第1章第34話「それぞれの夜」


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執筆者:岡島

21:15 路上

一台の車が夜の街を走っていた。運転者は蒼崎佐由理、助手席には黒招霧恵の姿があった。

「すいません、夕食までごちそうになった上、車で送ってくれて」

と申し訳なさそうな霧恵に対し佐由理は明るく気さくな様子で

「いいの、いいの」

と答える
夜も遅く加えて最近、物騒だということで佐由理が霧恵を家まで車で送る事となった。
そして佐由理は

「それより、聞きたいことがあるんだけど」
「はい?」
「これは推測だけど、あなたと志保ちゃんは怪物に襲われて、その怪物を
志保ちゃんが変身して倒したんじゃないの?」
「!」

佐由理の言葉に霧恵は驚愕の表情を見せる。

「その様子だと、どうやら正解のようね」

霧恵は申し訳なさそうに答える

「すいません、隠していたわけじゃ・・・・・・・」
「わかってるわ、説明しにくかったんでしょ、私も昔、似たようなことがあったから」
「・・・・・・・・」

この後、二人の間にしばしの沈黙があり、霧恵がそれを破るように

「あの・・・・・どうしてわかったんですか?」
「状況と、後は感よ。特に『志保ちゃんの変身』に関してはね」
「蒼崎・・・・・」

と言いかけて、霧恵は佐由理も「蒼崎さん」であることに気づき、名前のほうで呼ぶ

「志保さんは一体?もしかして仮面ライダー・・・・」

霧恵の言葉に佐由理は何かを想うように

「仮面ライダーか・・・・・・・・・確かにね・・・・・・・・」

と言ったのち

「でも志保ちゃんは何も知らない。自分の身に何が起こっているかもね」
「そうなんですか・・・・・」

この後、二人の間に幾つかの会話が交わされ、やがて車は霧恵の家に着いた
霧恵は車を降り

「今日は本当ありがとうございました」

と深々と頭を下げた。そして佐由里は

「じゃあね」

と手を振りながら別れの挨拶をし、車でその場から立ち去った

同時刻 蒼崎邸

皆が帰った後、私と幹也は夕飯の後片付けをしていた。私がお皿を洗っていると
隣で同じようにお皿を洗っている幹也が唐突に言った

「黒招さんの事だけどさ、なんか『出来すぎた偶然』ってやつだよね。街で偶然会った子が転校生で、同じクラスで席も隣同志なんて」
「あと、図書室のアルバイトも、確かに出来すぎてるなとは思ったけどね」
「まあ出来すぎていても偶然だと思うよ。でも物語だったらそういう出会いを皮切りに
劇的な展開があったりするんだよね。」
「でも、それは物語の世界でしょ」
「事実は小説よりも奇なりとも言うからね。姉さんもこれから気をつけたほうがいいよ。」
「そう?」
「現にとんでもない事があったんだろ。他人に説明しにくいほどのさ」

確かに、幹也の言うとおり、私は怪物と出くわした。最悪の場合、今ここには居ないかもしれない。
でも、どうして私は生きてるんだろう?あの時、私は怪物に殺されそうになっていた。
あの状況からどうやって助かったのか。まあ黒招さんに聞けばわかることかもしれない。
でも何があったにしても・・・・・・

「姉さん?」

幹也が心配そうに声をかける。

「なに?」
「いや、なんか様子が変だったからさ」
「何でもないわよ」
「そう・・・・・・・・・」

その時、私は悔しくて仕方なかった。何が起こったにせよ結果として私たちは助かった
でも私は黒招さんを助けることは出来なかった。それどころか怪物に襲われて、殺されかけた
結局、私は無力だったのだ。

(こんなんじゃ、正義の味方なんて・・・・・)



同時刻、ラビリンス本拠地、首領室

「フェイト・・・・・・・・・・」

部屋で首領はパソコンのモニターに映るフェイトの姿を見ながら何かを想うように呟き
しばしの間、モニターを見つめた後

「これも、運命なのかな・・・・・」

と呟き、さらに少しの間、モニターを見つめながら沈黙していたが、突如、何かを思い立ったように

「フロスト、私だ。神羅月菜についてだけど・・・・・・・・」

フロストに連絡を取りある命令をだす、そしてそれが終わると、別の場所に連絡を取り始める。

「・・・・じゃあ頼むわ」

連絡を取り終えると

(さてと、そろそろ彼女にお灸を据えに行くか・・・・・)

そして彼女は部屋から出て行った。

21:30 蒼崎レーシング

佐由里は霧恵を家に送った後、寄り道せずまっすぐに自宅兼店舗である
オートバイショップ「蒼崎レーシング」に戻った。家に着くと
真剣な面持ちですぐにどこかに電話をかけ始めた。

「携帯は圏外か」

すると今度は別の番号にかける。受話器からは留守電のアナウンスが流れる
佐由里は、留守電にメッセージを吹き込んだ。

23:00 雑居ビル

13号の探索は、13号が深手を負っている可能性があり、当分被害が出ないであろうと思われるのと
加えて夜も遅いということもあり22時をもって、打ち切られ、
エージェントの多くは支部に引き上げていた。
その支部では、回収された13号の腕の鑑定が行われ、その結果を含めた報告がアリシアにもたらされた。
以下は、アリシアと、報告に来た職員との会話である。

「・・・・・については以上です。次に13号の腕についてですが、切り口から
13号のものではない微量のエネルギー反応を検出しました。
それをデータベースに照合したところ・・・・・・・・」

職員は、一枚の紙を取り出す。

「この武器のものと一致しました」

紙には、二本の剣とそのデータが載っていた
それを見たアリシアは目をわずかであるが見開く

「ただ、切り口の形状が合わないんです。データを見る限りこの武器では、どうやっても同じ切り口になりません」

と職員は困った顔をしているが、アリシアは表情を変えず

「でも、エネルギーは一致した」
「はい、ですが切り口が・・・・・」
「切り口が合わないのは形が違うからよ。これはその武器のものじゃない、でも無関係でもない」
「はぁ・・・・・・・・・」

職員はわけがわからないといった様子だ。

「データをよく読みなさい」

とアリシアは言う。職員はデータに目を通し、最後に書かれてある武器の出自についての部分に目を通した

「これは・・・・・・・」

職員は驚きの表情をみせる。アリシアは落ち着いた様子で

「可能性としては、13号の腕を切り落としたのは・・・・・・・・・・」

その後、アリシアがいった言葉は、

「そんな、まさか・・・・・・・・・・」

職員を更に驚かせた。



22:20 ラビリンス本拠地 懲罰室

ここは、問題を起こした者に対し罰を与えるための部屋である。なお罰は首領自らが下す。
そして、部屋には、その首領(なお仮面は外している)と

「すいません、許して・・・・・・」

今にも泣きそうな顔をしたフレイムの姿があった
なおこの部屋を使うほどの問題を起こすものはほとんどおらず。フレイムはこの部屋の、
ただ一人常連がだった。

「あなた、自分が何をしたのかわかっている?」

と首領は問う。その口調は穏やかであるが、雰囲気は恐ろしさを醸し出す。

「首領の許可もなく勝手に突っ走って・・・・・・・・・でも・・・・」
「何?」
「あ、あの時は、そうしなきゃ・・・・・だって、急ぎの依頼でしたし・・・・・」

すると、首領は先ほどと口調を変えずに言った。

「実はね、風瀬華枝は、既に私たちの監視下にあったの」
「えっ、でもどうして・・・・・・・」
「彼女はMRDよ。ちなみに、あなたが依頼を受け取ったと思われる時間には彼女の素性は既につかんでいた」
「!」

この時、自分が犯した本当の過ちが何であるか気づいた。

「わかったようね。あなたが依頼を伝えていれば、他の競合相手よりも早く達成できる状況にあったの」
「・・・・・・・・・・」

もうフレイムには弁解の用地はなかった。

「まあ今日は、いい事があったから、壊れたノーハーツについては許してあげる。でも」

次の瞬間、フレイムの手足に黒いロープのようなものが巻きつく。

「ひっ!」

そして、首領はゆっくりとした足取りで、彼女に近づきながら

「お仕置きはいつも通り行うけどね」

この後、これまで幾度となく行われてきたであろうフレイムに対するお仕置きが執行された。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

懲罰室から響くフレイムの悲鳴、彼女がいかなるお仕置きを受けているかは
皆様のご想像にお任せする。

「ふう」

しばらくして部屋から首領(仮面は付けている)が出てきた。外にはローレライの姿があり

「終わりましたか」

と声をかける。

「まあ、今日はこれくらいでいいでしょ」

と首領は答える

そして部屋の中ではフレイムが地面に横たわり、震えながら

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・・・・・・」

と、うわ言のように言っていた。

「まったく彼女も、懲りないですね。」

とローレライはあきれた様子で言う。
首領は

「普段は問題ばかりだけど、やる時はやってくれる。」
「確かに、大きな作戦だと、彼女は大活躍ですからね」

懲罰室にフレイムを残したまま、二人はその場から立ち去り、首領室へと向かう。
その途中、何かを思い出したようにローレライが言う

「風瀬華枝の事ですが、なぜあなたは彼女の事が、気になったんですか?
『死神』の事だけじゃないような気がするのですが」

すると、首領はため息交じりの声で

「特に深い理由はないわ。確か七月ごろだっけ、彼女が行方不明になったのは」
「そんな事がありましたね。それが何か?」
「ニュースで事件を知った時、ふとこんな事を想像したの、私たちと同じような組織が
彼女を実験体にする為にさらったんじゃないかってね」

それは、報道番組で事件を知った無関係な人間が、あれこれとめぐらす想像のようなものであり、
時が経つにつれ、その事を考えることはなくなり、首領も今日まで忘れていた。

「彼女がMRDのリストに載った時、その事を思い出してね。それで気になったの」
「そうですか」
「まあ、確証は全くなかったから『死神』が現れなければ、あんな命令は出さなかったでしょうね」

と言ったのち、

「それより、第一次調査は、ここまでにして、第二次に移りましょう」
「では、『インビジブル』を投入するんですね」
「いいえ、まだよ」
「えっ?」

ローレライは少々、驚いた様子を見せる。

「神羅月菜にもう少し、働いてもらうわ」
「役に立つでしょうか。随分と深手を負ったみたいですし、彼女はもう」

心配そうにいうと

「大丈夫、手は考えてあるわ」

そして、首領は仮面の下で邪悪な笑みを浮かべた。

(さて蒼崎志保、いや新たなフェイト、最初の試練をどう乗り切る?)

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