作者 ユルカ
PM 13:50 EASE・モニタールーム
「…………やはり動いたか」
エウリュディケは呟いた。
彼女は、この部屋で志熊 京を見ていたのだ。
彼女の身に起こった全てを。
「しかし……」
エウリュディケが気にしていたのは京の事ではなかった。
その京を助けた、闇の精霊を力とする仮面ライダー……。
「ギルファリアス……僕の邪魔をしようというのは分かってたさ」
そばにあった麦茶を飲み干し、エウリュディケは呟いた。
「だが、貴様に止められるものか。ネクシアスが覚醒してもな……」
「エウリュディケ様……」
「何の用だい? アイスキュロス」
エウリュディケの配下の一人、アイスキュロスがCDプレイヤーを持って話しかけた。
「ご要望のものをお持ちしましたが……」
「ありがとう。これでやっと聞ける」
言うが早いか、エウリュディケはイヤホンを使って音楽を聴き始めた。
よく聞くと、『仮面舞踏会』を口ずさんでいる。
(何で!?)
アイスキュロスにはエウリュディケのこういった事が理解出来なかった……。
PM 18:45 工業団地 詳細場所不明
「……やっぱりライダーとは……私の眼、間違ってはいなかったようね」
風瀬 華枝を追っていたエウリピデスは、彼女の発する僅かな力を追ってここまで来ていた。
「しかしどうするべきか。あの子と一緒にいた子もライダーだったし」
あの子=風瀬 華枝と一緒にいた子。
そう、護矢 命李である。
「参ったなぁ……」
あろうことか、エウリピデスも囲まれていた。
先ほど、華枝を追いかけていた奴等と同種である。
「……このエウリピデスを、只の女と舐めないことね。消し飛びなさい!」
一瞬の光――それで彼女以外の者は文字通り消し飛んだ。
PM 19:00 EASE・モニタールーム
「おかえり、ソフォクレス……いや、豊桜 冥、だっけ……??」
「どちらでもお好きなように」
「あ、そう。ソフォクレス、シグマはどうだった?」
「今は家のほうにいるようです。どうされます?」
しばし、考え込むエウリュディケ。
そして一言。
「今は放って置こう」
「な!?」
「まだ大丈夫だよ。ただ、僕の予想より早くより力をつけてしまうのであれば……」
エウリュディケはこぶしを握り、不敵な笑みを浮かべて言った。
「消すのみだ!」
その言葉には、一切の容赦も無かった。
最終更新:2009年06月27日 01:29