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前回までの『ミキオ』―

「おぃ、ミキオちゃん。俺様と二回戦だ!」

羽鳥が姐さんに一瞥くれてから、一つにまとまっているミキオのデッキを指さした。

「いいぜ。でも…その前に、姐さん。俺はあんたにガンダムウォーを申し込むッ!!」


第4話 ローゼスハリケーン


「受けて立つわ」

姐さんはそう言って、鞄から出した半透明のデッキケースを手に、羽鳥がどけたイスに座った。
デッキケースの中からは、赤い無地のスリーブを付けたデッキが顔を出した。

「じゃあ、じゃんけんで先攻後攻を」
「おっし、いいわ」
「「じゃんけん!」」

お互いにカットまで終わり、先番を決めるじゃんけん。
勝ったのは姐さんだ。

「今日こそは負けるなよーミキオちゃん」
「“今日こそ”は余計だっての」

声援(?)を送る羽鳥にミキオがむっとしてそう言う。
実際、姐さんとの対戦でミキオに軍配が上がったのは数えるくらいしかないのであった。
マリガンチェックをして、姐さんの先攻でゲームが始まる。

「あたしのターン」

姐さんは手札の一番左のカードを表にして場に出す。
カードの色は、白。白基本Gだ。

「ターン終了よ。こっちはいつも通り出だしが遅いんだから、殴るなら今のうちよ?」

姐さんはそう言ってニコッと歯を見せて笑った。
ミキオの師匠ではあるが、この子が愛用するのは茶色の「ち」の字もない白単デッキだ。

「配備フェイズ、茶基本Gを配備。ターンエンド」
「あたしのターンね」

そう言いながら、姐さんはカードを手札に加え、基本Gを出すだけでターンを終える。

「新弾のテスタメント(カイト機)とか使わないんすか?」
「あぁ、あれはいいの。あたしああいう”小賢しい”ユニット嫌いだし」
「うわ…超抽象的意見」

ミキオと羽鳥は顔を見合わせた。

「気を取り直して、オレのターン!」

ミキオは手札にカードを加えるが、コレンカプルやボルジャーノンが来る気配はない。

「そういや、今日は藤野先輩は一緒じゃないんですか?」

「ターンエンド」と宣言した後に、ミキオが思ったことを口にする。
藤野とは姐さんの相方で、姐さんの彼氏だ。

「はぁ?いつも一緒な訳ないでしょ」

手札から、3枚目のGカードに続いてプラント最高評議会を出したところだった姐さんは、不機嫌そうな声音でそう返す。
ははん、地雷を踏んだな…。
と内心思いつつも、ミキオは面白がって続きを聞く。

「ギンガナム軍を配備でターンエンド。喧嘩っすか?」
「関係ないでしょうが。白G配備、さらにアウトフレーム(バックホーム)も配備するわ」

姐さんは「はいはい、この話は終了」と言わんばかりの口調て矢継ぎ早にターン終了を宣言した。
ミキオは姐さんに振り回される藤野先輩を想像してひとしきり同情した後、気持ちを対戦へと切り替えた。

「…ドロー、ギンガナム軍を配備」

これで後攻のミキオの場にも国力は4。
今すぐ仕掛けたいのは山々だが、揃っていない戦力で無闇に仕掛けても後半で白のパワーに圧倒されるだけだ。
ミキオはそう考えながら手札のカードを見渡した後、ユニットを表にした。

「ローズガンダム(ローゼススクリーマー)を配備。ターンエンド」
「シャイニングじゃなくて良かったわ」

姐さんはそう言いながら最高評議会を使う。
ロールインのバックホームを配備した返しのターンは、どうしてもリングが抑えられない。が、最高評議会の手札入れ替え能力と、手札が“落ちても大丈夫なユニット”だったこともあり、あえて彼女は強気にこの選択をしたのだった。
そして、もちろん本国トップに上げたのもそのカードだ。

「5枚目のGを配備、戦闘フェイズに行くわ。規定前、ウイングガンダムゼロを配備」
「きっちり5国でかぃ…ひでぇ」

ミキオは悪態をつきながらも了承する。

「悪く思わないで。これが茶と白のサーチ力の差よ♪」

姐さんはそう言って、鼻歌交じりで地球にバックホーム、宇宙にゼロを出撃させた。

「…ならオレは、引き運でその差をカバーするぜ!」

ミキオは小さく息を吐いて、「換装の効果を発動!」と宣言した。

「ローズガンダム、ローゼスハリケェーンッ!!」

手札のユニットが表になる。
さっきは羽鳥に軽く撃破されてしまったが、このユニットの真価はこういう場面でこそ発揮される。

「防御ステップ、ハリケーンのテキストを起動。ウイングゼロに3ダメージとテキスト無効だ!」
「了解。防御は来ないわよね?せっかく拾った命だもの」
「モチロンっすよ。9点受けます」

ミキオは手早く本国のカードを捨て山に送る。
ウイングゼロのユニット破壊テキストは無効化できたが、キャラクターがセットされていないローズの耐久は依然3。防御に出たところで生還できるはずもなかった。

「バックホームが自分を補給してターン終了よ」
「オレのターン、ドロー!」

今までなら先攻5ターン目のウイングゼロが出た日には、手札を消費しきれないままウイングゼロの復活を許し、次々にユニットが落とされたもんだ。
それを考えれば、ローゼスハリケーンの活躍は大きい。

「宝物没収をプレイ後、エネルギー吸収をヴァリアブル。シュピーゲル(シュツルム・ウント・ドランク)をプレイ!」

ミキオは場にウント・ドランクを出す。
部品ドロボウへの耐性がある貴重なユニットだ。

「さらに、ウント・ドランクにキョウジ・カッシュをセット」
「…了解」

姐さんはミキオに気付かれないくらい小さく眉をひそめた。
ウイングゼロのテキストが機能していれば、キョウジセット状態でも追い詰めることはできるが、ローゼスハリケーンでテキストが無効化される現状…つまり通常交戦では、速攻8点には触ることもできないからだ。

「戦闘フェイズ。ウント・ドランクがリング!!バックホームとガンダムファイトだーッ!」
「お断りよ。そんな無粋なガンダムとあたしのバックホームを戦わせるなんて」

姐さんはそう言うと、手札を軽くシャッフルしてミキオに差し出した。
ユニットがいるにもかかわらず、リングエリアでの戦闘を断ったペナルティだ。(まあロール状態のユニットしかいない状態でもペナルティは取られるわけなんだが…)

「いいえ、姐さん。そっちのカードをいただきます」

ミキオは差し出された手札をつき返し、ハンガーにある2枚のカードを指差した。
前のターンでバックホームの効果で送られたカード、フリーダム(ハイマット)とロゴスの私兵だ。

「あ、バレた?」
「ったり前でしょう。最高評議会ですぐに切り替えられる手札に興味はないっすよ」

ミキオはニヤリとする。
この状態ではどちらも脅威ではないが、ドモンやカムバックを考えるとロゴスの私兵が、ハリケーンがウイングゼロにかかりきりになることを考えればハイマットが、障害になる可能性は十分あった。
無作為に選んだ結果、フリーダム(ハイマット)が廃棄された。

「ターンエンド」
「うーん…やるわね。ちょっとキツいわ」

姐さんはそう言いながら最高評議会を起動する。

「あら」

入れ替わった手札を見るなり、姐さんは声を上げた。

「さっきのカードと面白い組み合わせができるわ。まず、ハッキング」
「了解。なんすか…?」

「面白い」とは無論「強い」の意味だろう。
ミキオはそう思い、知り得る限りのユニットに考えを巡らせる。

「ガンダムサンドロック改《EB3》をプレイ。さらに張五飛をセット!」
「張…五飛。リングかッ!」

意図を悟ったミキオは目を見張る。
ダメージを軽減できるサンドロックがリングに出れるようになったのだ。驚異以外のなにものでもない。

「さて…今度はあたしの番ね♪あんたにガンダムファイトを申し込むわ!」




初出:mixi (12月15日、12月16日掲載分)