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72 名前: 38 投稿日: 02/02/12 11:39 ID:yeDUeeJ7 では外国人ネタで・・・ はじめに謝っときます。スイマセン。 時はWY決勝前―――――― 「とうとう・・・か。」 森崎は、大阪の夜空を見上げた。 全日本ユースが宿泊しているホテルからコッソリ抜け出した森崎は、ロードワークに出ていた。 森崎のいるホテル近くの公園はギラギラとした大阪の中心部とは違って静まりかえっている。 「まるで嵐の前の静けさだな。」 WY本選にはいまだ出場していないものの、明日の相手は生半可な相手ではない。 若林の怪我もあり、自分が出場することになる可能性は十分にある。 若林・若島津にはとうてい及ばない。 だが自分ができることは精一杯やっておきたい。 度重なる戦いを潜り抜けてきた仲間達とは違って自分にはまだ十分に余力がある。 自分には才能は無い、だけど時として必要としてくれる人がいるのだから、それにどうにかして応えたい。 この大会が終われば、皆とは違う道を歩むことになる。 これが最後の晴れ舞台かもしれない・・・・・だからこそ・・・・・ 「よし、そろそろ帰るとするか。」 滴り落ちる汗を肩にかけたタオルで拭い取り、森崎は再び足を進める。 73 名前: 38 投稿日: 02/02/12 11:40 ID:yeDUeeJ7 にぎやかな繁華街まで来て、森崎は走るスピードを落とす。 コンビニでドリンクでも買って帰ろうかと思い、辺りを見渡す。 その時ふと、森崎の目にある一人の男が止まった。 どうやら観光客らしいその外国人は強引な客引きに捕まってあたふたとしている。 早口でまくし立てられ、今にも店に連れ込まれそうな勢いだ。 彼の持っているカバンにサッカーの文字が見て取れる。 ――――WY大会を見に来たのかな――――― そう思うとたちまち同情心でいっぱいになり、 普段はおとなしい森崎も見過ごすことが出来なかった。 「ごめんなさい、急いでいるんです。」 その外国人の腕を強引につかみ、森崎は走り出した。 「?!!」 ―――あんたも一緒にどう?―――そんな声を尻目に、森崎は彼の大きな体を引きずるようにして走る。 駅の前まで走ったところで、森崎は足を止めた。 振り返って男のほうを見て英語で話し掛ける。 「大変でしたね。大丈夫ですか?」 よく見ると随分といい体をしている。自分よりも2まわりも大きいのではないだろうか。 「モリサキ?」 「え?」 突然呼びかけに森崎は驚いて、彼の顔をマジマジと見つめる。 武骨な印象ではあるが、優しい目元が嬉しそうに森崎を見つめている。 「君は・・・・フランスユースの・・・アモロ?」 74 名前: 38 投稿日: 02/02/12 12:24 ID:yeDUeeJ7 「決勝進出おめでとう。」 どうしてもお礼がしたいというアモロの申し出を受け、2人は全日本ユースが宿泊するホテルに来ていた。 腐ってもフランス人、アモロが選んだワインは普段飲めない森崎でも分かるくらい美味であった。 「・・・ありがとう。他の皆のおかげだよ。・・・フランスは残念だったね。」 そういうとアモロは黙ってうつむいた。 2人の間に沈黙が流れる。 やがてアモロは重い口を開いた。 「ピエールは素晴らしい選手だ・・・・ナポレオンも性格に問題はあるが、凄いヤツだ。・・・・でも俺は・・・・」 「・・・・」 森崎には痛いほどよく分かる。 翼や若林など世界レベルの選手に比べたら自分のプレイなどお遊戯みたいなものだ。 彼らの才能をねたんだことなど全く無いが、それでも時には憂鬱になることもあった。 俺は皆に支えられてきたGK・・・彼もそうなのだろうか・・・ 「アジア予選、見ていたよ。どんな時でもあきらめない君の瞳が印象的だった。」 「え?」 いつも地味なプレイしかしていない自分を世界レベルの選手が見ていたとは思いもよらず、 森崎は驚いてアモロを見上げた。 「ゴールポストに激突しただろ?怪我は大丈夫?」 そういってアモロは森崎に近づき、その肩を優しく撫でまわす。 「あ?ああ。ゴールポストは友達みたいなものだから、平気さ。」 心配そうに見つめてくるアモロの純朴な目が温かい。森崎はそっと微笑み返した。 それに応えるように、アモロも微笑みながらそっと囁いた。 「俺、君のプレイ好きだよ。逆境になるととても粘り強い。」 「日本には優秀なキーパーが多いけど、俺は一番に君に眼がいく。」 「そして君のことも・・・・好きだ・・・・」 75 名前: 38 投稿日: 02/02/12 12:37 ID:yeDUeeJ7 「ぐ…っう…っ・・ア・・モロっ・・・・・アモロっ・・・ぅ・・アモロ・・・」 森崎の声が部屋に響く。 それを聞きながらアモロはかつてのフィールドを思い出す。         アモロ!  アモロ!              アモロ!  アモロ!     アモロ!           アモロ!   アモロ ! ―――――自分の名を叫ぶ観客達 いつかまたあの熱狂的なスタジアムに立てる日が来るのだろうか。 そんな日が来るとどんなにいいだろう そして反対側のゴールには君がいれば―――――――――  (終)
72 名前: 38 投稿日: 02/02/12 11:39 ID:yeDUeeJ7 では外国人ネタで・・・ はじめに謝っときます。スイマセン。 時はWY決勝前―――――― 「とうとう・・・か。」 森崎は、大阪の夜空を見上げた。 全日本ユースが宿泊しているホテルからコッソリ抜け出した森崎は、ロードワークに出ていた。 森崎のいるホテル近くの公園はギラギラとした大阪の中心部とは違って静まりかえっている。 「まるで嵐の前の静けさだな。」 WY本選にはいまだ出場していないものの、明日の相手は生半可な相手ではない。 若林の怪我もあり、自分が出場することになる可能性は十分にある。 若林・若島津にはとうてい及ばない。 だが自分ができることは精一杯やっておきたい。 度重なる戦いを潜り抜けてきた仲間達とは違って自分にはまだ十分に余力がある。 自分には才能は無い、だけど時として必要としてくれる人がいるのだから、それにどうにかして応えたい。 この大会が終われば、皆とは違う道を歩むことになる。 これが最後の晴れ舞台かもしれない・・・・・だからこそ・・・・・ 「よし、そろそろ帰るとするか。」 滴り落ちる汗を肩にかけたタオルで拭い取り、森崎は再び足を進める。 73 名前: 38 投稿日: 02/02/12 11:40 ID:yeDUeeJ7 にぎやかな繁華街まで来て、森崎は走るスピードを落とす。 コンビニでドリンクでも買って帰ろうかと思い、辺りを見渡す。 その時ふと、森崎の目にある一人の男が止まった。 どうやら観光客らしいその外国人は強引な客引きに捕まってあたふたとしている。 早口でまくし立てられ、今にも店に連れ込まれそうな勢いだ。 彼の持っているカバンにサッカーの文字が見て取れる。 ――――WY大会を見に来たのかな――――― そう思うとたちまち同情心でいっぱいになり、 普段はおとなしい森崎も見過ごすことが出来なかった。 「ごめんなさい、急いでいるんです。」 その外国人の腕を強引につかみ、森崎は走り出した。 「?!!」 ―――あんたも一緒にどう?―――そんな声を尻目に、森崎は彼の大きな体を引きずるようにして走る。 駅の前まで走ったところで、森崎は足を止めた。 振り返って男のほうを見て英語で話し掛ける。 「大変でしたね。大丈夫ですか?」 よく見ると随分といい体をしている。自分よりも2まわりも大きいのではないだろうか。 「モリサキ?」 「え?」 突然呼びかけに森崎は驚いて、彼の顔をマジマジと見つめる。 武骨な印象ではあるが、優しい目元が嬉しそうに森崎を見つめている。 「君は・・・・フランスユースの・・・アモロ?」 74 名前: 38 投稿日: 02/02/12 12:24 ID:yeDUeeJ7 「決勝進出おめでとう。」 どうしてもお礼がしたいというアモロの申し出を受け、2人は全日本ユースが宿泊するホテルに来ていた。 腐ってもフランス人、アモロが選んだワインは普段飲めない森崎でも分かるくらい美味であった。 「・・・ありがとう。他の皆のおかげだよ。・・・フランスは残念だったね。」 そういうとアモロは黙ってうつむいた。 2人の間に沈黙が流れる。 やがてアモロは重い口を開いた。 「ピエールは素晴らしい選手だ・・・・ナポレオンも性格に問題はあるが、凄いヤツだ。・・・・でも俺は・・・・」 「・・・・」 森崎には痛いほどよく分かる。 翼や若林など世界レベルの選手に比べたら自分のプレイなどお遊戯みたいなものだ。 彼らの才能をねたんだことなど全く無いが、それでも時には憂鬱になることもあった。 俺は皆に支えられてきたGK・・・彼もそうなのだろうか・・・ 「アジア予選、見ていたよ。どんな時でもあきらめない君の瞳が印象的だった。」 「え?」 いつも地味なプレイしかしていない自分を世界レベルの選手が見ていたとは思いもよらず、 森崎は驚いてアモロを見上げた。 「ゴールポストに激突しただろ?怪我は大丈夫?」 そういってアモロは森崎に近づき、その肩を優しく撫でまわす。 「あ?ああ。ゴールポストは友達みたいなものだから、平気さ。」 心配そうに見つめてくるアモロの純朴な目が温かい。森崎はそっと微笑み返した。 それに応えるように、アモロも微笑みながらそっと囁いた。 「俺、君のプレイ好きだよ。逆境になるととても粘り強い。」 「日本には優秀なキーパーが多いけど、俺は一番に君に眼がいく。」 「そして君のことも・・・・好きだ・・・・」 75 名前: 38 投稿日: 02/02/12 12:37 ID:yeDUeeJ7 「ぐ…っう…っ・・ア・・モロっ・・・・・アモロっ・・・ぅ・・アモロ・・・」 森崎の声が部屋に響く。 それを聞きながらアモロはかつてのフィールドを思い出す。         アモロ!  アモロ!              アモロ!  アモロ!     アモロ!           アモロ!   アモロ ! ―――――自分の名を叫ぶ観客達 いつかまたあの熱狂的なスタジアムに立てる日が来るのだろうか。 そんな日が来るとどんなにいいだろう そして反対側のゴールには君がいれば―――――――――  (終)

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