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*#9 最後の悪あがきを
前回までの「あたしのガンダムウォー」
ブースタードラフト大会の一回戦、あたし本田 京子の前に立ちはだかったのは妙な言い回しのプレイヤー、コバヤシ ケンジだった。
序盤はあたしの低コストユニットで押していけるかに思えたけど、相手はまさかのシャアとシャアゲルググに赤い彗星というトーナメント級の引き。
何とか手札を使いまくって撃退できたのはいいけど、温存されていたコバケンのユニットが襲い掛かる。
「ガンダムヴァーチェ!」
「悪いんだけど…串刺しで」
「へ?」
「ご苦労さんンン~♪」
状況を打開するかに見えたヴァーチェもカウンターされてしまう。
「まあこのターン宇宙の打点で君の本国はなくなるかなぁ?」
コバケンはあたしの薄っぺらい本国をみてそう言った。
あたしは確認する。…残り8枚。コバケンもとりあえず確認するが、残りは11枚。案外少ない!けど…
「手札がないので加速度の衝撃は使えないな?宇宙にハンマとゲルググで出撃…勝ったお!君のドローで本国は1枚になる!新しいユニットの資源さえ払えないさぁ」
あたしは6点のダメージを受け、残り2枚。
「ふふっ…、君のターンだ、早く引くお…」
「うぅ…ドローするわ…」
本国の上のカードを手札に加えた…。
「え…?あ…、これは!?…勝てる!勝てるわ!! 配備フェイズ!」
これはブードラ大会第1戦の終局で起きた出来事である。
×××
「あ?あぁ」
勢い良く宣言するあたしに、投了すると思っていたのだろうコバケンは変な返事をする。
「そっちのザクⅡにこのカードをセット!!」
「!? だ、誰だお!?」
「自分の配備エリアでゆっくり拝みなさい」
そういってあたしはザクⅡにサンノゼをセットする。テキストは簡単、「(自動A):このカードは、防御に出撃できない」だ!
「ば…ばかなぁ!」
「地球にイフリート改を出撃、5点よ!」
「くぅ…通しだお…」
「そして帰還にノリスの効果を使用するわ!さらに5点!」
コバケンの本国は残り1枚…勝った!
「さ、引いてくださいよ。残り1枚の本国を!」
あたしはコバケンの本国を指差す。
「ん?いやぁ、帰還ステップ!」
…やば!ここで1以上回復とかされたら逆にあたし終わりだよ!
「はい」
「投了だお」
あたしはイスからずり落ちそうになる。
「投了なら帰還にしなくていいじゃないですか~脅かさないでくださいよ!」
「だってお、ここで僕終わりだよぉ?なら少しでも嫌がらせを…」
「あ、納得」
あたしは変に納得してしまった。ここで負けた人はもうデッキ解体、勝った人は進む。
自分のゲームで精一杯楽しもうとするのは当然の行為に思えた。
「ありがとうございました」
あたしは頭を下げる。
楽しい戦いだった、あたしは先に進むわ。
「こちらこそぉ、ありがとうございました」
あたしは二人分のスコアシートを手に立ち上がる。
その時、藤野があたしに近寄ってきた。どうやら対戦が終わったみたいだけど、この落ち込み具合は「負け」ね。
「京子、お前の次の対戦相手、気をつけたほうがいい」
「は?なにをどう気をつけろっての?」
あたしはトーナメント表を見る。どうやら藤野を負かした奴が次の相手、ということらしい。
「それは…面倒だから言わない」
「はぁ?」
「いちいち負け試合説明すんのが面倒なんだよ~。デュナメスも落とされるしさぁ」
あっそ…。でもデュナメスが落とされたことだけは覚えておくわ。
第1試合が終わって。第2試合の準備が始まる。あたしは決められた席に着いた。向かい合った対戦相手は…まだ中学生くらいの男の子!
「藤野、この子が?」
振り返り、あたしの対戦を観戦しようとしていた藤野に声をかける。藤野は「あぁ」と言っただけだった。
「僕は塚木 淳。みんなからはじゅんじゅんって呼ばれてるんだ。おねえちゃんもそう読んでいいよ」
「あ、あたしは本田 京子。よろしく、じゅん②」
少年が自己紹介をしたので、あたしも反射的に自己紹介する。なんだ、結構礼儀正しい子じゃない。
しかし、デッキを持ったじゅんは途端に表情を変える。
「さっきのおにいちゃんの友達?今日のドラフトはデュナメスが出てるみたいだから本気でいくよ」
デッキをシャッフルしながら、じゅんが言った。妙に強気だなぁ…。
「ふーん。あたしはデュナメスになんか興味ないけどね!」
商品が豪華だから本気出すっての?最初っから本気で来なさいよ…。
お互いデッキをカットし終え、相手の場に置く。さて、藤野の仇でも取ってやるか!
つづく
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txt:Y256
初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:
更新日:10.04.14
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*#9 最後の悪あがきを
前回までの「あたしのガンダムウォー」
ブースタードラフト大会の一回戦、あたし本田 京子の前に立ちはだかったのは妙な言い回しのプレイヤー、コバヤシ ケンジだった。
序盤はあたしの低コストユニットで押していけるかに思えたけど、相手はまさかのシャアとシャアゲルググに赤い彗星というトーナメント級の引き。
何とか手札を使いまくって撃退できたのはいいけど、温存されていたコバケンのユニットが襲い掛かる。
「ガンダムヴァーチェ!」
「悪いんだけど…串刺しで」
「へ?」
「ご苦労さんンン~♪」
状況を打開するかに見えたヴァーチェもカウンターされてしまう。
「まあこのターン宇宙の打点で君の本国はなくなるかなぁ?」
コバケンはあたしの薄っぺらい本国をみてそう言った。
あたしは確認する。…残り8枚。コバケンもとりあえず確認するが、残りは11枚。案外少ない!けど…
「手札がないので加速度の衝撃は使えないな?宇宙にハンマとゲルググで出撃…勝ったお!君のドローで本国は1枚になる!新しいユニットの資源さえ払えないさぁ」
あたしは6点のダメージを受け、残り2枚。
「ふふっ…、君のターンだ、早く引くお…」
「うぅ…ドローするわ…」
本国の上のカードを手札に加えた…。
「え…?あ…、これは!?…勝てる!勝てるわ!! 配備フェイズ!」
これはブードラ大会第1戦の終局で起きた出来事である。
×××
「あ?あぁ」
勢い良く宣言するあたしに、投了すると思っていたのだろうコバケンは変な返事をする。
「そっちのザクⅡにこのカードをセット!!」
「!? だ、誰だお!?」
「自分の配備エリアでゆっくり拝みなさい」
そういってあたしはザクⅡにサンノゼをセットする。テキストは簡単、「(自動A):このカードは、防御に出撃できない」だ!
「ば…ばかなぁ!」
「地球にイフリート改を出撃、5点よ!」
「くぅ…通しだお…」
「そして帰還にノリスの効果を使用するわ!さらに5点!」
コバケンの本国は残り1枚…勝った!
「さ、引いてくださいよ。残り1枚の本国を!」
あたしはコバケンの本国を指差す。
「ん?いやぁ、帰還ステップ!」
…やば!ここで1以上回復とかされたら逆にあたし終わりだよ!
「はい」
「投了だお」
あたしはイスからずり落ちそうになる。
「投了なら帰還にしなくていいじゃないですか~脅かさないでくださいよ!」
「だってお、ここで僕終わりだよぉ?なら少しでも嫌がらせを…」
「あ、納得」
あたしは変に納得してしまった。ここで負けた人はもうデッキ解体、勝った人は進む。
自分のゲームで精一杯楽しもうとするのは当然の行為に思えた。
「ありがとうございました」
あたしは頭を下げる。
楽しい戦いだった、あたしは先に進むわ。
「こちらこそぉ、ありがとうございました」
あたしは二人分のスコアシートを手に立ち上がる。
その時、藤野があたしに近寄ってきた。どうやら対戦が終わったみたいだけど、この落ち込み具合は「負け」ね。
「京子、お前の次の対戦相手、気をつけたほうがいい」
「は?なにをどう気をつけろっての?」
あたしはトーナメント表を見る。どうやら藤野を負かした奴が次の相手、ということらしい。
「それは…面倒だから言わない」
「はぁ?」
「いちいち負け試合説明すんのが面倒なんだよ~。デュナメスも落とされるしさぁ」
あっそ…。でもデュナメスが落とされたことだけは覚えておくわ。
第1試合が終わって。第2試合の準備が始まる。あたしは決められた席に着いた。向かい合った対戦相手は…まだ中学生くらいの男の子!
「藤野、この子が?」
振り返り、あたしの対戦を観戦しようとしていた藤野に声をかける。藤野は「あぁ」と言っただけだった。
「僕は塚木 淳。みんなからはじゅんじゅんって呼ばれてるんだ。おねえちゃんもそう読んでいいよ」
「あ、あたしは本田 京子。よろしく、じゅん②」
少年が自己紹介をしたので、あたしも反射的に自己紹介する。なんだ、結構礼儀正しい子じゃない。
しかし、デッキを持ったじゅんは途端に表情を変える。
「さっきのおにいちゃんの友達?今日のドラフトはデュナメスが出てるみたいだから本気でいくよ」
デッキをシャッフルしながら、じゅんが言った。妙に強気だなぁ…。
「ふーん。あたしはデュナメスになんか興味ないけどね!」
商品が豪華だから本気出すっての?最初っから本気で来なさいよ…。
お互いデッキをカットし終え、相手の場に置く。さて、藤野の仇でも取ってやるか!
つづく
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初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:08.05.26
更新日:10.04.14
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