※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

カジノ・ロワイヤル 獅子と部下たち 774チップ 2007/09/29(土)13:11

91の続きです。これで第六ターン終了になります。



船倉は昼間でも電球無しでは一歩先が見えぬほど暗い。
オレンジ色に焼け付く白熱電球の下で、獅子は空箱の一つに座って部下のヤキ入れを眺めていた。

「てめぇ、大事な商売道具に手ぇ出しやがって!」
「ヒーッ、すいません! すいません!」

ジャパニーズに売りつける大事な大事な”小麦粉”。
あんまり小麦粉がおいしいので、群れの中にいた一匹の悪いライオンが箱に首を突っ込んで
中の小麦粉をおいしいおいしいとなめてしまいましたとさ。

獅「おい、その辺にしてそいつ縛っとけ。
  ……(ヤキを入れられた男に)お前ゲームは好きか?」

「へ?」

獅「(淡々と)ゲームだよ。ゲーム」

「ああ……はい」

獅「よし。じゃ夜んなったら俺とゲームしよう。ポーカーかブラックジャック、ババ抜きでもいいぞ。
  負けたらお前海に飛び込め。そしたら勘弁してやるから。
  国に帰って一族もろとも組織の制裁を受けるよりましだろう。
  ……あ、お前一族っつっても妻子しかいないんだったか?」

「勘弁してください」と泣き喚く男の頭を靴で踏みにじる。
面白くもなさそうに獅子が耳をほじっていると、部下の一人が船倉に下りてきてひそひそと獅子に耳打ちした。
耳打たれた内容に獅子の顔が急に嬉々と輝く。

獅「おお、あの男が負けそうか!? そうかそうか」

猛烈に意地の悪い笑みを浮かべ、獅子は踏んでいた部下のことなど忘れて階段へと歩き出す。
「お前ら全員来い」と叫ぶ声が賑やかだった。ヤキ入れを喰らい縛られた男一人を残して、
いかつい男たちがずらずらと獅子のあとへ続く。

獅「カジノに入ったら好きなだけ飲んでいいぞ。俺のおごりだ。
  そのかわりじゃんけんに勝ったら俺に権利をゆずれよ。ここぞとばかりに働け」

「獅子さんやっぱりあのこと根に持ってるんですか」と叫ぶ部下に
「馬鹿野郎」と楽しそうにげんこつを入れる。誰かが泣き言まじりに「傍若無人ですよ」と漏らした。

獅「俺はあの男の負けるところだけは見ておかないわけにいかん。そういう性分なんだ」

階段を上って乗客用の通路に出る。道行く乗客たちが、獅子の連れる男たちにおののいて身を引く。
通り過ぎるレストランや売店の多くでテレビが水瓶の冷たい目を映し出していた。
賭博場へ歩く獅子の顔は子どものように浮き立って弾んでいた。