五月雨ちゃんのポスター後日譚(仮)


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(ID島ルーレットスレ掲載分から転載 2009-12-25)                    

「ね……、ねえ五月雨、昨日のお返しに私の水着ポスターなんて
こっそり作ってたりはしないわよね?」
此間の件で心配になったのか、ニセちゃんは五月雨に質問する

『まさか、それならポストカードプレゼントフェアとかしますよ』
チラチラと此間の写真(海で撮ったニセちゃんの水着姿)を取り出し
あっけらかんと答える五月雨

「そ!、そんな事したら”黒き巨眼魔”や”ユニ○フ騙りの詐欺女”が来るわよ!」
狼狽したのか、思わず脅しの言葉が出てしまうニセちゃん
ませた言葉を使ったりはするが、所詮は第二次性徴が始まったばかりのローティーン
泳ぐ目的でなく水着姿を不特定多数の男性に晒すのはやはり恥ずかしいらしい

『ふふっ、なんて……冗談ですよ、そんな事はしません
私が居酒屋と関係ない……つまり飲食物でない物を作って
この長屋を建て直したとしたら、大家さんに合わせる顔が有りません』
悪戯っぽい笑顔で五月雨が言う

「そ、そうよね!、それにもしも……もしもだけど
そうなったら私の方ばかり売れちゃうし、それも悪いわよね」
余りにもきっぱりと言われたので、悪態をつきつつも

安心してニセちゃんは、再び呼び込みの仕事に戻っていった
予想よりも遥かに楽に言質を取れてしまって、拍子抜けである

「はぁ、今日も鈴々だけか……なんだかんだで開店時刻を過ぎちゃった」
「上客だと自分でも思うのだー!」

店の明かりが遠くに見えてくる、それが随分暗く見えるのは
心が沈んでいるからなんだろうか?

……いや、違う……

……アレは、行列……?

……しかも物凄い人数……?

……一体、何があったんだろう……?

黒山の人だかりを越えるのは面倒だし、裏口も満員
仕方が無いので緊急用の縄梯子を使い屋根の上に登り天窓から入り込む
狭いが埃っぽいのは我慢だ、屈んだ姿勢で厨房の出入口に向かう

「ちょっ!ちょっと鈴々!どこ触ってるのよ!」
ヒソヒソ声で軽く注意し、そっと撫でてくる手を離させる

「ニセちゃんのお尻はスリムなのに形が良くて柔らかいのだー」
女性で構成された軍からの島に、避難場として使えるか斥候に来た彼女にとって
只の軽いスキンシップで、悪意は無いのは付き合って理解してはきたのだが
こうも彼方此方を触られて、正直に感想を言われるのには慣れられない
(ちなみに平和になったらしく、ここは居心地が良いからもう暫く居るとの弁)

『さあガンガン呑んで籤をどうぞー!、わはー!向こうがビールお代わりだって』
五月雨の明るい声が店内に木霊する

「お代わりわはー」
万歳体勢で掲げる盆の上にジョッキを載せて、混雑した店内を駆け回るわはー

「新メニュー美味かったぞ俺、それじゃ籤を引かせて貰うぞ俺」
五月雨がジョッキとグラスを数えると箱に入っている籤を引かせる

『黒、5等が3本、と……当りです、青だから、3等ですねー』
それじゃ土産のミニちくわ3本と特製ちくわどうぞー

「やったぞ俺、当りだぞ俺!」
店内に、おお!と感嘆の声が響くと共に、としあきは高々と戦利品を掲げる

ニセちゃんは思わず大声を張り上げそうで、思わず片手で口を覆う
(な!何なの!あれは)

それは20センチ程の紛れも無いニセちゃんの人形だった
水着姿でジョッキを片手に持ちつつ、扇情的な姿勢をしている

『一応こんな形ですがちくわなんで、お早めに食べて下さいね』
頭とお尻の部分を指差すと、確かに穴が開いている

(っ!そんなバカな!……確かさっき……)
さっき五月雨から取った筈の言質を頭の中で反芻させるニセちゃん
数秒、半ば真っ白になった頭を回復させつつ、沈思黙考する

(やられた!)
頭を抱えるニセちゃん

確かに彼女は”飲食物でない物は作らないと言った”
その言葉自体は”嘘ではない”それに安心してしまったのは自分自身だ

厨房の片隅を見てみると、あいでぃちゃんがいる
向こうは最初から知っているかの様に、こっちを向いている
一瞬目が合い、く葉ぁ(葉を模した杖)で指された、それで意思疎通は十分である

(自分はやり込められた)
すごすごと天井の一面を外し、降りてくるニセちゃん
「流石は学年首位の魔法使いよね、見事な魔法だったわ」
負けの悔しさを必死に押し隠し、何事も無かったかの様に降りてくる
「私は貴方の魔法を見破る魔法を五月雨さんに掛けただけ、後は彼女の機転」

「で、あいでぃちゃん、何故あなたがここにいるの?」
悔しさを紛らわせる為に、思わず高圧的に出てしまうニセちゃん

「ちょっと頼まれ事があって……、貴方がこのままだと
酒場に怒鳴り込みそうだったのが予想できたから、止める為に待っていたの」
口の前に指を一本立て、静かに喋る様に促すあいでぃちゃん

「止める?自分がフィギュア化して配られているのよ!
確かに私は五月雨をポスターにした、でも仕返しされたのよ!怒っちゃ駄目なの?」
不貞腐れた様に言うニセちゃん

「ねえニセちゃん?貴方は偽りの魔法を使うんでしょ?
その魔法使いが真実と偽りを見破れないの?感情に流されてしまって」
悲しそうな表情であいでぃちゃんは、厨房の隅っこに置いてある
失敗した型崩れのちくわフィギュアを持ってきて渡す

”クリスマスフェアプレゼント品”と、大きく烙印がしてある
「全く、何よこれはっ!……ッ!……って!、えっ?」
しかし、よく見るとそれら全てには、横に小さく焼印がされていた

”ニセちゃん毎日呼び込みありがとう”

「魔法を使えば普段見る事が出来ない物が見えたりもする
私は真実を、貴方は偽りを、けども得られる物そのものは
自分自身できちんと見ようとしなければ、見失ってしまうの」

「何よこれ……五月雨が……何なの……何なのよぅ……」
へたり込み、滂沱のニセちゃんを見ると、素早く呆気にとられた鈴々の手を取って
嗚咽する彼女の頬に唇を寄せ、優しく涙を掬う、鈴々も真似て反対の頬に唇を寄せた
ぎゅっと鈴々が彼女を抱きかかえると、次はあいでぃちゃんがそれに続く

嗚咽する少女、それを二人の少女が優しく抱く、短いながらも濃く深い時間が流れる

あいでぃちゃんは涙もすっかり止まったのを確認すると
「最も貴方を大切に思っているのは五月雨さんよね
互いにやりあっても本当は貴方の事を想い、そして仲良くしたいのよ」

「……そうよね、……いつもそうよね!そうだったよね!
ありがとう……あいでぃちゃん、そして鈴々」

「クリスマスプレゼントよ、キスぐらいしかあげられないけど
はいこれ、ニセちゃん今日も御仕事頑張ってね!」
激励と共に渡される一枚の紙に目を通すとシフト表と書かれていた
五月雨は連日出勤しているけど、自分とわはーが交代制になっている
「うん……うん……ちゃんと私の事、考えてくれてたんだ……ね」
嬉しそうにシフト表を見るニセちゃん

「ところで、ねえニセちゃん?失礼だけど私」
急に腰に片手を当て、もう片手でく葉ぁでニセちゃんを差す
尊大なポーズで話すあいでぃちゃん

「えっ?」
そんな事は今まで無かったからニセちゃも驚いてしまった

「貴方が今回の件で挫けてしまい、成長しないと思っている
でも”偽り串の呪い”で幾多のならず者を騙し隠した貴方なら
私の予想なんて軽々と裏切ってくれるでしょ?
だって貴方は……私の大事な偽者で、凄いライバルなんだから」
まるで芋毛神話の秘神クンリニンサンの様な
慈愛溢れる表情でニセちゃんに告げる

その言葉を聞き、静かに下を向くニセちゃん、暫し後、顔を上げ
「……ええ、勿論裏切るわよ、この偽りの大魔術師ニセフィール様が
あなた如きの予想なんて凄く!優雅に!激しく!破ってあげるんだから」
ビシッと魔法の長串を3本各指の間に挟んであいでぃちゃんに突きつけ
何時もの尊大な態度に戻るニセちゃん

「そうなのだー、それはこの五虎将軍である鈴々が保障するのだー!
生まれし日は違えども、死ぬ時は一緒に死にたいぐらい信じるのだー!」
ニセちゃんの両肩に手を置いて、うんうん頷く鈴々

「死んでなんでいられないけどね、さ、店に出るとしましょう!」
バシャバシャと顔を洗い、泣き腫らしてないか鏡で確認するニセちゃん

嬉しそうな表情をして店に出ていくニセちゃんと鈴々を優しい目で見届けると
あいでぃちゃんは逆に屋根へと出ていき、薄暗い街燈と月明かりの下で手紙を書く

【彼女を観察した結果、吾の偽者の姿をしている理由はまだ不明也
されど悪意は感じず、捕縛や援軍は無用の事、詳しくは里帰りの時に報告予定】
く葉ぁを振るうと、手紙は双葉と姿を変え、葉を羽ばたかせて芋毛へと飛んでいく

く葉ぁに乗って帰路、ふと、あいでぃちゃんは想う
IDの秘められた言霊の一つ、それは”id”entify、全てを明らかにするという意味

今こうやって彼女を助けたのも、本当に自分の意思なのだろうか?
完全無欠ではないが、寄り道も挫折も感じず、最短距離を見つけ最善手を打てる

この芋毛が生み出した傑作の怪物、森羅万象全てを解明する
”無知に飢えし者”幼き魔法少女は既にその境地に達し、疑問を感じる

この島に来たのは少しづつだが、かつての芋毛の様に、日々新たなる物が産まれる事だ
それが判らなければ最善も何も無く、沢山の失敗や不明を味わえる

何よりこうして人の為に働けるのは、真実かどうかは別として悪い気持ちじゃない
もしかして偽善かも知れなくても、”そうではない”という希望を捨てたくない
彼女は一言呪文を唱え、この疑問な思考を心の奥底に封印する

何よりそうだったとしても変われば良いだけの事だ
おねえさん、ニセちゃん、そして鈴々、遠く離れて一つ目スパイちゃん
芋毛からこの島に来て多くの大切な人が出来た

島には珍しい雪が僅かにちらつき始める
家の街燈の前で、葉耳を擦り合わせながら小さく丸まって震えつつも
自分を健気に待っているいもぎを見つけると、彼女は満面の笑みで速度を上げた

その頃、酒場では……

一等の商品である、等身大の動くニセちゃんフィギュア!
(……があなたにお酌します)【虫眼鏡じゃないと読めないぐらい小さな字】
それの胸を触ったとしあきにニセちゃんがドロップキックをかましていた

「嬉しいクリスマスプレゼントだぞ俺!やっぱりニセちゃんの蹴りはいいぞ俺」
ニセちゃんは細身で手足が長い、顔もありていに言えば可愛い少女である
それに蹴られて喜ばないとしあきなんて殆ど居る訳がない
例えこの島が変わり者ばかりが他の場所から流れ着く場所だとしてもだ

「おっと横縞パンだぞ俺!もっと蹴ってだぞ俺!縞パン属性ゲットだぞ俺!」
更に続けてドロップキックをかまそうとすると異変が起こった

賞品である筈の等身大フィギュアも真似をして、おっぱいを触った男に
ニセちゃんの真似をしてドロップキックをかまそうとしてステンと転ぶ
「キック失敗の仕草も可愛いぞ俺、縦縞パンも見えて眼福だぞ俺」

「次は俺を蹴るぞ俺」、「いや俺だぞ俺!」
「アナル蹴られてアナニーするぞ俺、アナニー組だぞ俺!」
一斉に並び出す、コミケで行列になるのは慣れているのか一糸の乱れもない

「こ、こいつ凄く動いたのだー!」
「はわーわはー!動いたわはー、凄いわはー!」
流石にわはーと鈴々もこれには驚いたようだ

『彼女は島の”※、芸術軍団”の監修と協力のお蔭で本物そっくりに作れました
小柄なおっぱいとマ【検閲】もちゃんと埋め込んでありますし』
(※、カスタム少女、ドンとこいコラ!、一桁絵、デッサン、PIXIVてーへん)

えっへんと威張って説明を続ける五月雨ちゃん
『お酌用にあいでぃちゃんにゴーレム化の魔法を掛けて貰ったんですよ
ちくわを舐めて貰っては困ります!でも流石にドロップキックは無理でした』

某プロレスラーのビンタ宜しく、としあきに次々とドロップキックを撃ちながら
あいでぃちゃんの偽者である自分の更に偽者のこれは一体何だろうか?と
五月雨に新しく造ったからと一杯煽らされた新酒の酔いが回った頭で蹴り続けた

「この”島の雫”とやら、美味しいのだー、どうやって作ったのだー?」
「これ”島水”もビール風味ジュースわはー」

『浄水装置をおねえさんに改造してもらいビールを蒸留した物、ウイスキーに近いかな?
わはーちゃんのは逆、ビールからアルコールを飛ばして薄め、蜂蜜や果物で味付けしたの』

「ワタシガ作ッタニセ!コレデ店ノ皆ガニセ、楽ニナルニセ」
ニセロボが胸を開いて嬉しそうにその改造浄水装置を見せてくる

『部品が足りなくて大量生産は無理でも、頑張って店を盛り上げれば
何時か大家さんが帰ってくる、だからわはーちゃん、週二だけだけどバイト宜しくね』

「よろしくわはー」

(わたしも これから よろしく)
腕に文字がうっすらと浮かび出るニセちゃん型ちくわゴーレム

「えー!コイツはコミュニケーションもできるのー!」
思わず素っ頓狂な声を上げるニセちゃん

「まあいいわ、それはそうとして五月雨、あなたも週に一度休みなさいよ」

『可能な限り店見ていたいし、ニセちゃんにはもっと休んで貰いたいですから
それに、大家さんが帰ってきたら、最初に……迎えたいなって』

「何この惚気話、あーあ、雪が降っているいるのに暑くなってきたわ

『そ、そんなんじゃありませんから!』」
すったもんだの末、日曜以外は週一づつ交互に二人は休みを得る事になりました

「しかし、ホント見れば見るほど似ている、でも胸が少し大きいじゃない
そう言えば、おっぱいやマ【検閲】ってどう考えても埋め込む必要ないよね?」

『それが”ゴーレムを動かすのに必要な触媒”だって、あいでぃちゃん言ってました
結構小柄なおっぱいとマ【検閲】見つけるの苦労したんです
ちなみに彼女、服も下着もちくわなんで、それぞれ穴が開いてますよ』
スカートを捲ると、確かに穴が開いている

「凄く卑猥じゃないの!埋めなさいよ!何が竹輪よ、蒲鉾で良いじゃない!」

『蒲鉾?どうしてそんな物を作らせるの?ちくわが有れば他に何も必要ない
ちくわは練り物の王よ!皇帝なのよ!』

「はぁ?竹輪と蒲鉾ならどう考えても蒲鉾の方が高級じゃない?
蒲鉾をお中元やお歳暮に贈るのは聞くけど、竹輪なんて滅多に聞かないわよ?」

『ちくわをディスる気なの!表に出なさい、今度は2桁は差し込みますよ!』
島の雫を流し込み、更に新たなる酔拳を生み出そうとする五月雨

「やるわよ!やってやるわよ!五月雨が負けたら次はヘアヌードだからね!
おっと確か、その年で生えてなかったんだっけ?こう言うのって確か……パイパン?
ははぁ、だから蒲鉾とか見ると思い出しちゃうのね!」

『くぁwせdrftgyふじこlp……っ!絶対に!絶対に許さないよ!』
背中に魔人マジレスのオーラが見える、本気の怒りだ
「私と同じパイパンなのだー!、ちなみに島ぽりすは綺麗に生えてたのだー」
「わはーもつるつるわはー!、ちなみにおねえさんもモジャモジャわはー!」

「こうして今日も島の一日は過ぎていきました
嬉しい誤算で、あいでぃちゃんのゴーレム化の呪文は非常に強力で
鈍間ながらもそこそこ動け、ある程度の単純作業もやれるのです
魔法のせいか腐ったりせず、削れても、その分ちくわを食べさせると再生します」

「こうして、島の酒場は今よりもホンの少しだけ繁盛しました
めでたしめでたし……と言う、お話だったとさ……」

子供達が寝静まるのを確認し、栞を挟んだ後にぱたりと本を閉じ、ランプを消す老婆

「お休み坊や、明日は”カソリ族の三人目は謎の聖闘士?”の話をしてあげよう」
ぎぃと扉を開けてその部屋を出て行きます

部屋の片隅に大事そうに掛けてある、古い紫色の尖がり帽子のニセの字が
窓から差し込む月明かりにキラリと光りました

「……とかって言うと、最終回っぽくて良くないか?のだー」

「ちょっと鈴々!勝手に人を老けさせないでよ!それに後から良く考えてみれば
フィギュアが水着だった時点でやっぱり仕返しも含んでたじゃない!」

「世の中は好きと嫌いだけじゃないのだ、好きでも敢えてキツい態度をしたりするのだ
此間のニセちゃんとあいでぃちゃんみたいなのだ、色々な感情が混ざるから面白いのだー
ちなみに配った方のフィギュアはちゃんと次の日に只のちくわに戻ってたのだー」

「うーん、なーんか釈然としなーい」

「あいでぃちゃんがきたのだー、初の休日、珍しく雪が積もったし沢山遊ぶのだー」
二人は、大きく空に向かって手を振った

おしまい                    


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