夢幻紳士
「誠君・・・・・」
人の気配の無い夜の公園。
そこでオレンジ色の柔らかい光を灯す
ガス灯の傍らのベンチに、
一人の少女が座っていた。
そこでオレンジ色の柔らかい光を灯す
ガス灯の傍らのベンチに、
一人の少女が座っていた。
長くて艶のいい髪の
ふくよかで凹凸に富んだ艶めかしい肢体を
持ったまだうら若い少女であった。
ふくよかで凹凸に富んだ艶めかしい肢体を
持ったまだうら若い少女であった。
その豊かな肉体は、今は乱れた学生服と、
彼女が放つブルーのオーラに包まれている。
彼女が放つブルーのオーラに包まれている。
彼女の名前は桂言葉という。
つい今しがた、彼女は事実上の失恋と、
愛しい恋人と親友の裏切りを体験したばかりであった。
愛しい恋人と親友の裏切りを体験したばかりであった。
自分が、愛してもいない男に肉体を蹂躙されている時、
恋人と親友は、自分の事など心の端にすら置かず、
二人だけの時間を楽しんでいたのだ。
恋人と親友は、自分の事など心の端にすら置かず、
二人だけの時間を楽しんでいたのだ。
自分はそれに大して何も言えなかった。
ただ見ているだけしかできなかったのだ。
ただ見ているだけしかできなかったのだ。
そんな時、不意に目の前が真っ暗になって、
意識が途切れ、
それで眼がさめればあの奇妙な祭りの只中にいた。
意識が途切れ、
それで眼がさめればあの奇妙な祭りの只中にいた。
そして、如何なる反応も返す間もなく、
彼女はこのバカ騒ぎ巻き込まれていたのだった。
彼女はこのバカ騒ぎ巻き込まれていたのだった。
「誠君・・・・・・・」
気が付けばこのベンチに座っていた。
それからしばらくは唯ベンチの上で
呆然としていた。
気が付けばこのベンチに座っていた。
それからしばらくは唯ベンチの上で
呆然としていた。
しばらくして落ち着いてくると、
今度はここに連れてこられるまでに
体験した数々の悲惨と、
まるで嵐のような理不尽の連続で、
彼女の胸ははち切れそうになっていた。
今度はここに連れてこられるまでに
体験した数々の悲惨と、
まるで嵐のような理不尽の連続で、
彼女の胸ははち切れそうになっていた。
「誠君・・・・・・・」
彼もここに連れて来られているのだろうか?
ひょっとすると西園寺さんも一緒かもしれない。
たとえ、彼一人だとしても、今更彼が自分の事を見てくれのか。
それに、もし彼が居なかったとしたら・・・・
ひょっとすると西園寺さんも一緒かもしれない。
たとえ、彼一人だとしても、今更彼が自分の事を見てくれのか。
それに、もし彼が居なかったとしたら・・・・
『そしてルールは単純明快、五日以内に異性の恋人を見つけ、カップルを成立させることができれば島から脱出出来る!
時間をかけて愛情を育むか、己の容姿を信じて突貫するかは参加者次第!
ただし告白失敗は三回まで、四回目の告白で振られるとそのばでアウト!
また五日以内に恋人を見つけられなかったり、不慮の事故なりで死んでしまってもその場で失格だ!
惜しくも失格になってしまった参加者は強制的にガチムチ先住民達の惑星に閉じ込められそこで
一生を過ごしてもらうハメになる!』
時間をかけて愛情を育むか、己の容姿を信じて突貫するかは参加者次第!
ただし告白失敗は三回まで、四回目の告白で振られるとそのばでアウト!
また五日以内に恋人を見つけられなかったり、不慮の事故なりで死んでしまってもその場で失格だ!
惜しくも失格になってしまった参加者は強制的にガチムチ先住民達の惑星に閉じ込められそこで
一生を過ごしてもらうハメになる!』
誠君以外の恋人・・・・たださえ人見知りな自分にそんなこと・・・
「くっ・・・・ふっ・・・くぅっ・・・・・」
自分の幸せを壊していく理不尽な現実の連続に、
彼女の心は決壊寸前だった。
むしろ今まで泣きださなかったのが不思議なぐらいだ。
涙が、ポツン、ポツンと、膝の上にのせられた拳に落ちる。
自分の幸せを壊していく理不尽な現実の連続に、
彼女の心は決壊寸前だった。
むしろ今まで泣きださなかったのが不思議なぐらいだ。
涙が、ポツン、ポツンと、膝の上にのせられた拳に落ちる。
『何を泣いてるんだい、お嬢さん』
そんな時であった。
その、鈴の音の様な、
聞く者に不安と安心を同時に与えるような
不思議な声が聞こえて来たのは。
その、鈴の音の様な、
聞く者に不安と安心を同時に与えるような
不思議な声が聞こえて来たのは。
驚いて、言葉は辺りを見渡すが、
周りには人っ子一人見当たらない。
周りには人っ子一人見当たらない。
「こっちだよ、お嬢さん」
声の方向をあわてて向くと、
何時の間にそこにいたのか、
背の高いガス灯の傍らに、
一人の青年が立っていたのだ。
何時の間にそこにいたのか、
背の高いガス灯の傍らに、
一人の青年が立っていたのだ。
黒いツバ広の山高帽に、
同じ色の背広に、
白のネッカチーフを首に巻いている。
同じ色の背広に、
白のネッカチーフを首に巻いている。
黒い、肩ぐらいまである長い髪は
まるで闇のように黒い。
まるで闇のように黒い。
そして、何よりも印象的なのは
その顔であった。
その顔であった。
青白い、まるで蝋のように
白い肌をした、
美女と言ってもいい
美貌の優男なのである。
白い肌をした、
美女と言ってもいい
美貌の優男なのである。
ただ、その美しさには、
まるで匂いで獲物を引きよせて
食べてしまう食虫植物のような
ある種の恐ろしさを内包していた。
まるで匂いで獲物を引きよせて
食べてしまう食虫植物のような
ある種の恐ろしさを内包していた。
「君みたいな綺麗な子が
こんな夜中に何を泣いているんだい?」
こんな夜中に何を泣いているんだい?」
まるで闇からそのまま抜け出て来たような
黒く美しい青年は、
音もなく言葉に歩み寄ると、
何も言わずに、彼女の隣に座った。
黒く美しい青年は、
音もなく言葉に歩み寄ると、
何も言わずに、彼女の隣に座った。
「辛いことがあったんだろう?
話してごらん」
話してごらん」
恐ろしいほどに美しい顔をこちらに向けて
そんな事を言ってきた。
そんな事を言ってきた。
「・・・・・・」
するとどうであろう。
一瞬言いよどんだものの、
言葉はぽつりぽつりと自分の身の上を話し始めた。
するとどうであろう。
一瞬言いよどんだものの、
言葉はぽつりぽつりと自分の身の上を話し始めた。
言葉には何故自分がこの名前も知らない男に
そんな事を話しているのかは解らない。
心理的に追い詰められていて、
どこか捌け口を求めていたというのもあるだろう。
しかし、それ以上に、何故だかわからないが、
この青年になら話しても大丈夫だ、という
根拠の無い安心感が彼女の胸に生じていたからであろう。
そんな事を話しているのかは解らない。
心理的に追い詰められていて、
どこか捌け口を求めていたというのもあるだろう。
しかし、それ以上に、何故だかわからないが、
この青年になら話しても大丈夫だ、という
根拠の無い安心感が彼女の胸に生じていたからであろう。
ともかく、彼女は、自分と伊藤誠との恋の物語を
青年に話し始めたのであった。
青年に話し始めたのであった。
◆
全ての事を話し終わると、
何故かは知らないが、
言葉は言いようの無い安心感と、
胸にたまった物を吐きだしたことで、
精神的にはかなり安定してきていた。
何故かは知らないが、
言葉は言いようの無い安心感と、
胸にたまった物を吐きだしたことで、
精神的にはかなり安定してきていた。
また、青年がかなりの聞き上手であり、
所々で、洒落の聞いた皮肉や小話を
言葉の話の合間に交えたことも、
彼女の精神回復に大きく関わっていた。
所々で、洒落の聞いた皮肉や小話を
言葉の話の合間に交えたことも、
彼女の精神回復に大きく関わっていた。
「ふむ、それにしてもその誠という奴は
とんだ「人でなし」だ」
とんだ「人でなし」だ」
そんな事を言うと、青年は突然ベンチから
フッと立ち上がった。
フッと立ち上がった。
「丁度いい機会だ。君はもっと他の男を知るべきだな」
「えっ・・・・・?」
「えっ・・・・・?」
青年の突拍子もない言い出しに、言葉は目をパチクリさせる。
「誠ってのが初めての男だったんだろう?
初めてがそれじゃあ、あんまりにも君が可哀そうだ。
どの道誰かとくっつかなけりゃココからは出れないみたいだし、
他に誰か男を探してみるのもいいんじゃないか」
「でも・・・・・」
初めてがそれじゃあ、あんまりにも君が可哀そうだ。
どの道誰かとくっつかなけりゃココからは出れないみたいだし、
他に誰か男を探してみるのもいいんじゃないか」
「でも・・・・・」
俯く言葉。青年は、ふうっ、とため息を一つつくと、
「とにもかくにも君はもっと色んな男を知るべきだ。
まず君はちょっとばかし初心すぎる。
もう少し男にこなれておかないと」
まず君はちょっとばかし初心すぎる。
もう少し男にこなれておかないと」
そんな事言う。
「まずは、色んな男と話して見るべきだ。
新しい「男」を探すことはひと先ずおいて、
そこから始めた方がいい。
男に慣れておいて損は無いだろう?」
「・・・・・はい」
新しい「男」を探すことはひと先ずおいて、
そこから始めた方がいい。
男に慣れておいて損は無いだろう?」
「・・・・・はい」
言葉の返事を聞くと、男は言葉から離れて、
公園の出口へと歩き始めた。
その後をあわてて追う言葉。
公園の出口へと歩き始めた。
その後をあわてて追う言葉。
「あの・・・・」
「ん・・・・いや、僕は駄目だ。
生憎、僕はその誠ことを他人事みたいに
言えない『人でなし』だけど、
流石に、君みたいな純な子供を
引っかけるほど、悪い男じゃないよ」
「ん・・・・いや、僕は駄目だ。
生憎、僕はその誠ことを他人事みたいに
言えない『人でなし』だけど、
流石に、君みたいな純な子供を
引っかけるほど、悪い男じゃないよ」
そう言うと、悪戯っぽく、帽子を動かす。
「いえ・・・・違うんです」
言葉は微笑みながら言った。
言葉は微笑みながら言った。
「お話、聞いてもらって有難うございます。
最後にお名前を聞いておきたくて・・・・」
最後にお名前を聞いておきたくて・・・・」
青年は、一瞬キョトンとすると、
帽子をきれいに被りなおして、
帽子をきれいに被りなおして、
「夢幻です」
「僕の名前は、夢幻魔実也というのですよ」
そう言うと優しく微笑んだ。
【お洒落な公園/12月20日午前1時】
【桂言葉@School Days(アニメ)】
[状態]:若干の精神疲労、心のゆとり
[道具]:不明
[標的]:特になし。ただ、誠にもう一度会いたい
[思考]:魔実也の助言に従う?
[状態]:若干の精神疲労、心のゆとり
[道具]:不明
[標的]:特になし。ただ、誠にもう一度会いたい
[思考]:魔実也の助言に従う?
【夢幻魔実也@夢幻紳士シリーズ(冒険活劇版を除く)】
[状態]:健康
[道具]:不明
[標的]:未定
[思考]:せっかくなので、このゲームを大いに楽しむ。
[状態]:健康
[道具]:不明
[標的]:未定
[思考]:せっかくなので、このゲームを大いに楽しむ。
投下順
Prev | SS | Next |
---|---|---|
お約束 | 夢幻紳士 | 等価?交換 |
時系列順(キャラクター別)
Prev | キャラ | Next |
---|---|---|
初登場 | 桂言葉 | [[]] |
初登場 | 夢幻魔実也 | [[]] |