことのない声は、笑っている。
楽しそうに、笑っている。
「兄さんに触れるなんてとんでもない。触れていいのは、私だけです」
笑い声が近づいてくる。同時に、きぃ、きぃと車輪の音が聞こえる。
何の音だ――疑問に思いながら、力を振り絞って、身体を仰向けに戻す。
車椅子に乗り、血に濡れた包丁を手にした少女が、楽しそうに笑っていた。
「男の方も、女の方も、関係ありません。兄さんの側にいていいのは私だけです。
私は兄さんだけのもので、兄さんは、私だけのものです。
そうでしょう――兄さん?」
最後の言葉は、僕ではなく、松葉杖をついた男に向けられたものだった。
男は、目の前で起きた惨劇に眉一つ動かすことなく、退屈そうに答える。
「お前が言うなら、そうなんだろ」
「ええ、その通りです。だから――貴方は、邪魔者です」
退屈そうな男と対照的に、少女はどこまでも楽しそうだった。
おかしそうに、笑っている。
犯しそうに――笑っている。
「お前、は……」
脚の傷を手で押さえる。ぬるりと、血に濡れる感触がする。それでも血が止まらない。フローリングの床に、血が
だくだくと、だくだくだくと広がっていく。的確に、これ以上ないくらいに正確に動脈を切られたのだろう。
急いで手当てをしないと、間違いなく死ぬ。
いや、手当てをしても怪しい――そして、それ以上に。
目の前の少女が、それを許すようには見えなかった。
「ごめんなさい。ここは貴方の家なんでしょうけど……今は、私と兄さんのための世界なんです」
くすくすと、車椅子の少女は笑う。血塗れの包丁にはそぐわない、純粋無垢な笑みだった。
少女は笑う。
男は笑わない。
僕は――
「は、はは」
僕は、笑った。
「はははははははははははははははははははははははははは!」
笑うしかなかった。
なんだ――これは。
一体なんで、こんなことになっている。理不尽だ。曖昧だ。唐突すぎる。伏線も前ぶれも何もなく、理由も意味もなく、
――僕は、殺されるのか。
姉さんを殺した奴にですらなく。
その妹に――邪魔だという、それだけの理由で、死ぬのか。
馬鹿げている。
狂っている。
どいつもこいつも――狂ってやがる。
「はははははははははははははははははははははははは!」
僕は笑い、笑い、笑って、

「煩い」

喉に包丁が突き刺さって――それ以上、笑うことはできなかった。

134 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/01/29(月) 20:29:50 ID:SQxqzpns

ごめんなさい投下先間違えました
前スレに埋めネタ投下中です


135 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/29(月) 20:59:23 ID:MfdIXOF/
本当に会いに行ってしまった・・・・・・

だがGJ!!

>>132
ひぐらしの二次創作って
『あの時こうしていたらハッピーエンドだったのに』
っていうのが多いのかな?

136 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/29(月) 22:50:31 ID:GflRSjlw
ひぐらしのヤンデレものは表層的で好かんな
狂ってしまうほどに真っ直ぐ主人公を愛するヒロインの一途さに惹かれるわけで。
退廃的なエロス万歳!

137 名前:名無し@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:06:02 ID:/y3XY1Td
「ね、ね、にーちゃ、きょ、今日、お家いるの?」
「あ? いるけど? 何、なんか用?」
「う、ううん。よ、用事とかじゃ、な、ないんだけど。えへ、に、にーちゃと一緒にいれるな、て。お、思ったから。う、嬉しいな。えへへ」
俺は力任せに妹の鼻っ柱を殴りつけた。華奢な身体の妹は、二メートル近く吹き飛んだ。俺は妹に近寄ると、髪の毛をわし掴む。
「や、にーちゃ。い、いた、痛いよぅ」
「いいかい、美都? 俺はお前の何?」
「に、にーちゃ」
「違うだろ」
もう一発、鼻に入れる。ただ、さっきより全然力は入れていない。
「ご主人様。オーケー? 言ってみな」
「ご、ごしゅじんさまぁ」
「ん、良い子だね美都。ほら、キスしてあげるよ。お前犯されるの好きだろ?」
「ん、んぅ、や、にゃ、に、にーちゃ。気持ち、いい、よぅ」
「んー良い子良い子。ほら、鼻血出てるぞ。ご主人様が舐めて拭いてあげるよ」
「く、くすぐったよぅ。に、にーちゃはやっぱりやさ、や、優しいね。えへ、えへへ。に、にーちゃ大好き」
「……美都、俺はお前の何?」
「え? え? に、にーちゃはにーちゃだよ。ち、違うの!?」
「……んーん。違わないよ、美都。ほら、おいで。部屋でいい事したげる」
「う、え、えちぃのはや、やだよ? こ、怖いから、や、だよ?」
「お前は本当バカだなぁ。まあそこが可愛いけどね。あと俺に命令すんな」
「え、えへへ。ほ、褒められちゃった。に、にーちゃに褒められ、ちゃった。う、嬉、嬉しいなぁ。えへへ」
屈託の無い妹の笑顔。俺は妹の唇に自分の唇を重ね合わせると、そのまま押し倒した。欲望が、止まらない。
「にゃ? ふぇ? に、にーちゃ、だ、だめだよ! こ、ここ廊下だ、だよ!? は、恥ずかしいよぅ……」
「いいだろ。どうせ父様も母様も今日は帰って来ないし。俺が一日中犯してあげる」
「ほ、ほんと? に、にーちゃきょ、きょお、お家い、いてくれるの?」
「おうそうだよ。なんせ俺はエライからね。ほら、喜べよ」
「えへ、え、えへへへ。う、嬉しいなぁ。に、にーちゃがずっとい、一緒にいてくれ、いて、いてくれて嬉しいなぁ」
「おうおう。俺もお前をずぅっと犯せて嬉しいよ。ほら、我慢出来ないからさっさとヤらせろよ」
「に、にーちゃ、だ、大好き」
「はいはい」

俺は、ひどく性欲を誘発するその幼い肢体に、舌を這わせる。

練習してみた。正直ぜんぜんヤンでる気配がないのは俺の力不足ということで一つ。


138 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:25:32 ID:vVDVVog3
投下しますよ

139 名前:『首吊りラプソディア』Take2[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:26:48 ID:vVDVVog3
結局何の誤解も解けないまま、俺達は食事に向かうことになった。勘違いされたままで
向かうのは不本意だが、久し振りにカオリと食事をするというのは胸が踊る。可能ならば
フミヲとサキが居ない方が良いのだが、フミヲは何が楽しいのだろうか、いつもの下品な
笑みを浮かべていて帰ろうとする様子は欠片もない。サキはサキで俺から離れようとせず、
既にお馴染みとなった無表情のまま黙って着いてくる。こいつの場合は仕事の相棒だし、
常に隣に居るのが不自然だと思われないよう、監視しなければいけないという理由で俺と
共に行動している。真面目なのは良いことだが、それのせいで人を完全に性犯罪者として
扱ってくるのは流石に疲れる。今とて近寄るだけで妊娠してしまいそうだと理不尽な理由
を付けて微妙に離れているのだ。何と極悪なんだろう。
「虎吉ちゃん、どこで食べるの?」
「焼肉かと、とにかくスタミナの付くやつを食いたい」
ここに入るまで引き継ぎやら委託やらで疲れているので、体力がほしいのだ。カオリが
『首吊り』でないと証明するだけでなく、ここから出してやる為の捜査もしなければいけ
ないので、これから忙しくなるだろう。頭脳担当のサキのような人間ならともかく、現場
で叩き上げられたタイプの俺は足で調べることしか出来ない。
意見を求めてカオリを見ると、少し嫌そうな顔をしていた。


140 名前:『首吊りラプソディア』Take2[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:28:37 ID:vVDVVog3
「最近腰の辺りがちょっと」
それもそうか。俺にとってカオリは妹といった感覚がの方が強く子供扱いをしてしまう
けれど、こいつも年頃の娘だ。流石に野暮だったかもしれない。
「それに先輩にスタミナ料理など与えてしまったら、どうなるのか分かりません。何しろ
過去に前例のない変態なのです、精力が付いたら一大事になります」
サキは黙れ。
「なら近くに良い店知ってるわよ。第三惑星の極東地区料理のお店なんだけどね」
それが無難なところか。元々俺もカオリも第三惑星の出身だし、下に馴染んだ味の店と
いうのは助かる。第二惑星の料理は苦味が多いし、第四惑星の料理は基本的に辛味が強い
のであまりカオリには食べさせたくない。変な味という訳ではないが、癖の強い味に慣れ
てしまうと娑場に出たときに大変だろう。過保護という言葉が、不意に思い浮かんだ。
フミヲに案内されるままに歩いていると、立ち入り禁止のテープが見えた。こんな仕事
に就いていると珍しいものではなくなってくるが、善良な罪人として普通に暮らしている
カオリには辛いものがあったのだろう。悲しそうに目を伏せ、テープから視線を外した。
「どんなだった?」
「両手が吹き飛ばされていたらしい、気分悪い」
「『首吊り』って、本当に居たんだ」


141 名前:『首吊りラプソディア』Take2[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:30:44 ID:vVDVVog3
野次馬の方に耳を傾けてみると、どうやら『首吊り』の仕業だったらしいことが分かる。
本当に厄介だ、しかも殺し方がえげつない。早く解決しないといけないと自覚し、カオリ
の頭を撫でた。その存在に只でさえ怯えていて、しかもその容疑はカオリにかかっている
のだ。それにこのままでは都市伝説どころではなく実在の殺人鬼だという話が流れ、監獄
都市自体も正常に機能しなくなる可能性もある。
何か証拠があるかもしれない。
そう思いテープの向こう側を見つめていたが、側頭部に軽い打撃が来たことにより思考
が遮られた。衝撃の方向に視線を向ければ、サキの冷たい顔が見えた。サキは首筋を指で
示した後でカオリを見て、小さく首を横に振る。それだけで言いたいことが分かった。
カオリを無視して現場に向かえば、捜査がばれる。どうせ鑑識の人間が調べているのだ
から、今はそちらに意識を向けず、普通に振る舞っておけということだ。
俺は軽く頷くと、先に進んでいたフミヲに小走りで追い付いた。
「メシはまだか?」
「そこだよ」
指差す方向を見れば、店の看板。
「あ、何か良い感じ。虎吉ちゃん、早く入ろ」
先程のことを忘れる為だろうか、急かすカオリに促されて店に入る。少し進むと、随分
と懐かしい匂いが漂ってきた。故郷の匂いとでも言うのか、家の匂いというのか、幼い頃
から体に馴染んだ極東地区料理独特の匂いが何とも快い。フミヲは慣れた様子で店員に何
か一言二言告げると、奥の座敷に向かった。俺達もそれに続く。


142 名前:『首吊りラプソディア』Take2[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:31:31 ID:vVDVVog3
「うわ、懐かしい。畳なんて久し振りに座ったよ」
「少し金がかかるが、管理局に届ければ注文出来るぞ?」
たまに畳でないと寝た気がしないどころか、生活している気にならない人も居る。俺も
管理局に入った頃はそんな状態で、仕事よりも寧ろそっちの方が辛いときもあった。それ
は飲食物も同じで、今ではすっかり自炊が特技の一つになってじまった程だ。
「それにしても、よくこんな店知ってたな?」
「報道課は範囲が広いし、よその噂も情報の一つだからね」
成程な、フミヲなりに頑張っているという訳か。食べ物屋は自然と情報が集まる場所で、
管理局の人間が居ても怪しまれない。報道課としては、捜査の上で必要なのだろう。
「そういえば、最近大量の上様領収書が来ていると事務課の友人が言っていましたが」
俺も愚痴を言われたことがあるが、まさか、
「お前か?」
「必要経費よ、必要経費」
このカマ最悪だ。
「ね、虎吉ちゃん。どれ食べる?」
カオリは嫌な話題を変えるように、苦笑を浮かべてメニューを広げた。この四人の中で
一番の年下だというのにフォローもしっかりしている、何とよく出来た16歳なのだろう。
違う、この場合は年下の少女に気遣わせている俺達が問題なのか。良い年をした大人三人
が、一体何を馬鹿やっているのだろうか。
吐息をしつつ適当に料理を注文し、茶をすする。
「あれ、サキちゃん飲まないの?」
フミヲに言われて気付いたが、サキの湯飲みの中身が全く減っていない。


143 名前:『首吊りラプソディア』Take2[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:32:34 ID:vVDVVog3
「もしかして極東地区の食い物が駄目だったか?」
「そんなことないです。わたしは第二惑星出身ですけど、寧ろこっちの方が好きで」
サキも第三惑星出身だと思っていたが、違ったようだ。第三惑星でなら平均に近い身長
だけれど、基本的に大柄な人間が多い第二惑星では小柄な部類に入る。なるほど、それで
納得がいった。サキの乳が小さい理由は、遺伝子的なものだったのだ。身長が小さいなら、
それにバランスを合わせるように乳の成長も小さな時点で止まるだろう。しかしカオリの
ように小柄でありながらも少し乳の大きな奴も居るし、何と言うか、
「可愛いなぁ」
「どこ見て言ってるの!?」
いかん、つい凝視してしまった。
カオリは恥ずかしそうに顔を赤らめ、慌てて胸を腕で隠した。そして変質者を見るよう
な目でこちらを眺めてくる。うっかり忘れていたが、俺は今は前代未聞の変態という設定
なのだった。これでは本格的に痴漢と変わりない、俺は改めて首輪と上層部を呪った。
「それで、何で飲まないんだ?」
強制的に話題を戻し、サキを見る。
「猫舌なんです」
意外だった。てっきりこいつのことだから、どんなに熱いものでも顔色を変えずに淡々
と食事をすると思っていた。それに熱いなら熱いで確率システムを使えば簡単に冷ませる
と思うのだが、そうもいかないらしい。サキは悔しそうな表情で俯いて、
「温度調節は苦手で」
再び意外なことを言った。
エリートだし、新人の中でトップの成績だというので万能だと思っていたのだが、サキ
もやはり人間だったということか。どんなに完璧に見えても、誰にでも欠点はある。
代わりに少し冷ましてやると、
「ありがとうございます」
いつも通り抑揚の少ない、無感情な声で言って、飲み始めた。


144 名前:ロボ ◆JypZpjo0ig [sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:35:52 ID:vVDVVog3
今回はこれで終わりです

次回でやっと『首吊り』登場
理想のヤンデレが書きたいです


145 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 03:55:22 ID:LlhQwxlc
>>137
こういうの凄く好きだわw
続き書いてくれたりしませんか

>>144
GJ
次回にwktk

146 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 07:11:30 ID:4JoeR5yd
>>144
GJ!
これからの病みっぷりに期待しています

147 名前:完全世界[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 07:26:38 ID:WgKNhTCo
「…ゴメンネ…ゴメンネ…」
そう呟きながら僕の胸に頬を擦り付けるように抱きついているのは幼馴染みの祐子だ。
小さかった頃には、ゆうちゃん、なんて呼んでいた仲だ。
今では、その…恋人になっていた。
その祐子に何で謝られてるのか、だって?
それは、祐子が───
「…ゴメンネ…ヒック…、ゴメンネ…ふ、フライパンでぶっちゃったりして…グスッ…」
と、言うことだ。
「ゆ、祐子、わかったから、この、手を縛ってる紐、解いて、くれない…?」
「…ダメ」
あまりの痛さに、朦朧としながらの僕の願いは、苛立ちを隠さない祐子によって即却下された。
「な、んで…?」
「だって、そうしたら○○ちゃん、どこか行っちゃうでしょ…?」
「どこにも…いかないよ…?」
なんだか要領を得ない言葉を紡ぐ祐子。
僕の言葉にも黙って首を横に振るだけだ。
僕の言葉に嘘は無いのだけれども。
「ゆ、ゆう、こ?」
「だ、だって、だってね?
○○ちゃん、私の事今まで、『愛してる』って言ってくれない、んだもん…グスッ」
「……」

148 名前:完全世界[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 07:27:55 ID:WgKNhTCo
「私は、私はね?
○○ちゃんの事、ずぅぅぅっと、ずぅぅぅっと、愛してるの…
でも、でもね?
○○ちゃんは、私の事、『好き』なんでしょ?
わ、私はね?
本当は、ズルい、嫌な女なの…ヒック
だから、『好き』じゃ、不安なの…
ううん、足りないの…グスッ…
だからね?
○○ちゃんを、私だけの物にしよう、って
ちょっとだけ、痛いかもしれないけど…アハハ…。
い、良いよね?○○ちゃん…アハッ…」
狂った眼で、狂った笑顔で、狂った詞(ことば)を、真摯にぶつけてくる祐子。
それに、僕は、狂っているとは思わなかった。
僕はむしろ、情けなく、悔しく、そして、ほんの少しだけ、嬉しかった。
「…い、いよ」
「え?」
「ぼ、僕を祐子の物にしても…いいよ」
「○、○○ちゃん!」
「でも、一つだけ、伝えたいんだ」
「…」
「祐子、ずっと愛してる」
「…ヒック…グスッ…わ、私も、ずっと愛してます」
そう、二人で言葉を交わした後。
祐子が持っていた、鈍く光を反射して輝く刃。
それで、お互いの首筋を────裂いた。

それぞれの血を体に浴びながら

僕と祐子は誓いのキスをした。

永遠で、絶対の、約束。

そうして、僕達の世界は、完全世界になったんだ。

149 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 07:30:03 ID:WgKNhTCo
突然思い付いたので書いてみた。
もしかしたら、『~世界』シリーズを作るかもしれない。

150 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 07:43:20 ID:4p8rZw3G
>>137
>>144
>>149
そろってGJ!!そしてwktk

しかし、ヒロインだけでなく主人公もどこか病んでるな。
やはりヤンデレ女を受け止められるのはヤンデレ男だけなのか?

151 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 12:42:49 ID:gQDfGKGv
406 :名無したん(;´Д`)ハァハァ :2007/01/29(月) 10:00:16 ID:0CUCKJoS
ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi72370.jpg
ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi72372.jpg.html


152 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 16:00:14 ID:GqLZUNZh
そういやヤンデレ男を中心にしたSSって見ないな
もっとも描写力が足りないとヤンデレ男は変質者にしかならないってこともあるがw

153 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 17:13:09 ID:MfeofgEp
>>150
朱に交われば赤くなる、なんてのも。

154 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 19:05:26 ID:0z4voIX5
◆Z.OmhTbrSoさんの嫉妬SSスレ>>295ネタを寝ないで待ってる俺が居る…

155 名前:姉弟(おやこ)の絆 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/30(火) 19:59:44 ID:g6cZmyPM
>>154
呼んだ?

元ネタ

295 :名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 09:23:41 ID:FMqSkYE+
小学生くらいの子供がさ、弟妹ができたときにお母さんを取られたと思って
弟妹が嫌いになる話ってあるよね。
あれで思いついたんだけど、弟妹が欲しくて欲しくて仕方がなかった女の子が、母親が
妊娠したと言って大喜びするんだけど、母乳を飲んだり母がべったりと甘やかすところを
想像して"弟妹"ではなく"母親"に嫉妬。
まだ生まれていない愛しの弟妹を奪うため、母親のおなかを包丁で…なんてのが頭に浮かんだ。

「うふふ、きみはお姉ちゃんが産んであげる。
だからママのおなかなんてところからはさっさと出ようね…ううん、出してあげる!!」

こんな感じ。でもこれってここじゃなくてヤンデレスレ向きだなぁ…


細かいところは違うので、そのつもりでお願いします。

156 名前:姉弟(おやこ)の絆 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/30(火) 20:00:32 ID:g6cZmyPM
姉弟(おやこ)の絆

『誠二、おかえりなさい』

姉さんの声が聞こえる。
暖かくて、包み込まれる声。
でも普段聞いている声とはどこかちがう。なんだろう。

『もう。十ヶ月も目の届かない場所にいたなんて・・・・・・
これからは私のそばから離れちゃだめよ』

・・・・・・?おかしい。
記憶にある限りでは、学校行事を含めても姉さんから
一週間以上離れていたことはない。

『でも、大丈夫。
私とあなたの間には強い絆があるから。
誰もそれを引き裂くことなんて出来ないわ。
これからは、ずっと一緒よ――』

声が遠ざかり、光が射してくる。
この感じは――夢だ。
どおりで姉さんの声が子供っぽく聞こえるわけだ。

「誠二ー! 朝よー! 起きなさーい!」

あれ?いきなり大人っぽくなった?
・・・・・・違うか。この声は昨晩おやすみの挨拶をしたときと同じ声。
今年27才になった姉さんの『現在』の声だ。 

からっぽの頭に無理やり意識を詰め込む。
目を開けると、姉さんの顔が目の前にあった。

「おはよ。清子姉さん」


157 名前:姉弟(おやこ)の絆 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/30(火) 20:01:16 ID:g6cZmyPM
姉さんの顔が目の前にある。近い。近すぎる。
僕が上体を起こすか、姉さんが顔を下ろせばすぐにキスできる距離。
さらに腕をがっちりホールドされている。逃亡不可能。

「姉さん・・・・・・今日は上から? 右から? それとも左?」
「さぁ? わかっちゃったら面白くないでしょう・・・・・・? こ・う・い・う・こ・と・は」

ゆっくりとした動きで体を摺り寄せてくる。胸のあたりに柔らかい、ふくよかな感触がある。
その感触は姉さんの動きに合わせて変幻自在に形を変える。

「無理やりは反則だからね」
「あら残念。私は無理やりも結構好きなんだけどなぁ・・・・・・」

潤んだ瞳で僕の目を見つめてくる。

「そんな目をしてもだめ。それより、今日はいつもより時間をかけてやってもらうからね」
「じゃあ、私はあったかいものをいっぱいいただこうかしら・・・・・・」

そう言って姉さんは目を閉じる。目を閉じたまま顔を近づけてくる。
僕はそれに対して――


すぐさま右に首を曲げて、姉さんの唇を避けた。

「ちっ!今日はそっちだったか!今日こそはと思っていたのに・・・・・・」
「はい、僕の勝ち~。じゃあ今日のご飯当番は姉さんだね。よろしく。」

しぶしぶうなづいて姉さんは僕の体の上からどいた。
しかし、部屋を出て行くことなく僕の方を見つめている。

「・・・・・・なに?姉さん」
「うふふ。うふふふふ。せいじくぅん? それは何っかな?」 
「へ?・・・・・・だぁわぁぁぁぁぁ!」

姉さんは僕の――生理現象&さっきのやりとりで大きくなってしまった――股間を見つめていた。

「お姉ちゃんに欲情して劣情を抱いてソコが感情を爆発させてしまったのね?」
「でてけぇぇぇ!」
「照れなくてもいいのに・・・・・・『全部』、知ってるんだから。
じゃあ、早く来てね。今日はいつもより手の込んだ料理作るから!」

怪しい笑みを浮かべて、姉さんは台所に向かった。
なぜかいつもよりご機嫌だった。

158 名前:姉弟(おやこ)の絆 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/30(火) 20:02:26 ID:g6cZmyPM
いつもより豪華な朝食を食べてから学校に行く準備をしていると、
スーツを着た姉さんが部屋に入ってきた。

「姉さん。今日は編集部で打ち合わせ?」
「ええ。ついさっき電話があってね。・・・・・・まったく。今日は大事な日だって言うのに」

なにやら苦々しい表情をしている。最後に言った言葉はよく聞こえなかった。

「それでね誠二。今日ね・・・・・・より道しないで早く帰ってきて欲しいんだけど」
「? 今日なにかあったっけ?」
「え? 今日何の日か覚えてないの?」

本気で驚いている。そう言われても・・・・・・姉さんの誕生日はこの間祝ったし。
今日は学校があるんだから祝日でもないはずだ。

「いえ、思い出せないならいいのよ。それで、早く帰ってきてくれる?」
「うん。いいよ。今日は誰とも会う約束してないし」

僕の返事を聞くと、姉さんは嬉しそうな顔で部屋を出て行った。





学校での生活を普段どおりに送って家に帰ってきたら、姉さんが笑顔で迎えてくれた。

「誠二! おかえりなさい! さぁさぁ早く上がって! お祝いしましょ!」
「え、ちょ、ちょっと待って! なんのお祝いなのさ!」
「入ればわかるわよ! ほらほら歩いた歩いた!」

姉さんに背中を押されて居間に入ると、朝食以上に力の入っている料理が
テーブルの上にところ狭しと並べられていた。

「うふふ。どう? お姉ちゃん頑張ったのよ」
「すごい量だね、これは・・・・・・それで今日は一体何の・・・・・・って、あっ!」

壁にかけてあるカレンダーにはこう書いてあった。

『1月30日
誠二19才の誕生日』

「そっか。今日は僕の誕生日だったんだ・・・・・・全然思い出せなかった」
「そういうこと。さ、座って。お祝いしましょ」
「う、うん・・・・・・」

姉さんの笑顔を見ていたら反論するのを忘れてしまった。
――僕、まだ18なんだけど。
でも、毎年姉さんは僕の年齢に一を足して数えている。
だからいつものことだと思って姉さんとの誕生パーティーを楽しむことにした。

159 名前:姉弟(おやこ)の絆 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/30(火) 20:03:26 ID:g6cZmyPM
どこの貴族の食事かと思うほどの美味しい料理と誕生日ケーキを食べ終えて、
その余韻に浸っていると、姉さんがアルバム写真とデジタルカメラを持ってきた。

「じゃあ早速、19才になった誠二の写真を撮ることにしましょうか」
「姉さん。僕はまだ18才・・・・・・」
「誠二。笑って笑ってー。お姉ちゃんが夜這いかけてきたと想像してー」

『カシャッ』

デジタルカメラがフラッシュを放ち、僕の姿を写真におさめた。
いきなり撮られたからどんな顔をしていたか分からない。
できたらもう一度撮り直してほしいところだが――

「うん。よく撮れてる。じゃあ待っててね。すぐに印刷してくるから!」

せっかちなカメラマンの姉さんはそう言い残すとすぐに居間から出て行った。
あとには僕一人が残された。

手持ちぶさたになったので、アルバムを開く。
中身は全部僕の写真で埋め尽くされている。
ほんと、姉さんは几帳面だな・・・・・・僕が赤ん坊のころからずっと続けているなんて。
一番最初の写真はどれだろう。一番最初のページの左上の写真。これだな。
日付は・・・・・・ 

『1988.2.18』

あれ?
確か僕の生まれた年は1989年のはずだ。
不審に思い、写真を裏返したらこんな文章が書いてあった。

『やったやったやったやった!
私の弟が家に来てくれた! お母さんありがとう!』

私の弟、ということはこれを書いたのは姉さんだな。
ん?ということはやっぱり僕は1988年生まれで、今日19才になったってことなのか?

次の写真を見てみると、また赤ん坊の写真だった。今度は
『1989.2.19』と右下に印刷されている。
写真の裏にはこう書いてある。

『ようやく誠二が家に帰ってきてくれた。
もう離さないからね。誠二』

160 名前:姉弟(おやこ)の絆 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/30(火) 20:04:19 ID:g6cZmyPM
・・・・・・どういうことだ?写真の赤ん坊は――正直言って見分けがつかないけど、
一年も経っていればもう少し成長しているはずだ。
もしかして成長が遅い病気?・・・・・・いや、それはないだろう。
もしそうなら僕は同年代の皆と同じ体格をしていないはずだ。

だとすると、この『1988年』生まれの赤ん坊と
『1989年』生まれの赤ん坊は別人ということになる。
それはつまり。

「僕が・・・・・・『誠二』が二人いる・・・・・・?」

頭が混乱する。どうなっているんだ?僕の誕生日は?・・・・・・1月30日だ。
じゃあ生まれた年は?・・・・・・1989年だ。
でも、本当にそうなのか?
今まで何度誕生日を迎えたんだ?18回?19回?
だめだ。小さい頃の記憶なんてまったくない。
僕にはわからない。誰か他に知っている人は・・・・・・

「お待たせー。いい写真ができたわよー」

・・・・・・居た。姉さんだ。姉さんに聞けば分かるはずだ。

「ね、ねえさん・・・・・・この写真のことなんだけど・・・・・・」
「え?ああ、誠二が『この家に初めて来た日』と『ひさしぶりに帰ってきた日』の写真よ。
本当、嬉しかったわ。特に帰ってきてくれた日なんか親戚みんなが集まっちゃって」

――この写真を見て、おかしいと思っていないのか?

「ひさしぶりに帰ってきたって・・・・・・僕はどこに行ってたのさ?」

僕のこの質問に対して姉さんは、


「え?そんなことも忘れちゃったの?
あなたは十ヶ月くらい、私のおなかの中にいたのよ」

とても嬉しそうな表情で答えた。

161 名前:姉弟(おやこ)の絆 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/30(火) 20:05:28 ID:g6cZmyPM
思考が働かない。落ち着け。
よく思い出せ。姉さんは今なんて言った?

『あなたは私のおなかの中にいたのよ』

姉さんの、おなかの中にいた・・・・・・?僕が?

「忘れてても無理ないか・・・・・・居なくなったとき、まだ誠二は0才だったものね」

僕は0才のときにいなくなった・・・・・・

「せっかくだから教えてあげる。誠二が居なくなったあの日、家に強盗が入ったの。
そんなときに限ってお父さんが運悪く居なくって、体調を崩してたお母さんと誠二が襲われた」

僕と母さんが襲われた・・・・・・

「ちょうどそのときに帰ってきた私が見たのは、血に濡れたナイフを持った強盗と、
血を流して倒れてるお母さんと誠二の姿だった。
その後は私も殴られて気絶してしまったから、二人を助けることが出来なかった」

じゃあ、僕は一度死んでいた・・・・・・?

「その後は本当に生き地獄だったわ。お母さんはいない。誠二もいない。
何にも食べられなくなったし、何もしようと思わなかった。
あのころ、私が何をしていたかなんて全く記憶に無いわ」

やっぱり、僕は死んで・・・・・・

「でも、ある日おなかに違和感を感じたから親戚のおばさんと一緒に病院へ行ったの。
そしたらね! 私のおなかの中に子供がいるって言われたの! 私は確信したわ。
『誠二はやっぱり生きていた。生き残るために私の中に避難してたんだ』って!」

でも、実は生きていて姉さんの中に・・・・・・?

「それから、周りの人間たちの反対を押し切って私は・・・・・・あなたにようやく再会したの。
十ヶ月ぶりに見るあなたはあのときのままで、本当に嬉しかった」

頭がさらに混乱する。僕は死んだけど、実は生きていた。
いや、ちがう。死人は甦ったりしない。そんなことはありえない。

ということはつまり。

「・・・・・・僕は二人目の『誠二』・・・・・・」

162 名前:姉弟(おやこ)の絆 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/30(火) 20:06:58 ID:g6cZmyPM
信じていたものに裏切られた気分だ。
清子姉さんは『姉』じゃなくて『母』だった。
姉さ・・・・・・じゃなくて、母さん?ずっと、物心ついたときから一緒にいた女性が母さん?
つまり、この人は。 

「僕をずっと、騙していたんだね・・・・・・」
「騙していた? 何のことを言ってるの?」
「ね、――清子さんが! 僕を産んだってことだよ!」
「違うわよ。あなたは強盗から逃げるために私のおなかに避難した。
そしてもう安全だと思ったから、私に会いたいと思ったからおなかから出てきた。
『出産』じゃないわ。『再開』よ」

いつもと何も変わらない話し方だ。
自分の言っていることに何の疑問も持っていない。この人は。

「あなたは私の弟よ。1988年1月30日生まれ。19才。
父親の名前は一誠。母親の名前はみどり。姉の名前は清子。
好きな人はお姉ちゃん。好きな食べ物はお姉ちゃんの作る料理。
将来の夢は、お姉ちゃんのお婿さんになること」
「うそだ・・・・・・嘘だ嘘だ嘘だ嘘だっ! 全部嘘に決まってる!」

こんなの、嘘だ。
僕の母さんは居ない。清子さんは姉さんだから母さんじゃない。
でも、清子さんは姉さんじゃない。僕を産んだんだから母さん・・・・・・? 

「朝起きて最初に考えることはお姉ちゃんのこと。
学校で考えることはお姉ちゃんのこと。
寝ているときに見るのはお姉ちゃんと結ばれる夢」

じゃあ、目の前にいる女の人は誰だ?母さんでも、姉さんでもない『家族』。
この女の人は、誰なんだ?
誰なんだよ!あなたは一体僕の何なんだ!

「私はあなたの『姉』。実の『姉』。
そして、あなたの全てを知っている人間。
だから――あなたの全ては私のもの」

わけがわからない。目が回る。吐きそうだ。


もう、立っていられない―――――― 

163 名前:姉弟(おやこ)の絆 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/30(火) 20:07:40 ID:g6cZmyPM




「おはよう。誠二」
「おはよう。姉さん」
「誠二。今日の朝――んンッ?!」
「ん・・・、ふぁ・・・ねえ、さん・・・・・・」
「ちゅ・・・んはあ、せいじぃ・・・・・・んちゅ・・・・・・」
「ん・・・・・・ぷはぁ。今日も僕の負けだね」
「もう・・・・・・いきなりするのは反則よ」
「だって、姉さんの顔を見てたら我慢できなくてさ。
だから・・・・・・」
「あら。嬉しいこと言ってくれるじゃない。
じゃあ、私も今日はいつもより激しくしてあ・げ・る」





「ねえ、誠二?」
「なに?姉さん」
「私はあなたの『なに』?」
「そんなの決まってる。
最愛の『姉』にして、僕の生涯の伴侶さ」
「んふふ。いい子ね。
そんないい子の誠二くんには、
一日中一緒に寝てあげるご褒美をあげます」
「ありがとう・・・・・・姉さん。愛してる」
「私もよ・・・・・・誠二」


僕たちは、姉弟だ。

164 名前:姉弟(おやこ)の絆 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/30(火) 20:10:03 ID:g6cZmyPM
嫉妬SSスレのほうを巡回していたら
『ヤンデレ』のキーワードに反応して、書いてしまいました。

もし破綻している部分があったら・・・・・・存分にお叱りください。


165 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 20:14:06 ID:0z4voIX5
ヒャッホォォォォォォォォォォォォォォォォォウ!
GJです。待っていた甲斐がありました、ご馳走様でした。

ところで父親が気になります。8歳での妊娠は不可能ではないといえね。

166 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 20:28:50 ID:iiwiEutx
GJ!!

レイープされたショックで病んでしまった母親ですか?
……これも、なかなか。

167 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 20:40:16 ID:t6kctdyq
>>152
流石にヤンデレ男じゃ萌えないよ

168 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 20:48:19 ID:4JoeR5yd
>>164
GJ!
こういう病み方も(・∀・)イイ!!

169 名前:訂正 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/01/30(火) 23:21:45 ID:g6cZmyPM
>>162
>『出産』じゃないわ。『再開』よ」
『出産』じゃないわ。『再会』よ」

でした。ごめんなさい。

170 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/31(水) 07:32:41 ID:ql59vair
SS保管庫更新ハヤス
管理人さんご苦労様。

171 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/31(水) 12:20:40 ID:BjVtf4Zb
この強盗になりたいと思った性犯罪者予備軍は手をあげろ
ノシ

172 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/31(水) 12:37:53 ID:jqzVvAh1
>>171
悪いがそれはお前だけだ

173 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/31(水) 20:47:12 ID:0qUkUVJe
>>172
ワリィ、オレもなりてぇとおもた。

174 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/31(水) 21:01:44 ID:j2NFLfp9
おまいら・・・・・・

175 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/31(水) 23:16:57 ID:0ZE27T3t
弟の方が羨ましいだろ、常識的に考えて……

176 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/01/31(水) 23:39:55 ID:C6nX4lQD
十話(A.如月更紗と時間を過ごす)を投下します
次が多分山場突入なので、少し短めですがごめんなさい


177 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/01/31(水) 23:40:54 ID:C6nX4lQD

「……話したいことっていうのは、他にはないのか」
言って――僕は如月更紗の隣、白いベッドの上に腰掛けた。学校の保健室のベッドなんて、
そんな大そうな大きさを持っているわけではない。一人用の、こじんまりとした安物ベッドだ
。手を届くまでもなく、如月更紗と毛布ごしに身体が触れてしまう。毛布の下に何もきていな
いと考えると、色々こう、心にくるものがあるが――その辺は勤めて考えないようにする。
如月更紗の黒い髪が、黒く長く綺麗な髪が、白い毛布の上に広がっている。その内の一房を
、特に意味もなく手にとる。手の中を流れていく柔らかな感触があった。
「今なら……なんでも聞いてやるぞ。どうせサボったついでだ」
元々――授業はサボるつもりだったのだ。なら、隣のベッドで寝るのも、如月更紗の話を聞
くのも同じことだろう。
だったら、話くらい聞いてやってもいい気がした。
今は――そんな、気分だった。
如月更紗は、僕に提案に、ベッドに横になったままかすかに微笑み、
「冥土の土産に教えてやるぜ――という奴かしら」
「お前の中の僕はどれだけ外道な奴なんだよ!?」
保健室で寝ている同級生の寝込みを襲うような奴に見えるのか……? 冗談ならばともかく
、真顔でうん、と答えられたら恐らく一生モノのトラウマになることだろう。
如月更紗はしばらくの間真顔で考え込み、
「……メイドに土産を教えてやるぜ?」
「何を教えるんだ何を」
「それは勿論、勿論のことナニを――」
「そういうオヤジみたいなことを言うな!」
裸の同級生にオヤジ発言をされると、倫理観が崩壊しそうだった。
元から崩壊しているかもしれないが。
「冬継くんはメイド服、好きなのかしら?」
「え、話そっちに飛ぶの? さっきまで僕ら真面目な話してなかったっけ」
「言っておくけど、言っておくけれど、メイド服とゴスロリ服は違うわよ」
「……?」
意図が分からない。
意図ではなく、意図がわからない。
はてなマークを浮かべる僕に、如月更紗はどこか陰鬱そうに言葉を続けた。
「似たような服でも、職業制服と精神論では大違い――ということね。忠告しておくけれど、
人によっては同一しただけで怒るわよ」
「怒るのか」
ウィキとウィキペディアを混合すると真っ赤になるような人と似たようなものだろうか。
「怒るどころではないわね。例えば私の知り合いに《逆転ビーバー》という人がいるけれど」
「また愉快な二つ名の友人がいるんだな」
「いるけれど。その人の前でそんなことを言って――生爪を剥がされた人がいるわ」
「…………」
生爪。
生爪を――剥がす。
想像しただけでも痛い、絶対に想像したくないことだった。まだナイフを腹で刺されるとか
、屋上から突き落とされるとかの方が想像としてはマシだ。爪剥ぎという行為は、妙にみみっ
ちくて現実味があるせいで、余計に痛そうに感じる。
逆転ビーバーがどんな人間かは知らないが、会いたいとは思わなかった。下手なことを言っ
ただけで爪をはぐような相手とお知り合いになりたいとは思えない。

178 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/01/31(水) 23:42:07 ID:C6nX4lQD
「ちなみに、同じ場で『脱がせば一緒のことだね』言い放った人もいるわ」
「お前だろ、それ」
間違いなく、お前だ。
お前以外にいるとは思えない。
というか、いてほしくない。
「そういうわけで冬継くん、貴方はメイド服とゴスロリ服、どちらが好きなのかしら?」
「僕? 僕は――」
不意の質問に考えてしまう。
メイド服。
ゴスリル服。
考えたこともなかった。どちらがいいとか、そういうことを考えたことは全くなかった。
姉さんは――そういうことに、無頓着だったから。
少なくとも、家の中では。
「……姉さんは」
「?」
「姉さんは、狂気倶楽部では――」
どんな服を着ていたんだよ、と言いかけて。
め、と、如月更紗の人差し指が、すばやく僕の唇に添えられた。
それ以上話してはいけないと、瞳が語っていた。
「その名前は――外で、気軽に口にしていいものではないの」
「…………」
「秘密中の秘密。抱えたまま死ななければならない。もし狂気倶楽部に終わりがくるとすれば
――それは間違いなく、一蓮托生なのだから」
その言葉は、きっと何の誇張もないのだろう。
調べた限り、狂気倶楽部にいる人間は、誰も彼もが傷を負っている。
それは、
身体の傷だったり、
心の傷だったり、
それ以外の傷だったりする。
共通するのは、誰もがまともではいられなかったということだ。もし狂気倶楽部という場が
なくなれば、それだけで暴走してしまう人もいるだろうし――無秩序めいた秩序が崩壊するこ
とによって、暴走する子も出てくるに違いない。

陽が沈めば、おままごとはお終い。

ふと。
全てが終わった後でも、如月更紗は、変わることなく生きていくのだろうかと、そんなこと
を思ってしまった。
「……いいのかよ、そんなこと言って」
「ん?」
「僕の願いは――狂気倶楽部の破滅かもしれないんだぜ」
姉さんを殺した奴の破滅を願っている。
姉さんを殺した奴らの破滅を願っている。
それが、狂気倶楽部そのものに向かないとは、自分でも言い切れない。むしろ、姉さんがい
なくなってしまった以上、何もかもを道連れにしたいと――考えていないといえば、嘘になる

考えてしまえば致命的になってしまうので、考えないようにしているけれど。

179 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/01/31(水) 23:43:07 ID:C6nX4lQD

「ああ、ああ、ああ! なんだ、そんなこと」
如月更紗は、本当に、心の底からどうでもよさそうに言った。
存続も滅亡も。
生も死も――関係がないと、言うかのように。
如月更紗は、言い捨てる。

「それもまた、面白いわね」

ぞくりと、した。
横になったまま、僕を見上げている如月更紗の言葉には、微塵も嘘が含まれていなかった。
いつもの韜晦でも、冗談でもなく、真に面白いと言い捨てているのだと、如月更紗の瞳は告げ
ていた。僕を見つめる瞳がそらされることはない。揺れることもなく、惑うことなもく。
如月更紗の瞳は、にやにやと、にやにやにやと、笑っている。
楽しそうに、笑っている。
――ああ。
今更に、思い出す。
今更に、思い知らされる。
こいつもまた、狂気倶楽部の一員なのだと。
そんな僕の心境に気付くこともなく、如月更紗はいつものように微笑んだ。
「まあ、私は臆病だから……沈む船から逃げさせてもらうけれどね」
「脱兎の如く――ってか。お前はウサギじゃないんだろ」
「そうね。今のウサギは、あの兄妹。それに冬継くん、一つ言わせて貰うけれど、沈む船から
逃げるのはネズミよ」
「そうだったっけか?」
脱鼠の如くって言葉は無かったような……ああそうか、そもそものことわざが違うんだ。あ
あれはもともと、沈む船からは鼠が逃げていくという、そういった伝承を元にしていたはずで、
脱兎の如くとはまったくの別物だ。
「もっとも、あの勇敢な鼠の騎士は、最後の最後まで船に残って……ついには東の海の果てに
まで、いってしまったけれどね――」
そう言葉を結んで、話は終わりとばかりに、如月更紗は瞼を閉じた。口実ではなく、本当に
眠かったのかもしれない。
あまり邪魔するのもあれなので、僕はベッドから離れようとし、
「――――」
離れようとした裾を、毛布の腋から伸びる、如月更紗の手がつかんでいた。
立ち上がろうとした微妙な姿勢で僕は止まり、ぎぎぎと、音のしそうなほど不自然な動きで、
如月更紗を見る。如月更紗は、まるでウィンクでもするかのように、片目だけを開けて僕を
見ていた。
瞳は、楽しそうに笑っている。
「おやすみなさい」
笑ったまま、如月更紗はそういった。けれど手は離さない。ここにいろ、ということなのだ
ろう。
どうしようか、悩むまでも無く。
ため息を一つ吐いて、僕は再び、如月更紗の横に腰掛けた。そして如月更紗の髪を、いつの
日にか姉さんにしたように撫でて、僕は言う。
「ああ、おやすみ」
僕の言葉に満足したのか、如月更紗は片目を閉じて、今度こそ眠りについた。暫く待つと、
すう、と、安らかな寝息が聞こえてくる。
こうしていれば――普通の同級生にしか、思えないのに。
僕も、こいつも、普通の高校生にしか見えないというのに。
「…………ふう」
ため息を一つ吐いて、僕は如月更紗の髪を一房つかんだまま、彼女に沿うようにして上体を
倒した。
今くらいは、何も考えずにゆっくりと休みたかった。

180 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/01/31(水) 23:43:43 ID:C6nX4lQD
以上です

181 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 00:21:42 ID:+xvnNo/H
>>180
GJ!

ヤバいな、ここまで物語に引き込まれたのは初めてだ……次回の山場に期待してます

182 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 00:28:09 ID:iJP02Vjg
GJ!
更紗派の俺はwktkが止まりません

183 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 02:51:15 ID:i1K/FEjt
ちょww
冬継君はこのまま寝たら『学校で同級生と同衾した変態』扱いに……。

184 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 07:35:36 ID:vZfTTU6H
いいやそれだけなら…。


全裸の同級生と…変態!

GJ!!

185 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 09:39:22 ID:53EV+rUE
このスレは本当に質が高いな。GJ!

186 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/01(木) 23:18:02 ID:5llf4frG
前スレに埋めネタを投下しようとしたら既に埋まってた

187 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 23:22:29 ID:i1K/FEjt
Bルート投下キボンヌ(゚∀゚)!!

188 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 23:45:55 ID:1U+KQnna
今、俺の目の前にはチョコレートがある。
そして俺はいったいこれからどうすればいいのか考えていた。

数ヶ月前、28才彼女無し趣味は2chの俺は何をどうやって奇跡を起こしたのか姫野亜弓に
告白された。駅で見て一目惚れしたと。彼女は少し痩せ気味ではあったが青白いほどの
肌をした割と美人な女性だった。告白されたのだが、二次元にしか興味が無くロリ属性を
兼ね備えた俺は丁寧にお断りした。もう少し正確に理由を言えば手首に刻まれた何本もの
傷跡が俺を思いとどまらせた。

そして、姫野亜弓はストーカーになった。
まず、無言電話から始まった。電話をとらなければ一晩で50回以上かけてきた。
履歴が50までしか残らないので本当は軽く3桁をこす回数なのだろう。着信拒否をかけると
公衆電話からかかってくるようになった。
この頃からメールも来るようになった。俺が朝何時に起きて飯は何を食い、誰としゃべって
トイレにいつ行ったかこと細かに書いてあった。そして、夕飯がカップラーメンってのは
健康に良くないです、体を壊さないか心配です、とか、今日話していた子は化粧が濃くて
あなたには釣り合いません、などと逐一コメントがあった。
非通知電話と

189 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 23:47:23 ID:1U+KQnna
5人の友人に姫野から電話があった翌日、俺は帰り道で物陰から姫野をひきずり出して
思い切り平手で殴った。
そして大声でふざけんなストーカー女がいい加減にしろ、てめえの事なんざゴキブリ程度にも
思ってねえんだよというようなことを喚いて去った。

それが3日前だ。

そしてつい数時間前。
「はじめまして姫野真弓です」
姫野亜弓の妹だという女が訪ねてきた。

とりあえずその子を家にあげることにした。制服だし見たとこは女子高生だ。
「これ、お姉ちゃんからです」
「…えーと、俺にってこと?」
「はい。チョコレートです。バレンタインの。少し早いですけど」
「ちなみに今…亜弓さんはどうして…?」
「傷がちょっとやっぱり膿んじゃって発熱してます。あ、命に別状は無いから大丈夫ですよ」
「俺のせいか…」
「え?違いますよ?手首です手首。傷つけることは良くあったんですけど切り落としたのは初めてで…やっぱり危ないですよね。だから指にしようって言ったのに」
「……」
「じゃあ、長居するとお姉ちゃんに殺されるんで私帰りますね」
「あ…ああ」
「チョコ、絶対に食べて下さいね。お姉ちゃんの身を削った愛が詰まってるんですから」



190 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 23:48:58 ID:1U+KQnna
むしゃくしゃして書いた。反省はしている。
このスレのみんなに早いにも程があるバレンタインを。


お茶会の方、Bルートお待ちしております!!

191 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 23:58:12 ID:1U+KQnna
き……途中で切れてる…投下しなおしてみる…

192 名前:1/4[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 23:59:22 ID:1U+KQnna
今、俺の目の前にはチョコレートがある。
そして俺はいったいこれからどうすればいいのか考えていた。

数ヶ月前、28才彼女無し趣味は2chの俺は何をどうやって奇跡を起こしたのか姫野亜弓に
告白された。駅で見て一目惚れしたと。彼女は少し痩せ気味ではあったが青白いほどの
肌をした割と美人な女性だった。告白されたのだが、二次元にしか興味が無くロリ属性を
兼ね備えた俺は丁寧にお断りした。もう少し正確に理由を言えば手首に刻まれた何本もの
傷跡が俺を思いとどまらせた。

そして、姫野はストーカーになった。
まず、無言電話から始まった。電話をとらなければ一晩で50回以上かけてきた。
履歴が50までしか残らないので本当は軽く3桁をこす回数なのだろう。着信拒否をかけると
公衆電話からかかってくるようになった。



193 名前:2/4[sage] 投稿日:2007/02/02(金) 00:00:25 ID:1U+KQnna
この頃からメールも来るようになった。俺が朝何時に起きて飯は何を食い、誰としゃべって
トイレにいつ行ったかこと細かに書いてあった。そして、夕飯がカップラーメンってのは
健康に良くないです、体を壊さないか心配です、とか、今日話していた子は化粧が濃くて
あなたには釣り合いません、などと逐一コメントがあった。

非通知電話と彼女のアドレス(とおぼしきもの)も受信拒否をすると電話はさすがに
無くなった。が、メールだけは東南アジアだとかアフリカだとかの訳の分からないサーバーを
経由して送られてきた。姫野亜弓にはハッカーの才能があったらしい。
登録しているアドレス意外からはメールを受け取れないようにした。すると今度は
2日に一回、郵便受けに手紙が舞い込むようになった。

俺は次々と連絡手段を絶つ意外は一貫して無視の態度をとっていた。
下手に反応を返せば喜ぶと思ったからだ。
だが、しばらく手紙攻撃が続いた後で友人達に手が及んだのには腹がたった。電話で
もう彼とは付き合わないで下さい、あなたといるとあなたの汚さが彼にうつるかもしれない、
彼をたぶらかさないで下さい等々と述べたてたらしい。


194 名前:3/4[sage] 投稿日:2007/02/02(金) 00:01:14 ID:xMkeqk+n
5人の友人に姫野から電話があった翌日、俺は帰り道で物陰から姫野をひきずり出して
思い切り平手で殴った。
そして大声でふざけんなストーカー女がいい加減にしろ、てめえの事なんざゴキブリ程度にも
思ってねえんだよというようなことを喚いて去った。

それが3日前だ。

そしてつい数時間前。
「はじめまして姫野真弓です」
姫野亜弓の妹だという女が訪ねてきた。

とりあえずその子を家にあげることにした。制服だし見たとこは女子高生だ。
「これ、お姉ちゃんからです」
「…えーと、俺にってこと?」
「はい。チョコレートです。バレンタインの。少し早いですけど」
「ちなみに今…亜弓さんはどうして…?」
「傷がちょっとやっぱり膿んじゃって発熱してます。あ、命に別状は無いから大丈夫ですよ」
「俺のせいか…」
「え?違いますよ?手首です手首。傷つけることは良くあったんですけど切り落としたのは初めてで…やっぱり危ないですよね。だから指にしようって言ったのに」
「……」



195 名前:4/4[sage] 投稿日:2007/02/02(金) 00:02:22 ID:xMkeqk+n
「じゃあ、長居するとお姉ちゃんに殺されるんで私帰りますね」
「あ…ああ」
「チョコ、絶対に食べて下さいね。お姉ちゃんの身を削った愛が詰まってるんですから」

姫野真弓は言いたいことだけ言って帰って行った。

そして俺の前にチョコレートが残されている。どうすべきか。
食べるという選択肢は無い。一切無い。…切り落とした手首の行方を俺は知りたく無い。
だが捨てるのは…果たして捨てて大丈夫な代物なのか。腐敗臭のする可能性のある状態で
あれば俺が疑われる危険性がある。
とりあえず箱を開けて形状を確かめればいいのだが…もし手の形をしたチョコレートが
入っていたら俺はきっと立ち直れない。

俺はいったいどうすればいいのか。答えは当分出そうに無かった。




196 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/02(金) 00:03:30 ID:xMkeqk+n
ミスすまんorz

197 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/02(金) 00:20:05 ID:NEr9ZgPx
gj!          嫉妬スレ見てたらギャルゲの中のヒロインに襲われるみたいな奴あったけどあれなんかどうよ!   

198 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/02(金) 01:10:09 ID:vnQLuJ/g
これは程よく病んでますね(*´ρ`*)
個人的には>>189の科白で終わるのも嫌いじゃない。

199 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/02(金) 02:12:03 ID:7Ww8SaUH
GJ!
やっぱりホワイトデーに襲われて手首切り取られるんだろうか


Bルートはトゥルーなので、Aの本ルートが書き終わったら書くかもしれません。
というわけで11話投下します

200 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/02(金) 02:13:44 ID:7Ww8SaUH

いい天気だった。
どうしようもないくらいにいい天気だった。真上に太陽があるせいで、余計にそう思う。遠
くに流れる雲はあるものの、夏の近づく空は遠く遠く遠くにまで蒼い。あの空を泳げたらさぞ
かし気持ちがいいだろうとがらにもなく思う。それほどまでに、いい天気だった。
太陽が真上にあるせいで、陽射しが余計に強く感じた。じりじりと、コンクリートから照り
課す熱を感じる。
「……昼間だから当然だよな」
虚しい独り言を言うが、虚しさに変化はなかった。むしろ言葉に出したせいで、感じる必要
のない物寂しさまで覚えてしまった。
横に立つ如月更紗が、突如立ち止まって空を見上げて独り言を呟いた僕を見遣り、暑さを感
じさせない淡々とした声で言う。
「悲しい姿ね」
「お前が言うなよ」
「さもしい姿ね」
「お前が言うなよ!?」
「いやね、いやだわ、冬継くん。さもしいにはえっちぃとかそういう意味は含まれてないわよ」
「お前自覚してんじゃねぇか……」
ちなみにさもしいの意味はいやしい、浅ましいであって、この場合どちらにも当てはまらな
い。
空を見るのが虚しくなってきたので、視線を地に落す。
隣に、如月更紗がいる。
周りには誰もいない。広い道路の上にいるのは、僕ら二人だけだった。
「なあ、如月更紗」
「なぁに、冬継くん」
「……どうして僕はお前と手を繋いで下校してんだ?」
ぐい、と右手をあげて言う。あがったのは僕の右手だけではない。つられるように、繋いだ
如月更紗の左腕もあげられた。普通の握り方ではない。指と指を交互に絡める、俗に言う恋人
繋ぎだ。如月更紗の指は体温が低いのか、触れていて心地良いくらいに冷たい。だから、繋ぐ
ことは不快ではないが――さすがに恥かしい。
学校を出るなり、自然と、ごく自然に、恋人同士がさりげなくやるように、不自然さの欠片
もなく如月更紗から手を繋いできたのだ。あまりにも自然すぎて、数十メートル歩くまで手を
繋いだことに違和感を感じなかった。
如月更紗は繋いだ手を『今気付いたわ』という顔を見て、
「……右手と左手、逆の方が良いの?」
「そういうことを言ってるんじゃねえ」
「でも、駄目」
ふるふると首を振り、如月更紗は重苦しい口調で言った。
「右手は、繋ぐわけにはいかないの」
「……どうして?」
嫌な予感がしつつも、訊く。どうせろくでもない返答が返ってくるのだろうが、万が一、億
が一くらいの確率で、マトモな返事が返ってくるかもしれない。
問いかける僕の顔を、僕よりも少しだけ背の低い如月更紗は、かすかに顔を上げて微笑んだ。
幸せそうな、微笑みだった。
「右手で鋏がもてないじゃない」
「本当にろくでもない理由だった――!」
この女、左手で確保して右手で斬る気か。
何から何までやる気満々だった。
「左手でも扱えるけれど――右手の方が速いもの」
「ああそうか分かったからちょっと黙れお前」
はぁ、とため息一つ。万事がこの調子なので、もう大分慣れてしまった。
手を繋ぐのは嫌ではないので、このまま放っておいてもいいだろう。
どうせ、見ている人もいない。