ATAGUN@Wiki
#54
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#54 あたしの色なのに
「ダメージ判定ステップ、マルチロックオン!煉さんの全てのユニットに3ダメージを与えます!」
「ほう…」
「ほう…」
これで全滅。
本国はちょっと多めに削られたけど、なんとか大丈夫。
本国はちょっと多めに削られたけど、なんとか大丈夫。
「ターン終了です」
「ドロー、白ジェネとリーオーアーリータイプを出してターン終了だ」
「ドロー、白ジェネとリーオーアーリータイプを出してターン終了だ」
ほら、もうあんなユニットしか残ってない。
ウィニーは勢いが命。それさえ削いでしまえばこんなもんよ。
もしかして煉さん、ネタデッキ使ってあたしをからかってるの??
ウィニーは勢いが命。それさえ削いでしまえばこんなもんよ。
もしかして煉さん、ネタデッキ使ってあたしをからかってるの??
「配備フェイズ、白基本Gを出してフリーダム(ハイマットモード)をプレイ。宇宙に出撃します」
「6点通しだ」
「6点通しだ」
あたしは本国を6点回復してターンを終了する。
まずはマルチロックオンの資源を回収っと。
まずはマルチロックオンの資源を回収っと。
「本田…今、”ウィニーは勢いを殺せば余裕だわ♪”とか思ったろ?…ところが」
煉さんは意地の悪い笑みを見せて、手札からカードを出した。
「モルゲンレーテ試験場」
「…!」
「…!」
こっちのユニットにキャラをセットして、そのまま強奪してしまえる白の拠点だ。
そっか…それがあれば白の低速デッキ相手でも、後半戦を何とか凌ぐことができるってこと?
そっか…それがあれば白の低速デッキ相手でも、後半戦を何とか凌ぐことができるってこと?
「ハンドからラスティーをハイマットにセットするぞ?」
「了解です」
「了解です」
煉さんの配備エリアに移るハイマット。
「さらに、2枚目の救難信号で捨て山を5枚…オロールを手札に移すぞ?」
煉さんはそう言って、残りの4枚のカードをジャンクヤードに置いた後、基本Gにオロールをセットする。
これで煉さんは4G。ここまで溜まると、ウィニーっていうより、もともとここまで考えてたようにも見える…どうなんだろ?
これで煉さんは4G。ここまで溜まると、ウィニーっていうより、もともとここまで考えてたようにも見える…どうなんだろ?
「フフ…偶然だな次のターン、リーオーを解体すれば5G溜まるぞ」
「その前に巻き返しますよ」
「その前に巻き返しますよ」
煉さんはリーオーを出撃させ、あたしは何もないからその2点を受ける。
「ターン終了だ」
「最高評議会を使って、そのあとドロー。くそっ…」
「最高評議会を使って、そのあとドロー。くそっ…」
あたしは舌打ちをした。
ここでこの手札…巻き返しに時間がかかる。
ここでこの手札…巻き返しに時間がかかる。
「アウトフレーム(ランチャーストライカー)を配備してターンを終了します」
「ほう…面白いユニットだな。防御6まで討ち取れる…か」
「ほう…面白いユニットだな。防御6まで討ち取れる…か」
煉さんは確認するようにそう言ってドローした。
たしかにテキストも強いし、バルチャーもある。でもロールインなのよ…!
たしかにテキストも強いし、バルチャーもある。でもロールインなのよ…!
「では、リーオーを解体してハイマットモードを宇宙に出撃」
「7点…」
「と、私の本国が7回復。ターン終了だ」
「7点…」
「と、私の本国が7回復。ターン終了だ」
煉さんはあたしがダメージを受けるのを見て、本国のカードを回復した。
まずい…中盤以降のこっちのダメージがパァにされてる。
まずい…中盤以降のこっちのダメージがパァにされてる。
次にアウトランチャーを立てて、ハイマットを牽制。その間に切り札を…。
「はい。最高評議会を…?」
「おや?使える枚数ないみたいだな、本田」
「おや?使える枚数ないみたいだな、本田」
あたしは本国のカードを触ってはじめて気付く。
最高評議会を使うには、手札と同じ枚数以上の本国が必要…それが今はない。
最高評議会を使うには、手札と同じ枚数以上の本国が必要…それが今はない。
「…そのままドローで!」
あたしは勢い良く、手札にカードを加える。
「部品ドロボウをハイマットに」
「どうぞどうぞ♪」
「どうぞどうぞ♪」
そして残りの本国は2枚。
あたしの負けだ。
あたしの負けだ。
「そんな顔をするな。”まあまあ”だったぞ?」
投了を宣言したあたしに煉さんが言った。
なにそれ?まあまあって…。
なにそれ?まあまあって…。
「ただ…」
煉さんは続けた。
あたしは黙って聞く。
あたしは黙って聞く。
「勝とう勝とうとしすぎている」
「…?勝とうと思うのは当然じゃないですか」
「…?勝とうと思うのは当然じゃないですか」
せっかく格上の相手に挑めるチャンスだったんだ。
それなのにあなたって人は…ネタみたいなデッキで。
それなのにあなたって人は…ネタみたいなデッキで。
「当然…?ふぅん」
煉さんは興味ないという風に立ち上がった。
あーもう!なんかイライラするなあ…。
あーもう!なんかイライラするなあ…。
「詩織、あたしお風呂行ってくるわ」
あたしは振り向き様にそう言って、タオルを持って部屋を出た。
×××
湯船に浸かりながら、あたしは髪をぐしゃぐしゃっとした。
昔からいっつもこうだ。
なにか腑に落ちないと、それがちゃんとするまで先に進めない。ばかだよね、あたし。
なにか腑に落ちないと、それがちゃんとするまで先に進めない。ばかだよね、あたし。
「ふぅ…」
煉さんはきっと「楽しむ」ってことに重点を置いてるんだ。
今までの言動と言い、そうじゃないものへの厳しい態度。間違いない。
今までの言動と言い、そうじゃないものへの厳しい態度。間違いない。
…でもさ、それってあの人の価値観なわけじゃん?
それを人に押し付けてるようで、あたしは好きになれない。
それを人に押し付けてるようで、あたしは好きになれない。
楽しんでるから勝ちなのか、楽しめてないから負けるの?…そんなのおかしい!
あたしは両手で頬をパチンとし、立ち上がる。
「そんなのおかしいーーーーーー!!!」
あたしは外に向かって叫んだ。
その日の夜も、次の日の帰りの電車の中でも、あたしは考えた。
そして決めた。あたしは先に進む努力をするべきだ…!
つづく
txt:Y256
初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:08.11.13
更新日:10.04.14
掲載日:08.11.13
更新日:10.04.14