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ウエンツ「まさか1000いく前にスレが終るとは思わなかったよ。
     でもみんなもひどいな、僕を置いてくなんて。」
カランコロンと森を駆け抜けていくはごく普通の幽霊族。
しいて言うなら、一番弄られてるかな、名前はウエンツ鬼太郎。
ウエンツ「う~、次スレ次スレ。」
次スレへと急いで駆けている、その時だった。

ガスッ!ボカッ!

ウエンツ「うわー!!!」

急ぐあまり、周りに注意を払わなかったことが命取りだった。
後頭部に強い痛みを感じた瞬間、ウエンツはそのまま昏倒した。

「へへへ、やった!」
倒れたウエンツの後ろには、スコップを持った男がニヤニヤ笑って立っていた。
「ウエンツ鬼太郎が一番弱いと聞いて殴ってみたが……こうもうまく行くとはなぁ。」
念のため、頭を八回ほど叩いてぺちゃんこにつぶした。
「どれどら、ちゃんちゃんこと~、よし、下駄下駄。」
男は妖怪マニアだった。それもただのマニアではない。妖怪の持ち物や体の一部を奪い、収集することを好むタイプだった。
「くくく、人魚の鱗を取るよりも簡単だったぜ。」
リュックサックに獲得したものを詰めると、傍らに放りだしていた凶器を持つ。
「用心用心、と。」
そう言ってぐっさりと心臓の辺りにスコップを突き立てた。更にガソリンをまき、火のついたマッチをウエンツに投げつけた。
くらりとしそうな匂いが強くなった後、紅蓮の火柱が立った。

「へへへ、これで鬼の角を持っているって奴の鼻をへし折ってやる事ができらぁ。」
草を掻き分け、オレンジ色に染まる木々を背に男は走ってゆく。本当はスキップしたかったが、草がそれを許してくれなかった。
「しかしウエンツって奴も弱いよな~。鬼太郎の名前なんて飾りじゃないか。」
それだったら学童服ももらってくるんだったぜ、とほくそ笑んでいた。
この前の人魚の鱗といい、山爺の蓑といい、面白いほどに手に入った。
(絶頂、というのはこのことだな。)
「今度はそうだな、猫娘って奴の服でもとってやろうかな!」
そんな事を口にした瞬間だった。ぶにゅるんとした感触のものを踏んづけ、男は足元を見た。
「う、うわぁあああ!!」
足元に広がっていたのは、雑草広がる地面ではなく、餅状の真っ黒なものだった。
「なんだ、なんだこれは!!」
しゃがみこんで指で掬ってみるが、見ただけでは分からない。鼻に近づけてみるとそれは鉄の匂いがした。
「も、もしかしたら、これは……!!」
辺りを見回し、恐る恐る口に含む。じゅるじゅると体温で解けると同時に独特の、しかし嗅いだ事のある匂いが咥内に広がった。
「ち、ち、ぶへっ!!」
全て理解した瞬間、指でそれを掻き出し、さらに唾を吐く。袖で舌を拭いつけ、吐き出したものを眺めた。
体温のせいか、それとも水分が含まれたせいか、黒い餅はその正体を明確に見せ付けていた。
「や、やっぱり、血だ……!!!」
後ろを振り返っても、広がるのはオレンジ色の暗い森だけ。背筋を震わせ、足を前に踏み出した途端、餅状の血で滑って転んだ。
「うわっぷ!!!」
ねばねばした黒い物が顔にこびりつく。血はどんどんと粘り、男を地面に縛り付けてゆく。
「た、助けて……!!」
手を前に伸ばし、地面を探すが、馴染みの土はどこにもない。黒い泥地の感触があるだけだった。
「どうだい、僕の血は?ねばねばして気持ち悪いだろ?」
後ろから声がした。殺したはずのウエンツの声だった。

「ゆ、許して……!!」
もがけどもがけど、血は足に絡みつき、胴に張り付く。
顔にべったりとくっつき、生臭い匂いのするそれは、視覚を完全に殺していた。
「僕が許しても、君に大切なものを奪われた妖怪たちは許してくれないと思うよ。」
ひたひたと足音がする。一つ、二つ、……ゆっくりと音は増えていった。
「まあ、僕も許さないけれどね。」
急に音が消えた。早くなっていた心臓がゆっくりになるが、それもほんの僅かの間だけだった。
しょりしょりと、氷かきの音が足元から聞こえてきた。それはどんどんと大きくなり、
濁音が混じった途端、痛みが爪先から這い上がってきた。一瞬の休みがあって、その後またじょり、と痛みが走る。
熱く火箸を押し付けられた感覚がした後、何かが噴出す。そしてまたじょり、という音がする。
執拗に繰り返されるそれが、男にはわからなかった。一体自分の身に何が起こっているというのだろうか。
痛みはどんどんと強く、そして上へと体を昇っていく。
ウエンツの含み笑いを込めた声が聞こえた。
「確かに僕の立場はセロハンテープの上だけれど。」


 僕も、鬼太郎なんだよ?



太腿の辺りが燃えた瞬間、男は全てを理解し、悲鳴を上げた。
自分の体は足元から少しずつ削り取られている。
それがわかったところで、もう何も出来なかったのだが。

「……ということがあったんです。」
お歯黒べったりの湯屋で頭に包帯を巻かれながら、ウエンツは先ほどのことを話していた。
「まさか殺したのかい?」
「そんなことしたら、父さんに本気で怒られますよ。地獄流しみたいなことをしてみただけです。」
ちゃんちゃんこと下駄は、元通りウエンツの手元にある。
「今度からは人間に舐められないようにしなきゃだめだよ。
 そんなだから、あんたセロハンテープの上なんだからねぇ。」
「わかってますって。ところで、少し横になっていってもいいですか?
 さすがに頭と心臓を同時にやられて辛いんで。」
「ああ、いいともさ。そこんとこなら邪魔にならないからね。」

 というわけでしばらくウエンツはお休みします。また次回の活躍をお楽しみください!