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「つまりこういうことだな。」
役立たずになった電話をしまい、先ほど聞こえてきた音と戸田の話を総合したものを松下は話し出す。
「魔王子というやつがソロモンの笛よろしくなものを使って妖怪を操り、
 僕達をギタギタにしようとしている。先に待ち合わせ場所に来ていた山田と埋れ木が妖怪たちと交戦中で、遅れてしまった僕が難を逃れた、というわけか。」
「うわぁ、なんて説明的な台詞だろう!」
「ぐだぐだぬかすな。これぐらいが丁度いいんだ。さて、まずどこから考えるべきか。」
ぎゃあぎゃあとカラスが騒ぐ。悪魔と妖怪の戦いの空気を悟って、どこか落ち着かないのだろう。
そんな中、四期木綿がまず声を上げた。
「とりあえず、あの魔王子ってやつは何者でごわす?悪魔くんを襲ったってことは、あんたの知り合いじゃあなかと。」
「バカ言うな。僕にそんな邪気眼な知り合いはいないぞ。うーん、魔王子、確か……。」
「やっぱり知ってるんじゃないか。」
「ああ、思い出した。埋れ木のやつが魔王子ってのにソロモンの笛を取られたって話したことがあったな。
あの時は見えない学校がいなかったらやばかったらしい。」
「埋れ木の奴から他にもなにか聞かなかったかい?例えば奴の弱点とか、ウイークポイントとか、欠点とか、短所とか、遜色とか。」
「みんななんか同じ意味の言葉だな。そうだな、見えない学校が海水をかけたらドロドロに溶けたといっていたな。」
「じゃあ、あいつの弱点は水……!」
「そこを強化されてなかったらな。」
「よし、一反木綿、早速水を汲みに。」
「まて猪突猛進。まだ妖怪を操る笛の問題が残っているだろう。」
「あ、そうだった。」
一反木綿に乗る気まんまんだった戸田はぽん、と自分の頭を叩いた。そんな彼を見て、松下はますます渋い顔をするのだ。
「妖怪を操る笛だが、それには心当たりがある。古代中国で作られたという覇見得流運の笛だ。」
「は……?」
「覇見得流運、はーみえるうん。」
「ドイツの童話みたいな名前だな!」
強引な名前に呆れる戸田を置いて、松下は更に話を進める。
「その笛の音を聞けば、どんな妖怪でも人形のように操ることができるというもので、
あまりにも強力すぎるから、地獄に封印されたんだ。」
「じゃあその笛を誰かが持ってきて、魔王子にやったんでごわすか。」
「ということは、まさかぬらりひょんが!」
「ぬらりひょんだかぬるぽだが知らんが、そいつのことはほっとけ。」
「あれ、でも、妖怪だったらどうして戸田どんは操られなかったんでゴワス?松岡も野沢も高山も、目玉の親父どんまで操られたというのに。」
「それはたぶん、こいつだけ人間とハーフって設定があるからじゃないか。」
あ、と一反木綿と戸田は顔を見合わせた。
「でもそれだったら兄弟皆ハーフなんじゃ。」
「いちいち気にしてたら美味●しんぼなんか読んでられないぞ。さて、どうやって魔王子の面に水をひっかけるかだ。」
腰かけていた切り株から立ち上がると、松下はうろうろと歩き回り始めた。

「ピンク、ハリケーン!!」
「照魔鏡ー!!」
羽を羽ばたかせ、桃色の嵐を起こす鳥乙女の下では、幽子が一生懸命妖怪の妖力を吸い取っていた。
しかし、どんなにふっ飛ばしても、妖力を吸い取っても、燃やしても凍らせても、こちらが防戦一方の展開には変わりなかった。なにしろこちらは十五人しかいないのに、あちらの人数はその倍以上なのだ。
「家獣、大丈夫かい?」
「ばううっ!!」
山田と埋れ木、二人を中に入れた家獣はどすんばたんと地面を蹴り上げる。足をつくと、妖怪たちが攻撃してくるからだ。
「悪魔くん、こんな生ぬるい攻撃ばっかじゃスタミナ切れになっちまう!強力なのをぶつけてもいいか?!」
「だめだよ、鬼太郎君たちは操られているだけなんだ。攻撃なんて滅多にしちゃいけないよ!」
埋れ木だってわかっている。既にサシペレレと百目はボロボロになって戦えなくなってしまっている。他の皆もいつ動けなくなるかわからないのだ。
「埋れ木君、落ち着くんだ。兵法の基本でいこう。」
「兵法の?」
「頭、つまり主将を叩くんだ。笛を持っているのは魔王子だから……。」
「そうか!メフィスト二世、ユルグと妖虎と一緒に魔王子に攻撃をしかけるんだ!」
「よし、いくぞユルグ、妖虎!」
魔王子のいる方向へ駆けて行く三人を確認して安心したその途端、二人は壁に身体を押し付けられた。
「うわ!」
「なんだぁ?!」
丸い窓から下を見れると、なんと塗り壁夫婦が家獣の足を掴んでしまっているではないか。
「ば、ば、ばううう!?」
「ぬーりー……。」
飛び上がり振り落とそうとするが塗り壁はしつこく足にぶら下がる。それどころか、重みで身体が、斜めに、なって……。
「あああーー!!!」

「いたぞ、魔王子の奴。子泣き爺連中を椅子にしてふんぞり返ってやがる。」
眼下の穏やかな野原の上。子泣き爺兄弟を石にさせてそこに座った魔王子は、優雅に紅茶なんぞを飲みながら、妖怪と悪魔の戦争を眺めていた。
「油断しているな。」
「そこが狙い目じゃわい。いくぞメフィスト。」
「よし、行くぞ。魔力、火炎放射!」
「コーンエッサムコーン!!!」
「この前試しで飲んだウォッカの獄炎じゃ!!」
三方から発せられた炎が合わさり、上空で赤く膨れ上がる。球体になったそれは魔王子へと落下していった。
「これであいつもお陀仏だ!!」
歓声を上げようと腕を振り上げたが、それは無駄に終わった。
膨張したそれは何かに包まれ、急速にしぼんでしまったのだ。
「ま、まさか……!!」
呆気に取られるメフィスト二世達の頭に何かがぶつかった。バランスを失い地面に激突した彼らの前にいたのは無表情の鬼太郎兄弟だった。
「おお、ごくろう。ついでだがそこのゴキブリ連中を処分してくれないか。」
スコーンにたっぷり生クリームをつけ、口に頬張る魔王子の言う事に鬼太郎は素直に頷いた。
「相手が鬼太郎なら無茶しても平気だな、魔力、稲妻電撃!!」
帽子を脱いだ二世の頭にある角から金色の稲妻が飛び出し、野沢に当たる。野沢は衝撃で前屈姿勢になったが、倒れはしなかった。
これでいいだろう、と放電を止めた途端、野沢はぐいん、と直立した。
「な、な、なぁ?!」
「た……い……な……い……で……ん……き……。」
お返し、とばかりに電気を流される。
「二世!くそ、コーンエッサムコーン!!」
狐火をぐるぐると回しながらメフィスト二世を助けようとするユルグの前に立ちふさがったのは松岡だった。
「ええい、邪魔だ!」
「か……み……の……け……ば……り……。」
「うおおお!!」
「ユルグ!!こ、なにぃ!!」
髪の毛針攻撃に耐えるユルグに加勢しようとした妖虎の目が塞がる。が、それはすぐに解かれてしまった。
「高山どん、スマンでゴワス!」
妖虎の相手になろうとした高山が、四期木綿によって連れ去られてしまったからだ。

「ん、高山がいなくなったか?」
四期ネコ娘に団扇で扇いでもらっていた魔王子は、高山がいなくなったことに気づき空を見た。
青い青い空に糸のようなものが飛んでいるのが見える。しかし彼は決して慌てなかった。
「高山一人、どうってことないか。」
こっちにはまだ野沢と松岡、それに数え切れないほどの妖怪どもがいるのだから。
「おい、お湯の温度が下がってるぞ。新しいのもってこい。」

「ただいま戻ってきもしたぁ!!」
小高い丘の上、キャンプファイヤーをするかのように高く木々を積み上げた所に松下と戸田はいた。
「おおご苦労。」
「いやぁ。いやみにやられた時の松岡どんよりもずっと楽でごわしたぁ!!」
一反木綿の尻尾のグルグル巻きにされた高山は、死んだように動かない。
「大丈夫か、高山!しっかりしろ!」
「まあ待て。こいつを正気に戻してやらなきゃな。」
松下は高山を座らせると身体に木の葉をどっさりとかける。そして博多の塩とオリーブオイルをふりかけ、火をつけた。
「お、おまえええ!!」
「オンリキリキコウショウソワカポークショ!!」
呪文と、ぱちぱちと木の葉の燃える音が交差する中、次第に高山の目の色が元に戻っていく。
「あっちぃー!!!……は、僕は一体……?」
ボンバーヘッドになって飛び上がった高山の声は、普段のものそのものだった。
「高山!気がついたか!」
「え、戸田?なんか、僕、ジャングルの奥地に住む部族が作るご馳走みたいになってたような気が。」
「よし、元に戻ったな。高山、お前に仕事を一つ押し付けたい。」
まだ状況の飲み込めないボンバーヘッド高山に事情を説明する前に、松下はずいっと交渉に出た。
「え、なんです?ってか、なんで松下君がここにいるんです?」
「話はたっぷりしてやる。いいから僕の話を聞け。お前は地獄の炎が呼び出せるんだろう。」
「まあ……でもそれは禁じ手で。」
「地獄には後でどうとでも言い訳が出来る。今はそれどころじゃないんだ。お前の炎の力が必要なんだ。」

「へへへ、ジャス●ックから給料はそこそこでるし、石油スタンドからは灯油が手に入るし、もうけたねぇ。」
一人ほくそ笑みながら、千葉はえっちらおっちら丘を歩いていた。両手には三リットルほど入った灯油タンク。
これを売ればいくらになるかなーと皮算用していると。
「お前はこれを持って空を飛んでいけ。んで、しばらくしたらばらまくんだ。」
子供の声がする。こっそり隠れてみてみると、見たことのない子供と、四期木綿がいた。二人の間にはバケツが置いてある。
「飛んでいくって、どんくらい。」
「そうだなぁ、ざっと成層圏あたりまでかな。」
「きびしかぁ~!!」
「うだうだ言うな。そんなこというと、メイドインチャイナのタグをつけちゃうぞ。」
「行って来るでゴワス!」
そんなタグをつけられちゃかなわんと思ったか、一反木綿はものすごい勢いでバケツを持って飛んでいった。
「よし、いよいよ僕達の出番だ。高山、準備は出来てるか。」
「うん!」
「戸田、火の妖怪五人衆は集まったか?」
「つるべ火以外はなんか集まった!」
彼らの中心には重ねられた枯れ木がある。ということは、これからキャンプファイヤーをやろうとしているのだろう。
「晴れてるのに変わった奴らだぜ。まあ、俺はさっさと。」
「それと東京ネズミーランド!お前の持っている灯油をこちらに渡せ!」
「はいいい?!」

「ど、どうして俺がここに隠れていることわかっちゃったんだよ!」
灯油タンクを大事に抱え、誰にも渡さんと鼻息荒く、目の前にいた偉そうなジャリに迫る。
しかしこちらも負けていなかった。
「匂いでわかる。さあ、その灯油を渡せ。」
「な、いやだね!今は灯油が高騰してるから、そうとう高値で売れるからな。」
「ほう、その灯油が欠陥品だとしてもか?」
「へ?」
松下は千葉の手から灯油タンクを奪い取り、蓋を開けて匂いをかいだ。
「こいつには水が混ざってるぞ。もしこれをストーブに入れたらぶっ壊れるな。」
「ななな、ちくしょう!どうりでなんか渡したときにニヤニヤしてたと思ったぜ!!」
「というわけで、この不良品は僕がありがたく頂戴してもいいか。」
「おうよ!ちぃぃぃ、あの狸親父め、バイト代をこれでごまか。」
「おっと、お前にも仕事を押し付ける。これをまわしててくれ。」
石油タンクのかわりに渡されたのは、四角い箱に取っ手のついたとてもつまらなそうなものだった。
「なんだこりゃ。」
「メンタコ、というものだ。この取っ手を回すとユカイな音がでるんだ。」
「へーえ、では話半分に……。」
そう呟いて、取っ手をぐるぐる回し始める。すると。
ちゃかぽこちゃかぽこちゃかぽこちゃかぽこちゃかぽことユカイな音が出始めたちゃかぽこ

ちゃかぽこちゃかぽこちゃかぽこと、不思議な騒音の中松下は号令を発した。
「さあ、行くぞ!点火ぁ!!」
「そぉれぇぇぇ!!」
「皆、がんばってくれ!!」
「おう!」
灯油が掛けられた薪に火がつけられる。燃料に加え莫大な火力である。やがてそれは天をも焦がす火柱となった。
「ツァラバ・クラバ・アドオルーガ!!」
轟音の中に紛れる松下の呪文、そしてその隙間を埋めるように響くちゃかぽこ。
あまりに異様な光景だった。

「ううう……っ。」
最後までがんばっていたメフィスト二世は、とうとう膝を折った。
魔王子は手をパンパンと払うと満足そうに立ち上がった。
「くくく、攻撃の要を失った悪魔くんなど、俺の相手ではない。ついに念願が叶うぞ!!」
ははは、どうだ。これで怖いものなしだ。部下もこんなにたくさんいる、ああ、いつもよりも空が青い!!
と見上げた空は、先ほどとは全く違っていた。
「なにぃ?」
灰色の、分厚い雲がこの辺り一体を覆っている。山の天気は変わりやすいというが、はて、と思っていると、顔が溶ける感覚がした。
「え?」
手で拭うが、確認をする前に正体が分かった。
ぽつ、ぽつ、と数を増していく……雨の雫だ。
「なにぃ?!」
それらは容赦なく魔王子に降り注いだ。雨が触れたところから穴が開き、肌が蕩ける。
「くっ、お前達、俺を守れ!!」
そう命令をしようにも、笛を吹く手はどろどろになってしまっている。
足が、胴が、頭が、形をなくしてゆく。
「ち、ちくしょう……。」
という呟きも、泥に成り果ててしまった身では、うまく発する事が出来なかった。

やがて空は一時間ほど前の青に戻っていた。べとべとした泥の塊の周りでは、傷ついたメフィスト二世達と、鬼太郎たちが倒れていた。
「作戦成功だ。」
四期木綿から飛び降りた松下は、魔王子だった泥を探る。戸田と高山は倒れっぱなしの松岡と野沢へと駆け寄った。
「兄さん、野沢、しっかりするんだ!」
「なあ、ところでさっきの儀式はなんだったんだ?」
まだちゃかぽこの箱を持った千葉は何かをしている松下に声をかけた。
「ん?雨乞いの儀式だ。よく漫画とかであるだろう。」
「そりゃわけるけどよ、あれで効果あんのか?」
「あると思うぞ。ソースは火●鳥だがな。」
「ところで松下どん、わしが空にばら撒いた奴、あれなんでゴワス?」
こちらはバケツを持ったままの一反木綿。成層圏は寒かったのか、へくしょん、とくしゃみもつけてくれた。
「あれはドライアイスとヨウ化銀だ。人工的に雨を降らせるのに使うものだ。」
「……そっちの方で雨が降ったんじゃねぇか……つうか、俺のちゃかぽこはなんだったんだよぉ!」
「おい松下、兄さん達、目を覚まさないぞ!」
「ん?安心しろ、こいつを吹けば、正気づく。」
松下はやっと見つけ出した笛を逆さにすると、反対側にある吹き口を拭いた。
「こいつは一つの笛で二つの役割を果たす。片方は操り、もう片方は、操りの糸を解放させる。
さあ、今解放してやるからな。」
やがて、野原一体に清らかな笛の音が広がった。

「なにぃ!また失敗だと!!」
連絡員として残っていたかまいたちの連絡を聞き、三期ぬらりひょんは持っていたコップを握りつぶした。
「おのれ、鬼太郎と悪魔君めぇ……まあいい、次は更なる手を。」
「ぬらりひょんさま、おかわりですぅ~。」
「ん、すまんな、……ぐへぇええ!!」
口に渡されたドリンクを含んだ途端、ぬらりひょんは景気よく吐き出した。
「なんだこれは!!」
「はい、弟に教えてもらった、ハイポーションです~。作り方は……。」
「またポーションか!ポーションはもういいわ!!」

終わり

109 名前:あとがき[sage] 投稿日:2008/02/06(水) 20:51:31 ID:???0
これでこの話は終わりです。
それにしても毎度のごとく最後がぐだぐだですいません。

新しくでたポーションうめぇwwww