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あすさんの家庭教師20 - 普通の明海

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明海「あすさん、普通って何なの?」



明海はいきなり難題を提示した。
普通が何であるかという質問など、基準をどこに置くかで変わってしまうからだ。
そのため、あすさんも回答に詰まることになる。


あすさん「その質問に答えられる人はいないよ…」
明海「あたしは普通なの?」
あすさん「明海が普通だとすると、私は普通ではなくなる」
明海「あすさんが普通だとすると?」
あすさん「明海は普通ではなくなる」
明海「どっちが普通なの?」
あすさん「どっちも普通だよ。でも、どっちも普通ではない」
明海「……異常ってこと?」
あすさん「異常であることが普通なのだ」
明海「異常じゃない人が普通じゃないってこと……?」
あすさん「そんな人は存在しない。みんな、どこかが普通ではないからだ」
明海「普通ではないことがいいことなの?」
あすさん「いいか悪いかも決められないよ。あるときにはよくて、あるときには悪くなるかもしれないから」
明海「決められない……」
あすさん「普通かどうかを考えたって誰も得をしない。一人一人を考えることに意味があるのではないかな」
明海「……そっか……」
あすさん「普通の役者というのはどんなものかと聞かれても、答えようがないだろう?」
明海「たしかに…」
あすさん「普通の役者は役者なのかどうかも怪しい」
明海「役者ではないかもしれない……」

あすさん「明海が普通だと思っているのは、どんな人なんだ?」
明海「そう言われてみると……まったくわからない……」
あすさん「明海が自分自身を普通だと思うことができれば、それでいいのかね?」
明海「………思っても意味がない気がする……」
あすさん「普通と思うことに意味などない。ただ、似た人が集まることで強められる場合がある」
明海「……それであたしは学校に通っているわけか……」
あすさん「目的に合った学校に、同じ目的を持つ人が通う。理科室で楽器を演奏する人などいないだろう」
明海「空気が読めてないね……それこそ普通じゃない……」
あすさん「そういうことだ」


難しい質問だったが、どうにか納得のいく答えを与えることができたようである。


明海「やっぱりあすさんに来てもらって正解だったな~」
あすさん「いや、まだわからないよ」
明海「でも今は間違いなくいいんだよ」
あすさん「そうそう。今は、だ」
明海「それはあすさんも納得してくれる?」
あすさん「異議なし」
明海「よ~し! じゃあ今日の授業はここまでね!」
あすさん「はーい」
明海「ぶはっ! また立場が入れ替わってる!」
あすさん「時にはボケてみせるのも先生の仕事だ」
明海「aspirinさん、すごいです!最高です!」



明海の一連の反応は演技なのか──


十分な理解力のあることをうかがわせる明海であるが、それは演技力の高さを示すものなのか、
それとも、あすさんの説明がたまたま理解しやすかっただけなのかは、まだわからない…。


執事「明海さま、お風呂のお時間でございます」
明海「え? もう?」
執事「お勉強に夢中になられているようで…」
あすさん「…い…いつの間に現れた…」

気配を感じさせずに二人の前に現れた執事。
紳士的なスーツを身にまとった初老の男性で、明海が生まれたときから面倒を見ているため、
まるで孫娘に接するかのような口調と態度があり、優しい雰囲気が漂っている。

あすさん「お風呂のあとは、お食事でもあるんですか?」
執事「はい。ロフリオスのような偏った食事ではなく、素晴らしいメニューからお選びいただけます」
あすさん「それは楽しみだ」
明海「あすさんあすさん! あすさんもお風呂入るよ!」
あすさん「へ?」
明海「2日間も入ってないでしょ」
あすさん「あぁ…そうだった…」
明海「あたしが洗ってあげるから、一緒に来て!」
あすさん「………え?」
執事「aspirinさまもご一緒にどうぞ。お二人の親睦を深めるためでもあります」
あすさん「どこまでが演技なんだね?」
明海「演技? 毎日お風呂に入るのは常識でしょっ!」
執事「さ、どうぞこちらへ。お着替えも用意しております」
あすさん「執事も入ってくるのかね?」
執事「とんでもない……」
明海「あすさんってお風呂の時間が長いよね。何をしてるのか気になる~」
あすさん「私はただ動作が遅いだけだ……」
明海「じゃあスローなあすさんを見られるのね」
あすさん「見ないで~~~マジで~~~」


すっかり明海と執事のペースに乗せられているあすさんである。

浴場へと連れていかれた。





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