※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

#95 戦いの終わり


切り開きや血のバレンタインで散々あたしのデッキを翻弄するトゥーフェイス・後藤田未来。
やっとまわってきた切り札、デスティニーガンダム《18》もまさかのカウンター&奪取、OZプライズによって阻止されてしまった…。

ここであたしが打てる手はほとんど残されてないけど…諦めるわけにはいかない!

「ターン終了です」
「勝った!アタシのターン!」

未来は意気揚々とドローする。

「ゼロの示す未来!このカードをプレイ」

Gが出るまで本国の上のカードを表にして、その中からカード1枚を手札に移すサーチコマンド。
この状況、さらにダメ押しの1枚が欲しいわけ?

「オープンになったカードは私兵、フリーダムミーティア、白G!当然ミーティアを選択。5Gだが換装があるしね」
「…」

あたしは黙って場を見守る。
相手の場にはデスティニー、ハイマット、バックホーム。対してあたしの場にはバックホーム1枚。

「戦闘フェイズ、地球にデスティニーとバックホーム、宇宙にハイマットを出撃させる」

デスティニーは対象を2枚取れないから攻撃ステップにテキストを使えない。でも、逆にそれだけあたしの場が衰退してるって事。

「本国の確認はいらないよね?京子」
「ええ。お互い1発通った時点で終わりますし」

大振りな白ユニットに後半の本国の計算なんて不要とでも言いたげな強力な2つの部隊。

「防御ステップ、星屑の戦場!このカードで各部隊の先頭をロール。そしてバックホームを地球に防御出撃」
「悪あがきねェ!それでデスティニーを奪い返した気ぃ?」

もちろん。相手は5国力しか発生してないんだからロール状態で補給も受けられないデスティニーはあたしの手札に戻る!
お互いにユニットを帰還させ、未来はターン終了を告げる。

次のターン、デスティニーが2分の1の確立でハイマットを破壊できなければあたしの負け。
いいわ、賭けてやる!

「あたしの”ラスト”ターン。はじめます」

あたしはきっぱりとそう言って、カードを引いた。
そう、これがラストターン。このターンでどうにかならなければ負け。

「配備フェイズ、手札に戻ったデスティニーガンダムをプレイ!」
「フッフフッ…危ない危ない。ミーティアを普通にプレイされたら負けていたわねぇエエ!」

たしかに。
あたしはデスティニーを場に出しながら頷く。

「でも、これで決まりです」

あたしは未来の目をしっかりと見て言う。

「決まりぃ?やっと50%の確立になったたけじゃなかぃ!」
「いいえ…運命は確立なんかで決まるものじゃないわ!」

あたしは手札の一番端にある、今引いたカードを掴む。
お願い…カットインしないで…!

「あなたは防御のため、”有効ターン”を得るためにこのカードを使った。けど、あたしは攻撃のために使わせてもらうわ…このカード、切り開く力をね!」
「ヒャア!?」

まだ配備フェイズ…そう、換装には攻撃ステップの時点で白Gが必要。
このタイミングでの国力封殺はあなたの積み手を完全に封じたわ。

「…クゥッソォオオッ!」

しばしの沈黙のあと、未来はそう言って手札を表にした。
その中にはヴォワチュール・リュミエールのカード。なるほど…50%確立であたしの勝ちなんかじゃなく、あのままやってたら負けてたわね。

「「ありがとうございました」」

お互いに頭を下げる。
未来はテーブルの上に置いておいた眼鏡をかけた。

「ヴォワチュール用意していける!と思ったんですが…切開、あらかじめ手札に用意しておいたんですか?」
「あ、いえ…今引きですよ」

妙に丁寧な言い回しの”未来さん”にあたしは会釈をする。
終わった途端に中身がまた変わったとしか形容できない…。

「またどこかで」
「ええ。次も負けないわ」

あたしは差し出された手をがっちりつかみ、強気にそう言った。
…あたしだけまだ対戦時のテンション引きずって、すこしバカっぽかったかな…。

あたしはスコアシートを手に立ち上がり、受付へと歩き出した。
ちなみに、あとで聞いたところによると、未来さんはあたしより2つも年上だった…。


×××


「3位、公旗一さん…」

あたしは武志の横からするりとステージに出ていく公旗を凝視した。軽く胸を張ったフラッグファイターの横顔。
そういえば4回戦まで全勝だったから、この順位も全然ありえるわね。

「…何?公旗さん入賞したの?」

まだ信じられないあたしは、目で公旗を追いつつも、武志を小突いてそう聞いた。
武志は武志で、最終戦でなんとか1勝できたみたい。よかったね。

「知らなかったのかよ。決勝卓でグロムリンに負けたらしいぜ?」
「あはは…確かに”ガンダム”には負けてないわね」

あたしは半笑いでやっとのこと公旗から目を離す。
会場では次々に上位が発表され、そのたびに拍手が起こった。

壇上の入賞者たちの顔は輝いて、誇らしげに見えた。


いつか…

いつか、あたしもあそこに立てるかな?


ううん。

立ってやるわ!


あたしはなんだかわからない高揚感と共に天井を仰いだ。






他のイベントも、CSの表彰式までにはすでに終わっており、その表彰式が終わると共に人が捌け始めた。
それでもまだ、喋り足りない参加者が話すゲームのあれこれやトレードなどで会場はそれなりに賑わっている。

「おわったね。伊達CS」

あたしはのびながらそう言った。
外の新鮮な空気を吸い込み、長かった一日と対戦を思い出す。

「終わりなどない」

武志が真面目な声を出すもんだから、あたしは「はぁ?」と振り返る。
信ちゃんが少し離れて電話をしているのが目に入った。

「…なんちって」
「なによ、それ。とりあえず帰りましょ?おなか減ったし」
「私がご馳走しよう。どこがいいかな、少年少女」

公旗がヌッと顔を出すなりそう言った。
今日はいつもに増してアレですね、この人。

でも、ご馳走してくれるなら…

「焼肉がいいです!!」
「おい、京子。なんでこういうときだけ遠慮ないんだよオマエ」
「いいじゃん。3位の人がそう言ってるんだし」

あたしたちはそんなことを言いながら、信ちゃんに諭され駐車場へと歩き出した。


つづく


前へ / SeasonTOP / 次へ


txt:Y256

初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:09.08.04
更新日:10.04.14