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・・・

「おーい、おにいさーん!こっちこっちー!」

今日は燐ちゃんに連れられて灼熱地獄跡にきていた
まだ何もしていないのに汗がダラダラと出て、ゆっくりと俺の体力を奪っていく

「ねぇ燐ちゃん」
「ん?」
「ここで何をするの?てかこれなに?」

ふたつ疑問があった
ひとつはここで何をするかである
こんな灼熱地獄で何をしようというのだろうか

「これ?」
「そう、これ」

ガラガラ――――

もうひとつはこの手押し車
燐ちゃんがいうには猫車だが、人が押すのなら人車にでもなるのだろうか

「ここで死体を集めるんだよ。
 これは死体を運ぶための道具」
「し、Shitaiーーーー!?」

それこそ意味がわからん

「死体なんて集めてどうするのさ!」
「うーん、これを集めてお空に渡すんだよ。
 そうするとお空が燃やしてこの灼熱地獄の熱を調整してくれるの」
「空ちゃんが?」
「うん、お空は溶解炉の熱管理担当なの。
 そして私は怨霊担当」
「・・・よくわからんが地獄を維持管理するのも大変なんだな」
「まーね、あたい達が頑張らないと地獄が止まっちゃうからね!」

と、胸を張っていう燐ちゃん
その控えめな膨らみはわれわれの業界ではご褒美ですよ

「!なんか狙われてるような・・・」

これが動物的カンってやつか

・・・

一時間ほど黙々と死体を集めてみたが
いかんせん暑すぎて集中できないというか既にバテ始めてきた

「ふひーふひー」
「お、おにいさんだいじょぶ?」
「これくらいへのかっぱだよ・・・」
「そ、そう?全然そんな風には見えないんだけど・・・」

心配そうにこちらを見てくる
だが、俺より年下そうな燐ちゃんよりも先にバテるのは男の沽券としていかがなものか

「さぁ続けようか・・・」
「あっ・・・」

結局やせ我慢するしかなかった


それからも死体を集めていたが流石に体力の限界だ
あれから三時間も我慢していたから当然のことだろう

「今日はもうこれくらいでいいよ!おにいさん!
 あとはあたいがこの死体をお空のところに運んでいくから地霊殿に戻ってて!」
「いや・・・最後まで手伝うよ・・・」
「こ、これ以上は無理だって!
 第一お空は溶解炉にいるからおにいさん溶けちゃうよ!」
「そういやそうだったね・・・
 じゃあお言葉に甘えて休憩することにするよ・・・」

死んでるし溶けやしないだろうと思っていたが
泣きそうな顔で懇願されては無理を通そうなどと思うことはできなかった

「後は頼んだよ燐ちゃん・・・」
「う、うん!戻ったらたくさんお水飲んでゆっくり体を休めてね!」

・・・

地霊殿に戻るとさとりさんは大慌てで水を持ってきてくれた
その後体を拭いてくれたりと甲斐甲斐しく看護してくれた

「本当にごめんなさい・・・」
「さとりさんが気にすることじゃないよ」
「でも・・・」

さとりさんは自分を灼熱地獄に送り込んだことに自責の念を持っているようだ

「そんなことよりお風呂空いてる?
 こんな汗かいちゃ気分が悪くてしょうがない」
「お風呂ですか?空いてますけど・・・」
「それじゃ入らせてもらうよ。
 ・・・さとりさんも変に気を病まないでね」

後ろから何か聞こえてくるがそれは無視しておいた

・・・

―――カポーン

このカポーンって日本人が考えた擬音なんだけどよく出来てるよね
これだけである程度のことがわかるのだもの

「ふぅーーーーー・・・
 命の洗濯とはまさにこのことだな」

死んでるけどね
でもこんなどでかい露天風呂なんだ
気分だけ楽しもう

明日からどうするべきだろうか
この暑さを乗るきる術が何一つ見つからない
かといって無理して突っ込んで毎回周りに泣かれるのも避けたい

「はぁーーーー・・・」

またひとつ大きなため息

「おにいちゃんどうしたの?
 あんまりため息はいてると幸せさんが逃げちゃうよ?」
「―――――ッッッ!!!!?!?!」
「きゃっ!」
「だ、だだだだだだだれだっっ!」

確か誰もいなかったはずだぞ!
考えに耽ってたとしてもドアの開け閉めくらいの音なら気付くはずなのに!

「わたし?私はこいしだよ」
「え?こいし?」
「うん、さとりおねえちゃんの妹のこいしだよ」

この娘がさとりさんの言ってた妹さんか
って

「じゃなくて!なんでこいしちゃんがお風呂にいるの!?」
「それは私がお風呂に入ってたからだよー」
「そうじゃなくて!誰もいなかったはずなのに」
「私はおにいちゃんが入る前からいたよ?」
「えっ?」
「それに昨日のお夕ご飯のときにも隣にいたよ」
「えっ?えっ??」

なにこれこわい
新手のホラー?
混乱してる俺を見てくすくすと笑い始めるこいしちゃん

「からかってごめんね?
 本当は気付かれないようにしてたんだ」
「気付かれない??」
「うん、私は無意識で動けるの。
 無意識だとみんなには気付かれないんだー」

無意識で気付かれないもんなのか?
けど現に気付く事ができなかったから本当なのかもしれない
それにさとりさんの妹なんだからそれくらいは・・・

「ん?さとりさんの妹ってことは同じように心が読めるの?」
「ううん、私は読めないの」
「え?どうして?」
「・・・私は第三の目を閉ざしてるの。
 だから何にも見えない」
「・・・」
「前は・・・第三の目を開いてた頃はおねえちゃんと同じように見えてたよ」
「どうして閉じちゃったの?」
「・・・この目がある限り私たちは嫌われ者だもん。
 心が読める人と一緒にはいたくないって人がほとんどだよ」
「・・・」
「でも!この目を閉ざしてからはみんな話しかけてくれるようになったし、無意識で動けるのも楽しいよ!
 心が読めるなんて厄介なだけだしよかったよ!」

声を張り上げて言うこいしちゃん
心から嬉しそうにそういうが、俺にはその顔は悲しみの裏返しにしか見えなかった

・・・

どうして彼女たちはこんな地の底で暮らしているのだろうか
決まってる、彼女たちは忌み嫌われるから迫害されたのだ
最初のさとりさんの悲しそうな顔もそうだ
あれは自分が嫌われていると重々承知してたんだ
・・・そういえば初日に燐ちゃんが部屋にきて何かを話そうとしてた
今となっては何を言おうとしてたのかわかる気がする
彼女たちを何とかしたい
その為に俺は何ができるのだろうか


俺には幻想郷のシステムなんてわからないが

彼女たちはもっと日の当たる世界で暮らすべきだと強く思った



~次回予告~
なんとかしたい一心で行動を始める男

「あたしがこの旧都を統べる四天王さ!
 あんたの心意気買ったよ!」

それぞれの思い

「今のこいしは遊んでまわる子猫。
 ・・・あの娘は少し可哀想に見えます」

「おねえちゃんは心が読めちゃうから怨霊や妖怪に嫌われちゃうの
 ・・・私はおねえちゃんのことが好きだからなんとかしてあげたいの」

「にゃにゃ!あたいもなんとかしたいって思ってたの!
 協力するよ!おにいさん!
「わたしもさとり様やこいし様の喜ぶ姿が見たいもの!
 最大限の力を貸すよ!」

そして突然の闖入者

「に、にんげん?」
「半分正解だけど違うな、私は魔法使いだぜ!」


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