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土曜日の昼下がり IF 完結編



「え?まあとちゃん…?」
ちあいは開いた口がふさがらないでいる。

「アイヤー、まあとが出てたアルか」
ゆっくも驚きが隠せないでいた。

「あいつ、そんなに食ったか…?」
しゃんどぅは疑問を口にした。

三人がそれぞれにまあとの食について思い出してみる。

「そういえば赤福を一箱あっさり食っちまってたな…」
「でも、普段のご飯は普通の量だったわよ…?」
「ボクの特製チャーハンも普通の一人前しか食べなかったアルね…」
三人がどう思い出してみても、まあと=大食いのイメージが結びつかない。


「やあやあ、まあとだよー」
まあとがパンパンに膨れ上がったお腹を抱えながらやって来た

「ちょっとまあとちゃん、はしたないわよ」
ちあいが慌ててまあとのお腹を隠そうと上着を整える

「うう…ちょっと食べ過ぎたねん…」
まあとはその場でパタリと横になる

「なんでお前大会出たんだ?そんなに食えないだろ?」
しゃんどぅは皆が疑問に思っていたことを聞いた

「うち、昨日から徹夜で絵描いとって晩と朝ご飯食べてなかったねん。」
「で、ニオイに釣られて参加したってわけかよ」
まあとが無言で頷く

「もうまあとちゃんたら…こんなになるまで無理に食べないでも…」
ちあいはまあとにひざ枕しながらお腹をさすっている

「残したらもったいないお化けでるねん。うち、むかしご飯残してごっつ怒られたねん」
もったいないお化け
普通なら幼児をしつけるのに言い聞かせる寓話にしかすぎない
しかし、まあとが言うのならそれは事実存在するのだろう

「まあとコレ飲むアル。ゆっく特製の胃に効く漢方アルよ」
ゆっくがミネラルウォーターと薬の包みをまあとに渡す。
まあとはそれを飲み込みげっぷをする。

「おーーい」
優勝候補の静流が駆けてきた。
ステーキ丼五杯を食べた影響はまったく感じられない。

「いやー驚いたよ!!まあとが出てるなんてっ!!」
静流の大声が響く。
(お前のそのなんでもなさの方が驚きだよ)
と、しゃんどぅは言いかけて止める。

「あー!!なに、まあと!!死にかけじゃん!!」
ぐったりとちあいの膝枕で寝ころぶまあと見て静流が叫ぶ

「ヾ(εεε@めっちゃ元気ー」
まあとの幽体が答える

「あーーーっ!!!!」
「うわああ出てるじゃねーかっ!!」
「アイヤー危ないあるね」
「ちょ…まあとちゃん!!」
「元気やねん」
まあとの幽体が体に戻って答える。

「おまえなー、いきなり幽体離脱するなよ…焦るじゃねーか」
意外と心霊的な存在に弱いしゃんどぅが言った。

突然、重く低い振動が地面を揺らした。
何事かと辺りを見回すと、相撲部員が一斉に四股をふんでいる。
そこには静流とデッドヒートを繰り広げた方喰(カタバミ)の姿もある。
カタバミにもステーキ丼の影響は全くないようであった。

(おうおうこれは…静流と面白い戦いになりそうだぜ…まあとは…たぶん無理だろーけど)
しゃんどぅがニヤリと笑う。

やがてインターバルの時間が終了し本戦の開幕となった。
『それでは選手入場ッッ!!!!』
放送部タザハマの暑苦しいアナウンスが流れた

試合会場には、今か今かと待ちきれぬ様子の静流と相撲部カタバミ、そしてぐったりしているまあとの姿があった。
『本戦は制限時間の3分内にどれだけ食べられるかの大食い形式です、さあ選手の前にステーキが置かれだしました!!』
選手の目の前にどかどかとステーキ皿が並べられ出す。
静流はまたもや犬のように興奮しだした

「しずるちゃん…はしたない…」
ちあいが情けないとばかりに言った。

やがて会場に銅鑼の大きな音が鳴り響いた。ついに試合開始である。

静流とカタバミはすさまじい勢いでステーキを食べ始める。
あっという間に食べ終えた皿が並び出す。
一方まあとは、実にマイペースでステーキを食べていた。

「あちゃー、まあとは勝負にならないアルねー」
「そりゃ、あの腹じゃあな…」

観衆たちも歓声を上げながら静流とカタバミの大食いを応援している。
その声援に応えるかのように二人は食って食って食いまくっている。

10枚目の皿が置かれた。
静流とカタバミは全く同じペースだった。
その頃まあとは、やっと一皿食べ終えるかといったところ。

20枚目の皿が置かれた、時間は2分を経過した所であった。

「まーとちゃーん、大丈夫ー!?」
ちあいが大きな声でそう聞いた

「ヾ(εεε@めっちゃ元気ー」

「うわあああ!!また出てる出てる!!!!」
「だ、大丈夫なのかしら…」
「まあとの元気は当てにならないアル…」

『残り30秒!!』
そのアナウンスとともに会場の熱気も強くなった。
静流とカタバミもただ一心不乱に食べ続けている。

観衆は感じていた。その姿は、すでに人を超えた存在ではなかろうかと。
いつの間に会場は静まりかえる。
ただ二人のナイフとフォークが皿にぶつかる音だけが響いている。
ただ食べる
その姿があまりに神々しかった
観衆はその姿に美しさを感じていたのであった


しかし異変は突然に訪れた

「うぐっ…げ、限かい…だ…」
27皿を食べ終えた所でカタバミが机の上に突っ伏したのであった。
それを見た静流が勝利を確信しニヤっと笑った。
だがしかし、静流も限界に達していたのであった。

「そ、そんな…わ…たし…が…」
静流は一度たち上がり、そのまま前のめりに倒れ込んだ。

そして時間終了の銅鑼が鳴らされた

『こ、これはダブルノックアウトーー!!!!』
会場中がざわざわと騒ぎ出す。
『これは一体どうなるのか…雫、方喰両選手とも27皿となったが!!』

そして大会主催者であり猛牛亭店主の牛頭(ごず)が壇上に上がる。

「たしかにこの二人はよく食った、だが!! 最後まで!!勝負の場に残ったのはこいつだ!!」
ゴズはずかずかとまあとのそばへ行き、まあとを軽々と抱えた。

「見ろ!!こいつはこんな小さな体で!!勝負を最後まで投げなかった!!」
「あわわ…降ろしてー」

「俺は…俺はっ!!こいつのファイティングスピリットに感動した!!!!」
ゴズの瞳からは大粒の涙が流れた
観衆が一斉に声を上げる

「見事だったぞ!!」
「よくぞ戦った!!」
「ちっちゃいのに凄いぞー!!」
そして大きな拍手が会場を包む
観衆の何人もは涙を流している

「よってこいつの優勝だーーーッッッ!!!!!!」
ゴズの大声とともに会場から大きな歓声が上がる

『優勝者は…当麻まああああああとおぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!!!!!!』
アナウンスがまあとの優勝を告げた。
会場からは一斉にまあとコールが起こる。

「な、なんだこの異常な熱気は…」
しゃんどぅはもはや意味が分からず混乱していた…

「さ、さあ…この人たちっていったい…」
ちあいが困惑の表情で戸惑っている

「アイヤー、バカばっかアル…」
ゆっくが大きくためいきをつく

「そんことより、早よ降ろしてぇなー」
まあとはいつまでもゴズによって高らかに掲げられていた…


一方、会場から遠く離れた竹林の東屋では…
鳳うるがひとりしゃんどぅの到着を待っていた

先生をこんなに待たせるなんて…しゃんどぅ君たら、ドSだわ…
まさか、先日のあの僅かなひとときでワタシがドMだと見抜いたのかしら…
はっ、もしかして…とっくに来ていて、どこからかワタシを観察しているのかしら…!!
ああ、なんてイケない生徒なのかしら…
ここはたっぷりと…ワタシの大人の魅力でしゃんどぅ君を…うふふ
ああ!!いけないわ!! ワタシとあなたは教師と生徒よ!!
ふふふ…そんなことを言ってもセンセイ…体は正直じゃないですか…ふふふ…
だ、だめよ!! そんなところに…はうぅぅ!!!!

うるの妄想は
日が暮れてからも
たっぷりと続いたのであった…