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第10(16) 可能性の少女



ロール状態のガンダムラジエルとセファーラジエル(第一形態)。
ナツキの配備エリアにはそれと対峙するかのように、ユニコーンガンダム。
そして、その上には青いスリーブを着けたカード…「箱」が2枚。

「1枚目の箱カードは…これ!」

ナツキは2枚の箱のうち上のカード、インダストリアル7で置いた方を表にする。
谷本はそのカードを見て数秒、見間違えたのかと思い少し身を乗り出す。
だが、見間違うわけがなかった。デッキに4枚以上入れられるカード…青基本Gだ。

「了解。せっかくの箱がGとはね」

ナツキは「ウチが欲しかったんだからいいの!」と、そのカードを配備エリアにある5枚のGの隣に置いた。
谷本は”自分が考えていた2枚”とは違うことに少々驚きつつも、残り1枚の箱と彼女が握る手札に目をやる。
6枚目の国力をわざわざ引っ張ったということは、6国力のカードがあるのは間違いない。

「手札から…アムロ・レイ《7》をユニコーンガンダムにセット」
「…本国にダメージを与えるとその値だけ回復するアムロか」

ガンダムウォーの長い歴史の中でも、合計国力6のキャラクターは少なく、いずれも高いパワーを持ったカードばかりだ。
第7弾「革新の波動」に収録されたアムロ・レイもその例に漏れず、3/3/3という戦闘修正と、移動耐性。そして、本国へダメージを与えることによって起動する回復能力を兼ね備えたキャラクターだった。

「戦闘フェイズ、ユニコーンガンダムを宇宙に出撃」
「換装は?」
「換装?ウチのターンだから、あるとしたらそっちの換装でしょ?」

含み笑いで聞く谷本に、「何言ってるの?」とナツキが返す。冗談ではなく、真面目に。
「あの箱2枚は、自軍攻撃ステップに換装可能なユニコーンガンダム(デストロイモード)とジュドー・アーシタがセオリー」と踏んでいた谷本の予想はことごとく外れた。

「…いいね。その箱は”本当にわからなくなった”。セファーラジエルをラジエルに換装だ」
「オッケー。さっき手札に加えてたしね」

ナツキは親指と人差し指で○をつくり、許可を示す。
この攻撃は通してもらえないだろうが…このユニコーンはラジエル1枚に負けるほどヤワなセットグループではなかった。

「防御規定でラジエルをユニコーンの防御に」
「うん。このまま破壊ね!」
「いいよ。ただ、ダメージを与えてはいるから、ラジエルの効果は起動するよ?」

谷本は人差し指を立て「差し詰め、ラジエルの置き土産ってところだ」と、自分の本国と捨て山の効果を表にする。

「捨て山は前のターンと変わりなく黒G。本国は…マレーネ。ここは迷わず、こっちだね」

と言って、マレーネを手札に加える。
マレーネ・ブラディは各ターンの攻撃ステップにリロールすることが出来るキャラクターで、修正も優秀。
換装持ちとはいえ、戦闘配備を持たないセファーラジエルが手札に戻ってしまったこのターンの引きとしては申し分ない。

「ターン、エンド」
「よし、ドロー」

谷本はカードを手札に加えながら少し考える様子で手札のカードを見た。
この状況、セファーラジエルとマレーネのセットなら、攻撃時には高機動による突破力があり、防御時は残したラジエルを盾に出撃しユニコーンを撃破することも出来る。
そこまで考えて、配備フェイズを宣言した。

「換装ではユニットの枚数は増えないからね…セファーラジエル(第一形態)を通常プレイ」

プレイされたカードを見て、ナツキは途端に目を輝かせる。
まるで出された問題を純粋に解く子供の顔だ。

「だよね…やると思った!箱!」

ナツキが叫ぶ。
谷本は意表を突かれ、手が止まる。

「ラプラスの箱をプレイ!プリベントを持つ合計4以下のユニット…セファーラジエルは打ち消されるよ!」
「か…カウンター!?」

プリベントを持つユニットとコマンド限定のカウンターカードで、もちろんプリベントの影響は受けない。
上限を4とする、自軍国力の以下の合計国力を持つカードという条件はあるが、紫勢力であるというのがこのカードのポイントだ。
普段はカウンターカードを持たないような勢力が使うことが出来るのが最大の特徴。

「セファーラジエルは無効にされて本国の下に埋もれる…か。やられたよ」

谷本はそう言って、セファーラジエルを本国の下に移す。
ユニットがカウンターされる危険があるなら、ラジエルからの換装が安全であるが、このカードは高いプリベントを持ち、おまけに相手は青。
通常のプレイをするのが最善と考えたが、この子には通用しないらしい。
さっきの箱の件といい、この娘とはなぜか相性が悪いらしい。と苦笑した。

谷本が目論んでいた戦術は不可能になった。
それどころか、ラジエル1枚ではマレーネをセットして毎ターンリロールできるとしても、あのユニコーンのグループには及ばない。
だからと言って、交戦を避けハイペースで回復されるのはまったく都合が悪い事だった。

「ひとまず、ラジエルにマレーネをセット」
「オッケー」

ナツキは軽く返事する。
手札も箱も使い切り、それ以上する返事もなかったのだが。

「参った。あとはラジエルの効果に賭けるだけだ。攻撃ステップ」

谷本はマレーネがセットされたラジエルを「地球に」と言って出撃させた。
「5ダメージ通し」と本国のカードを移すナツキ。谷本の本国と捨て山のカードが表になるが、色が違うだけで、双方ともGだ。

「運も尽きたかぁ…」
「あはは☆ウチのターンでいい?」

頷く谷本にナツキはカードを手札に加え、すぐに攻撃に移ろうとする。
流れは確実に自分に来ている!
難しそうな顔で盤面を見る谷本の顔を見ながら、ナツキはそう確信した。

「攻撃ステップ、ユニコーンガンダムを宇宙に」
「規定後、マレーネの効果でラジエルがリロール」

谷本はペタリと資源を払い、ラジエルをリロールさせる。
さっきのターン、ラジエルの効果で本国の紫Gを手札に加えので、この資源で本国と捨て山の上のカードは両方知らないカードとなった。
そういう計算はお構いなしに「もう…いい加減回復させなさいよ」と眉を上げるナツキ。
谷本は「それだけは困るね。防御規定で出撃だ」と言ってラジエルを出撃させる。

「破壊ー☆」
「されないんだよね、これが」

谷本は難しそうな顔から一転、「ダメージ判定前、どうだ」とコマンドを出す。
有無を言わさぬ強気な口調だ。

「過去との邂逅」

戦闘エリアにいるユニットをロールするデュアルコマンド。
これでラジエルは撃破を免れ、ダメージを与えることによって効果も起動できる。
苦しい顔をしておきながら、こんなカードを隠し持ってやがったのか、とナツキは谷本を睨む。

「嘘つきー!」
「え?」
「だって難しそうな顔してたじゃん!」

谷本は小さく笑って、「実際にこっちの手札が苦しいかはわからないよね」と本国と捨て山のカードを表にする。
本国は王留美、捨て山は…運命の悪戯《23》

「あれだけ表にしたんだ。さすがに引きが追いついてきたかな」
「ちょ…」
「ダメージ判定ステップ規定後に、手札に加えたばかりの運命の悪戯で5ダメージが蓄積されているユニコーンに-2修正を与える」

「あー!」とナツキ突っ伏すナツキ。
前回姉さんの家でミキオに叱られたからか、今回は控えめだったが。

「報道された戦争から良くがんばったと思うけど、ラジエルのアドにはそう簡単には勝てないよ」


つづく


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txt:Y256

初出:mixi(10.03.25-26)
掲載日:10.03.26
更新日:10.04.01