あすさんの家庭教師27 - 路面凍結


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明海の通う高等学校は樽帝院の中にある。
自転車で20分、平坦な道を走るか、電車で数分で到着することができる。


自宅からそれほど離れているわけではないのだが、気温がどんどん下がっていることに気がついた。

自転車をこぎながら冷たい風に吹かれる明海。

明海「寒い! ってか冷たい~! こっちのほうは積もったんだ~」

学校に近づくにつれて積雪が深まっていく。

校舎が見えてくると路面にもうっすらと雪が積もっており、スリップ事故の危険性が高くなってきた。
案の定、転倒している人の姿が多数あった。


校門のところに人だかりができていて、なにやら騒動になっているようである。

明海「どうしたの……? 何があったの?」
教師「雪で滑った生徒たちが数十人、折り重なるように転倒して怪我を…」
男子生徒「いてえよぉ……動けねぇ……」
男子生徒「先生! これは足の骨が折れたかもしれません…」
教師「大丈夫か? まともに立って歩けるやつは何人だ?」
女子生徒「あ…足が冷えて感覚がなくなってきました……」
教師「ああ…誰か、校舎へ行って毛布を取ってきてくれ」
明海「あ…あの……あ」
男子生徒「俺が行ってきます!」
教師「頼んだぞ。気をつけてな」
男子生徒「うわっ!」

慣れない積雪で転倒する生徒が続出した。
気温が低く、倒れたままでは体温が下がり、危険な状態になってしまう。

男子生徒「…こうなったのってさぁ……」
男子生徒「…あぁ、絶対あいつのせいだ……」
男子生徒「…相葉の親がこんなに山を削ったからだ……」
男子生徒「…異常気象も全部あいつのせいだろ……」



明海の評判は悲惨なものである。

日本列島の山脈の大部分を平地にし、森や川を人工的な設備に作り変え、
完全な治水を実現させたかのように思われた相葉コーポレーションの革命的事業は、
工事が始められた1年半前から、異常気象を引き起こすものとなってしまっていた。

そのため、明海は高校へ進学する以前に多くの人から非難され、
中学校でできた友達を失い、事実上、孤立しているのである。


明海「……何とかしなきゃ……」
教師「非常に危険だ…。グラウンドが凍結して異常に滑りやすくなっている…」
男子生徒「立って歩くのではなく、地面をはって進んだほうが安全かもしれません」
明海「あたしが行きます」
教師「あ、相葉さん…」
男子生徒「どうせまたろくでもない結果になるだけだ。やめとけ」
明海「……ただ見ているだけでいいの?」
男子生徒「偽善にもほどがあるってもんだろ」
男子生徒「そうだそうだ! 助けたフリをして見直すとでも思ってんのか」
明海「なによ……わかったわよ! あたしの好きにさせてもらうわ!」
教師「ああ! 危ない!」

明海はあえて加速し、カバンをボディボードのようにしてアイスバーンの上を滑った。

男子生徒「すげ……いっそのこと滑っていけばいいのか?」
男子生徒「だめだな。あれじゃ途中で止まる」

明海はグラウンドの中央付近で止まってしまった。

明海「ううっ…冷たい……ここからどうやって進もうかな……」
男子生徒「ほら止まった」
男子生徒「二次災害になったな」
教師「ううむ……救急車がまだ来ない……路面の凍結が想像以上に深刻なようだ…」
男子生徒「救急車も二次災害を引き起こしかねないなぁ」
男子生徒「スケートリンクがこんなに怖いものだとは思わなかったよ…」
男子生徒「アイスバーンに慣れていないのもあるけど、こんな普通の靴だからな…」

女子生徒「先生……私……もう………」
教師「しっかりしろ!」
男子生徒「全身が濡れて体温が下がってるんだ…」
教師「おい、ちょっと上着を貸してくれ! 頼む! 先生も脱ぐ!」
男子生徒「は…はい…」
男子生徒「……凍り始めていますよ……」
教師「なんという寒さだ……。さっきからどんどん冷たくなっている…」
男子生徒「あぁぁ……眠ったらヤバいのでは……」
教師「起きろ! おい! 目を覚ませ!」


骨折の疑いのある男子と、低体温で危篤状態になった女子生徒。


明海はまず自分がアイスバーンから抜け出さなくてはならない。
そして、どうにか二人の生徒を救う必要がある。


明海「こんなとき……どうすればいいの…あすさん……」

明海は、まだ夢の中にいるであろうあすさんに必死に助けを求めた。





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