ドクターあすさん5


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テレッテー
テレッテー



田中信一の携帯電話が鳴る。


あすさん「おっほ~! 着信音もマビですか!」
田中「ふふふ」
あすさん「急患ですか?」
田中「えっ…! いえ……、ちょっと失礼…」


またあすさんから「落ち着きのない人だ」という目で見られているような気になり、
冷静を装いつつ席を立って電話に出る田中であった。


田中「もしもし?」
仁岡「オイッス」
田中「おぅよ」
仁岡「田中よ、いいニュースだ」
田中「何?」
仁岡「例の男について新情報が入った」
田中「む……」
仁岡「ふっふっふ。聞いて驚くなよ」
田中「ああ…。仁岡、ちょっと待ってくれ…」
仁岡「どうした?」
田中「……今、そいつと一緒にいる……」
仁岡「何だって!?!?」

田中「…また、あとで電話する。すまない」
仁岡「……マジかよ……」
田中「じゃ、じゃあな、切るぞ?」
仁岡「ちょっと待て! せめて居場所を…」
田中「いつもの喫茶店にいる」
仁岡「わかった。無事でいろよ!」
田中「お前もな」


グキュッ


あすさん「通話を切る音もマビですか!」
田中「ええ? 聞こえてたんですか??」
あすさん「相当ハマっているようですね、田中さん」
田中「え、ええ…。私は昔から、何でも熱中するタイプでしてね…」
あすさん「僕とは対照的ですね」
田中「あすさんは、飽きやすいタイプ…ですか?」
あすさん「飽きやすくもあるし、むしろ、あきれられやすいですね」
田中「あきれられやすい……」
あすさん「そう。あきれられやすい。あきれられられやれられらやられれれらられれやすい」

田中「あすさん、あすさん…」
あすさん「はい?」
田中「わざと舌をかんでいませんか…?」
あすさん「わかりますか?」
田中「わかりやすい人だ…」


あすさんと田中は、喫茶店の窓から見える小川に目を移した。


あすさん「外は暑そうですねぇ…」
田中「こう暑くちゃ、水遊びをする子供もいませんね」

あすさん「今の電話はお友達ですか?」
田中「大学の同期だったやつです。たまに電話をかけてくるんですよ」
あすさん「素敵な関係ですね」
田中「ん……。また妙に引っかかる言い方だ……」
あすさん「僕に友達はいませんからね。当然、電話をする相手もいないわけです」
田中「(ああ、やっぱり)」
あすさん「って、今さら言わなくても察しはついていますよね」
田中「えっ? そ、そんな。いや、意外だな、と…」


あすさん「ちょっと川を見てきます」
田中「あすさん、まさか泳ぐつもりじゃないでしょうね…」
あすさん「心配ですか?」
田中「心配ですとも」
あすさん「ご心配なく」
田中「ええ?」
あすさん「僕は泳げないから、泳ぐ心配もいりません」
田中「…ぶっ…」


二人は喫茶店を出て小川へと歩いていった。

コーヒー代はもちろん田中が支払った。

あすさんの格好は無一文といった感じで、住む家すらないような
不憫な姿に見えたのである。

しかし田中は、あえてこのようなことを聞かなかった。


田中「たぁ~……。小川のそばだから涼しいと思っていたのに、かえって蒸し暑いですね」
あすさん「田中さん、あなた泳げますか?」
田中「はい????」
あすさん「水泳は得意なほうですか?」
田中「ん、まあ、25メートルくらいは泳げますよ」
あすさん「………」
田中「…あすさん、やっぱり泳ごうとしてるでしょう…」
あすさん「いいえ。あれを見てください」


あすさんは小川の上流を指さした。


あすさん「田中さん、あそこに急患です」
田中「大変だ!!! 助けなきゃ!!!!」


川で女の子が溺れているのである。





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