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#89
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#89 無限なる神力
「オレのターン!」
オレはカードを手札に加える。
序盤の攻防でローズ《20》が場を制圧したかに見えたが、衛星ミサイルを撃たれたことでこっちの完全な優位ではなくなった。
序盤の攻防でローズ《20》が場を制圧したかに見えたが、衛星ミサイルを撃たれたことでこっちの完全な優位ではなくなった。
「配備フェイズ、ニュータイプの排除…Gを切ってハンガーにカードを移す」
「いいぜ。俺様の緑には阻害するカードはないからな」
「いいぜ。俺様の緑には阻害するカードはないからな」
捨て山からハンガーに移ったカードは…戦場の鈴音。
オレは1コスト払ってそれをプレイする。
場がリセット状態ならデッキの回転率でこっちに分がある!
オレは1コスト払ってそれをプレイする。
場がリセット状態ならデッキの回転率でこっちに分がある!
「ハンガー2ドロー…基本Gとガンダムシュピーゲル(シュツルム・ウント・ドランク)!」
来た、来た、来たー!
このデッキの攻防の要。オレのウント・ドランク!
このデッキの攻防の要。オレのウント・ドランク!
「5枚目のG、ウントドランクをプレイして…取っておいてよかったぜ、アレンビー・ビアズリーのカードをセット!」
オレはハンガーに送られた2枚のカードを場に出し、さらに手札からキャラクターをセットする。
速攻・強襲7点のMFの登場だ!
速攻・強襲7点のMFの登場だ!
「リング!」
「拠点様ナメんなよミキオっ!防御に出撃!」
「拠点様ナメんなよミキオっ!防御に出撃!」
ウント・ドランクはテキストでリロールして出撃したから、強襲持ち。
ニューヤークを貫通して、羽鳥の本国に3点のダメージを与えた。
ニューヤークを貫通して、羽鳥の本国に3点のダメージを与えた。
「お前のイナクトは全員耐久が低いからな…何機出てこようが速攻があるウントドランクの前には無意味だぜ」
「言ってろ。んなことは毎回戦ってるからわかってるよ」
「…それもそうだな」
「言ってろ。んなことは毎回戦ってるからわかってるよ」
「…それもそうだな」
オレはカラカラと笑ってターンエンドを宣言した。
「配備フェイズ、サーシェス専用イナクトカスタム《21》をプレイ」
「お、青いほうか…」
「お、青いほうか…」
手札のGを切ることでジャンクからハンガーに移る効果と、ダメージを与えたときに起動するバウンス効果を持つイナクト。
バウンス効果は速攻で撃破すれば起動すらしない。あとはGが続く限りリングを防御できるところだが…所詮守りの能力だ!
バウンス効果は速攻で撃破すれば起動すらしない。あとはGが続く限りリングを防御できるところだが…所詮守りの能力だ!
「赤は1枚しか入ってないからよォ…シーマ・ガラハウをセットすんぜ」
「了解。赤のほうのイナクトなんかいるのかよ…」
「おうよ。愛しのイナクト系だからな」
「了解。赤のほうのイナクトなんかいるのかよ…」
「おうよ。愛しのイナクト系だからな」
羽鳥はシーマのドローを使ってターンを終えた。
…やっぱり防御に回る気だな。
…やっぱり防御に回る気だな。
「無限ブロック?気にいらねェな…」
オレはドローして少し考える。
リング以外からも仕掛けて2面で攻撃すれば…いや、リング”外”は危険だ。
リング以外からも仕掛けて2面で攻撃すれば…いや、リング”外”は危険だ。
「戦闘フェイズ、リング!」
「ディアナ帰還が引けてねーみたいだから、強襲はないな。シーマドロー後、防御に出撃するぜ!」
「ディアナ帰還が引けてねーみたいだから、強襲はないな。シーマドロー後、防御に出撃するぜ!」
羽鳥は知った風な口調でそう言いながら、青イナクトをウント・ドランクの向かい側に移した。
そうだよ…回復がロクにできないこの状況で強襲は付加できない。さすがに何回も対戦してるだけあってお見通しだな。
そうだよ…回復がロクにできないこの状況で強襲は付加できない。さすがに何回も対戦してるだけあってお見通しだな。
「このままアレンビーで付加された速攻で撃破だ!」
「おう。了解…俺はバルチャーポイント5を得るぜ?」
「何?」
「おう。了解…俺はバルチャーポイント5を得るぜ?」
「何?」
…シーマはバルチャー持ちか。忘れてたぜ。
「帰還してターンエンド」
それを聞いて、羽鳥はジャンクからシーマを回収した。
なかなか硬い防御だ。なんとかしねーとなぁ…。
なかなか硬い防御だ。なんとかしねーとなぁ…。
「ドロー…イヤッホゥ!配備フェイズ、手札からGを切ってカスタムイナクトが復活!」
羽鳥はそのままコストを払い、青イナクトを場に出す。
そして、当然のようにシーマをセット。
そして、当然のようにシーマをセット。
「シーマドローで…ターンエンドだぜ」
「オレのターン!ドロー!」
「オレのターン!ドロー!」
うぜーな…このターンでシーマはドローの役割を終えるから、バルチャーではユニットを回収されかねない。
でも…
「配備フェイズ、冷凍刑《16》をプレイ!」
「なんだそりゃー!?」
「このオペレーションは、手札1枚を切ることでキャラ1枚をロール、そしてそのテキストも無効にするオペレーション!」
「なんだそりゃー!?」
「このオペレーションは、手札1枚を切ることでキャラ1枚をロール、そしてそのテキストも無効にするオペレーション!」
お前が知ってるようなカードばっかじゃねーんだ。
そして、シーマをロールすることでリングハンデも狙えるってワケだ!
そして、シーマをロールすることでリングハンデも狙えるってワケだ!
「戦闘フェイズ、冷凍刑!シーマをロールするぜ!」
「カットイン、シーマドロー!」
「カットイン、シーマドロー!」
これは仕方ない。
でも、ドローしたカードもハンデスで狙えるんだから問題ねェ…このままぶっ潰してやる!!
でも、ドローしたカードもハンデスで狙えるんだから問題ねェ…このままぶっ潰してやる!!
「リング!これでどうだッ!」
「…と こ ろ が ギ ッ チ ョ ン ! ! 換装アグリッサァー!!」
「…と こ ろ が ギ ッ チ ョ ン ! ! 換装アグリッサァー!!」
羽鳥はバチンと手札のカードを表にし、青イナクトと置き換えた。
しまった…てっきりイナクトしかいないと思って…!防御ステップに使うべきだったか。
しまった…てっきりイナクトしかいないと思って…!防御ステップに使うべきだったか。
「防御に出撃すんぜェ!ミキオ!」
「クッ…」
「クッ…」
アグリッサは、1on1での強力なテキストから「リング殺し」とも呼ばれる緑の対交戦での切り札。
アレンビー+ウント・ドランクじゃ…越せない!
アレンビー+ウント・ドランクじゃ…越せない!
「ダメ判開始時、ウント・ドランクは格闘が*、耐久が-2!さァ…戦おうぜ!」
「当然こっちの一方的負けだ…つーか、アグリッサって”イナクト”じゃねーじゃねーか!」
「あ?”イナクト系”って言っただろうがよォ」
「当然こっちの一方的負けだ…つーか、アグリッサって”イナクト”じゃねーじゃねーか!」
「あ?”イナクト系”って言っただろうがよォ」
変な理屈だ。でも、確かにそういってたな…。
オレはターンを終了した。
オレはターンを終了した。
これはピンチすぎねーか?
主要なユニットを落とされて、さらに敵には天敵。
主要なユニットを落とされて、さらに敵には天敵。
「でもよ、こういうのが燃えるんじゃねーか」
そうつぶやくオレに、「おいおい。燃えるも何もウント・ドランク落ちたら終了じゃね?」と羽鳥が言った。
「ドロー…イナクトカスタムを手札からプレイ。戦闘フェイズ行くぜ?」
羽鳥は青イナクトを宇宙、アグリッサを地球と宣言した。
合計12点…受けれるか?
合計12点…受けれるか?
「ちょっと待て…よし、受けれる」
「12点も受ける気かよ?まあいいけどな。手札に何があろうが、リングで戦う以上はアグリッサを越えるなんて無理無理!」
「12点も受ける気かよ?まあいいけどな。手札に何があろうが、リングで戦う以上はアグリッサを越えるなんて無理無理!」
オレは黙って捨て山にカードを移す。
「よし…青イナクトの攻撃が通ったから、コストの合計が一番デカイこのアグリッサを手札に!」
「オーケー」
「オーケー」
攻防一体のつもりかよ。いや、いざとなったら冷凍刑で抑制されるシーマを手札に戻すのが狙いだったのか?
なんでもいい。こっちは後1枚あれば、どうにかなるはずなんだ!
なんでもいい。こっちは後1枚あれば、どうにかなるはずなんだ!
「ターンエンド」
「ドロー…違う。ニュータイプの排除!」
「いいぜ。じゃんじゃんやっちゃってくれ」
「ドロー…違う。ニュータイプの排除!」
「いいぜ。じゃんじゃんやっちゃってくれ」
ハンガーに移ったのは…百年の恋。
捨て山の全てのカードをサーチして、指定したカードを引いてこれるカード。ただし、指定したカードがなかった場合、捨て山は全部除外だ。
捨て山の全てのカードをサーチして、指定したカードを引いてこれるカード。ただし、指定したカードがなかった場合、捨て山は全部除外だ。
「なんだ…引いたも同然じゃないかよ、ディアナ帰還」
「そうだな。ハンガーから百年の恋をプレイ」
「そうだな。ハンガーから百年の恋をプレイ」
オレはさも平然とハンガーのそれを手に取った。
『回復を一番だと考えないことね。攻めなきゃ勝てないんだから」
いつだか京子姐さんが言ってた…まず攻めること!
いつだか京子姐さんが言ってた…まず攻めること!
「風雲再起を指定!」
「いいのかよ!?確実に引けるチャンスを…」
「攻めなきゃ勝てねーんだよ…オープン!」
「いいのかよ!?確実に引けるチャンスを…」
「攻めなきゃ勝てねーんだよ…オープン!」
オレは捨て山をスライドさせながら表にする。
…風雲再起のカードはなし。ディアナ帰還は1枚あったけどな。
…風雲再起のカードはなし。ディアナ帰還は1枚あったけどな。
「ターンエンド」
「ちょ…バカすぎるだろ!あ、イナクトカスタムは攻撃ステップにアグリッサに換装しとくぜ!」
「ちょ…バカすぎるだろ!あ、イナクトカスタムは攻撃ステップにアグリッサに換装しとくぜ!」
羽鳥は腹を抱えて笑い、ドローする。
このターンも青イナクトを配備した。
このターンも青イナクトを配備した。
「ヒャハッ!バカすぎんぜミキオ…素直にディアナ帰還を引いておけばよかったのによォ!」
羽鳥は「この攻撃で終わりだ!」と言わんばかりに、さっきと同じようにアグリッサと青イナクトを出撃させた。
オレは手札のカードを握る。
オレは手札のカードを握る。
…行くぜ。俺の切り札!
「配備エリアのシャイニングガンダム《16》をシャイニングガンダム&ゴッドガンダムに換装っ!!」
オレは手早くジャンクからウント・ドランクをテキストで除外する。
「アグリッサの防御に出撃するぜ」
「はん?…ローズとウント・ドランクを除外した程度で調子に乗りやがって」
「はん?…ローズとウント・ドランクを除外した程度で調子に乗りやがって」
羽鳥はシャイニングゴッドを見て、鼻で笑う。
アグリッサの前では小さく見えるのかもな。でも、コイツは見た目以上のパワー秘めてるんだぜ?
アグリッサの前では小さく見えるのかもな。でも、コイツは見た目以上のパワー秘めてるんだぜ?
「羽鳥、いいこと教えてやる。さっき百年の恋で指定した風雲再起だけどよ、序盤で落ちた1枚しか入ってないんだわ」
「ん…?じゃあそんなん指定してどうする気だったんだよ?気でも狂ってんのか?」
「いーや…こうするためだぁっ!」
「ん…?じゃあそんなん指定してどうする気だったんだよ?気でも狂ってんのか?」
「いーや…こうするためだぁっ!」
オレは百年の恋でまとめて取り除いたカードを右手でスライドさせて見せる。
羽鳥はぽかんとしてそれを見守った。
羽鳥はぽかんとしてそれを見守った。
「マスター&風雲再起に…ミラージュガンダム(DG)…が除外されてる!?」
「ダメージ判定ステップ行くぜ。ミラージュDGのコピーテキストで自分をロール!交戦中のアグリッサに1ダメージ」
「ダメージ判定ステップ行くぜ。ミラージュDGのコピーテキストで自分をロール!交戦中のアグリッサに1ダメージ」
オレはシャイニングゴッドをロールする。
このテキストはG以外の自軍カードをロールし交戦中の敵ユニットに1ダメージを与えるテキスト。ちなみに0コスト毎だ。
このテキストはG以外の自軍カードをロールし交戦中の敵ユニットに1ダメージを与えるテキスト。ちなみに0コスト毎だ。
「ハッ…その程度で!ダメージ判定ステップ開始時から格闘が*のシャイニングゴッドごとき…」
「ミラージュDGのコピーテキストで自分をロール!交戦中のアグリッサに1ダメージ」
「ミラージュDGのコピーテキストで自分をロール!交戦中のアグリッサに1ダメージ」
羽鳥の台詞を遮り、オレはそう続けた。
そこで一瞬羽鳥は固まる。
そこで一瞬羽鳥は固まる。
「な…なんでまたリロールしてんだよォー!?」
羽鳥は焦ってシャイニングゴッドを指差す。
あれ…?オレきちんと除外されたMFたち見せたよな?
あれ…?オレきちんと除外されたMFたち見せたよな?
「見てなかったのか?マスター&風雲再起が除外されているから『ロールする毎にリロールする事ができる』ってテキストを得てるんだよ」
「…まさか、まさかそれが狙いか!」
「さっきからそう言ってるっての!」
「…まさか、まさかそれが狙いか!」
「さっきからそう言ってるっての!」
オレは手早くシャイニングゴッドを5回ロールした。
「このままアグリッサを粉砕する!」
「チイッ…」
「チイッ…」
アグリッサは規定前にジャンクヤードに移る。
手強い奴だったが最後は案外あっけないぜ、アグリッサちゃん。
手強い奴だったが最後は案外あっけないぜ、アグリッサちゃん。
「チックショー…いや、待てよ!?ミキオの本国今何枚?」
「10枚もねーよ?それが?」
「10枚もねーよ?それが?」
俺は枚数も数えず、本国を小突いた。
「ヒャハッ…バーカ!宇宙のカスタムイナクト忘れてんじゃねーだろーな!」
「おっと…忘れてた。”処理”をな!マスター&風雲再起の下のテキストで青イナクトを廃棄!」
「おっと…忘れてた。”処理”をな!マスター&風雲再起の下のテキストで青イナクトを廃棄!」
羽鳥はそこで口をあんぐり開けた。
本来の耐久が3以下の全てのユニットを廃棄するテキストだ。まさかオートリロールだけでマスター&風雲再起を採用してたわけじゃないんだぜ?
本来の耐久が3以下の全てのユニットを廃棄するテキストだ。まさかオートリロールだけでマスター&風雲再起を採用してたわけじゃないんだぜ?
「だからさ、除外されてる奴らのテキストよく読めって」
戦闘エリアのユニットは、ダメージ応酬を待たずに俺のシャイニングゴッドだけになった。
つづく
txt:Y256
初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:09.07.16
更新日:10.04.14
掲載日:09.07.16
更新日:10.04.14