ATAGUN@Wiki
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「君も全勝か」
最終5回戦の対戦組み合わせが発表され席についていたミキオに、かけられる声。
隣の席…卓の一番端の椅子が引かれ、声の主が腰を下ろす。
隣の席…卓の一番端の椅子が引かれ、声の主が腰を下ろす。
「ん、あぁ。ハタドーか」
相変わらずのサングラスに、ストライプが入ったの深緑のシャツ。ミスター・ハタドーだ。
彼もまた、4回戦まで全勝。
彼もまた、4回戦まで全勝。
「調子がいいと見える。是非手合わせしたかったが」
「今度な。オレの相手は…」
「今度な。オレの相手は…」
対戦組み合わせ表で確認した相手の名前に、見覚えは無かった。
むしろ同じブロックの全勝者の中で、ミキオが知っているのはハタドーくらいのものだ。
だが、誰だろうが負けてやる気は無い!とミキオは意気込む。
むしろ同じブロックの全勝者の中で、ミキオが知っているのはハタドーくらいのものだ。
だが、誰だろうが負けてやる気は無い!とミキオは意気込む。
「フン…最終戦でMFデッキとはな」
向かい側からの声に、見上げるミキオとハタドー。
一番最初に目に入ったのは、『常勝』と書かれた鉢巻だった。
一番最初に目に入ったのは、『常勝』と書かれた鉢巻だった。
第41(47)話 幸運を呼ぶ存在
短く切りそろえた黒髪に巻かれた『常勝』の鉢巻。
黒系統でそろえた服装に白い鉢巻だけが浮いており、少々異質な印象を受ける。
彼の名前は、的場常冶(マトバ ジョージ)。
黒系統でそろえた服装に白い鉢巻だけが浮いており、少々異質な印象を受ける。
彼の名前は、的場常冶(マトバ ジョージ)。
「なんだ。知り合いか」
ミキオのことをMFデッキだと断言した常冶を見やり、ハタドーは「ふむ」と自分の卓に視線を戻した。
当のミキオは小さく首を振り、常冶の顔をまじまじと見る。
自分と同じか、ひとつ上の年齢か…見覚えは、ねぇな。と首をかしげた。
当のミキオは小さく首を振り、常冶の顔をまじまじと見る。
自分と同じか、ひとつ上の年齢か…見覚えは、ねぇな。と首をかしげた。
「3回戦で偶然お前の対戦を見た。4回戦では隣の卓で戦っていた」
説明口調でそう続ける常冶に、ミキオはそうだったのかと少し感心する。
毎回自分の対戦で手一杯だった彼は、周りで誰が対戦していたかなど記憶に残っていない。
毎回自分の対戦で手一杯だった彼は、周りで誰が対戦していたかなど記憶に残っていない。
「勝率的に戦う可能性はあったが…ここでか。俺は幸運だ」
「幸運だと?」
「もちろん。現環境に”向きじゃない”デッキから楽に勝ちを取れて、な」
「幸運だと?」
「もちろん。現環境に”向きじゃない”デッキから楽に勝ちを取れて、な」
そう言って笑い、常冶は席に着く。
目線が並び、ミキオも言い返そうと口を開く。
目線が並び、ミキオも言い返そうと口を開く。
「ミキオだって幸運だよっ!だって、ウチがついてるもん!」
「おまっ…」
「おまっ…」
ミキオの言葉を遮るように、うしろで声がする。もちろんナツキの声だ。
ハタドーもサングラス越しに確認し、ニヤリとする。
ハタドーもサングラス越しに確認し、ニヤリとする。
「どこ行ってたんだよ?」
「うん、ちょっとね」
「うん、ちょっとね」
ナツキは会場の外のほうに視線を移す。
その過程で、隣に座るハタドーに気付いたのかベッと舌を出す。
その過程で、隣に座るハタドーに気付いたのかベッと舌を出す。
「もう5回戦の組み合わせ発表されてんだから席に行けよ」
「うん。でもホラ、”対戦前恒例の”チューしてあげる☆」
「何の話だ!」
「うん。でもホラ、”対戦前恒例の”チューしてあげる☆」
「何の話だ!」
いーから行けよ、と片手で追い払うミキオ。
そこでナツキはミキオの対戦相手を見て、「あー、さっきの鉢巻」と口走る。
そこでナツキはミキオの対戦相手を見て、「あー、さっきの鉢巻」と口走る。
「知ってるのか?」
「うん、谷本のおっさんが瞬殺されたって」
「うん、谷本のおっさんが瞬殺されたって」
と彼女は言い、手をかざしてミキオの耳に口を近づける。
彼は慌てて避けそうになるが、ナツキの顔を見て止める。
彼は慌てて避けそうになるが、ナツキの顔を見て止める。
「黒紫のラジエル、だよ」
とだけ耳打ちすると、ナツキは駆けて行った。
耳打ちするほどの内容なのかとミキオは思案するも、すぐに注意は対戦に戻る。
耳打ちするほどの内容なのかとミキオは思案するも、すぐに注意は対戦に戻る。
ほどなくして、司会が威勢の良い声で時間を告げた。
「最終ゥ!5回戦ッ!…ガンダムウォー、レディィイ、ゴーッ!!」
お互い手を上げ、始まるゲーム。
先攻はミキオ。マリガンチェックはお互いなし。
1ターン目が円滑に幕を開けた。
先攻はミキオ。マリガンチェックはお互いなし。
1ターン目が円滑に幕を開けた。
「ギンガナム軍に続いて、今日始めて手札に来た…カプル(コレン機)!」
「フン…それが引けないのに、よくここまで勝ち上がったな」
「うっせぇよ、っと。戦闘フェイズに特殊兵装を宣言…確認した。ターンエンドだ」
「フン…それが引けないのに、よくここまで勝ち上がったな」
「うっせぇよ、っと。戦闘フェイズに特殊兵装を宣言…確認した。ターンエンドだ」
返しのターン、常冶が配備したGカードは…紫基本G。
先刻ナツキから黒紫デッキであることを聞かされただけに、ミキオにも余裕がある。
常冶がターンを終える。
先刻ナツキから黒紫デッキであることを聞かされただけに、ミキオにも余裕がある。
常冶がターンを終える。
「オレのターン!2枚目のGカードとディアナ帰還を配備。カプルを攻撃に出撃させるぜ!」
「3ダメージ通しだ」
「3ダメージ通しだ」
「ターンエンド」と続けるミキオに、常冶は頷き、カードを手札に加えた。
「残された者の決意をヴァリアブルで展開。ターン終了だ」
「いや。帰還ステップあたりに、ディアナ帰還を1回使うぜ」
「いや。帰還ステップあたりに、ディアナ帰還を1回使うぜ」
ミキオは2枚だけの捨て山をつかみ、上1枚はジャンクヤードに、下の1枚は本国の上に移る。
落ちたカードは明鏡止水だった。
落ちたカードは明鏡止水だった。
「このカードを、ドロー」
兵装で見て、ディアナ帰還で本国の上に回収。
上手くかみ合った動きから、彼が引いたカードは…。
上手くかみ合った動きから、彼が引いたカードは…。
「Gカードを配備した後、ACEカードのゴッドガンダム&ドモンを配備」
カプルを攻撃に出撃させ攻撃を通した後、ターンを終えるミキオ。
常冶はフンと鼻を鳴らし、カードを引いた。
常冶はフンと鼻を鳴らし、カードを引いた。
「不平分子をヴァリアブル展開し、3国力。ハナヨを紫基本Gにセット」
ハナヨ…本国の上のカード2枚と手札2枚を入れ替えることが出来るテキストと、セットカードがセットされ自軍ユニットをリロールすることが出来るテキストを備えたキャラクターだ。
カードを入れ替えるテキストを起動する常冶。
入れ替えたことからも、手札が濃くなったのは明確か。とミキオは自分の手札を見る。
カプルがいる限り瞬殺されることは無いだろうが、このデッキは展開が早いと聞いている。
カードを入れ替えるテキストを起動する常冶。
入れ替えたことからも、手札が濃くなったのは明確か。とミキオは自分の手札を見る。
カプルがいる限り瞬殺されることは無いだろうが、このデッキは展開が早いと聞いている。
「ガンダムラジエルを配備」
「了解…」
「と、最後の照準」
「了解…」
「と、最後の照準」
ん?とミキオは出された紫色のオペレーションカードを見やる。
ジャンクヤードのカードを1枚取り除くごとに、ユニットに1ダメージを与えるオペレーション。
回復するたびにジャンクヤードのカードが増えるディアナ帰還は相性が悪い。
それに…ミキオの、いや茶単色というデッキは、一度出されたオペレーションカードに触ることが――7勢力中最も――苦手なのだ。
ジャンクヤードのカードを1枚取り除くごとに、ユニットに1ダメージを与えるオペレーション。
回復するたびにジャンクヤードのカードが増えるディアナ帰還は相性が悪い。
それに…ミキオの、いや茶単色というデッキは、一度出されたオペレーションカードに触ることが――7勢力中最も――苦手なのだ。
「戦闘フェイズに入る」
「っ…あぁ」
「まずは見てみるか…報道された戦争X=2で宣言だ」
「っ…あぁ」
「まずは見てみるか…報道された戦争X=2で宣言だ」
本国のカード2枚を捨て山に移しながら、表になるコマンド。
ガンダムウォー1弾で登場し、24弾現在でも一線で活躍する大量ハンデスカード。
ガンダムウォー1弾で登場し、24弾現在でも一線で活躍する大量ハンデスカード。
「これが…」
「勝ち筋だ。あきらめろ、お前の負けだ」
「勝ち筋だ。あきらめろ、お前の負けだ」
突きつけられる、言葉。
お互いの手札2枚ずつはGNセファーと紫基本G、ミキオのはハリケーンローズとギンガナム軍。
攻撃規定前に、最後の照準でハリケーンローズをコストにカプルが破壊され、ラジエルは無人の戦闘エリアに駆けた。
ラジエルの効果でGNアーチャーと紫基本Gが表になり、手札に加わったのはGNアーチャー。それでターンは終わった。
お互いの手札2枚ずつはGNセファーと紫基本G、ミキオのはハリケーンローズとギンガナム軍。
攻撃規定前に、最後の照準でハリケーンローズをコストにカプルが破壊され、ラジエルは無人の戦闘エリアに駆けた。
ラジエルの効果でGNアーチャーと紫基本Gが表になり、手札に加わったのはGNアーチャー。それでターンは終わった。
「ドロー…ACEでGとディアナ帰還をロールして、追加ドロー」
宝物没収をプレイし、3枚に増える手札。4枚目のGに続いてプレイされたのは、共闘戦線。
さすがに盤面は苦しいな…とミキオは手札のカードを握った。
さすがに盤面は苦しいな…とミキオは手札のカードを握った。
つづく
txt:Y256
初出:mixi(10.07.15)
掲載日:10.07.15
更新日:10.07.16
掲載日:10.07.15
更新日:10.07.16