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幻のウエディングドレス~友情結び~


 ここに一着の純白のウエディングドレスがある。
 女の子の永遠の憧れにして、悠久の愛の象徴。
 身に纏う者に輝くばかりの幸福を与えてくれる魔法の衣装。

 まさかこのウエディングドレスも、綱引きの綱のような扱いを受けるとは夢にも思ってなかっただろう。


「ちょっとー、離してよぉー!!」
「嫌です。このドレスは、私のドレスです……!!」
「あんたなんてチビだからドレス引きずっちゃうでしょ!? 大人しく譲りなさいよぉ!!」
「それを言ったら、あなただっておチビさんだし、それにぽっちゃりしてるからきっとドレスが入らないです……」
「ぽっちゃりですってー!? あたしは普通だもん!! バカ! わからず屋! ぺったんこ!」
「ひ、ひどい! わ、わ、私、ぺったんこじゃないし、おバカさんでもわからず屋さんでもないです。今の言葉、取り消してください!!」

 清楚なウエディングドレスは二人の少女によって限界まで引き伸ばされてされていた。
 繊細な刺繍も、上質のシルクも、ちりばめられた真珠と花の飾りも見る影もない。

 ウエディングドレスの右半分を引っ張っているのは桃色に輝くサラサラのロングヘアの美少女。
 その左半分を引っ張っているのは白銀に煌めくふわふわのショートヘアの美少女。

 二人ともどう見てもまだウエディングドレスには早い年齢の幼い少女に見える。
 だが、彼女たちは確実に『オトナ』なのだ。誰が何と言おうと『オトナ』なのだ。
 ……いや、この奪い合いを見る限り、やはり『オトナ』とは言えないのかもしれない。


「やだーっ! 取り消さないし、絶対に離さないもん!」
 桃色髪の少女・ローラが甲高い声でますますウエディングドレスの右半分を力いっぱい引っ張ると。


「嫌です。お願い。私のドレス取らないで……。意地悪しないで……!」
 銀髪の少女・ナユタも静かに、だが力強くウエディングドレスの左半分を引っ張った。

「はーなーしーてー!!」
「離してくださいー!!」
 少女たちが悲鳴を上げる。
 しかし、悲鳴を上げたのは少女たちだけじゃなかった。



 びりっ。


 第三の悲鳴の主の無残な亡骸が、ローラとナユタの緑の大きな瞳に映る。

 哀れ、ウエディングドレスは本来の役目を果たすことなく散っていったのだ。

「「いやああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」」

 二人の悲痛な叫び声が重なり、夜空に響いた。

「ああーん! あたしの憧れのウエディングドレスがあああ!!!」
「ひどいです……。私のドレス……着れると思ってたのに……嬉しかったのに……」
「大体あんたが子供のくせにウエディングドレスを着たいなんて言うからいけないのよー!!」
「あなただって、子供じゃないですか……」
「べーっだ! あんたみたいな正真正銘のガキんちょと一緒にしないでよ!! あたしは13歳、立派なレディよ!!」
「……私だって……あ、あれ? 私、何歳だっけ……?」
「なあに? あんた自分の年齢もわからないの!?」

 ローラがナユタをからかうように聞き返す。
 ナユタは必死に自分の記憶を手繰り寄せようとするが、上手くいかなかったらしく静かに首を横に振った。

「どうしよう。私、ずっと眠ってたから……自分が何歳だかわからなくなっちゃった……」
「それがどうしたってのよー! あたしだって……あたしだって……100年ずっと眠ってたんだから!!
 それでもちゃーんと年齢わかってるんだから! それともなあに? あんたも100年眠ってたって言うの!?」
「いいえ……」
「でしょ!? ずっと眠ってたなんて大げさなのよ!」
「いえ、あの、私、どうやら3500年程眠っていたみたいなんです」
「え」
「今覚えているのは、……私は重い病の治療のためにコールドスリープカプセルの中で3500年眠り続けていたってことだけ……です」
「……似てるんだね。あたしたち。こんな寂しいことで、似なくたっていいのにね」

 ローラの言葉にナユタが寂しげにこくりと頷いた。
 ローラも、ナユタも、事情さえ知らなければ、身も心もまだまだ幼いごく普通の子供に見えるだろう。
 だが彼女たちはそれぞれ、運命の悪戯の中で、幾歳月の眠りを余儀なくされ、愛する者との別離を経験してきた、
『大人』でもあり『子供』でもあり、そして同時にどちらでもない、孤独な存在だったのだ。


「私、目を覚ましたら、知ってる人が誰もいなかったんです。
 眠りから覚めてから、自分の知ってる人を頑張って探してみたけれど、当然見つかりませんでした。
 自分は本当に一人ぼっちになっちゃったんだ……って感じた途端、寂しさと不安でぎゅーっと胸が痛くなって……壊れちゃいそうでした」

「……わかるよ。あたしだってそうだもん。あたしだって、せっかく病気が治って元気になって目を覚ましたら、
 パパもママも友達もみんなみんないなくなっちゃってて寂しかったもん。
 だから、この騒ぎに巻き込まれて『恋人作って』って言われた時、びっくりしたけど、これってすごいチャンスだ、って思ったの。
 ここで燃えるような素敵な大恋愛をすれば、もう寂しいなんて思わなくて済むもんね」
 元々永遠の愛を誓ってくれるような素敵な彼氏が欲しいって言うのもあったんだけど――とローラがはにかむ。

「私もです。ここで、私にとって大切な人を見つけることが出来たら私は一人ぼっちじゃなくなるんだ……って思ったんです。
 大切な人と二人で一緒に王国を再建出来るように頑張るって目標が出来たから……」

「王国? 再建? もしかして、あなた、お姫様なの!?」
「はい。あ……まだ自己紹介をしてませんでしたね。私はアガルタ国の王女ナユタです」
「お姫様なのかあ……。あたしはローラ・ニューフィールド! ね、ねえナユタ……様。
 あなたお姫様なんでしょう? お姫様ってことは、やっぱり敬語で話さなきゃ……ダメ……ですか?」
「様なんてつけなくていいです。それと、ローラちゃんはさっきの話し方がいいです」
「じゃあ、そうしようっと。ありがとう。ナユタちゃん」

 二人とも同時に無邪気な笑顔になる。
 さっきウエディングドレスを奪い合ってた時のような、棘のある張り合う気持ちはどこかへ飛んで行ってしまったようだ。
 もしかしたら、あのウエディングドレスが、二人を引き寄せるためにちょっとした悪戯をしたのかもしれない。
 こういうのって『縁結び』とはちょっと違う、『友情結び』とでもいうのだろうか。

「そういえば、さっきはひどいことしちゃってごめんね。ナユタちゃん。ドレスのことも、ナユタちゃんを悲しませたことも全部謝りたいの!」


「いいんです。あのドレスがあったから、こうしてローラちゃんと知り合えたんですから。
 今はもう悲しくなんてなくて……ローラちゃんと仲良くなれてとっても嬉しいんです」
「でも、やっぱりあたし、ナユタちゃんに謝りたい! そうだ。ナユタちゃんの結婚式までにかわいいドレス探してあげる!」
「私の……ですか?」
「うん! だから、絶対、お互い頑張ってかっこよくて素敵な彼氏探そうね!!」
「はい。一緒に頑張りましょう!」
「あー! なんだかすっごく燃えてきちゃった! カッコ良くて優しくて何でも言うこと聞いてくれて頭が良くて運動が出来て……
 そんな人がいたら、あたし、何がなんでも猛アタックしちゃうんだから!!」
「な、なら私も、恥ずかしいですけど、好きな人を見つけたら、ちょっと恥ずかしいけどがんばって仲良くなってみます」
「えらーい! ところでナユタちゃんはどんな男の子がタイプなの!?」
「あ、あの……あまりよくわかりませんが、優しくて、いつも一緒に居てくれる人がいいです」
「え? それだけなの!?」
「はい。あと、出来れば一緒に王国再建を頑張ってくれる人がいいな……」
「だーめ! ナユタちゃん、理想低すぎ! やっぱり男の子はカッコ良くて優しくて何でも言うこと聞いてくれて頭が良くて運動が出来て……」


 とりとめのない会話に花を咲かせながら、少女たちは純白のウエディングドレスの切れ端をそれぞれデイパックにしまった。
 ドレスは破れてしまって、もう着れないけれど。
 まだまだ二人の少女の夢は破れはしない。
 ドレスの生地のように無垢でやわらかな心で、恋に憧れを抱くローラとナユタ。
 この二人にも、それぞれ憧れのウエディングドレスを着て、最愛の人の隣で微笑む日が訪れるのだろうか。



【D-2 公園/12月20日 午前1時頃】

【ローラ・ニューフィールド@悠久幻想曲2ndAlbum】
 [状態]:健康
 [道具]:支給品一式・ランダム支給品一式・破れたウエディングドレスの切れ端
 [標的]:カッコ良くて優しくて何でも言うこと聞いてくれて頭が良くて運動が出来て(略)
 [思考]:1.ナユタと一緒に行動する
     2.燃えるような大恋愛がしたい!
     3.ナユタのウエディングドレスを破ったので、その償いをしたい
     4.標的を発見したら何がなんでも猛アタックする


【ナユタ@魍魎戦記MADARA(ファミコン版)】
 [状態]:健康
 [道具]:支給品一式・破れたウエディングドレスの切れ端(ナユタのランダム支給品)
 [標的]:優しくて、いつも一緒に居てくれる人。出来れば一緒に王国再建を頑張ってくれる人
 [思考]:1.ローラと一緒に行動する
     2.運命の人を見つけて幸せに暮らしたい
     3.運命の人と一緒に祖国(アガルタ)を再建出来るように頑張る
     4.好きな人を見つけたら、恥ずかしいけどがんばって仲良くなってみる




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